~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

今日の一冊「はじめてのおつかい」

 

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

はじめてのおつかい(こどものとも傑作集)

筒井 頼子 (著), 林 明子 (イラスト)

みいちゃんはママに頼まれて牛乳を買いに出かけます。自転車にベルを鳴らされてどきんとしたり、坂道で転んでしまったり、ひとりで歩く道は緊張の連続です。坂をあがると、お店につきました。お店にはだれもいません。みいちゃんは深呼吸をして、「ぎゅうにゅうください」と言いました。でも、小さな声しかでません。お店の人は、小さいみいちゃんには気がつかないみたい……。小さな女の子の心の動きを鮮やかに描いた絵本です。

 

 

この本は日テレ番組の「はじめてのおつかい」が始まるよりはるかに前に書かれた本です。番組が1991年から始まって、もう30年以上たつというのに、この本は1977年刊です!

 

そしていまだに本屋さんの店頭に並んでいます。
マドレーヌに並んで…。

 

まず最初のページの最初から、いきなり本題です。

 

あるひ、ままが いいました。
「みいちゃん、ひとりで おつかい できるかしら」

 

最初のページが最近言うところの情報量がいっぱいある絵というもので、おかあさんの大変さが、絵から伝わってきます。

 

二つあるコンロは、なべもヤカンも両方ふいているし、赤ちゃんは泣いています。

 

意地悪な姑並に観察すると…、たまごのからも割ったばかりで捨てていないし、買い物袋はそのままになっているし、洗い物もシンクにあります。

 

テーブルに飲みかけのジュースにお皿も並んでいます。
お掃除もしようとした形跡があり、掃除機が放り出してあります。

 

これ以上重箱の隅をつつくと、本当に意地悪な姑っぽいのでこのあたりでやめときます。

 

が、おかあさん満面の笑顔です。
つよい。
つよすぎる。

 

ママが満面の笑顔なので、あまり切迫感はありません。
お母さんを手伝ってくれないともう…もう…無理なのぉっ…!という感じではぜんぜん、ありません。
ちょっといそがしいから、いい機会だしみぃちゃんに頼んでやってみてもいいかなぁ?
という感じです。

 

主人公のみぃちゃんの手元には、描きかけのおえかきが置いてあります。
ちょうど楽しく遊んでいる途中なのに…。
でもみぃちゃん、すこしドキドキしながらもこころよく、おつかいを引き受けてくれました。おりこうさんです。

 

帰り道の描写ではじめてわかることですが、一本道でそれほど長い道のりではないです。
でもそれはおつかいが終わってからはじめてわかることで、ちいちゃんには長い長い危険な未知の道のりです。

 

走ってくる自転車にもどきっとして壁にはりつきます。カワイイです。

 

個人的にみぃちゃんが男の子のおともだちに会って会話をして、相手のともちゃんが目を丸くするところが好きです。

 

おつかい?へえ!ひとりで?へえ!と感心するのですが目をまるくしてあっさり

 

ともちゃんは、もっと めをまるくして、いってしまいました。 

 

こどもって、こういうドライなところがありますよね~。
すごいね!と持ち上げるとか、ついていってみる、などという考えがまだ浮かばないところがこどもです。カワイイです。

 

そしてやっとたどりついたお店でも、次々にトラブル発生です。。
子供たちに読みきかせをしていると、みんなみぃちゃんの話に割り込んでくるでっかいおばさんが大嫌いです!

 

小さい声で
「くそが」
「どけよ」
「最低」
などと話しています。面白いです。

 

いつ読み返してもかわいくてどきどきする、新鮮な気持ちを思いださせてくれる絵本です。

 

 

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子どもの本だな【広告】

魔女のむすこたち 第九軍団のワシ ぜったいねないからね
ねずみくんのチョッキ サリーのこけももつみ ミオよわたしのミオ
かいじゅうたちのいるところ びりっかすの子ねこ ぶたたぬききつねねこ

 

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今日の一冊「スパゲッティがたべたいよう」

 

今日、ご紹介するのは、かなりしっかりしたページ数の多い、「本型の絵本」です。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

スパゲッティがたべたいよう

角野 栄子 (著), 佐々木 洋子 (イラスト)

おばけのアッチは、とてもくいしんぼ。ある日、夕やけの空をとんでいると、下のほうからとてもいいにおいがしてきました。

 

遊びに来ていた子がこの本が大好きなので、「どんな話か言ってみてくれるかな?」と聞いてみました。(他力本願です)


「おばけがいたずらずきで、おいしいとこだけさらっていくの。チャーハンだったらグリーンピース、カステラだったら茶色いあまいとこ!」

 

くいしんぼうのおばけです。

 

この本は、とても字が大きいです。
幼年向き、装丁もしっかりしていて丈夫なので、本を大切に扱うのに慣れない子供でも安心です。

 

字を覚えたての子に最適です。
おもしろさに引きずられてどんどん先へ先へと気になるのでページをめくりますので、字も覚えます。

 

「スパゲッティがたべたいよう」には親が出てきません。
おばけのアッチはいたずらずきの子供そのものです。
しかもえっちゃんは、自分でスパゲッティを作ります!
「作ってもらう」のではありません。

 

こどもは、してもらうのではなくて、何かをしたいのです。
こどもの目線に立ったすばらしい本です。

 

そして子供たち、案外この欄をよく見ています!
カバーについている、シリーズものの紹介の部分です。

 

f:id:WhichBook:20200317142810j:plain

 

この本は、角野栄子さんの「小さなおばけシリーズ」の一冊目です。

 

www.poplar.co.jp

 

ほんとうに、幼年期のこどもに最適で、しかもこれが不思議なことにまるで古びないのです。
全部買いそろえるのが無理なら、どっさりと借りてあげて欲しいです。
読み聞かせをするのも苦ではありません。

 

一冊本を読んだ!!
という気分になるので、本が好きになってくれるのにとても役立ちます。
「絵本から本へ」に最適です。

 

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

からすのパンやさん いいおかお まいごに なった セレスティーヌ
十二支のはじまり おたまじゃくしの 101ちゃん ロッタちゃんのひっこし
くまのパディントン 銀のいす ヒナギク野のマーティン・ピピン

 

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今日の一冊 瀬田貞二さんの「日本のむかしばなし」~美しい日本語のひびき

 

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

日本のむかしばなし (日本語) 単行本 - 1998/10/1 瀬田 貞二 (著), 梶山 俊夫 (イラスト), 瀬川 康男

幼い時にいちどは読んでほしい日本の昔話を格調高い文と美しい絵で贈ります―。「花さかじい」「えすがたあねさん」「まめこじぞう」などのよく知られたお話13編を収録。5歳から小学校低・中学年向。「BOOK」データベース

 

 

瀬田貞二さんの日本語はすばらしく美しいです。

 

声に出して読んだときのリズムをとても大切にしていて、口を閉じて読んでいてもそのリズムは頭の中に刻み付けられます。

 

 

 

 

いま、少しでも本に触れたことがある人ならば、誰でも知っているだろうと思われる物語も、存在を知らず触れたことのないお子さんが増えています。

 

とにかく、本好きのお子さんの心に刺さるような、少し珍しいもの、目新しい絵の美しい絵本だけでなく、もう本当に当たり前すぎるほど当たり前と思うようなものを、読み聞かせの本の中に混ぜることが大切だとベテランの方々から教えてもらいました。

 

桃太郎レベルのものも、知らない子どもが増えている。

 

学校の教科書や、塾で選ばれるテキストがいよいよ貴重になっています。
(おやすみ中ですけど!!)

