「本好きは作るもの」読解力を身に付ける~珠玉の児童書~

「本好きは作るもの」~珠玉の児童書~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

がちキャン△2~ランサム「ツバメの谷」 再読3

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ツバメの谷(上)
アーサー・ランサム (著), 神宮 輝夫 (翻訳)

ツバメ号とアマゾン号』の冒険から一年、ウォーカー家の4人きょうだいは、ふたたび湖で帆船を走らせますが、ツバメ号が突風にあおられ、暗礁にぶつかって沈んでしまいます。船を失った探険家たちは、新たにみつけた「ツバメの谷」でキャンプをすることに。アマゾン海賊姉妹とともに、夏休みの冒険に乗り出します。

 

がちキャン△~究極のアウトドア体験!「ツバメ号とアマゾン号」 再読1 

再読2再読3 再読4(読了)

 

 

がちキャン△2~ランサム「ツバメの谷」 再読1

再読2

  

ブラケット姉妹がやってきて、事情を自分たちの口で話してくれます。

 

頭のかたい大おばさんが「お母さんに自分たちのことでひどいことを言ってる」というその内容はあまり語られないのですが、大人になってからだと何となく「女の子らしくない」「非常識」「レディとしてのたしなみを」的なことを言っていたっぽいことが察せられます。

 

ここは、おとな目線でしんみりくる所です。

 

ナンシイはナンシイなのに...。
そのままでいいのに。
どうして、女らしいとか男らしいとか、世間体とか、そういう枠にがちがちにはめられなければならないのか。

 

それに対するナンシイが想像する報復がすごいです。

 

無人島に置き去りにする
・いかりに縛って海底に沈める
・フカにくわせる
・岩の上においてけぼりにしてカニにくわせる
・木にぶらさげて鳥にくわせる

 

いかにもナンシイの考えそうな、アマゾン海賊らしい発想です。
意思の強さと激しさは、この大おばさんの気性を受け継いでるような気がしないでもないのですが…。

 

この本のいいところは、そのおばさんが「一体どう言っていたのか」を具体的に台詞を出していないところです。
だから、子どもには読んでいても「フーン...?」という感じであまりよくわかりません。

 

ブラケット姉妹が「何を禁止されているか」を言うことでなんとなく知られるだけです。

 

これはすばらしいなと思いました。
大人の説教をあれこれと詳細に書いて、その偏見や保守的なルールがどうであるか、を表現しないことで、完全に子どもの世界のままでいることができるからです。
なのに、こうして大人が読めばそれと知られる...。


さてその内容ですが。

 

・家でごはんを食べないといけない → ある意味当たり前です。
・キャンプ禁止 → 四六時中、というのはどうなのでしょうか。
・金さがし禁止 → これはゴールドラッシュの採掘ごっこのことだと思いますが、だとすると要はアナホリです。
・毎日いい服を着ていなければならない → ナンシイのレースのドレス姿がちらっと見られるのですけど、いったいどんな感じだったのだろう…み…見たい!!

 

う~ん。

 

改めて見ると、どうなんでしょうか?

 

 

もう一つ面白いのは、お互いの世間話に年長組が夢中になっている間、ティティとロジャの年下組がこの世間話がだんだん、つまらなくなってきたことです。
子どもあるある!

 

二人とも抜け出し、ティティとロジャは、川沿いに遡って橋の下をくぐり、探検します。
川沿いを探検して見つけたもの、ここのワクワク感は、本当に子供に帰ったかのような素晴らしさです!!
ここは詳しく書けませんが、キャンプ、冒険の楽しさをすべて詰め込んだようなスリリングな楽しさです。

 

2巻目のツバメの谷は帆走よりもこの、探検や冒険、キャンプのいりまじったリアルな面白さが際立っています。

 

また、キャンプにつきものの危険というものが、ある意味テーマであるかのように、きちんと描いています。
非常事態、それもまた、キャンプの一貫です。

 

 

これまでの4人兄弟姉妹の子どもたちの行動は、

 

 ヤマネコ島に来る。
  ↓
 ナンシイたちを待ってて来ないので馬蹄湾に移動、かまどを作り煙の合図を立てる。
  ↓
 合流して、話している間にロジャとティティ、川沿いですばらしい発見をする。
  ↓
 ナンシイたちと別れてヤマネコ島に戻り、一晩過ごす。
  ↓
 次の日にまた馬蹄湾でナンシイたちと合流をする…はず…だった。

 

という流れです。

 

ジョンは、ナンシイたちよりも早く馬蹄湾に付きたいと考えていますが、先に入られてしまいました。

 

ヨット帆走は、天候や風の動きに左右されますから、予定を立ててこうしよう、と決めてもその通りに行くとは限りません。

 

ジョンの中に、ナンシイに対するライバル心のようなものがあります。
(実際、ナンシイの方がベテランですし、明らかに経験豊かです)

 

また、谷の探検のための懐中電灯探しや塩による遅れが、ジョンの注意力を失わせます。

ティティとロジャは驚かせようの思ってまだ発見のことを話していないので、なぜ懐中電灯が必要なのかジョンにはわかりません。

 

結果、ツバメ号は...。
開始5分の1くらいの所で...(正確に言うと561ページ中85ページの所で)、強い風にあおられ、岩にぶつかって、難破してしまいます!!

 

あー!!!
このときの読んでるこちら側の絶望も半端ないです。
帆走のやり方や、波や風の読み方、帆の操り方などまで、詳細でリアルなため、本当に、目の前で座礁した気分になります。

 

素晴らしい谷を見つけた、
馬蹄湾への先着争いでアマゾン号と競争したいジョン船長
ティティが懐中電灯を探す
スーザンが品物をおさらいして、塩を取りに戻る(二分の遅延)
焦って船を走らせて座礁

 

これのおかげで、二巻は船よりも陸の冒険やキャンプ生活がメインになります。

 

よりいっそうがちキャン△なわけです。

 

ここからは

 

洞窟
登山
遭難

 

です!

 

息つく暇もなく面白いです。

 

(なんとなく図解)

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画:妹子

 

(続きます)

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

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