今日の一冊「くるみ割り人形」クリスマスのホラー
今日、ご紹介するのは児童書です。
本来ならクリスマスの時期に紹介する一冊なのですが、もうちょっと、面白ければなんでもいいかという気持ちになっているのでご紹介します。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
クリスマスイヴの日、フリッツとマリーのきょうだいは、不思議なドロッセルマイヤーおじさんからのプレゼントを心待ちにしていました。たくさんのおもちゃの中に、マリーはクルミわりを見つけます……夢と現実が入りまじって紡ぎ出されるドイツの幻想的な物語。(「BOOK」データベースより)
「くるみ割り人形」
今では、どちらかというと、子供の本というよりも、バレエの演目としてのイメージの方が強くなってしまっている気がします。
ホフマンの作品です。
ホフマンはとても、幻想的で不思議な小説を書く作家さんです。
大人の方もぜひ読んでみていただきたいです。
ホフマンのくるみ割り人形は、奥深いです。
ちょっと子供心をくすぐるような仕掛けがたくさんあります。
話はシュタールバウム家の子供たちが、クリスマスの日にプレゼントをもらう所からはじまります。
華やかな家庭の華やかな海外のクリスマスの景色が描かれます。
そして食べ物!!
お菓子、食べ物がふんだんに出て、これがまたどれも美味しそうです。
(バレエでくるみ割り人形をご存じの方は、有名な「金平糖の精の踊り」を知っておられるかと思います)
バレエはこのロマンチックで華やかな部分が多いですが、原作はホラーな部分がわりとたくさんあります。
子供はホラーが大好きです!
ほん怖(ほんとうにこわい話)、意味怖(意味がわかるとこわい話)などなどです。
子供向けのホラーもの、たくさん出ています。
このお話が可愛いおもちゃやお菓子、食べ物だけではないな?と子供が思い始めるのは、夜になってからです。
もう、この章の題名がおもいっきり「おばけ」なのでわかりやすいです。(手元に持っているのが古い石丸静雄さん版なので、岩波文庫版は「ゆうれい」とかかもしれません)
寝ようとするとかけ時計が不気味な音を立て、そこら中からねずみたちが現れて走り回ります…七つの王冠をかぶった七つの王冠をかぶった七つの頭を持つ大ねずみの王さまが現れます…ガラスがぱりんと壊れる音、ちゅうちゅうと鳴く声…。
このあたりの表現が、とてもホラーで怖いです!
ホフマンの筆の冴え渡るところです。
ねずみたちとおもちゃたちは、大戦争を始めます。
この戦争シーンがまた割と長いです!
そして、男の子が好きだろうな~という箇所でもあります。
基本、主人公が女の子で、結局は…むにゃむにゃ(ネタバレ回避…)…なのですが、男子にも決して、面白くないお話ではありません。
しかし、このねずみの王様がすごく不気味です。
(母親のリンクス夫人も不気味です)
口についた血…闇に響く気味の悪い声……。
日中のクリスマス・おもちゃ・おとぎ話の話が華やかなだけに、夜に反転して現れる不気味なホラーな部分がとても強調されます。
そして、どことなくホラーさえも詩的です。
時計の声が聞こえます。
ぶるんぶるん…ふむ…ふむ。
ぶるんぶるん…ふむ…ふむ。
ぜひ、親御さんから一読して、一話ずつ読み聞かせしてあげる、などして導入をしてあげることをおすすめします!
夜の読み聞かせには最適です。
声もぜひこわくしてあげてください!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
おまけです。
子供が大好きなホラーな作品はこんな感じです。
やはり、たくさん売られるということはそれだけホラーが好まれている証拠だと思います。
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