大人が読む児童書「大どろぼうホッツェンプロッツ」 4
大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。
この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
おばあさんの大切なコーヒーひきが、大どろぼうホッツェンプロッツに盗まれてしまいました。大魔法使いツワッケルマンや妖精も登場して、少年カスパールとゼッペルの大活躍がはじまります。
大人が読む児童書「大どろぼうホッツェンプロッツ」 2 生クリームをかけたプラムケーキ
大人が読む児童書「大どろぼうホッツェンプロッツ」 3 帽子=名前 チェンジ作戦
カスパールは大魔法使いツワッケルマンの家で、ゼッペルはホッツェンプロッツの家で、それぞれこきつかわれることになります。
ツワッケルマン、カスパールの品定めをします。
魔法使いは、めがねをはなの上にかけると、カスパールをじろじろみました。カスパールは、できるだけばかのような顔をしました。
「こいつ、みかけどおりのばかかな?」と、大魔法使いツワッケルマンは、たずねました。
「すくなくとも、みかけより、りこうということはないさ」と、ホッツェンプロッツはこたえました。
カスパール、ホッツェンプロッツのときにしたのと同じように、名前をまちがえてばかと思わせる作戦を展開します。
カスパール「シュナッケルマンさん」
ペトロジリウス=ツワッケルマンは、ふんがいしました。
「こいつ、わしの名まえをかってにかえたな!」と、魔法使いはおこってさけびました。
大魔法使いも、まあまあなばかです。
カスパール、次々に間違えてみせます。
ツェプロディリウス=ワッケルツァーン
レプロツィリウス=ハッケルシュパン
エプロリジウス=ダッケルシュワンツ
シュペクトロフィリウス=ツァケルシュワン
レプロツィリウス=ハッケルシュパン
妹子「むしろこっちのほうが言うの難しくない?」
それわたしもちょっと思いました。
このユーモラスさ、テンポのよさ、面白さ…!
やっぱりホッツェンプロッツは最高です!
◇
ツワッケルマンの館で下働きすることになった(ばかのふりをした)カスパール、夜になって逃亡をこころみるのですが、どうにもうまくいきません。
この、「どうしても出ることが出来ない」状態が、いかにも不思議な魔法の世界が、もう自分たちがRPGで慣れ切った魔法と違って、この今の世界、現実としっかり結びついているような不思議さがあります。
こちらで言うなら、おいなりさんの鳥居あたりに漂っている気配…のドイツ版に共通するような不思議さです。
外に出ることはできないのですが、食べ物はたっぷりあります。
このツワッケルマンの塔、食糧貯蔵質のさらに地下から、不気味な声が聞えてきます…。
カスパールは、好奇心とその音の悲劇的な響きに耐えられず、禁止された塔の地下へ降りていきます…。
◇
このあたりから、妹子どころか久しぶりに読んでいるわたしが耐えられなくなってしまいました。
妹子をおしのけ、一人で先を読み始めます。
わたし「(読みながら)ちょっと!『大どろぼうホッツェンプロッツふたびあらわる』と、『みたびあらわる』持ってきて!文庫で買ってたよね?行方不明になってたから探してきて!」
妹子「たぶん、ある場所わかると思う」
5分ほどで、見つけてきてくれました。
わたし「(読みながら)兄助!お風呂洗って!妹子!ごはんたいてくれる!」
たまに陥る、とんでもなくひどい状態です。
(あくまでたまに!たまにです!)
とうとう、この1日でついに、「みたびあらわる」まで全部読んでしまいました…。
といっても、一応児童書だし読みやすいので、1時間ぐらいで読んでしまいました。
あー、面白かった…。
◇
このお話、グルメもいっぱいですが、作者のプロイスラ―が書く世界はとにかく、魔法でいっぱいです。
ホッツェンプロッツの続編も続続編もそうですが、ほかの作品もです。
昔ながらの不思議な伝説の気配です。
プロイスラ―は、チェコのリベレツ出身だそうで、ドイツ・ポーランド・チェコのちょうど境のところにある街でした。
ちょうどすぐそばに、よくプロイスラ―の作品に名前が出て来る「ザクセン州」とか「ドレスデン」の名前がありました!
一度でいいから行ってみたい、憧れの土地です…。
(食べ物もおいしそう…)
はっ、今はコロナが流行ってるんだった...😞
◇
ここから展開される、ツワッケルマンの地下室にひそむ謎…。
「立ち入りおことわり」の3度の禁止を破って立ち入ったその先にあったのは…。
不思議な声の正体は…
なんて、こんな有名な作品だと、ものすごく今更なのですが、一応ここまでにしときます。
詳しい内容は、買ってもらって確認してもらうとして、あともう1回だけ、「大どろぼうホッツェンプロッツ5」の記事を書きたいのですが、これは、食べ物について集中的にじっくり、たっぷり語りたいと思います。
◇
ここからは、読んだ人向けの個人敵なつぶやきです。
まさに、大人になって読んでからの感想です。
妖精アマリリスとツワッケルマンの関係性、これはいったいどういうことなのだろう?と、昔つくづくと考えたことがあります。
アマリリスは妖精の国の住人で、空中にとけて消えて行くような描写がありますから、基本はそちらにいるものと思われます。
人間界に住んでいて、あくまで人間がベースであるらしき悪人の大魔法使いツワッケルマンと、いったいどうして親交があったのだろうか?
ホッツェンプロッツもですけど、根っからの悪人ではありません。
三冊目で改心したホッツェンプロッツが、「悪人であることを演じ続けるのは疲れる」と言っているシーンがあります。
ツワッケルマンも、基本、性悪ではあるのですけど、そこまでではなかった時期があったのかもしれません…?
わたしがね、ときどき、ちょっぴり、あの人の魔法のじゃまをしたの。そしたら、わたしのことが、いやになったのね。わたしが、あの人に気をゆるしすぎたのを、いいことにして、わたしをだまして…
この、なんとなく含んだような、納得がいくようないかないような説明が、いつまでも頭に残っていました。
気を許しすぎた…?
どういうこと…?
もちろん、こんなのはもやもやと心の中で考えてるだけで、子どもたちには言わないようにしています。
そんなことあるわけないでしょ!と完全に言い切れない、完全に最初から最後まで敵同士であったわけではなさそうな、なんらかの交流があったことをにおわせるアマリリスの説明です。
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