今日の一冊「びりっかすのこねこ」
今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
7番めに生まれた、びりっかすの黒い子ねこ。せまい箱から出た子ねこが未知の世界をさまよい、本当の幸せを見つけるまでのお話。
「さすらいのジェニー」に続き、ねこの本が続いている気がしますが…。
(次は「どろんこハリー」にしようかな…)
「びりっかす」という単語に時代を感じます。
「みそっかす」という言葉もありますが、おかあさんんねこはもうたくさん子供がいるので、全部にはかまっていられません。
お乳を飲むのにも、元気なきょうだいたちに押しのけられて、いつもおなかはぺこぺこです。
このこねこ、いぬやさんで生まれた所から話ははじまります。
そして、こねこの話にも関わらず、このいぬやさんにいる、年取った一匹のいぬのことが語られます。
いぬやさんのこのかいいぬは、とっても、とっても、としよりです。目がみえないし、からだもきかない。耳もほとんど、きこえませんし、はなもさっぱりだめでした。
でも、かんじることは、まだ、できるのでした!
おなかがすけば、かんじます。のどがかわけば、かんじます。あたたかければ、あたたかいのが、さむけれえば、さむいのが、まだまだちゃんとわかるんです。かわいがってくれる人、やさしい人を。それからふとわく、さびしいきもち。なにかをうっとりまつようなきもち──いまでもみんな、かんじるのでした。
この年取ったいぬの住んでいるいぬやのすみっこに、ねこたちはこっそり住み着いていたわけですが、こねこのお母さんはある日、すばこから兄弟は出しましたがびりっかすのこねこは置いて行きました。
弱くてよろよろしていて、とても出すのが無理だった。
しかしこねこはついて行こうとします!
そして、としよりの犬のミルクの中におっこちて、二匹は知り合い、ともだちとなるのでした…。
と、ここから、こねこの冒険が始まります。
この本も、まさに「さすらいのびりっかすのこねこ」の展開になるのですが…。
と、冒険の顛末は読んでいただくとしても、この年取ったいぬのこねこの交流がとてもやさしく、あたたかく、心を打ちます。
おなかがすけば、かんじます。のどがかわけば、かんじます。あたたかければ、あたたかいのが、さむけれえば、さむいのが、まだまだちゃんとわかるんです。かわいがってくれる人、やさしい人を。それからふとわく、さびしいきもち。なにかをうっとりまつようなきもち──
この年寄りのいぬを通して、大人のわたくしたちに語り掛けてくる作者の心があります。
よい児童書は、子供だけのためではないと感じます。
この本を、子供のころにこねこの視点で読んで好きだったように、今はこのとしよりいぬの中に、自分の年取った母やおばの姿を重ねて思うところがあるのでした。
あ、主人公はこねこで、こねこのぼうけんがメインです。
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