 

また、逆にアニメやネット動画によって、「明らかにみんな知っている扱いをされている物語」として出てくることによって存在を知る、というお子さんも増えています。

 

しかし、ボランティアが外部でやる「おはなし会」に足を運ぶようなおこさんは、親ごさんも本に興味のあるかたが多いので、「そうじゃないお子さんの目に本が触れるように」というとやはり学校になるのですよね。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

基本、読み聞かせをするとなると、定番はこちらです。 

 

赤羽末吉さんの絵はとてもすばらしいです!

 

 

ももたろう

まつい ただし (著), あかば すえきち (イラスト)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

基本はこれです(笑)
わたしはこのシリーズ、好きです!!
本屋の目立つ箇所に置いてある、くるくる回せるアレに入っているものです!
あれにどれほどお世話になる人が多いことか。
立ち読みだけでなくて、買ってあげてほしいです。

 

ももたろう (日本昔ばなしアニメ絵本 (5)

柳川 茂 (著), 水端 せり (編集), 宮尾 岳 (イラスト)

 

 

ものすごくなつかしいものを発見しました。
昭和臭漂う、絵本シリーズです。
これ、復刊されているようです(笑)
めちゃくちゃしぶくて、今見ると逆に新しいような気もします。 

 

桃太郎 (新・講談社の絵本)

齋藤 五百枝 (著)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

安寿と厨子王、好きだったなあ。

 

安寿姫と厨子王丸 (新・講談社の絵本) (日本語) 単行本 - 2002/3/20 須藤 重 (著)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

ノベルズに移行するのも悪くないかもしれません。

 

安寿姫草紙 (ノベルズ・エクスプレス)

三田村 信行 (著), romiy (イラスト)

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

鹿よ おれの兄弟よ 銀のほのおの国 クマのプーさん
たのしい川べ しずくのぼうけん ふしぎなオルガン
かえりみち 子どもはみんな問題児 大きな森の小さな家

 

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今日の一冊「エーミールと探偵たち」

 

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

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手強いお子さんがいます。
「読みにくい。文体が古い」

 

ぐっ…!負けぬ…!
このようなこと日常茶飯事。想定の範囲内です。

 

子供たちは容赦ないので、この程度のことでひるんでいられないです!
ましてこっちは、何か地味な古い字の小さい、読むのにひと苦労いる本を読ませようとしている立場なので、そのことは自覚してます。

 

あとになって、その子のお母さんに言われました。

「前にあなたがすすめてくれた本、すごくいいって何度も読んでるわよ」

文体が古くて読みにくいんじゃなかったんかーい!

でも…


勝った。
と思いました。


それが、この本です。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

エーミールと探偵たち

エーリヒ・ケストナー (著), ヴァルター・トリアー (イラスト), 池田 香代子 (翻訳)

おばあちゃんをたずねる途中の列車で,大切なお金を盗られてしまったエーミール.ベルリンの街を舞台に,少年たちが知恵をあわせて犯人をつかまえる大騒動がくりひろげられます.

 

 

正直な話、わたしもケストナーの中では、「エーミールと探偵たち」 は最後まで読破できなかった本なのです。

 

わりと導入が長くて読みにくかったかもしれないです。
どちらかというと、「点子ちゃんとアントン」の方が読みやすかったかもしれません。

 

「五月三十五日」「飛ぶ教室」「ふたりのロッテ」「動物会議」
すべてすらすらと読めてとても面白かったのに。

 

他を全部読んで面白かったので、作者に信頼があります。
しかも、一番の代表作と言われているものです。

 

しぶしぶ、ゆっくりゆっくり読み進めて、あ、来たな…、と思ったのは、エーミールがおばあさんのうちに行くため、一人で電車に乗っていて、ウトウトしたすきにふところからお金を盗まれた所からです。

 

エーミールはお父さんがおらず、お母さんがシングルマザーで美容師をして働いています。なので、この持たされたお金の大切さはよく知っています。
しかもエーミール、盗まれないようにピンで上着の裏にお札ごととめていたのです!

 

はあ?
子供からおカネを盗む。

 

最低です。
しかも、これを盗むには、

①眠っているエーミールを調べて
上着をめくって
③ピンを外して茶封筒を取る

という3つの動作をこなさないといけないのです。

 

そこまでするか!?

 

この悪党許せん。
盗んだ相手はだいたいわかっています。
同じ車両に乗っていたのは一人しかいませんでした。

 

しかもこの相手、いかにもスリを働きそうなイメージので薄汚い小男とかではありません。
別にお金に困ってもいなさそうな、「山高帽をかぶった紳士」なのです。

 

エーミールには生活からして悲壮感が漂っていますので、何としても取り戻さないと、という切迫した空気がすごいです。

 

そして、ここまででまあ本の3分の1はあります。
おすすめした後も、まあ、無理かもしれないな。
なんて思っていました。

 

ケストナーの作品はなんとなく、「点子ちゃんとアントン」「ふたりのロッテ」は女の子向け、「エーミール」「飛ぶ教室」は男の子向けといったふわっとした区分けはある感じしますが、はっきりいってケストナーはどちらも男子女子関係なく、どれもとても面白いです。

 

中学生、高校生でもOK!
大人が改めて読んでも新たな発見があり、面白いです。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

点子ちゃんとアントン

エーリヒ ケストナー (著), Erich K¨astner (原著), 池田 香代子 (翻訳)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ふたりのロッテ

エーリヒ ケストナー (著), ヴァルター・トリアー (イラスト), 池田 香代子 (翻訳)

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

五月三十五日

ケストナー (著), ワルター・トリヤー (イラスト), 高橋 健二 (翻訳)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

どうぶつ会議

エーリヒ・ケストナー (著), ワルター・トリヤー (イラスト), 光吉 夏弥 (翻訳)

 

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

クマのプーさん はけたよはけたよ 世界むかし話集7インド・中近東編
長くつ下のピッピ パパ、お月さまとって! ふしぎなオルガン
世界むかし話集5東欧・古代編 木かげの家の小人たち ヒナギク野のマーティン・ピピン

 

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閑話 「世界探検紀行集」から感じた川端コーチのメッセージ「エースをねらえ!」

閑話です。

 

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昨日更新した「世界探検紀行」の続きです。
こんかいはまじめです。(棒読み)

 

家に帰るなり、残っていた「アラビアのロレンス」と「北極漂流物語」を光の速さで確認しました。(高橋健一氏のへディーンはちょっとあとまわし)

 

アラビアのロレンスは思った通りの理想化された英雄譚でした。(死んだけど交通事故)
詳細な描写なのでたいへんそれっぽく、信じこませるには最適という功罪はあるかもしれませんが、おそらく少年少女はこれは読まない
アラビアの風土がとてもよく表現されています。ロレンスの冒険譚を追いながらアラブについて学ぶことができる。
複雑な地勢的歴史的背景も当時としては総統にくわしく描かれている、という感じです。

 

・「北極漂流物語」はロシアの探検隊のお話でした。
警戒心むきだしで読み始めましたが、これは完全に「日誌をそのまま載せた」だけであり、無事に帰れるし気をつけて行動しているので、安定感がありました。
しかし退屈ではないです。いま、何気ない日常系がウケるように北極の日常系もウケるのでは。
逆になぜウケないか理由がない。

 

マッターホルンがすごすぎだったのです。
まだ「ぶっつかりました」の余韻が離れません。名著です!
……でもあんなに冷静にじぶんの落下を完璧☆かつ正確に記録する所に、なんとなく狂気も感じます……。

 

 

