~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

今日の一冊「ロッタちゃんのひっこし」

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ロッタちゃんのひっこし

アストリッド=リンドグレーン (著),

イロン=ヴィークランド (イラスト), 山室 静 (翻訳)

いやな夢を見て朝から機嫌の悪いロッタちゃんは、お隣りの物置へ引っこします。幼児の心理をとらえ、いきいきと描く幼年童話。

 

以前、トンデモくそがき少女のロッタちゃんの絵本「ロッタちゃんとじてんしゃ」をご紹介しました。

 

whichbook.hatenablog.com

 

「じてんしゃ」では、とんでもない目にあうロッタちゃんなのですが、こちらではとんでもない目には合わないですが、とんでもないことばかりやらかします。

やっぱりね。

 

もくじはこんな感じです。 

 

1.みんなが ロッタを いじめる
2.ロッタが ひっこしを する
3.ロッタは どこへ いく
4.おきゃくが くる
5.よるに なると ひとりぼっち 

 

この本は、100ページ強もある、相当にきちんとした「本」ですが、幼年期のお子さんにぴったりです。

 

こんなふうに始まります。

つい このごろ、五さいの たんじょう日を むかえたばかりの ロッタは、ある あさ、もんくやどおりの いえで、はじめっから、ぷりぷりして 目を さましました。きにくわない ゆめを みたんです。 おばかさんの ロッタは、ゆめで みることを ほんとうの ことだと おもってしまいます。それで おこった わけなんです。

山室静さん(ムーミンの訳者さんでもあり、世界のむかし話を多数まとめられています)、幼年期の子ども向けに単語単語でスペースをあけて区切ってくれています。

 

そして、いきなり主人公(5さい)のロッタもロッタで、無茶振りもいいとこです。

ゆめを見た内容を本当だと思って、それでご機嫌が悪いのです。

 

もうどう考えてもまったく家族に非はないのですが、ロッタはますます不満をつのらせます。

機嫌を取ってもらえないからです。

 

しかし、愛情深いママです。
昨今の流行りの「怒らない子育て」の地で行くやさしさです。
手を挙げたり怒鳴ったり、むきになったりが一切ありません。

 

リンドグレーンの作品はどれも、子どものどんな無茶ぶりに対しても、あたたかさとユーモアにあふれていように思います。

 

しかし、ロッタちゃんのやらかしはとどまるところを知りません!

「おばあさまがロッタのためにあんでくださった」 セーターが気に入らないのです。 

 

・セーターがチクチクさす、と主張する。
・お着換えをせずに、ふくれっつらではだかでいる
・ココアをのむかどうか(本音はのみたい)ママをいらいらさせるために、階段を一段ごとに立ち止まりながらゆっくり降りる

 

そして、ロッタはセーターを切り刻みます!
あ~~~~あ~~~~あ~~~~
やっちゃった

 

つまりロッタは、ゆめを本当だと思い込んだ挙句に機嫌を悪くして、お着換えも拒み、ママに失礼な態度を取った挙句に、おばあさまがあんでくださったセーターを切り刻んだのです。

 

どう考えても明らかに、すべてロッタが悪いです。

 

なのに本当に不思議なことですが、この本を読んでいると、こちらまでロッタちゃんの目線で「なんてみんなひどいんだ!」と思ってしまうリンドグレーンマジックがあります。

 

ロッタが向かったのは、おとなりのベルイおばさんのうちです。

 

ベルイおばさんはやねうらべやをかしてくれます。
(みんな、やさしいです)


むすめさんが小さかった頃に使っていた子供用のベッドや家具や…そして、お人形も!
ひとつひとつ、家具がそろっていく楽しさ…。
自分でおそうじもします!(別人みたいに元気になってます)

これは、すばらしい遊びになってきました。

食べ物はかごに入れて、窓からおろしひもで持ち上げます。
楽しすぎます。 

しかもおうちはとなりです。

 

 

まあ、これだけで済むはずもなく…ロッタは、自分のやらかしたことに向き合わなければならない時が来るのですが…。

 

パパもおにいちゃんもおねえちゃんも、そしてママも本当にやさしいです。

ロッタは自分でむくれて、自分でやらかして、自分で出て行って、楽しく遊んで…それで最後には、家族にこの上なくあたたかく受け入れてもらえます。

 

ロッタちゃんがごめんなさいを自分から言えたとき、こちらも本当にほっとします。

 

山室静さんのあとがきがとても興味深いです。

おさない子どもの心理をえがくたくみさは、心にくいほどです。ロッタのわがままにたいする両親のたいどが、あますぎるきがしないでもないところがありますが、どうでしょうか?そんなところも、かんがえてみてください。

 

 

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