ケストナーの傑作「ふたりのロッテ」再読1 出会うふたり
大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。
この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
おたがいを知らずに別々の町で育った、ふたごの姉妹ルイーゼとロッテ。ある夏、スイスの林間学校で、ふたりは偶然に出会います。ふたりは、大胆な計画をたてるのですが…。
昔から今に至るまで、大大大好きな本なのですが、すごく読んでもらうのに苦労しました。
うちの子、しぶりました。
いざ、自分が読んでみると…。
なるほど、現在形を多用していて、慣れなければちょっと読みにくいです。
~した、じゃなくて、している。こうする。ああする。と書いています。
ケストナーの他の本とちょっと違う気がしました。
(しかし、なにごとも経験です!)
訳者の池田香代子さんがあとがきで詳しく書かれていますが、どうやらもともと、映画のシナリオだったものを読み物になおしたもののようです。
ルイーゼ・パルフィーとロッテ・ケルナーは、夏休みの遊びで、子供たちだけで来る「子供の家」で顔を合わせてびっくりします。
二人とも、顔がそっくりなのです!
読み直していると、まあ美しい描写とともに、ケストナーの心がそのまま語られていてとても興味深いです。
思ったことをそのまま話しています。
そしてユーモア。すてきです…。
「子どもの家」とは「青少年の家」とか「青年の家」「少年自然の家」と言われるものと同じようです。
うちの子は本ずきのお友達とは違って、すすめたらすぐに、すらすらと読んでしまい、「すごく面白かった♡」と言ってくれるタイプではないので、苦労します。
ルイーゼはものすごく元気ではっきりした女の子で、ロッテはおとなしくて礼儀正しく、辛抱強いタイプです。
見た目も、ルイーゼはもしゃもしゃの巻き毛をそのままなびかせており、ロッテはきっちりおさげに編んでいます。(どっちもすごく可愛いです)
二人は親戚でもないし、名前も違います。
どうしてこんなにそっくりなのか!?
ルイーゼ、自分に顔の似ている子が存在することがそもそも、気に入りません。
この奇妙な偶然のため、みんなの注目のまとです。
机に座っていて食事をしていても、みんな振り返ってはじろじろ見るし、くすくす笑われます。
ルイーゼは、もうがまんできない。がまんしようとも思わない。テーブルの下で、力いっぱい、ロッテの足をけとばした!
ロッテは痛くてびくっと体をすくめるが、ぎゅっとくちびるをかみしめる。
妹子、ここでつまづきました。
「は?は?蹴るの?なんで蹴るの?」
「似てるってのが気に入らなかったんだね…」
「なんで顔が似てるだけで気に入らないの?なんでそれで蹴ったりすんの!?」
憤懣やるかたない感じです。
どうにも納得できないみたいです。
「わたしこいつ(ルイーゼ)だいっきらい!!」
「まあ、待ちなさいよ…」
ここで止まってしまいましたが、なだめすかして、ごほうびを約束して続きを読んでもらいました。
(何がごほうびだったのかはのちほど書きます)
◇
読みづらかったのは、やはり現在形を多用した文章のせいでもあったようです。
脚本を読んでいて、その場面説明をするシーンではよくつかわれているのですけど…。
何事も経験、けいけ…。
「いや、蹴るとかありえないでしょ。わたしだったらね…『は?何すんの?』って言い返してね…。それからね!その足どけてよ!って言ってね…それで…」
報復について延々と考えてます。
ルイーゼは確かにいけませんが、ロッテはまったくの災難です。
しかしここで、先生たちはありえないような判断を下します。
二人の席をわざとお隣どうしにします!!
普通は分けるだろ。
この判断がすごいです。
ロッテにとっては最悪です。
ロッテのお母さんはシングルマザーです。
新聞社で働いています。
そして、ロッテはお母さんが働いていて疲れているので、ごはんの支度をしたり、お掃除をしたり、家のなかのお手伝いをほとんどやっているのです。
「わたしのちいさなお主婦さん」
と呼ばれています。
ロッテは色々と、我慢している子なのです。
なので、お母さんは自分のせいで子供らしくない大人びたロッテを心配して、この子供の家に夏休みを過ごさせようと送り出したわけなのです。
なのに…。
せっかく夏休みを楽しく過ごそうと思ってやってきたのに、この意地悪な子ととなり同士でずっと過ごさないといけないのです!
ロッテがしくしく声を押し殺して泣いていると、手を不器用に撫でる気配がします。
ルイーゼが、なぐさめてるのです!
「蹴っておいて!!今更!!そんなの信用できんわ!逆に怖いわ!」
まだ信用できない妹子です。
「ルイーゼは元気、ロッテはおとなしいけど、あなた自分をどっちのタイプだと思う?」
黙ってしまいました。
「そ…それは...ルイーゼだけど…」
「でしょ!?だよね!?」
笑っていると、腹を立てて言い返してきます。
「でも気に入らない子を机の下で足を蹴ったりしないし!!」
いつまでもここで止まっていられませんので、先に進みます。
妹子には説明してみましたが納得は得られなかったですけど、要はルイーゼは直情的なタイプなのです。
気に入らなければ蹴るし、かわいそうと思えば慰める。
心のままに、思ったとおりに行動します。
子供らしく、元気でわがままいっぱいです。
というのも、ルイーゼはシングルファーザーのお父さんと暮してるのです。
しかもこれがなかなかのセレブです。
芸術家で、オーケストラの指揮者です。
作曲もするのですが、創作活動は一人でやりたい、一人でないとできないので、別に家を借りていてそっちで過ごすことが多いです。
お手伝いさんはいますし、ルイーゼのことをとても大事にしていますし、甘やかしてもいますが、どっちかというとルイーゼはネグレクト気味であるかもしれません。
しかし、改めて読み直してみてもめちゃくちゃ面白いです!!
どきどきワクワク、夢中になってしまいます。
妹子は怒っていますが…。
途中から、んっ?となりました。
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