今日の一冊「リディアのガーデニング」
今日、ご紹介するのは、かなりしっかりしたページ数の多い、絵本です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
田舎育ちのリディアは家の事情が良くなるまで、町でベーカリーをしているジムおじさんの所に滞在することになりました。ところが、ジムおじさんはにこりともしません。リディアはおじさんを笑わせようと秘密の計画を立てます。コールデコット賞オナー・ブック。アメリカ図書館協会優秀図書。(「MARC」データベースより)
手紙形式で、しかも絵本という珍しさです。
手紙型の子ども向け(?)の本というと、「あしながおじさん」を思い浮かべますが…。
カバーの説明によると、1930年代のアメリカの不況時代を背景にしているとか。
絵本はあとがきがないものですが、このカバーにあとがき的な説明を載せてくれた装丁がグッドです。
大変そうだけど明るい本です。
ものごとの明るさを見る、子どものパワーがあふれています。
そして絵がとてもとても素敵です。
さて最初の手紙からして、大変そうです。
日付からして、なるほど1930年代の夏です。
1935.8.27
ジムおじさんへ
うちの暮らし向きが良くなるまでのあいだ、私を町のおじさんの家によこしたらどうかといってくださったそうですね。(略)
もう長いこと、パパに仕事がなく、ママに仕立物をたのむ人もいなくなったと、おばあちゃんからお聞きになったことでしょう。
く…暗い…。
身につまされる…。
というか、どうなるの!?
1ページ目から不安がつのります。
しかし、めくって最初の1ページで読むのをやめて欲しくはないのですよね~(煽り?)
こんな風に手紙は続きます。
でも、ママが子どものころ、おじさんに木の上まで追いかけられた話をしたので、笑ってしまいました。
どんな時も明るさを忘れない前向きな子供である感じです。
しかし、そのあとも、駅での旅立ち、電車の車内…。暗いです。
絵もリディアの不安を示しているようです。
手紙は見開き1ページにつきだいたい1通ずつ続きます。
おじさんの家に行ってからは手紙を送る相手は逆に家族になります。
おじさんは無愛想でニコリともしません。
気むずかしそうです。
これは…「家によこしたらどうかと言ってくださったそうですね」なんて書いてましたが、おじさん、仕方なく引き取った感満載です。
しかし、この子はおじさんとなじもうと明るく振舞います。
・長い詩を書いて渡したり(詩を書くんだ)
・おじさん読んでから(読むんだ)
・ポケットにしまいます(しまうんだ)
おじさんも怖そうだけど悪い人じゃないみたいです。
おじさんの住む街はごみごみして、暗くて、ちょっとさびれた都会の下町っぽいです。
階下のパンやさんにこの子はパン作りを習います。
おばあちゃんから球根が送られ、パンを作りながら花を育てます。
そして見つけた秘密の場所…。
雰囲気は、「魔法や魔女がない魔女の宅急便」です。
いつのまにか暗い街の片隅に花があふれ、パン屋は繁盛しはじめます。
花!花!花!
花とケーキ!
字がいっぱいで、よく読ませる絵本です。
しかし手紙ではあるので、書いてない部分もたくさんありそうなのですが、その余地の物語を絵が語ります。
想像がふくらむとても素敵な絵本です。
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