~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「長い長いお医者さんの話」 1 チャペックの傑作

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

長い長いお医者さんの話
カレル・チャペック (著), ヨセフ・チャペック (イラスト), 中野 好夫 (翻訳)

チェコの文豪カレル・チャペックの楽しい童話集。しんせつな町のお医者さんたちや、はたらき者の郵便屋さんが活躍するしゃれたおとぎ話9編を、兄ヨセフのゆかいな挿し絵が飾ります。

 

 

ながいながいペンギンの話を読み返してから、そうだ!久しぶりに「長い長いお医者さんの話」も読もう、と思って取り出してみました。

 

兄助も大好きだった本ですが、何と妹子はまだ読んでいません。

 

改めて読んでみると、色んな所にびっくりです。

 

これほど紹介が難しい本もないなと再読してから思いました。
面白いところが多すぎます。

 

「ロボット」という言葉を創設した人として有名なチャペックの作品です。

 

カレル・チャペック紅茶店の説明にも、「長い長いお医者さんの話」は出てきます!

 

しかし、読み返してみて思いましたが、これはもちろん原作者がすごいのもそうなのですが、翻訳があまりにも、あまりにもすぐれていて、これを超える訳は到底現れないのではないか、というようなすばらしさです。

 

もちろん、「ルンペン」などのように、今はもう使われない単語が多々見られたりもするのですけど、今はどうなってるんでしょうか…改定しているのかな?

 

しかし何かもう、そういう次元を超えておもしろいです。

 

引用が多くなってしまうかもしれませんけど、読みなおしがてら、紹介してみたいと思います。

 

いぬいとみこさんも大好きな「長い長いお医者さんの話」です。

 

 

「長い長いお医者さんの話」は、9話から成るお話です。
短編集です、といいづらいのは、一つ一つのお話がなかなかボリュームがあるからです。

 

長い長いお医者さんの話
郵便屋さんの話
カッパの話
小鳥と天使のたまごの話
長い長いおまわりさんの話
犬と妖精の話
宿なしルンペンくんの話
山賊の話
王女さまと小ネコの話

 

この本は、好きな所から読むのが一番いいです。

 

おすすめは

 

「長い長いお医者さんの話」と
「長い長いおまわりさんの話」と
「王女さまと猫の話」です

 

ああ、でもどれも甲乙つけがたい…。
しいて言えば、今一つの面白さだったのは

 

「宿なしルンペンくんの話」
「山賊の話」

 

でしょうか。
しかしこの二編は、おとなになってから読むのだと、非常に皮肉と風刺がきいていて面白いです。

 

 

第一のお話 「長い長いお医者さんの話」

 

(この1記事だけで、どれだけ「長い長い」と連呼しているのだろう…。相当書いたような気がします)

 

冒頭から、魔法使いが出て来るのですが、一風変わった魔法使いです。
変わった魔法使いはたくさんいるのですが、こんな変わり種はそういないかな、と記憶をさぐって思います。


近所のおじちゃんにいそうな感じなのですが、何といっても魔法使いなので、思いつきで気紛れにあれこれやらかします。

 

むかし、むかし、ずっと大むかし、ヘイショヴィナの山に、マジャーシュという魔法つかいが住んで、魔法の修業をしていました。魔法つかいといっても、ほら、うらないをしたり、病気をなおしてくれたりする、よい魔法つかいもあれば、また、人を苦しめる悪い魔法つかいもありますね。ところがこのマジャーシュは、よくもなし、悪くもなし、ちょうどそのまん中ごろの魔法つかいだったのです。

 

たいへんな気まