今日の一冊「太平のカメ日記」
今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
太平は、生き物係の春菜ちゃんが見つけてきた三本足のカメを家で飼うことになり、ブログで観察日記をつけはじめる。ある日、ブログに「なおリン」という女の子からのコメントがきていた。太平はブログを通して、カメのことにとても詳しい「なおリン」と仲良くなるが…。(「BOOK」データベースより)
子どもたちが熱心に読み、好きな本です。
これは読書感想文の推薦図書で子供が自分で選んだ作品でした。
推薦図書で名前を見た 本も、最近は一年も経たずに 見かけなくなってしまいます。
これは大人向けの小説の大賞作品もそうなのですが、読書人口の減少とともに、文庫や小説のエリアはどんどん縮小され、小さくなって行っています。
それでも本屋さんは置き続けてくれています。
ああ良い本だなと思ったら、発売されてからかなり経つのに本屋さんの棚の中に見かけます。
これは本当に嬉しいことです。
◇
このカメ日記は大人よりも 子供にわかる本かもしれません。
子供たち、どの子も熱心に読んでくれますし、よかったよかったと口をそろえて言ってくれます。
(「...」という子ももちろんいるのですが💦)
大人が読むと、ちょっとドキッとするような箇所がたくさんあります。
太平はひょんなことから、1本脚のないカメを飼うことになり、テンションをあげるために飼育日記をブログではじめます。
ブログって言ったら今は古いって言われちゃうのかなあ?
でも、そんなこと置いておいても、よい作品です。
周囲の子どもたちの描写がこまやかです。
あこがれの子、微妙なヤツ、さまざまですがこれは教室の中の出来事だな、と思います。子どもを知っている人が書いた本です。
さてそのブログにコメントを残してくれた元気な「なおリン」
どんな女の子だろう?と太平がワクワク想像したのとは全く違っていて、、なおリンちゃんは見た目も少し「普通」とは違うダウン症のお子さんでした。
さらに、なおリンの妹ちゃんは、太平のクラスメイトの女の子だったのですが…。妹の実花ちゃんは、お姉ちゃんのことを知られたくなかったのです。
見た目が少し普通とちがうお姉ちゃんを持つ妹さんの苦しい叫び、「おねえちゃんが生まれつきの変人だからだよ!」ということばが目に…耳に、刺さります。
こちらはどんどん、どきどきしてきます。
特に子ども向けの推薦図書で、マイノリティやポリコレに配慮した作品はたくさんあります。
それは決して悪いことではなくて、子どもたちにこそ伝えなければならない大切なことなのです。
人は異質なものを許さない、という原則があって、調和を乱すものを無意識的に排除しようとする傾向は子どもの方が強いです。
だからこそ子どもに伝えようとする努力は大切なのですが…。
押しつけがましくなると一気に嘘っぽくなってしまう。
ダウン症…障がい…?
こうして筋立てだけ並べてみると、この本も差別に対する啓発を書いているのではと思われるかもしれませんが、そういうことではなくて、世の中にはいろんな人がいて、いろんな考え方があって、成長もまたひとそれぞれ、ということを実に自然に伝えています。
太平のカメは一本足がありませんが、成長にしたがって段差を乗り越えることもできるようになります。
知識で「そういう人がいる、差別されている」と習うよりも「なおリンという女の子」のことを知るほうが、ずっと多くのことを子どもに伝えることが出来るのだと思います。
そして、まったくそんなおとなの思惑や配慮関係なく、太平の気持ちに入って楽しんで読んでくれる子どもたちのためにある本なので、大人もこの本をすすめてあげて欲しいな~、と思います。
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