今日の一冊「トムは真夜中の庭で」
今日、ご紹介するのは児童書です。
みなさん、休校中のお子さんだけでなく 、もういいかげん自粛生活に嫌気がさしてはいないでしょうか…。
わたしは、嫌気がさしました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
知り合いの家にあずけられて,友だちもなく退屈しきっていたトムは,真夜中に古時計が13も時を打つのをきき,昼間はなかったはずの庭園に誘い出されて,ヴィクトリア時代のふしぎな少女ハティと友だちになります.「時間」という抽象的な問題と取り組みながら,理屈っぽさを全く感じさせない,カーネギー賞受賞の傑作です.
こちらの「トムは真夜中の庭で」の主人公のトムも、病気になって療養生活を余儀なくされています。
トムはこの状況が気に入りません。
気に入らないのでふてくされていますし、親切なおじさん、おばさんにも態度が悪いです。
運動もよくしていない状態だと、夜にはなかなか寝付けません。
こっそり起き出したトムは、真夜中の庭で不思議な少女と知り合います…。
明らかに時間軸の違う場所に迷い込んでいると、トムも薄々は気付きます。
ハティがトムの世界に迷い込んでいるのではなくて、トムがハティの世界に入り込んでいるのです。
孤独なハティにしかトムは見えません。
ハティの世界でトムは、ほかの人には幽霊のように見えないらしいのです。(例外はありますが…)
異世界に迷い込む、というのはファンタジーや児童書の世界ではよくあることなのですが、「トムは真夜中の庭で」の世界はとても不思議です。
子供には難しいのでは…?と思いがちなほど、大人の小説の体を成していますが、この不思議な物語は子供にすうっと不思議なほど受け入れられて読んでくれます。
大人が読めば、おそらくはハティの立場として読むことが出来るかもしれません。
わからなかったたくさんのちりばめられた符号が腑に落ちることでしょう。
トムが見たものは何だったのか、時間と空間を越えて呼び合った孤独な魂が出会ったその意味は何だったのか。
終盤に向けて緊張感を保ったまま、すみからすみまで無駄のない本当にすばらしい作品です。
なにより、「療養を強制されて嫌気がさしている」状態は、今のこの状態とぴったりマッチしていますので、今こそぜひページを開いて真夜中の庭にいざなわれてみて欲しいと思います。
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