大人が読む児童書「チベットのものいう鳥」2 沼地、毒龍、ムカデ、そして黙ってしまう
大人が読む児童書。
「積ん読・解消計画★児童書編」です。
この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
ちらっと調べてみると、中国北京のチベット民話研究者のかたがまとめた子供用の物語のようです。
原題は「金玉鳳凰」
「チベットのものいう鳥」はすばらしい訳だと思いました。
今、チベットやウイグルについてわたしの知るところは、文化の破壊に苦しんでいるという事ぐらいでした。
調べてみると、チベット族の人は広く四川のあたりにも分布しており、中国とチベットの深い歴史的な関わりを感じさせました。
読み進めます。
目次の1と2
1.ふたごの王子と魔術師
2.ものいう鳥をたずねて
が導入の部分にあたるようです。
(アラビアンナイトで言うなら、王様がシェハラザードに会うまで一体何が起きたのか、というところです)
賢い王子と愚かな王子が登場します。
弟の愚かな王子を何とかして教育したいと思う両親の王様とお妃さま。
そこに七人の魔術師が…。
ロシアの物語などでは、「イワンのばか」のように「愚かだと思っていた方が賢かった~!どんでん返し~!」という感じのお話がありますが、こちらは愚かな王子は愚かなままです。
賢い王子はよい人なのですが、賢さをちょっと鼻にかけている所があります。
でも、賢い王子と愚かな王子は仲良しです。
魔術師やら二人の王子やらで、てんやわんやの大騒ぎになります。
とりあえず、「ものいう鳥」を賢い王子が捕まえ、連れて帰ることが出来たら万事OK。
すべてが丸くおさまる。
ここまでが割と長い一つの話です。
賢い王子はものすごい苦労をしてものいう鳥の所までたどり着きました。
妖怪はいるしヒルはいる。
72日間歩き続けて沼地にたどり着き、毒龍がいてさらに108日間歩き通してムカデが出て…。
昔話だし、中国ものなので、「三日三晩」の大袈裟な表現なのだ、とわかるのですが、72日+108日で180日です。
一年が365日ですから、これはもうおよそ半年かかっている計算です!
それほどまで苦労してやっとたどりついた金玉鳳凰、これがものいう鳥のようです
(しかし硬派な文体です!)
ものいう鳥「金玉鳳凰」を連れて行く道中で、王子は口をきいたらいけないことになっています。
ここで、長いお話から短いお話まで、実にさまざまなお話をものいう鳥は語ります。
最初に鳥が語ったのは目次の3からでした。
ここから目次は27まであって27の最後が結末なので鳥は24話の物語を語ったことになります。
まずは、「3.不思議な紙切り老人」です。
紙を切って色々なものを見せる、まるで式神を操る道士のようなお話です。
王子がすっかり話に引き込まれ、夢中になったところで、ものいう鳥は、すごくいいところで突然黙ってしまいます。
我慢できずに王子は「それからどうなった」と聞きます。
鳥は、親切にも結末は一応話してくれるのですが、王子の手から逃げて、飛んで帰ってしまいましたー!!
「まて。これもしかして、お話するそのたびに、鳥は帰るの?」
「そう。最悪でしょ」
「あんなに苦労したのに!?」
「そうなのー!」
はー、なるほど。そういうことだったか…。
「でも読んだんだよね」
「読んだよ!あっ、そのお話はすごく良かったよ」
「4.生きた人形」ではなくて、そのあとの「5.金沙江の女軍」です。
これはすごくいいお話でした。
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