~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「ガンバとカワウソの冒険」 2 都会っ娘ナギサの魅力

大人が読む児童書。
積ん読・解消計画★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ガンバとカワウソの冒険
斎藤 惇夫 (著), 薮内 正幸 (イラスト)

ガンバと15ひきの仲間は,ゆくえ不明のネズミをたずねて四の島に渡ります。そこには,想像をこえる体験が….

 

 

大人が読む児童書「ガンバとカワウソの冒険」 1  -

 

 

 

序盤を慎重に読み進めます。
ナギサが生意気で可愛くて、すごく魅力的に見えるので、読んでいて楽しいです。

 

ナギサに教えられたとおり港に行くと、この乗船チェックをしている忠助おやじの所には、乗船を待つ、長い列が出来ていました。
忠助おやじはシジンのチェックをして、乗船許可を出してくれましたが、乗船者はそこで最後になりました。

 

時間が来て定員いっぱい、船のネズミ枠は満席になってしまいます。
すごいシステムです。

 

そこに、「まって!」という声が…。
何らかの用事があって遅れたナギサが、みずからも乗船をもとめて現れました。
しかし、時間切れとのこと。
忠助おやじ(税関)は、規則(何かの)に従ってナギサの乗船を拒みます。

 

可愛いヒステリーを起こすナギサ。
汽車(←)の中であったヘンな田舎ねずみに時間を取られて、遅れてしまったのよ!

 

「そうよ!あなたさえいなけりゃ、わたし、おくれたりしなかったのよ!駅であなたがうろうろするものだから、むだな時間をとっちゃったのよ!あなたさえいなけりゃ、今ごろわたし船にのりこんでいたのよ!」

 

やつあたり気味なのですが、事実は事実ですし、そのヒステリーが何か…可愛いです💖
ナギサには、どうしても行かなければならない理由がある様子…。

 

シジンは、入れてあげてくださいと頼むのですが、乗船チェックおやじにきっぱりと拒否されてしまいます。
10日後にも船は出るとのことですが、それでは遅いの!と嘆くナギサ。

 

涙を浮かべて肩を落とし背中を向けるナギサに、シジンは、「これからどうするんですか?」と聞きます。

 

「乱ち気パーティをやるのよ。飲んで踊って、それからどうなるか、あんたみたいなボウヤにはわからないわよ。」

 

なんかすげえこと言い出した。

 

こ、これは…。
ちょっとやっぱり、今までにないキャラです。
ガンバシリーズということでなく、児童文学に出て来る女性キャラとしても、あまり見たことがないです。
シジンをほっとけなかったように、情には熱くて、少しすれた感じの都会のお姉さんぽいです。

 

 

ここで、「乗る権利を譲ることはできるが、心から愛しているものにだけである」という乗船のルールが知らされます。

 

「お前はナギサを愛しているのか?」と忠助おやじに詰問されるシジン。
いきなりお話の最初から 恋人とか愛してるとか、(シジンの女、とかいう表現もあったぞ…)これはそういう話なのかな。
作者も、幸せな恋愛ものが書きたくなったのかもしれないです。

 

さんふらわあ
フェリーだこれ。

 

そこに、ならず者っぽい大きなネズミがぬうっと出て来ます。
譲ることが出来るんなら、「じゃあ俺だっていいじゃん」、と主張してきます。
まあ、感じは悪いですが言ってることはごもっともです。

 

ナギサは、譲られることを辞退したわけですし…。
というのは、船に乗りたい理由にはそれぞれのねずみたちに、それぞれの理由があって、シジンの心に燃える、旅をしたい!という望みもまた、ナギサの理由と同じぐらい唯一無二の熱いものであることを、忠助おやじもナギサもわかっているからです。

 

忠助おやじ「心から大切に思い、愛している者だけにしか…」
ならず者ネズミ「おれを愛してるって言えー!!」

 

わたし「    」

 

今まではシジンはすごく臆病者のおどおどした感じの田舎ネズミという感じでした。
あまりはっきりと意思表示もできず、口下手で弱虫…。

 

しかし!ここで、「いい…いい…いい…いやだ!
ときっぱりと 否定します。

 

当然、大乱闘になりますが、一方的にやっつけられるシジン。
そこに、どこかに行ってしまったかと思われたナギサが突然、暗がりから現れて(やりとりを聞いていたのでしょう)…。


ナギサ、いきなり後ろから、ならず者ネズミの尻尾に噛み付きました!
この子、喧嘩もやるのか。気が強くて奔放で、いい感じです♡

 

このあたりのすったもんだは、とてもストーリーのきちんとした漫画にもありそうな展開で、非常に想像しやすいですし、子どもたちにもすんなり受け入れられると思います。

 

 

追い払われたならず者、ナギサはシジンの乗船権利を譲渡されて旅立ちました。
「あのひとと一緒に行くわ」という言葉を残して…。
シジンの(旅立ちたいという)心と一緒に、旅をする。
乗船の権利を譲るというのは、プロポーズを受けるのと同じぐらいの意味があるのでした。

 

残ったシジンは、年寄り忠助おやじに見込まれて、乗船チェックの仕事の跡継ぎに指名されました。
一体どういう展開。

 

しかしこれは、シジンとナギサの長いお別れでした。
ナギサは帰ってくると言ったのに帰ってきません。

 

シジンはどこかで、あきらめようという気持ちもあって、ガンバやヨイショたちと、ノロイの冒険についていったりしたのでした…。

 

という話です。

 

 

これは、ナギサは恋人とか彼女と呼べるのか微妙です。

 

たった一日会っただけの仲、行かなければなかった理由もわからない。帰って来るかもわからない。
ナギサの心が本当にどうかもわからない。
謎めいた女の後を追う、そういうお話です。

 

しかし、このナギサという子は、喧嘩っぱやいし口は悪いし、でも嘘は付かないし真っ正直である、そんな感じがします。
この子の魅力がこのお話の肝なので、じっくりと堪能します。(変態的なコメント)

 

東北地方から東京に出てきた若者。
(寅さんの住んでるような)東京の下町界隈の、チャキチャキの江戸っ子気質の女の子。

 

という二人のような感じです。
私は初版発行年や、その当時の書かれた背景を考慮して読んでますから、こんな風に感じますが、子どもはどうでしょう。
しかし、妹子やそのお友達にも、このナギサはとても生意気で可愛くうつったようでした。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

冒険者たち ガンバと15ひきの仲間
斎藤 惇夫 (著), 薮内 正幸 (イラスト)

イタチと戦う島ネズミを助けに,ガンバと15ひきの仲間は、船で夢見が島に向いました。しかし、白毛ノロイがひきいる、どうもうなイタチの群れに追いつめられ、海岸の岩山で最後の決戦の時をむかえます。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ガンバの冒険シリーズ  全3冊
斎藤 惇夫 (著), 薮内 正幸 (イラスト)

 

 

 

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