大人が読む児童書「第九軍団のワシ」1 ものすごく敷居が高い。誰が読むの?
大人が読む児童書。
「積ん読・解消計画★児童書編」です。
この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
ローマ軍団の百人隊長マーカスは、ブリトン人との戦いで足を負傷し、軍人生命を絶たれる。マーカスは親友エスカとともに、行方不明になった父の軍団とその象徴である“ワシ”を求めて、危険に満ちた北の辺境へ旅に出る。(「BOOK」データベースより)
サトクリフ挑戦、第二弾です。
最初は「ともしびをかかげて」でした。
ものすごく敷居の高いイメージのあるサトクリフですが、「ともしびをかかげて」はとても良かったです。名作です。
伊達に名前が売れているわけではなかったのです。残っているはずです。
これは他の作品も読まないと!と思いました。
名前と作品名だけはずっと知っていたしチェックしていたサトクリフです。
敷居の高さと、子供時代の挫折にも関わらず、どうしてかずっと「第九軍団のワシ」はわたしが好きな作品だろうな、という気がしていました。
不思議です。
本には時々、こんなことが起きます。
人に出会う縁と似たような所があります。
サトクリフは待っていてくれたんだな、と思いながら「第九軍団のワシ」を読みはじめました。
◇
最初にページをめくるとイギリスの地図が出てきます。
古代の共和制ローマ時代のものです。BC117。
さて冒頭。
フォス街道(1)からイスカ・ダルノニオルムへ西下する道は、ローマ人の作った軍用道路ではなく、もともとはブリトン人のゆききするただの道にすぎなかった。
いきなりおそろしいほど難易度が高いです。
3回ぐらい読み返しました。
これぞサトクリフ、という感じがします。
最初の単語から「(1)」がついているのはすごいです。
読み始める前にもう注釈を探さなければなりません。
ここで三択があります。
1.よく調べる。
2.なんとなく、ある程度調べる。
3.スルーする。
私は読むときはたいてい3です。
しかし、今回は「おとなが読む児童書」がコンセプト。
ある程度は調べようと思いました。
まだちょっと早いです。3ページぐらい読んでみてから調べようと思いました。
道幅を広げ、ざっと砂利を敷き、土地のやわらかいところは丸太で補強してあったが、この昔ながらの道は、荒野の丘陵の間をうねりながら先へ先へとのびていた。
道を往来する人々の描写も緻密です。
そのかわり、本当に目の前に浮かぶようです。
証人、土地の人、「西」からの金髪の氏族(明かにケルト人でしょう)、竪琴弾き(吟遊詩人だ!)。いんちき目医者、狩人。
「いんちき目医者」…?
いんちきが前提…。そして目医者限定…。
いやいや、先を続けます。
そしてローマ人の補給部隊の荷馬車とありますが、ここに
この道にはこのように雑多な通行者があったが、通行の優先権はローマ軍にあった。
とのひとことがありました。
ほぉ~~。
しかし、これは大人じゃないとわからなくないか!?
最初から子ども用の本を書こうと思って書いていれば、一般的には省こうと思うのではないでしょうか?
そういう考えがないところが素敵です💖
(サトクリフが最初から子どものためと思って書いていたのかどうかにもよりますが…)
でも、スティーブンソンの宝島だって、すんごく詳細で敷居が高いです。
でも、宝島は抄訳がありますけど、サトクリフを抄訳しようとは誰一人思わない気がします。
そういう雰囲気ではないです。
さて、ローマの一中隊がこの街道を行きます。
イスカ・シルリウムからイスカ・ダムノニオルムへ。
ここで調べることにしました。
先日子どもに読ませた「森は生きている」ならば、読み方アドバイスのようなもの、「悪役が面白いからちゃっちゃとななめよみしろ!」が可能だったのですが…。
サトクリフでは、そのようなアドバイスをする余地がありません。
とりあえず自分がいっぱいいっぱいです。
真剣に取り組まないとだめな本だ、というのがビンビン伝わってきます。
物語には引き込まれてはいるのですが、ここで地図見直しです。
序盤が大事です。
この、理解しようとするひと作業も読書のうちです。
Googleマップさん
お願いしまぁ~~~す!(ぽちっ)
これで見る限り、イスカ・シルリウムはニューポートです。
ニューポート→エクセターへ。
先を読み進めます。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
衰退したローマ帝国は、450年にわたるブリテン島支配に終止符をうつ。地方軍団の指揮官アクイラは、悩んだ末に軍を脱走し、故郷のブリテン島にとどまることを決意したが…。意志を貫いて生きることの厳しさ、美しさを描く。中学生以上。(「BOOK」データベースより)
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