図書館マイニング「エジプトの少年」 1
今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
ちょっと変わった本を選んでみたいなあと思いながら図書館へ行きました。
まだ手に取ったことのない本。
地味そうな本。
分厚い本。
古そうな本…。
図書館でのドキドキです。
母が図書館に行っている間、私はずっと静かな児童室に放置されていましたが、とても幸せな時間でした。
このひとりでいる時間が大好きでした。
どうしたのかなあ、まだかなあと母を待つのではなくて、本を読んでもう没頭していました。
この時間を得たことは、とても貴重であったように思います。
本が一冊あればいつどこで一人になっても平気でした。
今もやっぱり、普通に過ごしているようで、図書館へ、本屋さんへと、本のある方にいつもひきつけられていきます。
図書館は未知への扉であり、まだ見ぬ宝のある宝庫でもあります。
人が近付かない一角、誰も手に取らない本の中に、思わぬ掘り出し物がある、というのも宝探しに似ています。
児童室で、
「みつばちマアヤ」
「エジプトの少年」
の二冊を借りました。
マーヤ、ではなくて
マアヤ
です…。
いい感じ だ!
しかし、「ミツバチ・マアヤ」ではなくてまずは「エジプトの少年」を開きました。
マアヤは読んでいるので、まだ未読の方を先に読みたかったのです。
どんな本なんだろう。
1955年初版発行。
60年前の本です。
すごいなあ。
検索してもほとんど出てきません。古書で取り扱いされているだけです。
どちらかというと日常系です。
考古学の学者のかたが書かれた本で、考古学の見地から出来る限り当時の風俗を忠実に再現しながら、物語風にひとりの少年の生活を追っています。
主人公セティを中心として、家と学校の行き来の中に、色んな人間関係が描かれます。
とはいっても、ごく普通の少年のごく普通の生活で、何かすごい冒険が起きるわけではないので、淡々と追っていきます…。
古代エジプトの少年の生活、その描写が、じつに生き生きとしています。
まるで本当に、時空の扉を少し開いて、そこから古代の生活をのぞいているようです。
または自分がいっとき、古代の少年であるかのように乗り移って感じられます。
朝、少年セティはお母さんの「起きなさい」、という呼び声で起きました。
優しいお兄さんがいて、学校へ行って勉強をします。
導入のつかみとしては、「カイウスはばかだ」に似ています。
あちらはローマ、こちらはエジプトです。
「カイウスはばかだ」はワクワクする感じですが、こちらは淡々としています。
学校には親友がいて、けんかもするけどいいやつです。
(すごく偏見ですけど、私立男子校のようです)
教室の中には、いつでもそうであるように、目につくイヤな奴がいます。
・特におできになるわけでもないけど、親が権力者なため、先生の方がごまをすって機嫌をとる子供。
・勉強がおできになる上に、目端もきいて、権力者の子どもにうまく取り入ろうとする子。
この取り入ろうとする子は、権力者の子どもには親切に手助けしますが、別の子がへまをしても手をさしのべようとはしないのです。
何の得にもならないので。
そんな子どもたちを見ているのは、感情的で、むらのある先生です。
親切にわけ隔てなく教えてくれる、素敵な先生もいます。
子どもをよく見ていて、どこがわからなくてつまづいているのか、すぐに見分けて、斬新な観点からしてくれます。
理想的な先生ですが、「こんな先生であればいいなー。こんな風に教えてくれればなー」という理想をつめこんだ感じではあります。
一般的には、イヤな先生の方が普通にいる感じです。
読み書きの練習に使うテキストは、実際に発掘されたパピルスの文面です。
いわれない罰を受けた子を皆で策を弄して救い出したりする、ちょっとした冒険が入ったあとは、さらっと家に帰ります。
家では、星座の見方をお兄さんから習います。
「古代エジプトは文明的だった。占星術などが発達していた」
などと教科書で読んで習うよりも、はるかに古代のエジプトの人々が身近に、肌身で感じられます。
こんな風に古代エジプトを感じて欲しいなあ、という作者の気持ち。
その気持ちを感じながらこの本を読んで欲しいなあ、と思うこの本をピックアップして訳することを選んだかたたちの気持ち。
地味で淡々と古代の生活を追うというだけの話だけど、なかなかいいなあ。
でも、地味だから好まれないかなあ。最近なら漫画だろうか。再販はされないだろうかなあ…。
しみじみとなった所で三分の二ぐらい読んだでしょうか。
ん…?
ちょっと、様子が変わってきました。
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