もしこれを発刊当時読んでいた少年少女がいたとすれば、間違いなく自然の驚異に対するリスク管理の重要性はトラウマレベルで刻み込まれたはずです。

準備の大切さ、確認の大切さ…例えばロープの強度の確認など(泣)。

基本的なこと、またその場その場における優先事項が生死を分けるのだということなど、(恐怖をもって)教えてくれています。

 

記録日誌は先人が残してくれた知恵です。

 

志高く人格者だったが亡くなってしまったスコット、制覇したけど犠牲を出したマッターホルン、超人的な意志の強さを貫いたシュリーマン、英雄的なロレンス…バランスがすばらしいです。

 

怖いけど。

 

最後の最後に、単なる日誌的な北極漂流物語をもってくるところもすごいなと思いました。
「北極~」は、ロシアの探険隊の話ですが、作者がナンセンの日誌をくりかえし記憶するほど読みこんでいたことがあちこちに描かれています。
ナンセンアムンゼンスコット
皆、すばらしい先達者たちでした。
(リンクはみな、Wikipediaです)

 

まるで、これらの危険を知った上でと念押しして、もし探検をするならば、先人の記録をたどることが大切なのだよと教えているようです。

 

 

……。
でも……。

 

でもしかし、これは、少年少女たちがアムンゼン、ナンセン、スコットなどを知っていることが前提のような気もします。


「これを読む君たちなら、その程度の知識、持ってて当然だよね☆」というにおいがするのです。

 

つくづく考えてみたが、このハードな内容を少年少女に読ませようとする、川端康成大先生を筆頭とするお歴々の考え方に、なんだか既視感があります。


宗方コーチだ。
エースをねらえ!

 

「岡、エースをねらえ!そういう感じ。
あの昭和の厳しいスポ根・スパルタ臭を感じます。
この赤本から、ビシバシ飛んで来る容赦ない打球を感じる。

 

「川端コーチ!もう無理です!」
「立て、少年少女!それ次の赤本だ!48巻!」

 

エースをねらえというあの台詞には、常にサービスエースしか狙うな、常に最高のものだけを狙え、というニュアンスがあったように記憶しています。
しかもコーチは世界トップレベルの選手を見据えて、岡ひろみの体作りから練習方法まですべてを根本的に変えていきます。

 

転じてこの赤本、世界・日本の名著がほとんど網羅されているのです。
しかも訳文が硬派ながらもめちゃくちゃ美しいです。
さすがに、文章の美しさにおいては、すみずみにまで気を使っていた川端康成ならでは、という感じがします。

 

この本を通じて、世界に出て羽ばたく人を育成しようという意図を感じます。
そのなかにはもちろん、これらの名著にひけを取らないほどの作品を刻む人材も含まれるでしょう。
いやしくも何かを表現することを志したならば、この程度の打球が受けれなくてどうする!てきな。

 

重い。期待が。

 

 

ちなみにこの赤本に入っている「不思議の国のアリス」は吉田健一氏が訳しているのですが、私はこのアリスがあまりにも好きすぎて他のアリスがいまだに読めないという病気にかかっています。

 

吉田健一氏のアリスの口調はおおむね「~なのだろう」「だからだ」という話し口調になっていて、それがかえってユーモラスでおもしろいのです。

他で訳されたものは「だわ」「でしょ」「なのよ」を使った、口語ではほとんど使われない女の子口調がほとんどと記憶しています。

 

よく考えてみると、7歳ぐらいの女子が何かを考えているときに「~だわ」という風にことばが頭に浮かんでいるでしょうか?

 

アリスは空想的な女子で、たくさん変わったことを想像します。
その変わった子なところと、このまじめくさった口調がぴったりマッチしているのです。

 

「うさぎのためにお使いに行くなんて、なんておかしなことだろう」と、アリスは思いました。「きっと、このつぎは、ダイナアのためにお使いに行くことになるにちがいない」

 

ちょっと堅苦しいところがかえってユーモラス、じつにじつに、原本のイメージどおりです。

 

吉田健一氏のアリスが欲しくて、もちろん絶版なので置いてある図書館を検索、文庫をゲットし、すべてコピーしたことがあります。
(大概、やること極端、とひとりツッコミ)

 

ところが!

 

文庫版のアリスと、この赤本に載っているアリス、微妙に違うのです!

 

この責任編集大先生のお歴々のどなたかわからないですが、きびしく校正を入れてるらしいのです!

文庫の方でちょっと違和感がある箇所がすべてなくなっており、赤本の方は完璧にスムーズです。
誤植も訂正されていました。

 

あとがきのどれだったかちょっと今記憶していなのですが、
「どうぶつの名前はすべてカタカナや漢字ではなくひらがな」
「ぼく、わたしなどの一人称の呼び方は全赤本で統一」
…などなど、厳しいルールが設けられていたことを示唆する記述があってちょっと戦慄したことを覚えています。

 

恐ろしい…。
川端コーチ、あなたどこまで…。

 

この少年少女文学全集は昔から絶対に残すべき日本の宝だと思っていて、どこかで紹介する機会がないかずっとうかがっていました。

 

こんなすごい全集を出版することができたのも、潤沢な資金があった高度成長期~バブル期だったからかもしれません。
が、それならばそうと、ありがたく保存して伝えていきたいのです。

 

本当なら、すべて入力して青空文庫にアップしたいのだが、東京創元社さんにお話しする必要があるでしょうし、訳文なので版権は原作者と翻訳者と二重にかかっており、権利関係はおそらくはんぱないほど複雑であろうことが予想されます。

このブログで、そのすごさの片鱗だけでも紹介出来れば、そして「読んでみたーい!」と思っていただければ、記憶に残っていただければさいわいです。

 

川端コーチ「少年少女、(文学の)エースをねらえ!

 

 

東京創元社 少年少女文学全集48「世界探検紀行集」より
 南極探検物語 中野好夫 作(南極探検家スコットの話)
 夢を発掘した人 シュリーマン 作 平田寛 訳
 ヒマラヤのかなたに 高橋健二 作(へディーンの話)
 アラビアのロレンス  中野好夫
 マッターホルン登はん物語 ウィンパー 作 近藤等 訳
 北極漂流探検記 クレンケリ 作 袋一平

 

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「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

【e-hon】 ─ ネットで予約、本屋さんで受け取れる e-hon サービスで本屋さんを応援しよう📚️

 

 

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子どもの本だな【広告】

新訳 少女ポリアンナ 銀のシギ たのしい川べ
さるとわに たんたのたんけん ビーザスといたずらラモーナ
ニワトリ号一番のり ロウソクの科学 フェアリーたちの魔法の夜

 

 

今日の一冊「あさになったのでまどをあけますよ」

 

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

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>今日の一冊 軽くご紹介

 

たまには、大人向けだっていいじゃないか~。
というわけで、さわやかな絵本です。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

あさになったのでまどをあけますよ

荒井 良二 (著, イラスト)

朝、めざめて窓をあける、という何気ない日常と、窓の外に広がるあたりまえの風景。けれども、その日常のくりかえしの中にこそ、生きるよろこび、そしてたしかな希望があることを、そっと気づかせてくれる一冊です。

 

絵が実に実に美しいです。
次々にさまざまな場所で開けられていく「朝」と「窓」

心に清涼な風が吹き渡るようにさわやかな心地になります。

 

最初は、大人が見て大人の感性で美しいと思う絵本ではないのかなと思ったのですが、ところがどっこい(古い?)子供は子供なりに、この絵の美しさをちゃんと感じてくれています!

