大人が読む児童書「魔女ファミリー」 4 読了 何よりもハロウィンにふさわしい、子どものための小説です。
大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。
この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
7歳の女の子エイミーが魔女の絵を描きながら「いけ、ガラス山へ!」と命令すると、悪名高い魔女ばあさんが本当に追放された。空想と現実がたくみに交錯する長編ファンタジーの新訳。
ほぼ半分くらいまで、こうして大騒ぎしたところで、ついにハロウィンがやってきます。
(割と早いです)
というのも、このハロウィンのできごとがメイン。
ハロウィンの作品です!
そして、重大な転換が起きます。
分身とも言える状態だった、ちび魔女とエイミーが入れ替わってしまうのです!
ここから、魔女の世界をエイミーが冒険することになります。
これは面白すぎるので絶対言いたくない内容なのですが…。
本そのものが、若干ネタバレしています。
(旧訳の方なのですが)
昨日、母の通院日だったので、病院にいました。
大変長く待たせる病院なので、続きを読むためにこの本を持って行っていました。
そのとき、本を開いてはいなかったのですが、腕に抱えてました。
すると、向かいにいる小学生高学年ぐらいの少年が、じーーーっと裏表紙を見ています。
私に気付かれても、ずっと裏表紙から目を離さずにいます。
じーーーーっ(<●><●>)
うんそうだね、これちょっと気になる挿し絵だよね。
☟これが、裏表紙の絵です。
実は妹子のお友達、あらゆる本を(妹子よりもはるかに)飲むように吸収してくれるのですが、この「魔女ファミリー」だけは何となくすすみませんでした。
相性もありますし、無理に進められないな~。
面白いと思うんだけど、どうしたんだろう?
面白くないかな?と聞いてみると何と
「すごく怖いから」
という返事が返ってきました!
もう、リアルにスリリングすぎてとても怖いのだそうです!
特に、裏表紙のこの絵がすでに怖かったらしいです。
確かに、読み返していると、魔女は魔女なので、ちび魔女ちゃんのお友達の魔女の子と言えど、怖い、恐ろしい所があります。
悪い魔女である設定の魔女ばあさんはともかく、ちび魔女と仲良くなる人魚の子も、仲良くなごやかに遊んでいたのに、ちび魔女が帰ろうとすると不思議な甘く誘うような魔力のある歌声を出してきます。(セイレーン?)
ちび魔女、眠くなって帰れなくなりそうになったりして、そのあと眠っていたら一体どうなっていたのかわからない怖さがありました。
◇
そして、ちび魔女がぽん!と現れたりする、いきなりな展開のお話なのですが、細かい所でものすごくリアルです。
・エイミーは、「たまにかなしがることころをたのしむところがある」
・ちび魔女は、指から火花がだせるいもうとの赤ちゃん魔女が一瞬、ねたましくなる。
・クラリッサはパーティがすきだが、エイミーは声をあげてさわぐパーティはすきではない。
などなど、細かい所で女の子たちの心の機微をとらえるのがすばらしく上手いです。
ねこについてこんなこと書いてあります。
「あの子は、いつまでも六つのままなのよ。あのネコだっておなじ。うまれたときから、六週間のまんま。」(わたしたちのネコも、そうだといいですね。)
まったくです。
妹子「いやいや、こっちの寿命がつきるわ!」
◇
ストーリーも面白いのですが、こういう、すこし「!」と思うところが重なって、なおかつ、笑えるところもあって、物語どんどんに引き込まれていくという、トリプルコラボレーションです。
これ以上ハロウィンにふさわしく、しかもばっちり長めの「小説っぽい本型」であるという本は、なかなかありませんので、ぜひぜひ、今年のハロウィンにあわせて読んでみて欲しいと思います。
どうでもいいですが、久しぶりに読み返してみたら、魔女の正しい座り方は「横座り」だそうです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
The Witch Family
Kindle版 Eleanor Estes (著), Edward Ardizzone (イラスト)
最後の最後に、ネタバレになりますが、英語版では「glass」が「grass」になるという、非常に小粋なことば遊びのエンディングが用意されており、それはそれは感動です。
いや、日本語でも十分に感動なのですが、なぜガラスが草?、これはさすがに、英語版ならではの仕掛けです。
何から何まで面白い一冊です!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「百まいのドレス」を持っていると言い張る、まずしいポーランド移民の女の子ワンダ。人気者で活発なペギーが先頭に立って、みんなでワンダをからかいます。ペギーの親友マデラインは、よくないことだと感じながら、だまって見ていました…。どんなところでも、どんな人にも起こりうる差別の問題を、むずかしい言葉を使わずにみごとに描いた、アメリカの名作。ロングセラー『百まいのきもの』が50年ぶりに生まれかわりました。(「BOOK」データベースより)
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