~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

がちキャン△~究極のアウトドア体験!「ツバメ号とアマゾン号」 再読4(読了)

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。
 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ツバメ号とアマゾン号

アーサー・ランサム (著), 神宮 輝夫 (翻訳)

夏休み、ウォーカー家の4人きょうだいは、小さな帆船「ツバメ号」に乗って、子どもたちだけで、無人島ですごします。湖を探検したり、アマゾン海賊を名乗るナンシイとペギイの姉妹からの挑戦をうけたり、わくわくするできごとがいっぱい!

 

キャンプの絵本で林明子さんの「はじめてのキャンプ」があります。なほちゃんはものすごくがんばるのですが、はじめてキャンプに行った子どもの不安な気持ちを、子ども目線からよく表現した本です。

ああ、頑張ってはいても、こんな風に不安かもしれないな、とはっとさせられます。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

はじめてのキャンプ

林 明子 (著, イラスト)

なほちゃんは、大きい子たちにまざって、ひとりでキャンプに行きたいといいました。みんなは口ぐちに「小さい子にはできないよ! 」といいます。なほちゃんは大きい子たちに負けまいと、重い荷物もひとりで背負い、まきを集め、懸命にがんばります。

 

「キャンプに行ってなにをするの?」と子どもに(またキャンプの経験のない大人のかたに)聞かれます。

 

言われてみれば、わけもわからずにぬくぬくとした家とは違う場所に連れて行かれ、別に遊具があるわけでもなし…。
(ある場所もありますが)
暗いし、怖いし、ゲームもTVもない。

 

キャンプとは、ないことの生活そのものを楽しむわけですが、経験値真っ白の所に
「さあどうぞ。お遊びなさい」
とされても、ただひたすら未知の世界は不安なだけです。
「火をつけてごらんなさい」
エッ怖い…。
という感じです。

 

子どもが何人もいれば、子どもどうしで鬼滅ごっこでもはじめるでしょうからまた別なのですが...。

 

「何をするの?」
「【ツバメ号とアマゾン号ごっこ】をするんだよ!!」

 

子どもはどちらもすでに読んでいたところに、下の子が最初に思いだしたのは「真珠とりごっこでした。

 

ティティとロジャが、川にもぐりっこをします。
この真珠とりごっこ、うちが行く予定のキャンプ場は残念ながら
プールがあるわけでも川があるわけでもありませんが、まあだんだんテンションが上がってきました。

 

石はどれも、真珠にしてはちょっと大きすぎたが、真珠は大きくてもちっともかまわないので、まもなく二人の真珠とりは、ぬれて光っている宝石を一山、水ぎわに積みあげた。いちばん困るのは、かわいたとたんに──そして日があたるのでかわくのもはやかった──石が光らなくなってしまって、もう真珠とは思えなくなることだった。

 

水に濡れた石が光ります。
美しいシーンです。
その光が乾いて失われていく所も、すごくよくわかります。

 

プールが三密なのか非常に微妙なところですが、とりあえず、この「真珠とりごっこ」の遊びはプールでもぜんぜんいけます。
プールの底にタッチすればいいのですし、それに割とプールの底には、色々なものが落ちています。


子どもたち、頻繁にたきぎを調達します。
たきぎは必要です。

「あそこ(キャンプ場)は松の葉があるからね」
上の子が言い始めました。
「枯れ草と松の葉でいける。まずは松の葉で火をおこしてから薪に火が入る」

調子が出てきたな!

 

 

ここから、ナンシイとペギイ、ブラケット姉妹の登場です!
ナンシイは本当に男勝りのすごい娘で、スーザンの凄さとはまたまったく違ったすごさです。

ジョンは正統派の船長だとすれば、ナンシイはまさに海賊、女海賊です。


ブラケット姉妹のご挨拶はいきなり、焚火に矢を打ち込むところからはじまります。
ここからまさに、ワクワクする冒険!のはじまりです。

 

ナンシイとペギイは、姉妹でヨットを操ります。
女性が男性がなんて全く関係ありません。

 

二人はこの湖周辺に住んでいるので(うらやましいです...)、ウォーカー兄弟姉妹よりも地理をよく知っています。
冒険をしながらもあれこれ教えてくれ、さまざまな楽しい遊びを共有します...。

それはもう、遊びの域を超えた、ほんとうに冒険!です。

 

 

下の子がぽつんと言いました。
「ひどいこと書いちゃったな…」
「?」
「読書感想文。フリント船長はサメに食われて死ねばいいって書いちゃった」

上の子が口を出しました。

「あれはくそだから。フリント船長はくそ

 

まって、ちゃんと読んであげて…。
お願い、もう一度ちゃんと…。
フリント船長がかわいそう…。
くそなイメージだけが強く残ってしまっているなんてひどい。

 

死ねとかくそとか、もう大変よくない言葉づかいですが、子どもたちの会話を聞いていると、ネット上の悪口そのまんまです。
すぐ極端に走りますし、飽きるまでいつまでも言います。
でも感情にまかせて発散しているだけで、あまり意味はないのです。

 

ネットの悪口に触れてそういう言葉づかいを学んでいるというよりは、どちらかというとネット上の悪口は未熟なキッズ(もしくはキッズ脳)のがちゃがちゃしたおしゃべり、と考えた方がよいと思うようになりました。


声が大きいし目立つのですが、まったくもって意味はないです。
ただ過ぎていくだけの雑音です。

 

このネット時代に、文字にすれば残ってしまうから書き込みなどは絶対してはいけないこと、ただ目にしてしまっても、たいして気にすることはないこと、などなど、ちゃんと教えないといけないな~、と思いました。(余談です)

 

フリント船長についてたしなめても予想どおり
「まあ、最後はいいんだけどねっ!」
の一言で終わってしまいました。

とんだ誹謗中傷被害です。
こんな理解ある、子供の心を忘れず子どもによりそうすばらしいおとな、そうはいません。

でも、もしかしたら...。
もしかしたら、子どもたちのぼうけんの中では、おとなが悪役をやってあげる必要があるのかもしれないな…。

 

 

 

さて子どもらも盛り上がってきたところですし、ぜひ読んで確かめていただきたいので、内容のご紹介はこのくらいにしておきます。
 

私の両親はキャンプやバーベキューはあまり好きではありませんでした。
なので、小さい頃にほとんどそういうことをした記憶がありません。
山にも海にも観光には行きますが、お弁当もないし自然を見て景色を楽しんで帰るだけでした。

ですが、この本を読んで私はずっと、キャンプに対するあこがれを持ち続けていました。
自分はキャンプしてないのですが、観光に行ったときには、キャンプしたつもりになって遊んでいました。

 

 

そして、いざ自分が子どもを持つ立場になってみて、バーベキューなどしてみたときに...。
もちろん、まったくしたことがないので右も左もわからない試行錯誤ですが、ぼんやりと空想していたことが形になっていくのがとても楽しいです。

 

そしてやっぱり、火をつける時はウォーカー四人兄弟姉妹になったつもりでいますし、海にヨットの羽を見れば、ナンシイ姉妹のことを思います。

 

つまり、子供のみならずおとなにもぜひ!
この自粛生活の中で、楽しいがちキャン△を試してみて欲しいです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

Swallows & Amazons

The Complete Collection:

 

 

 

 whichbook.hatenablog.com

 

 

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