 

「すごいきれい」

「ほんわかしててほっこりしてて何気ない一日という感じがいいんだよ」

「気持ちがさっぱりする」

 

芸術の持つ力だな!と思います。

 

そして絵の中に人の姿がないので、不思議な気持ちになります。
自分の心の中の部屋のまどを、ひとつひとつ開けていく…。
そうすると、新しい景色が見えてくる…。

 

そんな風に感じさせてくれる、たいへん美しい芸術的な「絵の絵本」です。 

 

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

リンゴ畑のマーティン・ピピン 銀のほのおの国 イヌと友だちのバイオリン
火曜日のごちそうはヒキガエル 種をまく人 白いりゅう黒いりゅう
小さい魔女 三びきのやぎのがらがらどん マチルダは小さな大天才

 

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閑話 少年少女向けの「世界探検紀行集」が心底恐ろしかった件について

閑話です。

 

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あかほんがずらりとならぶ黒だんす

 

妹子が俳句を詠んでくれました。当時ハマっていたのです。
ここでいう赤本とは少年少女文学全集のことです。
昔、本当に大好きでヒマさえあれば開いていたので、大人になってから大枚をはたいて買い集めました。

 

何気なく裏を見ると、えらい人の名前が列挙されています。
説明には、「子供用だからといって内容を省略することはしなかった」とありました。

ガチです。

この容赦のなさがすごいです。
やっぱり、考えること違うわ~。怖いわ~。

 

わたしの古典や海外文学好きは間違いなくここが原点でした。
まだ読みきれていないものがたくさんあるので、読まないと死ねない気がします。

 

 

そこで考えました。

 

私「兄助、本棚の、その赤本のから母が読んでなさそうな本一冊取ってくれ(無茶ぶり)」
兄「う~ん。なんかぜんぶ読んでそうだな」

 

一冊くれました。

ほんとに読んでないし、手に取らなさそうな奴だな!
まず間違いなく、読んでいない別の本を手に取るでしょう。硬派すぎます。
マッターホルン登はん物語とか。
(あっシュリーマン入ってる)

 

このチョイスの仕方は面白かったです。
完全・他人まかせ!

 

 

不覚にも泣いてしまいました。

 

「南極探検物語」
アムンゼンに負けたスコットの話の方でした。

中野好夫…!?
なぜこんな所に中野好夫が…。
反則です。

 

スコットが大好きになってしまいました。

 

 

この本、1956版です。いちおう50年過ぎてるので、多少の写真での紹介はお許しください。
検索してみても、中野好夫の「南極探検物語」を読めるのは、国立国会図書館貯蔵のこの世界少年少女文学全集の赤本でしかありませんでした!(主張)

 

アムンゼンはひたすら南極点到達のみを目的とし、まい進した。スコットは到達と南極の研究、二束のわらじが致命傷だった…。だがその人柄、研究のすばらしい成果は評価されるべき。一人一人隊員が死んでいく悲痛な記録、彼はテントの中で仲間と横たわった姿で発見された…。

 

これは大人が読む本では??
少年少女の誰が読むの???

 

スコットの日記を的確に要所要所、正確に紹介していてすごいです。(凍傷がどういう風に進んでいくのかよくわかります。)
川端康成先生、子供への期待が高すぎ!はっきりいってちょっと重いです!
しかし確かに、面白い!
・・・大人に。

 

 

おつぎは、シュリーマンの伝記です。

シュリーマンは伝記を読んだことがあります。小さい頃からの夢をかなえ、トロイア遺跡を発見したというドラマチックなエピソードは、子供(つまり私)にも非常にウケがよく、よく覚えています。
まあ、うんうん、こんな話だったね、とは思うのですが。

ご覧ください。

 

シュリーマンの外国語勉強法です!
最初は英語。

とても参考になるとは思えないほどのあふれるパワーとやる気です。
しかも極貧生活のなかです!

 

この「外国語をたやすくおぼえる方法」
シュリーマン!!おめーにしかぜってー、できねーから!!!
と思いました。(口が悪くてごめんなさい)

 

 

真打ちです。
一見してマジかよ誰が読むのか、と思った「マッターホルン登はん物語」。
やばい。
マジでやばい。

 

いわゆる速読、昔はななめ読みと呼ばれていましたが、私はわりとこの読み方をします。
すべてをじっくり読みながらかみ砕いて読んで行くよりも、向いてるか向いてないか、また読み返したいかそうでないかを試しながらさーっと目を運んでいくのです。

 

やばいです。

 

速読のおかげで3分後にはもう登っているのですが、ここで釘付けになりました。もう速読できません。文字を拾うしかないです。なぜならば。

 

落ちた。
主人公が落ちた!
マッターホルンから。

 

あっちこっちにぶつかりながら転げ落ちていく様子が、ものすごく詳細に描写されます。一人称なので「わたしは岩にぶっつかりました」という感じなのですが、「ぶっつかりました」は数えてみると4回も出ました。結局、なんとかかろうじて岩にしがみつき、止まったのですが…。

 

 

「四メートルほど下にあった岩にぶっつかりました」
「七十メートルばかりのあいだを七、八へん投げとばされながら」
「二八〇メートルばかり一気に投げ飛ばされていたでしょう」

どうやってその距離測っとんねん!

 

はっ、もしかしたら今気づいたけど翻訳なのでヤードとかの距離をきちんとメートル法になおした結果、こういう表現になってしまったのだろうか。

とにかくすごくたくさん、ながいことおちた。

血もだらだらと出ています。「噴き出して止まらない」そうです。もうやばすぎる。雪を押し付けて止血をします。もちろん自分で。
どうなるのか目が離せません。

 

次は落石。
石なだれだーーー!!!

急に頭の上で音がしましたので、上を見あげますと、三十センチもあるような大きな岩が、わたしの頭の上へまっすぐに落ちてくるのが見えました。わたしがあわてて首をちぢめて、安全な岩かげへはいこみますと、同時に、はげしいうなりをたてて、岩がとび去っていきました。これは岩なだれのまえぶれでした。

頭すれすれを落ちてきて下で砕け、硫黄の匂いがぷんと鼻をつく……。
リアルすぎてこわすぎる。今このとき、登ってるみたいにこわいです。
スリリングすぎです。手に汗握ります。

 

マッターホルン、下山………。
嫌な予感はしていたんですよね。
だって章のタイトルが「悲劇の下山」ですよ。

 

嫌な予感しかしない。
そもそも、この探検本、最初が死亡確定のスコットだったし。少年少女なら生きて戻ったアムンゼンを選べよ!
(でもそこであえて選択されたスコット…ものすごく良かったです)

 

ほらやっぱり下山で死んだ!

 

仲間が落ちて死んだ!それもたくさん!!
ちょっと足をすべらせて、一人が一人にたおれかかったのが運のつきで、巻き込まれて次々に転がり落ちていきます。
もう本当にやばいです。
ちょっといやな汗をかいてしまいました。

 

あとで死体を回収にいき、ロープを調べます。
下の方の人たちはきちんとしたロープで体をつないでいた。しかし、途中で一か所、なぜか古いロープを使っていたのです。そこで切れたのです…。
見つかった死体もありますが、見つからなかった人もいいます。

 

さすが川端康成大先生の責任編集の名を冠するはずだった。
はんぱなく手を抜いてません。

こどもに現実を教えたい、という気持ちはわかる、わかるんだよー!!

 

探検とは、華々しいだけではありませんよね。
危険と隣り合わせで命をかけて行うものなんですよね。
気持ちは、気持ちはわかるんだけどね!!
しかも微妙に子供向きなので、すごく難しすぎずかみ砕いて頭に入るようにしている部分もあって、怖さがわかりやすすぎて余計に怖い!!

