今日の一冊「4こうねんのぼく」
今日、ご紹介するのは絵本です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
父子家庭の子どもが母への想いをつづるだれもが心を洗われる、愛の絵本。(「BOOK」データベースより)
読み聞かせの記録を見直していると、この本を読んでいたのでご紹介します。
確か、4年生のクラスでした。
4年生は星の観察をやるから、この本はちょうどいいんだよね、とベテランのボラさんに教えてもらったのです。
コラボさせて一緒に読んだのは、鳥の鳴き声の絵本でした。
Youtubeで聞いて練習してみましたー、と言ったら、笑いが出ました。
「へー、帰ったら見てみよ」
と言った子もいました。
コジュケイの「コッチャコイ」より、ホトトギスの「キョキャキョク!」の方が受けました。
この頃からもう、Youtubeは大人気でした...。
◇
「4光年のぼく」は、父子家庭のお子さんのお話です。
先生にお話するようなスタイルで描かれます。
絵は明るく、二人兄弟は常に笑顔で、お父さんも毎日元気に過ごしているようです。
この本の話し言葉は関西弁なので、腹に力を入れ、抑揚をつけてお笑い芸人風に大げさに読みました。
「おとうさんの給料日」「理科の宿題で、星の観察がある」というある一夜の日常です。
星の観察があるなら、夜のピクニックしよか、というわけで、コンビニであれこれ買い込んで、「おかのうえこうえん」に向かいます。
高台にある公園で星を見上げるシーンは、絵本の醍醐味、下から大空を見上げるのではなくて、「大空を見上げている三人を上から見る」という絵で、これがまた、わあっと世界が広がる星の世界を見事に描いています。
読んでいると、シーンとなってきて、子どもたちが引き込まれていくのがわかりました。
主人公が、先生に授業で習ったこんな話をします。
・一光年は光が一年かかって地球に届く距離
・一光年離れた星から地球を見ると、一年前の地球が見える。
空想は空を走り、三人はロケットに乗って宇宙旅行へ…。
ものすごーく、めちゃめちゃはやい
こうそくしゅんかんいどうがたロケットでな、
とうちゃんものせたるけどな、
そのロケットで、6せん5ひゃくまんこうねん
はなれたほしにいくねん
そうすると、そこから「めちゃめちゃようみえる」ぼうけんきょうでのぞけば、6千5百万年前の地球が見え、恐竜がみえるというわけです!
ほほー、なるほど!
となったところで、こんな話になります。
4こうねん離れたところからだと、おかあちゃんがみえるな。
おかあちゃんのところ、洗濯ものを干していたり、おにぎりをにぎっていたり…。
とてもなごやかな空気になって…じゃあ、帰るか!
この本、唐突に終わります。
読み終わってから、
「なぜ4光年なんだろう。なぜ、4年前なんだろうか?」
と言ってみました。
父子家庭であるとどこにも書いてないので、どうしてお父さんとだけごはんを食べているのか、どうしてお母さんが見えるのか説明がないです。
ここは余韻が大切に違いない。
自分たちであとでなんでだったんだろう?と思ってもらえたらいいし、気付かなくてもそれはそれで…。
なぜ?だけで終わらせるつもりで問いかけて、じゃあね~と立とうと思ってましたが、
「わたしわかった」
と女の子の声が。
「4年前でなければ、もう会えない、そういうことだったのかな、って」
するどいね!
「なぜ、って考えるのは大事な事だよね~」
でしめて、席を立とうと思ったら…。
「お母さん死んじゃったの?」
「そ、それは...」
「死んじゃった?死んじゃったの!!??しんじゃったの!!??」
最前列の男の子がすごい大声で何度も聞きます。
見たら涙目です。目のふちが赤くなってます。
ええ~…(動揺)
全員の目がじーーっとこっちを見てます…。
とてもこのままで帰れなさそうな雰囲気です。
「そ、そうだね、これは、4年前なら、死んじゃったお母さんが見えるということだったんだね…」
ああ~。
朝から泣かしてしまった~。
しかし、暗さはなくて、終始とても明るい前向きな、とてもいい絵本です。
この日のメモの終わりには
小手先技はいらない。
本そのものの力を引き出すこと。
なんて書いてありました。
余韻を持たせてとかいらなかったのです。
じょうずな関西弁で読むことよりも何よりも、この本のメッセージや心は、子どもたち自身がすぐに気が付いてくれました。
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