「銀のほのおの国」神沢利子 ~ゲーム好きの子に捧ぐ~
ラノベを読んでいる子どもを持つ親御さんが
「うちの子は本が好きで」
「うちの子はほっておいても自分から本を読むんです」
それは間違いではありません😊
活字に慣れるのは良いことです!
最近のラノベは、内容にしても決して馬鹿にしたものではありません。
中には、普通に純文学の装丁で売られているもの顔負けの内容を持つものも少なくありません。
題名がたとえ、「ある日目覚めてみると王子様がスライムになって現代社会で社畜になっていた」などであっても、引かなくても大丈夫です。
(いま、適当に書いただけなので検索しないでください)
その世界をもう一歩広げて、文学の世界へ導くのは、
いきなり、芥川龍之介や、太宰治を読ませることではないと思います。
銀のほのおの国 (福音館文庫 物語) 作者: 神沢利子,堀内誠一 出版社/メーカー: 福音館書店 発売日: 2003/10/15 メディア: 単行本 |
作者の神沢利子さんは、幼少期を樺太(!)で過ごされ、アイヌの世界に造詣が深く、
非常に多くの神秘的な物語を描かれています。
その中でも、この「銀のほのおの国」は、ストーリー性もメッセージ性も、非常にすぐれた物語の一つです。
ロールプレイングゲームが好きなお子さんならば、
きっとこの本のすばらしさを、すぐにわかってくれることでしょう。
1974年に第一版が発行された日本子供の本研究会の「どの本読もうかな?」の紹介文を引用します。
たかしとゆうこの兄妹が、投げ縄を剥製のトナカイの首にかけ、でたらめに呪文をとえると、 剥製のトナカイは生き返り、“銀のほのおの国”を再建するためにたちあがる英雄“はやて”となる。(中略)たかしとゆうこは、広大な雪の原野を舞台に繰り広げられるトナカイ族と青イヌ族の大戦闘に巻き込まれていく。冒険に満ちた雄大な世界を描いたファンタジイ長編物語である。
こちらのレビューもご参考下さい。
ロールプレイング的な王道の流れになっているので、ゲーム好きの子にも受け入れられやすいでしょう。
そしてさらに、ゲームでは表現しえない、画像ではとても作り得ない
この世界の美しさ
この世界で生きる厳しさ
それらが、同一に矛盾なく存在するさまが、荘厳に描かれてあり、胸に迫ります。
うさぎのはね坊主の運命。
三つ巴、四つ巴の混戦となって、それぞれの動物たちの一族が、それぞれの立場と誇りを主張し、振りかざして戦い、倒れて行く「二つの死」の章。
現代の問題にもまた通じるストーリーを、ぜひその目で確かめてみて下さい。
この体験を、ぜひお子さんに味あわせてあげてください。
川がおなじうたをうたいつづけるように、わたしもまた、おなじ問いを問いながら年を重ねたと思います。老年となったわたしには今、生と死は対立するものとしてではなく、いよいよ渾然とした一体として感じられるのです。
~神沢利子さんのあとがきより
この物語は、1972年初版発行。
ドラクエ1が発売されたのは1986年。
たかしとゆうこの物語はいまだに古びないままです。
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