 

 

これでまだ、「南極探検物語」「シュリーマン」「マッターホルン」しか読んでいないのですが、やめられる気がしません。

 

まだアラビアのロレンスを残してますけど、大丈夫なのかな?
映画もまだ見ていないのですが、ロレンス死ぬのかな?
(すっかり悲観的になって心の準備をしています)
ぜんぜん、英雄的冒険譚である気がしません。

 

北極漂流探検記も「漂流」っていう題名に嫌な予感しかしないです。
しかしもう読みたくて仕方ない!

 

川端康成...!恐ろしい子!!

 

 

追記:

マッターホルン登はん物語」の作者、ウィンパーのWikiのページ
こちらは岩波文庫で「アルプス登攀記」としてあるみたいです。訳者は浦松佐美太郎さん。わたしの読んだのは近藤等さんです。たくさん山岳系の話を訳されているみたいです。

 

↓こちらはこの記事の続きです

 

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「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

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子どもの本だな【広告】

くまのパディントン アラビアン・ナイト 魔女のむすこたち
ウソつきとスパイ シートン動物記 オオカミ王ロボ うみぼうやとうみぼうず
ハリスおばさんパリへ行く セロ弾きのゴーシュ アニメカバー版 吾妻鏡

 

 

今日の一冊「くるみ割り人形」クリスマスのホラー

 

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作カテゴリーリンク

>今日の一冊 軽くご紹介 カテゴリーリンク

 

 本来ならクリスマスの時期に紹介する一冊なのですが、もうちょっと、面白ければなんでもいいかという気持ちになっているのでご紹介します。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

クルミわりとネズミの王さま

E.T.A. ホフマン (著), 上田 真而子 (翻訳)

クリスマスイヴの日、フリッツとマリーのきょうだいは、不思議なドロッセルマイヤーおじさんからのプレゼントを心待ちにしていました。たくさんのおもちゃの中に、マリーはクルミわりを見つけます……夢と現実が入りまじって紡ぎ出されるドイツの幻想的な物語。(「BOOK」データベースより)

 

 

くるみ割り人形

 

今では、どちらかというと、子供の本というよりも、バレエの演目としてのイメージの方が強くなってしまっている気がします。

 

ホフマンの作品です。
ホフマンはとても、幻想的で不思議な小説を書く作家さんです。
大人の方もぜひ読んでみていただきたいです。

 

ホフマンのくるみ割り人形は、奥深いです。
ちょっと子供心をくすぐるような仕掛けがたくさんあります。

 

話はシュタールバウム家の子供たちが、クリスマスの日にプレゼントをもらう所からはじまります。
華やかな家庭の華やかな海外のクリスマスの景色が描かれます。

 

そして食べ物!!
お菓子、食べ物がふんだんに出て、これがまたどれも美味しそうです。

 

(バレエでくるみ割り人形をご存じの方は、有名な「金平糖の精の踊り」を知っておられるかと思います)

 

バレエはこのロマンチックで華やかな部分が多いですが、原作はホラーな部分がわりとたくさんあります。

 

子供はホラーが大好きです!
ほん怖(ほんとうにこわい話)、意味怖(意味がわかるとこわい話)などなどです。
子供向けのホラーもの、たくさん出ています。

 

 

このお話が可愛いおもちゃやお菓子、食べ物だけではないな?と子供が思い始めるのは、夜になってからです。

 

もう、この章の題名がおもいっきり「おばけ」なのでわかりやすいです。(手元に持っているのが古い石丸静雄さん版なので、岩波文庫版は「ゆうれい」とかかもしれません)

 

寝ようとするとかけ時計が不気味な音を立て、そこら中からねずみたちが現れて走り回ります…七つの王冠をかぶった七つの王冠をかぶった七つの頭を持つ大ねずみの王さまが現れます…ガラスがぱりんと壊れる音、ちゅうちゅうと鳴く声…。

 

このあたりの表現が、とてもホラーで怖いです!
ホフマンの筆の冴え渡るところです。

 

ねずみたちとおもちゃたちは、大戦争を始めます。
この戦争シーンがまた割と長いです!

 

そして、男の子が好きだろうな~という箇所でもあります。

 

基本、主人公が女の子で、結局は…むにゃむにゃ(ネタバレ回避…)…なのですが、男子にも決して、面白くないお話ではありません。

 

しかし、このねずみの王様がすごく不気味です。
(母親のリンクス夫人も不気味です)
口についた血…闇に響く気味の悪い声……。

 

日中のクリスマス・おもちゃ・おとぎ話の話が華やかなだけに、夜に反転して現れる不気味なホラーな部分がとても強調されます。

 

そして、どことなくホラーさえも詩的です。

時計の声が聞こえます。

 

ぶるんぶるん…ふむ…ふむ。
ぶるんぶるん…ふむ…ふむ。

 
ぜひ、親御さんから一読して、一話ずつ読み聞かせしてあげる、などして導入をしてあげることをおすすめします!

 

夜の読み聞かせには最適です。
声もぜひこわくしてあげてください!

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

おまけです。

 

子供が大好きなホラーな作品はこんな感じです。


やはり、たくさん売られるということはそれだけホラーが好まれている証拠だと思います。

 

ミラクルきょうふ! 本当に怖い話

闇月 麗 (著)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

本当はこわい話 かくされた真実、君は気づける?

小林丸々 (著), ちゃもーい (イラスト)

 

 

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子どもの本だな【広告】

ホビットの冒険〈上〉 おしいれのぼうけん よるくま
やかまし村の春・夏・秋・冬 おたまじゃくしの 101ちゃん ロッタちゃんのひっこし
野の白鳥 チポリーノの冒険 冒険者たち ガンバと15ひきの仲間

 

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今日の三冊・つばさ・みらい・青い鳥から

 

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

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今日は三冊まとめてご紹介します。

コロナ休校にあわせて、ご紹介にもちょっと力が入ってます。


もう本当に出版社さんがたも頑張って頑張って、一生懸命子供に本を読ませよう、名作を紹介しようと努力していてくれる、そんな文庫です。

角川つばさ文庫
集英社みらい文庫
講談社青い鳥文庫

の三つの文庫から選びました。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の三冊

 

小公女セーラ (角川つばさ文庫)

椎名 優 (イラスト), バーネット (その他), 杉田 七重 (翻訳)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

新訳 赤毛のアン (集英社みらい文庫)

ルーシー・モード・モンゴメリ (著), 羽海野 チカ (絵),

木村 由利子 (翻訳), おの ともえ (イラスト)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

レ・ミゼラブル―ああ無情― (新装版) (講談社青い鳥文庫)

ビクトル・ユーゴー (著), 片山 若子 (絵), 塚原 亮一 (翻訳)

 

 

 

このブログではあまり、もっとも子供向けで売れ筋だろうという、ジュニア向け文庫の新刊本や、人気ラノベなどはご紹介していません。
(とても面白く、よいものがたくさんあります!)

 

それは、ある程度本好きなお子さんなら、自然と手に取るだろうと思われる本だからです。
手に取りやすくデザインされていますし、内容も時流に沿ったものになっています。

 

本を読んでみようかなと思ったお子さんが最初に手に取るのは、目に明るいまんが絵の文庫、またアニメの小説化、絵の綺麗なラノベです。

 

このようなこども用の文庫の新刊やラノベに関してはどれがおすすめでしょうか?

 

書店に行けばいいのです。
本屋さんに行きましょう!!


本屋では雑誌、漫画…誘惑に目をつぶって一直線に児童書の本棚に行きます!

