今日の一冊「魔女のひつぎ」
今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
「魔女のひつぎ」「白い服の女」「へび女ののろい」など、おそろしい幽霊の話、しみじみとしたロマンチックな話の数々8話を収録。世界中の怪談・奇談を紹介する。「MARC」データベースより)
他にたくさん、名作の小説がいっぱいあるのに、今日は唐突にホラーを紹介してみたくなりました。
超お気に入りのホラー本です。
冒頭にはこのような紹介文がついています。
夜の闇には悪意がひそんでいる。魔女が長いつめを光らせ、幽霊たちがうろつきまわる。へびにすがたをかえておそいかかるのろいの女もいる。だが、すがたが見えるものはまだいい。見えない悪魔が人を地獄へとさそいこむ。だから、背なかでいやな風を感じてもふりかえってはいけない。
古今東西の世界のさまざまなホラーを集めていますが、いちばん最初にゴーゴリの「魔女のひつぎ」という作品が乗っていました。
それで、「おっ?」と思って、(すでにおとなでしたが)自分のために購入した作品です。
さて持ち帰り読んでみれば...。
その怖いこと怖いこと!!
さすがゴーゴリ。
世界で評価されている人の描くホラーはちょっと怖さも突き抜けています。
その怖さを彩るのがじつに上手な文章と描写です。
文章が美しいので、怖さも5割増しぐらいのマシマシになってそれはそれは怖いです。
ニコライ・ゴーゴリは「世界文学全集」などに名前が載るロシアの文豪です。ドフトエフスキ―に影響を与えたと書かれています。(wikiに)
「死せる魂」「検察官」などが有名で、「検察官」はロシアのドタバタコメディです。
しかし鋭く社会風刺をきかせていて、げらげら笑いながらもあなどれないぞ!と思う、そんな作品でとても好きでした。
風刺をきかせるのがうまいゴーゴリらしく、主人公はろくでもないパリピヤンキーの学生です。何と神学校の生徒です。
がらがら声の大騒ぎ、盗み、ケンカ、大騒ぎ、ろくでもなさがすごくリアルに描かれます。
キエフの神学校から騒ぎつつ、休暇に家に帰るのですが...。
途中で発見した一軒家のおばあさんに嫌な顔をされながらなんとか泊めてもらいます。
おばあさんも神学校の生徒のヤンチャさをよく知っているようです。
夜にギーッととびらが開いて、泊めてもらった学生のひとり、プルートの部屋におばあさんが入ってきます...。
ぎらぎら目を光らせ、ひとことも口をききません。腰をかがめ、手を開いて...。
怖いのは、この不良学生の恐ろしい体験と運命の話の合間合間に、「美」が絶妙にはさみこまれているところです。
細い月が照らす広い野原、真っ黒な森、すきとおった水がどこまでも広がる湖水、わかい、この世のものとは思われない美しい女の人...。
この美しさと、相反して腰を抜かしてしまいそうな怖さとがダブルで襲ってきて、ちびりそうなぐらい怖いです。
ロシアの魔女のお話なのですが、絵本で慣れ親しんだババ・ヤガーや魔女たちよりも、数割増しでリアルっぽく本気で怖いです。
他の作品も選書が非常に良いです!
怖さはこの最初にあるゴーゴリの「魔女のひつぎ」がトップですが、しっとりとした不思議な作品あり、日本の蛇女伝説ありですばらしいです。
実はこの本は絶版のようで、e-honなどで検索してみても「現在お取り扱いがありません」になってしまいます。
そして、何とAmazonでは古本で2500円もの値段がついています!
レビューもないのに、どうしてこんな値段なのか不思議ですが、私はこのお値段は妥当と思います。
ホラーものは子どもたちに絶大な人気を誇りますが、そんな子どもに「これは一味も二味も違うぞ!」というのを見せてやりたい、という時に本気でおすすめしたい本です。
子どもたちに人気のちょい怖の売れ筋本、銭天堂です。
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