今日の一冊「ふしぎな銀の木 スリランカの昔話」
今日、ご紹介するのは絵本です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
『きつねのホイティ』『ねこのくにのおきゃくさま』でおなじみの作家シビル・ウェッタシンハさんは、幼いころスリランカ南部の村でたくさんの昔話を聞いて育ちました。そのなかでも大好きだったのが、この『ふしぎな銀の木』です。物語は、王の夢に現れた「銀の木が生え、銀の花が咲き、銀の実がなり、そして木のてっぺんで銀のオンドリが三度鳴く」という不思議な世界を、三人の王子が探しにいくお話です。旅の途中でふたりの兄王子たちは誘惑に負けてしまいますが、勇敢な末の王子だけは、まばゆいばかりに美しい白の乙女、金の乙女、そして銀の乙女にたどりつきます。しかし、やっと出会えた乙女に王子はある決断をしなくてはならなくなります。そのあと地面から生えてきたものこそ、あの「ふしぎな銀の木」なのでした。89歳になる作者が、なつかしい記憶を思いおこしながら描いたこの作品は、スリランカの豊かな色彩と、目に浮かぶように語られていくことばの魅力にあふれています。
こちらは、絵がとても異国情緒にあふれて素敵なスリランカの昔話です。
内容はロシアの昔話などによくあるモチーフで、
「三人の王子と賢い末の息子」
という、たとえば「(ロシアの)火の鳥」のお話とよく似ています。
ロシアの火の鳥、これは手塚治虫の「火の鳥」のルーツとなった民話です。アニメ映画にもなっていました。
せむしのこうま|マンガ|手塚治虫 TEZUKA OSAMU OFFICIAL
昔話には、世界中に似たような話がたくさんあるようで、伝播したのか、それとも、地域を問わず、世界全体に通じる何らかの共通概念のようなものがあるのか…。
共通点はありながらも、お話は各地によって違い、それぞれの文化に彩られていて、興味深いです。
スリランカのある王さまが、銀の木の夢を見ました。
銀の木に銀の花に銀の実、銀のオンドリの高らかなときの声
謎を解くために、三人の王子が旅に出る所も同じです。
この途中で兄二人がたいてい、何らかの誘惑に負けて足止めをくらってしまうのですが、このお話の場合、
「たべて……たべて……たべて!」
→頭に長くて太い日本の角
「のんで……のんで……のんで!」
→大きなみどり色のカエル
欲望を抑制きず、本能の赴くままに行動した結果、獣になるというパターンです。
一人ずつ行って、戻って来ないから次の王子、というパターンと、三人一緒に旅立つパターンとありますが、この場合は三人一緒に進んで途中で枝分かれする、という形でした。
◇
末の王子は、瞑想している隠者の所に行きつきますが、隠者の挿絵など、仏教文化の影響を感じます。
隠者の導きに従って「神秘の洞窟」へ
戦うのは毒蛇、すずめばち…
黒いじゅうたんのようなスズメバチの死がいをふみしめて、洞窟のなかへ入っていきました
黒いじゅうたんのようなスズメバチの死がい!
ヒッ…ヒイー!
出会うのは
白の乙女
金の乙女
銀のおとめ
バニアンの木の下で休むというのが、気になりました。
調べてみると、ベンガルボダイジュ(Wiki)、沖縄で言うところのガジュマルの木のようです。
助けられた二人の兄がわるさをして、弟の足を引っ張るのも
計・画・通・り
期待を裏切らないお兄ちゃんズ。
アジアンテイストの絵がとても素敵です。
しかし、おとめをいつも全員切り殺すところがすごいです。
(そのたびに生き返ります)
何を示唆しているのだろう?
不思議なままに強い印象を残します。
いらぬ分析はなしに、そのままに受け取りたいと思います。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
きつねのホイティ (世界傑作絵本シリーズ) (日本語) 大型本 - 1994/3/25 シビル ウェッタシンハ (著, イラスト), Sybil Wettasinghe (原著), 松岡 享子 (翻訳)
ごちそうが食べたい一心で、人間に変装してやってきたきつねと、それを知っていながら、だまされたふりをする村人たちとのやりとりをユーモラスに描いたスリランカの絵本。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ねこの国におかしな仮面をかぶった2人組がやってきました。2人が踊りをおどると、そのすばらしいこと! でも、王様から仮面をとるように言われます。さて、2人の正体は……?
まだ、かさのない村から、生まれてはじめて町へでかけたキリ・ママおじさんは、「なんてきれいで、べんりなものだろう」と、よろこんでかさを買って帰りました。ところが、村に帰って、お店でコーヒーを飲んでいるうちに、かさは、だれかにぬすまれてしまいました。何度かさを買って帰っても、ぜんぶぬすまれてしまったおじさんは、どろぼうをつかまえてやろうと思い…?スリランカを代表する絵本作家が、小さな村を舞台にのびのびと描く、ユーモラスで楽しいお話です。(「BOOK」データベースより)
日本の昔話に触れるのは、自国文化の伝統を学ぶ第一歩だし、世界の昔話に触れるのは、文化の相互理解の第一歩だと思います。
なにより、見ているだけでもうっとりするエキゾチックな絵の数々です。
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