 

子供と一緒にめくりながら、自分もめくってみて、子供がこれが面白そう、読みたいと言ったものを反対せずに買ってあげる。
自分で選んだものを買ってもらえるという喜びを読書体験につなげると、何よりも読書意欲をかきたてます。


やはり、子供には精神的ハードルがありますから、唐突に岩波文庫の分厚い字の小さい地味な本を与えても難しいです。
かといって、新刊本に多い「大衆文学」「娯楽文学」は、残念ながらものすごく好みがあります
そして、ものによっては「この内容では漫画でいいじゃないか。別に本で読む必要はない」と思ってしまう場合もよくあるのです。

 

やはり一番よいのは、自分で選んでもらうことです。
「この中から自分の好きなのを一冊選んで」というのが、もっとも有効です。
これなら間違いがありません。

 

そしてやはり、文学性のある作品、名作と呼ばれるものは、娯楽作品とは一線を画しています。
よい、悪いではなく、種類が違います。

 

娯楽作品3冊を自分で選んでもらい、1冊を文学性の高いものを買い与える、(意見は聞きます)という風に、バランスを工夫します。
(なかの一冊を、「残念ないきもの」のような辞典系にするのもよいかもしれません)

 

娯楽作品、ぷらすアルファです!
その「ぷらすアルファで親が子供のために購入する一冊」を、このブログでは紹介しています。

 


子供が自分からはなかなか手に取らない本。
自分からは手にしないけれど、すばらしい本です。

 


本屋に行く体験というのはたくさん子供に 与えてあげてほしいと思います
それはやっぱり、親御さんしかできないことです。

 

体験です。
本屋さんに行く、買う、読む。
その三つの動作です。

 

そして

・自分の好みの本を買って面白かったよろこび
・なかなか自分から手に取らないような本が予想外に面白かったときのよろこび

この二つの体験交じり合ったとき、その子供をいつか本屋さんへと足を運ぶ人に育ててくれると思います。

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

ふたりのロッテ 海のおばけオーリー ムーミン谷の冬
からすのパンやさん 完訳 オズの魔法使い バレエシューズ
フェアリーたちの魔法の夜 おしゃべりなたまごやき ゴインキョとチーズどろぼう

 

 

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今日の一冊「おかあさんは魔女」

 

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

おかあさんは魔女

アンナ・エリザベス ベネット (著), 桜井 誠 (イラスト), 前田 三恵子 (翻訳)

現代の魔女を リアルにたのしくえがき、探偵事件もからませた、きばつな物語。読みだしたらやめられないおもしろさバツグンの アメリカの傑作童話。

 

 

 

わたしが小さいころ萌え狂ったように(表現がよくないですが)読んでいた一冊です。

 

いま、読みかえしてみると…フーン、まあこんなもんか。

こどもは読むかな?

 

与えてみると…自分の子供が、もう本当に、どうしてなのかわからないほど萌え狂って読んでいます。

 

手元から離さないです!

 

あまりにこればかりしつこく読むので、勉強の時には隠さないといけないほど読んでいます

 

おそらく、この本には子供がかかる何かの魔法がかかっているのです。

 

この本は実は最近購入して、ほかのお子さんで試していないので、他のお子さんにもこの魔力がきくのかどうか、テストケースが少ないのでわからないのですが…。
(何かコメントが人体実験やってる悪の科学者っぽくなってきました)

 

主人公はミニキンという少女。
魔女のおかあさんにこき使われています。

 

この魔女のお母さんは、ミニキンを働かせるだけ働かせ、また学校にもやらないという…

大人の目からすると、なんとなくライトな児童虐待を思わせるような描写です。

 

ミニキンはお母さんが外出しているときだけ、やっとほっと一息つけるのです。

そして、ほっと一息ついた子供がはじめることは…いたずらです!
お母さんの魔法のくすりをあれこれ試してみます。

 

すると驚くべきことが起こります。

悪い魔女のお母さんが、子供たちを魔法で花にしていたのです!
ミニキンは偶然にもこの魔法を(一時的にはですが)もとに戻してしまいます。

 

ここから、ミニキンの悪い魔女のお母さんの目をかすめてのあれこれ試行錯誤、魔法のおためしが続くわけですが…。

このあとの展開もドキドキなので、ぜひ購入して読んでみていただきたいところです。

  

なんとなく考えるに、この本が子供の心に刺さる原因の一つに、「悪いお母さんに酷使されているかわいそうな私」という視点があると考えられます。

ミニキンのお母さんの秘密はこれはネタバレをさけるために隠しておくとしても…。

いかに優しいお母さん、普通のお母さんであっても、どこかこどもは支配に置かれているプレッシャーを感じているものではないでしょうか?

 

そのようなこどもの心理を、この本は見事についているのではないだろうか。

本当に完全にこどもの目線に立った作品なのではないか。

 

そんな風に感じています。

 

 

もう一度書きますが、まだ自分の子供でしか人体実験をしていないので、ぜひお子さんに試していただいて、この夢中になる魔法が他のお子さんにもきくのかどうか、実験していただける方を大募集しています。

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

「おかあさんは魔女」原書のkindle本です。とても読みやすかったです。

 

Little Witch: 60th Anniversay Edition

Anna Elizabeth Bennett (著), Helen Stone (イラスト)

 

 

 

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かあちゃん取扱説明書 世界むかし話集3北欧・バルト編 しんせつなともだち
ドリトル先生航海記 魔法使いのチョコレート・ケーキ きかんしゃやえもん
まりーちゃんとひつじ クラバート さすらいの孤児ラスムス

 

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ブックマークのコメント遅れて申し訳ありません。(日記です)

 

そうだった...!

はてなを使うのが久しぶりだったので、思い出すのが遅れましたが、コメントをとじているのではてなブックマークでコメントしてくださるかたがいらっしゃるのですね!!!

 

お返事せずにずっと放置していて、ほんとうにすみません!!

 

それに、特にコメント解放してもかまわないのではないだろうか?と思いはじめました。(^^;

 

 


読解力などと大々的に銘打ってブログをはじめましたが、本当に読解力が身につくのか?というとはなはだ疑問だと思っています。

 

本当に千差万別で、誰ひとり同じ子どもはいないからです。
わたくしたちがひとりひとり、すべての好みも傾向も違い、違う人間であるように。

 

教育の場においては、「底上げ」をしなければならないので、ある程度画一的になってしまうのは仕方ないことかもしれません。


先生がたによれば、もっとも良いのは音読だそうです。
何よりもつくと言っていました。

 

知り合いのお子さんは、中学生でもう原田マハさんの作品を読むそうです。
お母さんにもすすめてくるので読む暇がない…とことわると

音読してくれるそうです!!

