今日の一冊「ムーミン谷の冬」
今日、ご紹介するのは児童書です。
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今日の一冊
まっ白な雪にとざされたムーミン谷。松葉をたっぷり食べて、パパとママといっしょに冬眠に入ったのに、なぜか一人、眠りからさめてしまったムーミントロール。
少し寒い日が続きました。
あちこちで早咲きの桜がもう満開に花をつけているのを見かけますが、うちの周辺の桜の木はまだ、つぼみがはじけそうにふくらんでいますが、もう一つです。
毎日、あと少し…あと少し?と思いながら見上げています。
本屋さん、春の絵本で埋め尽くされています!
一足先に華やかなカラーで心も暖かくなりそうです。
本当は、本屋さんで見かけたこの絵本を紹介しようと思っていました。
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2020年発売ですので、最近発売されたばかりですね。
本屋さんで見かけたらぜひ手に取って(購入)してあげてください!
先日の「エルシー・ピドック」もそうですが、分厚い本の中の一話を取り出して絵本化してくれるのはとてもいいな!!と思います。
字も多く、ストーリーも(それはムーミンですから)しっかりしていて、安定の一冊です。
ムーミンは普通に読んでいると、とても哲学的で少し物悲しい雰囲気もあり、まったく「児童書」の域を超えて大人が読んでもまったくおかしくない本です。
冬が好きだったなあ…。春だけどもう季節なんて関係なく紹介しちゃおうかな。
冬の名残が残っている間に…。
「ムーミン谷の冬」
目覚めてしまったムーミンが、いつもの仲間たちがいない状態で、冬の世界を探索して回ります。
そこはしんと静まり返った死の世界ではなくて、真っ白な雪の景色の中に、冬には冬に動き回るたくさんの生命にあふれていました…。
氷姫さまのお話がとても印象に残ります。
美しい氷姫さまですが、その姿を見た者は死を迎えます。
あまり賢くはない、「すばらしいしっぽを持ったりす」の子は、その顔を真正面からのぞきこみ、氷姫さまはにっこり笑ってくすぐります…。もうりすは固くなって倒れてしまいました…。
ムーミンはフィンランドの北欧のお話とあって、冬を思わせる魔物モランのような恐ろしい魔物が登場したりしますが、氷姫さまは美しいですが、アンデルセンの「雪の女王」のような冷酷さとは違っていて、やわらかい優しいイメージがあります。
氷姫さまはにっこり笑ってこりすの耳のうしろをくすぐりました。
でもやっぱり、「見てはいけないもの」であることに変わりはなく、こりすはもう、かたくなりひっくりかえって死んでしまいます。
このアンビバンレントさがとても印象に残りました。
ムーミンが悲壮な思いでこりすのお葬式をするのですが、周囲の人たち、おしゃまさんやミイは割とドライです。
でもお話の最後に、ムーミンは春の訪れとともに「すばらしいしっぽをもったりす」 にそっくりなりすを見るのでした。
死と再生を込めた物語の妙でした。
冬のお話を読んで外に出ると、ああ、春だ!春が来た!と思うかもしれません。
「ムーミン谷の冬」
おとな向きかもしれない一冊です。
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