がちキャン△~「ツバメ号とアマゾン号」 再読2 ウィンダミア湖でキャンプ、夢のよう。
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今日の一冊
夏休み、ウォーカー家の4人きょうだいは、小さな帆船「ツバメ号」に乗って、子どもたちだけで、無人島ですごします。湖を探検したり、アマゾン海賊を名乗るナンシイとペギイの姉妹からの挑戦をうけたり、わくわくするできごとがいっぱい!
舞台になったのはイギリス湖水地帯、ウィンダミア湖と言われています。
画像検索するだけでもものすごいインスタばえしそうな景色です。
最初に一番上のお兄ちゃんジョンがやったのは、船員雇用契約書を作ることでした。
船主:ウォーカー有限会社
こまかい…。
船長(キャプテン)、航海士(メイト)、AB船員(エイブルシーマン)、ボーイ(シップスボーイ)
なりきっています!
この子たちは遊びでありながら遊びでないです。
遊びを極めたとき、リアルを追求するという感じです。
本気で何かになりきって、それが大海原(湖)での大航海(ヨット帆走)なのです。
ロビンソン・クルーソーのように難破してみたり、そこかしこに「ダリエン岬」「リオ湾」など、おのおのの想像に合致する名前をつけています。
大航海時代の夢でしょう。
大航海の遊びをしている子どもたちにとって、おとなはすべて「原住民」「先住民」です。
お母さんの作ったテントはこういう感じです。
二つとも、後部は三角のきれでできていて、それが両側のきれに縫いつけられていた。テントの内側に縫いつけた一本の丈夫なロープが屋根の梁になった。このロープの両はしを二本の木に結びつけると、テントがもちあがり、柱はいらない。
ペグが打てない代わりに、石をつめるポケットがついています。入口には二枚の幕がついていて、縛って結んでおけるようになっています。
実によく出来ています。
このアウトドア描写のリアルさこそが、支持されている理由のひとつです。
しかし、面白いのはこれからです。まだナンシイ、ペギイのブラケット姉妹も現れていません!
「おとうさんと私も、若いときには、よくこんなテントで寝ましたよ」
なんてお母さんが言います。
どうやら、お父さんとお母さんも子供のときからのキャンプ仲間っぽいのです。
ジョンとナンシイも…いずれ…なんて、ちょっと考えてしまうのは下世話な想像です。
見送るお母さんに、ウォーカー四人兄弟姉妹は、「スペインの淑女たち」の歌を歌います。随所にたくさん、船乗りの歌が出てきます!
ヨット帆走のシーンが微に入り細に入り、実に細かいのですが...
ここはキャンプの気持ちの盛り上げのためですので(忘れかけてた)、ななめ読みします。
入江の北側の岬をはなれきってしまうと、風をちょっと強く受けて、船首の波切りの下では、波がザーザーと気もちのよい音をたてはじめ、それといっしょに、船尾で、航跡が長くあわだちはじめた。
う~ん、美しい描写です!
she found a little more wind, and the cheerful lapping noise began under her forefoot, while her wake lengthened out and bubbled astern of her.
内容や子どもたちのアウトドア&冒険については、面白いのでぜひ!という所なのですが...。
◇
やはりイギリス、と思われるのが牛乳の扱いです。
スーザンがやかましく、絶対に欠かさずお茶を飲ませますが(その時間にあわせ完璧に湯を沸かしています)、これには牛乳が絶対必要、必須です。
ミルクティーでなければならないようです。
煎れ方はやかんに直接茶葉を袋からあけていて、茶葉をどうやって取るのか非常に気になりました。
きゅうすのように、内部にフィルター穴がついてるのでしょうか。
そしてこの牛乳、むろん生乳です。
もたないので、お母さんが契約した農場に毎日取りに行くのです。
持ち運びにはミルクかんを使い、涼しいところに保管。
しっかり必ず毎回、洗います。
そうまでして牛乳が必要なのか…。
イギリスとは…。
しかし、食事はすべて直火、しぼりたての牛乳でお茶...。
すごくおいしそうです。
以前から不思議に思っていることがあります。
児童文学の中で見るイギリスの食事は素晴らしいものでした。
どのお菓子も料理もおいしそうで山盛り出てきます。
ここでも、料理の記述は詳細です。
ペミカンと呼ばれるコンビーフっぽい缶づめは、アーサー・ランサムファンであこがれない人はいないでしょう。
ゆでたまご、スクランブルエッグ(かきたまご、と書かれていますが…)
トーストにバター、釣ったパーチやニジマスの焼き魚。
実においしそうです。
長じてから「イギリスの料理=おいしくない」という世界共通認識があることにとてもびっくりしました。
イギリスに行ったことがなく、その料理を食べていないのでわかりませんが、いまだに受け入れられていません。
何でも、アングロサクソン人は舌の味覚のツボ(味蕾)が少ないのだとか…?
しかし、今調べてみたらどうやらフェイクニュースっぽいです。
イギリスの人は料理にこだわらないというのは絶対に間違いです。
本当においしそうだし、ものすごくこだわって几帳面に記述しています。
話のとおり本当にマズいのだとしても、いつか自分の舌で確かめてみることが夢です!
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原書のkindle本です。
「Swallows and Amazons」で検索すると、kindleもたくさんの種類が出てきますが、こちらはアーサー・ランサムのシリーズをすべて網羅していながら199円という安さなので、とてもおすすめです。
つづきます。
がちキャン△~究極のアウトドア体験!「ツバメ号とアマゾン号」 再読1
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