夢のようなお子さんだなと思いました。

 

しかし、(うちの子含め)そんな子供ばかりでないのはたしかです。
好き嫌い、好み、実にさまざまで男の子は一度手を離れるともうどうしようもありません。

 

 

うちの上の子(男の子)は、もうお母さんのすすめた本はよほどでない限り、全く読んでくれなくなってしまいました。

 

ですが、先日おすすめしたロッタちゃんははっきりと覚えていました。
小さい頃にしきりと読み聞かせをしてお兄ちゃんは大好きで 何度も読んでは笑い、大笑いしては読んでいました。

 

今回ここでおすすめする時にふと思い出して聞いてみました。

「覚えてるかな?」

 

たいていの本は
「もう忘れた」
「読んだか覚えてない」
などということも多いのです。

 

「覚えてないわけないでしょう!」という返事が返ってきました。
そして笑いながら
「泥棒...悪いやつ…バラのしげみ」
と言います。

 

「しっかり覚えてるね」
「服を切り裂いて丸い穴を開けて そこからにゅっと手を突き出す」
「本当によく覚えてるんだね」
「だって面白かったもん」

 

ひとしきりロッタちゃんの話に花が咲きました。

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

おおきなおおきな おいも じめんのうえと じめんのした ぼくがぼくであること
ミス・ビアンカ くらやみ城の冒険 強くしなやかなこころを育てる! こども孫子の兵法 たつのこたろう
ロッタちゃんと じてんしゃ めっきらもっきら どおんどん シンデレラ迷宮

 

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今日の一冊「魔法だらけの島」

Twitterをしていると、とてもすてきな児童書のツイートがたくさん流れてきます。
そういうのを見るととても幸せな気分になります。

 

こちらのツイートを見つけたとき、どきっとしました。

 

 

まさか、この作品を、この表紙を、Twitterで目にする事が出来るとは…。
夢のような気分がしました。

 

こちらがうちにある本です。

f:id:WhichBook:20200312182315j:plain

 

ごらんのとおり、ボロッボロです。

f:id:WhichBook:20200312182637j:plain

 

大好きだったので、紹介したいなと思うときもありましたが、現在は販売されていないようです。
今売られている本の方を優先的にご紹介しようと思っていました。

 

この本、図書館でもあまり見たことがありません。
手に取ることができない本の中身がこうでああで、と説明しても切ないなと思っていました。
時の流れには逆らえません。
どこかで、消えていってしまう本があってもそれは仕方のないことです。

 

ですが、こうしてTwitterで見ると、とてもこみあげるものがありました。

 

 

これは、母が買ってくれたものではなくて、おばあちゃんの家にあった本です。
わたしはこの本が大好きでした。

 

いつもおばあちゃんの家にはいとこたちが群れていましたが、その中の誰もこの本には興味を示さず、だいぶみなが大きくなってから、おばあちゃんがわたしにくれました。

 

「そんなに好きならあげるから、持って帰っていいよ」

 

 

この本、おくづけがありません。
かなり古い本のようです。

 

文研出版とあります。

 

文研出版さんを調べると、HPがありました
現役で子供の本を出版され続けているようです。
とても嬉しくなりました。

 

文章を書いておられるのが中山知子さん、絵はおのきがくさん。

f:id:WhichBook:20200312200600j:plain

 

おのきがくさんは、かたあしだちょうのエルフの作者さんです。

 

かたあしだちょうのエルフ

おのき がく (著, イラスト)

ライオンとたたかって片足をなくしたエルフは、子どもたちを守って、黒ひょうとたたかいます。

 

Wikiを見る限り、中山知子さんは実にさまざまな児童書を訳されています。
川端康成に師事...すごいです!

 

先日、少年少女文学全集について少し書きましたが、こちらも川端康成氏の責任編集によるものでした。
このノーベル賞作家、日本の宝の川端康成氏がいかに子供に心をかけ、教育と読書に心を注いでいたかよくわかります。

whichbook.hatenablog.com

 

 

 

この本の紹介文で、中山知子さんは子供に語り掛けるように「ネスビットさん」の紹介をしてくれました。

ネスビットさんは、みなさんとちっとも変わらない、ふつうの子供たちといっしょになってあそんでるふりをしながら、ひょいと魔法使いをひきずりこんで、実にゆかいなお話を書いちゃって、世界じゅうの子どもたちを、うーんと、びっくりさせました。

 

ネスビットさん。
みんなが大好きなネスビットさん。

 

この、連呼される「ネスビットさん」という響きがわたしの心に強く残りました。
わたしが「作者」というものを強く意識したのは、これが最初だったような気がします。

 

おのきがくさんのこの絵がとても好きでした。

 

そして、算数が出てきます
先日ご紹介した「メリサンド姫: むてきの算数!」も算数が出てきます。

 

しかし「まほうだらけの島」こちらはかなり手ごわいです。

 

意地悪なおとうさまの王様(これがまた恐ろしく憎たらしいおとうさまです)に苦しめられるおきさきさまは、可愛い女の子をひとりさずかります。

 

しかし、あれこれあってお姫様は孤島に閉じ込められてしまうわけですが、その魔法を解くのがこれです。

 

f:id:WhichBook:20200312182415j:plain

 


さらにダメ押しの一言が入っています。

なるほど、ごらんのとおり、たいへんやさしい計算ですね。 

いやいやいやいや。
煽り文句は続きます。

もちろん、あなたがたなら、こんな算数は、わけないですよね。なぜって、みなさんちゃんと学校でならっているし、ならうときは、ちゃんとくろうしているわけですものね。

いや、わかんないから!すごい難しいから!!

 

ネスビットさん、本当に算数を出すの好きだよな~。

 

算数という教科がこのように自然に結びついて、距離と速度について学んでいるときも、私の心に浮かぶのは「同時に自宅を出発しない兄弟」とか「速1cmの速さで動く点P」よりも(いや、もちろんそれも心に浮かびますが…)、うずまきと竜と、ストップウォッチを必死で握り締めてながめているお姫様です。

 

sirabee.com

 

子供の算数に対する心理的抵抗を減らそうと思う試みはじつにさまざまなものがあって、ドラえもん算数やコナンくんなどは、そのようなものかと思われます。

 

自分に関して言えば、そのような漫画も大好きではありましたが、実際に読んでいると、一番読んで欲しいであろう「問題の考え方」はスルーして、そことは関係ない、いつもラストを飾るオチのギャグとか、どうでもよいコマの中の背景のねこなどにばかり注目してしまいがちでした。

 

メリサンド姫や魔法だらけの島に出てくる算数は、物語の中にとけこんですうっと心に中に入ってくるような気がします。

 

何しろこれを解けなければお姫様を助けられないわけです!

 

ネスビットさんの作品に出てくる登場人物はいつも、かたくるしくしかつめらしいテンプレの物語の中の登場人物臭がなくて、どこか能天気でユーモラス、個性があります。

 

それは、例えば長くつしたのピッピのように超トンデモな個性ではありませんが、どことなく親しみが持てて、かつなんとなく現代的な雰囲気があります。

 

読んでいる人に、向こうからぐっと紙面から視線を向けて、こちらに近づいてくるような感じがします。

 

こんな形で、算数に触れるのも、なかなかよいことだと思われます。

 

 


ところで…。
この問題、誰か解いてもらえませんか?

 

f:id:WhichBook:20200312182415j:plain

 

算数に得意な人…。
もしいらっしゃったら、ぜひお願いします。

 

 

メリサンド姫: むてきの算数!

E. ネズビット (著), 高桑 幸次 (イラスト), 灰島 かり (翻訳)

むかしむかし、人間と妖精がいっしょにくらしていたころ、ある国にそれはそれはかわいらしいお姫さまが生まれ、メリサンド姫と名づけられました……と、そこまではごく普通のお話だったのですが……。悪い妖精がかけた呪いに、姫と王子が算数マジックで立ち向かう!

