~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

今日の一冊「チョコレート戦争」ふたたび

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

チョコレート戦争

大石 真 (著), 北田 卓史 (イラスト)

おとなはなんでぼくたちのいうことを信じないの? 身におぼえのない、罪をきせられたことから、子どもたちは町一番のケーキ屋さんに戦いをいどみます。日本児童文学のロングセラーをリニューアル。「MARC」データベースより)

 

 

最近、子どもがお友達と再読をはじめました。
(お友達は本ずきです!)

 

その結果、以前よりもハマってしまって、毎日毎日これの話をしてきます。
まるで鬼滅の刃のようです。
子どもは一度ハマるとその話ばかりしてきますが、鬼滅の刃はその筆頭です。

 

しかし、「ガンバの冒険」と、「チョコレート戦争」は鬼滅並にハマってくれました。
今の鬼滅人気を考えれば、これはすごいことです!


そして、迫られました。

「チョコレート戦争は書いたの!?え!?」
「まあ、書くには書きましたけど…ちょろっとだけです」
「じゃあ、見せて!」
「ええ~…」

 

 

whichbook.hatenablog.com

 


しぶしぶ見せたのですが、ダメ出しをくらってしまいました。

・どうしてこんなちょろっとした記事なのか
・もっと書け
・おもしろさを全然、伝えることが出来ていない

と口をそろえて命令されたのでもう一度書くことにしました。

 

「チョコレート戦争」ふたたびです。

 

もう毎日毎日、飽きることはないのかというほど言及されてるのですが

「チャッ(テスト用紙を破いた音)」
のところが本当にツボみたいです。

 

とたんに、ハチどもは、わんわん、うなりはじめた。耳もつぶれるばかりの、大さわぎがはじまった。
「わあーい、百点、百点!」
「しまった!ピシャリ(おでこをたたく音)、やっぱり、前のとおりやればよかったんだ」
「キャーッ、あなた、何点?」
ターン、ターン、ターン(ゆかの上を両足ではねる音)

(略)

「いいさ、いいさ。おれたち、算数に弱いんだものな」
「なにくそ、……こんどこそ、みておれ。チャッ(これはテスト用紙をやぶいた音らしい)」

この、むちゃくちゃな大さわぎに、先生はしばらくの間、あっけにとられてつっ立っていた。 

 

鬼滅の刃の話題も飽きるほど毎日毎日、ありとあらゆることを結びつけて言及されますが、この「みておれ チャッ」もすごいです。

 

さて前回のご紹介で説明しましたが、このテスト騒ぎにはじまって、冒頭のケンカのシーンが終わりますと、ケンカをした当人のひとり、明くんと、ケンカをとめた光一くんは連れ立って帰ります。


この街には、(よくテストがおできになり、調子に乗った、ムカつくタイプの)小原くんが言及した「金泉堂」という洋菓子店、ケーキ屋さんがあります。

 

明くんと光一くん、連れ立って買えもしない金泉堂のショウウインドウを見に出かけます。

 

明はともかくとして、光一くんは、病気の妹にケーキを食べさせてあげたい気持ちがあるのです!
この子は…、かっこいいいし妹思いだしで、当時小学生で読んでいた私の女子としての評価は爆上がりでした。

 

さて、このショーウインドウには、大きなチョコレートのお城が飾ってあります。

 

二人がこの買えるはずもないすばらしいチョコレートのお城を、眺めていたところで、唐突に事件です!

 

ガシャンと音がしてウィンドウのガラスが割れ…!
びっくりする間もなく、店から飛び出してきた店員にふたりは捕まってしまいました。

 

「ガラスを割ったろう!」

 

二人は犯人にされてしまいます!
ただ見ていただけなのに。

 

二人はあくまで抗弁します。
絶対に、絶対にやってないから!と。
実際にやってないのですからこれは冤罪です。


どうして割れたのか…
冤罪をかぶせられた子どもたちの行方は…!?

 

続きはぜひ、本編で!
という所なのですが、この金泉堂の社長(悪役)もなかなか苦労人です。
いかに苦労して貧乏生活から叩き上げたかが割と長々と語られます。

 

 


子どもたち、もうこの冤罪をかぶせられるあたりでは、喧々囂々、義憤にかられて騒いでいます。


「バカじゃないの?」
「子供があんな分厚いガラス割れると思う?(見てきたようなこと言います)少し考えればわかるよね!?」
「検証ぐらいしなよ!」

 

この店、二人を自白させるためにまずは先生を呼ぶわけですが、最初のシーンで出てきた頼りない担任の先生はおらず、代わりに理解ある優しい女の先生が来てくれます。

 

「来てくれたのがこの先生でほんとに良かったわ!」
「危ないよね。あの男の先生だったら何も聞いてくれないよ。犯人にされちゃうわ」
「それで親に話が行くんだよ。弁償だよ弁償」
「ショーウィンドウのガラスなんてきっとすごい高いよ!50万とか100万とか払わされるよ!やってもいないのに!
「ショーウィンドウのガラスを小学生の力で割れるかって考えてみたらわかるよね!わかれよ!アホだわ」

 

なかなか、女子はシビアです。
弁償額まで思い及ぶとは…。


実は私の住んでいる地域にも、ものすごく美味しい「地域のケーキ屋さん」があります。

 

誰もがその味を認めていて地域の名店として自慢にしています。
お祝い、お見舞い、手持ちのおみやげ、何かというとそこのケーキ屋です。
本当に美味しいですが、すごく高いです。まさに金泉堂です。

 

そして、子どもたち…。
このお店のことを
金泉堂
と呼び始めてしまいました…!!!

 

これはものすごい風評被害です。
誰もこの店のショーウィンドウのガラスを割っていないし、子供に冤罪をかぶせていないし、そのあとに起きる子どもたちとの戦いもしてないのです。

 

この子どもたちとの係争事件こそが、「チョコレート戦争」の内容なのですが、ごらんの通り子どもたちも夢中になるほど、とても面白いです!

 

先日行った本屋さんにもちゃんとハードカバーで置いてありました。

 

子どもたちにはもちろん、かっこいいよねと光一くんは人気ですが、みどりちゃんがすてきだし人気です。

 

行動力と拡散力があり、ふたりをちゃんと信じてくれます。
みどりちゃんはクラスでの付き合いで二人のキャラを知ってるでしょうから、二人が嘘を言うような人間でないことをわかってくれたのでしょう。

 

この子はすごく仕事できる女性になりそうです。
お友達はみどりちゃんにあこがれて、新クラスで新聞係にまでなりました。
すごい影響力です。
チョコレート戦争おそるべしです。

 

でも、こんな風に自分が面白いなと思っていて夢中になっていた本を今の子どもたちに読んでもらえるのはとても嬉しいことです。

 

大石真さんの傑作児童書です。

 

 

 

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