 

 

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子どもの本だな【広告】

イワンのばか 時の旅人 おしゃべりなたまごやき
影との戦い たべたのだあれ 世界むかし話集6ロシア・西スラブ編上
魔法使いのチョコレート・ケーキ チム・ラビットのおともだち こんとあき

 

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今日の一冊「げんきなマドレーヌ」

 

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

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図書館が閉まっているので調子が出ません。
本屋さんに行きました。

目についたのはこちらです。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

げんきなマドレーヌ

ルドウィッヒ・ベーメルマンス (著, イラスト)

瀬田 貞二 (翻訳)

パリの寄宿学校に12人の女の子が暮らしていました。いつも2列に並んで、パンを食べ、歯をみがき、ベッドに入ります。中でいちばんおちびさんで、いちばん元気なのがマドレーヌ。ネズミなんかこわくないし、動物園のトラもへいっちゃら。ところがある晩、マドレーヌがわーわー泣いています。いつもは冷静なミス・クラベルも大あわて。マドレーヌは盲腸炎で入院し手術することになったのです……。パリの香りいっぱいの絵本です。

 

マドレーヌシリーズは、2014年で刊行75周年と書かれているので、もう刊行80年を超えていますね。

 

わたし「すごいな。いまだに平積みで売っている」
娘「ひらづみって?」
わたし「棚にさしてある本と、表紙が見えるように下の棚に並べて置いてある本があって、平積みの方が売れ筋なの」

 

本屋さん、実にさまざまなジャンルの本が置いてあります。

 

コロナ休校の影響で児童書も売れているようです。
知り合いの書店員さんからは、ドリルと児童書は一時期棚からなくなってしまうほどのすごさだったと聞きました。

 

本屋さんの児童書の棚は、世界を凝縮したようです。

 

マドレーヌから香るのはパリの空気です。

 

一人とびぬけて元気でやんちゃなマドレーヌ。
絵がとても芸術的で、読みながら外国の風景に触れることが出来ます。

 

それがその時には、何の風景なのかわからなくても、大きくなってからも何気なく通り過ぎていても、いつかどこかで、ああ、あれだったのか、そうだったのかと思う。

 

子供たちには、そんな経験を積み重ねていって欲しいです。

 

 

 

Mad about Madeline: The Complete Tales

Ludwig Bemelmans (著), Anna Quindlen (序論)

 

 

マドレーヌの英語版、すべてのマドレーヌのお話がこの1冊でコンプリートです。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

本屋さんでは、今「りんごかもしれない」を推しているようでした。
読みきかせの定番です。
子供たちにも大人気です。

 

りんごかもしれない

ヨシタケシンスケ (著)

 

 

個人的には、「おしっこちょっぴりもれたろう」「もうぬげない」あたりが好きでした。
子供の心によりそった絵本です。

 

おしっこちょっぴりもれたろう

ヨシタケ シンスケ (著), ヨシタケシンスケ (イラスト)

 

もう ぬげない

ヨシタケ シンスケ (著)

 

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

アクビちゃんゆめであそびましょ! 魔女のむすこたち さっちゃんのまほうのて
ミオよわたしのミオ ムーミン谷の冬 おおきなおおきな おいも
コッペパンはきつねいろ こまったさんのスパゲティ ともしびをかかげて〈上〉

 

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今日の一冊「はれときどきぶた」

 

お天気が晴れ、雨、晴れと交互に続きますね。
今日、ご紹介するのは、かなりしっかりした「本型の絵本」です。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

はれときどきぶた

矢玉 四郎 (著, イラスト)

130万部突破のベストセラー!!毎日日記をつけている則安君は、ある日お母さんに日記を盗み読みされてしまいます。則安君は、お母さんをおどろかそうとでたらめなことを日記に書くことに。「お母さんがえんぴつをてんぷらに」 「金魚がへやをとびまわる」…。ところが、書いたことがすべて現実に! ある日「ぶたがふりました。」と日記に書いたらそれも本当になってしまい…。

 

 これは、おしりたんていよりはもう少し字の多い、とても楽しい物語です。

 

主人公のはたけやまのりやす

(このいかにもいそうで大真面目な名前がまた笑えます)

 

お母さんが自分の日記を見てるのではないか?という疑念にかられます。

 このお母さん、日記を読んでいなければ出ないせりふをぽろっと息子に吐くのです。

 

親子で腹の探りあいです。

 

ついにはたけやまのりやす君はお母さんが日記を盗み読みしている現場を押さえます。

 

しかしお母さんはしれっとしたもの。
のりやす君は怒りといらだちにかられ、日記に奇想天外なことを書きつけます。

 

えんぴつをてんぷらにしたと言えば、お母さんはすずしい顔でえんぴつのてんぷらをお父さんに食べさせます。

 

何かおかしいと思わないのか?
のりやす君は、これがあくまでお母さんのしれっとした反抗のあかしだと信じて疑わず、日記の奇想天外さはヒートアップしていきます。

 

…もはやのりやす君が何と戦っているのかわからないです。

 

テンポがよく、ユーモアにあふれていて、幻想と空想の境目なくどこまでも広がっていく。

 

装丁もしっかりしていて、ハードカバーのいかにも「本!」といった本なので、書籍になれる一冊としてとてもよいと思われます。

 

 

 

 

 

 ( ´(00)ˋ )

 

 

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今日の一冊「オズの魔法使い」英語原文・音声ファイルつき

 

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作カテゴリーリンク

>今日の一冊 軽くご紹介 カテゴリーリンク

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

オズのまほうつかい (10歳までに読みたい世界名作)

ライマン・フランク ボーム (著), 立原 えりか (翻訳)

突然のたつまきで、家ごと飛ばされてしまったドロシーと犬のトト。着いたのは、偉大な魔法使いの住む、「オズ」の国でした。家に帰るため、ドロシーと仲間たちの、不思議な旅が始まります。オールカラーイラストでさくさく読める世界名作シリーズ、第3弾。

 

もう、あらためてその面白さを語ることもない…。

と思われるほど有名中の有名な作品ですが、あらためて「本で読んでみる」というのは、割とよしやろう!と決心をつけなければ、なかなかしないことでもあります。

ぜひ、おうちに一冊置いてあげて欲しいです。

 

このカワイイ絵!
オズの魔法使いはこのようなイメージに実にぴったりです。
そのときどきの時代の少女のイメージすべてにあてはめることができます。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

完訳 オズの魔法使い 《オズの魔法使いシリーズ1》 単行本 - 2011/9/30 ライマン・フランク・ボーム (著), サカイノビー (イラスト), 宮坂宏美 (翻訳)

今回は、シリーズ1巻目にあたる『オズの魔法使い』だけでなく、2~14巻までの続編と、日本で初めて出版されることになる『オズの小さな物語』(Little WIARD Stories of Oz)を合わせた全15巻の《オズの魔法使いシリーズ》として完訳版で刊行いたします。

 

完訳版のリンクです。

こちらは、オズの魔法使いだけではなく、その後のシリーズすべてを網羅しています!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

そして、以前の記事で英語の原文が読みやすかった、と書いたその原文ですが…。

実に読みやすいです。

中学~高校のお子さんだけではなく、英語はもう離れて忘れてしまったなと思われる大人のかたにも、これはぜひおすすめです。

やはり、イギリスの児童文学の作品などは、わりと難しいです。
格式高く、ちょっともってまわった修辞などもよく入っています。

 

しかし、オズの魔法使いの方はシンプルです。
一文一文が短くて、難しい単語を使っていません。

しかも、どことなくユーモラスです。
いつも笑顔でいるような、そんな文章です。

 

そして冒険!
次に何が起きるのか、常にドキドキハラハラです。
本当に、どんどん先を読み進められます!

 

 

オズの魔法使い、原文です。 

www.gutenberg.org

 

オズの魔法使いの音声ファイルです。

www.gutenberg.org

 

音声ファイルはそれぞれのさまざまなファイル形式で出ていますが、アップル製品のかたでしたら「Apple iTunes Audiobook」、一般的には「MP3 Audio」をダウンロードされるとよいでしょう。

 

 

作者のフランク・バーナムさんの作品一覧です。オズシリーズはほとんどそろっています。Books by Baum, L. Frank (Lyman Frank) (sorted by popularity) - Project Gutenberg

 

 

 

【広告】「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

 

whichbook.hatenablog.com

 

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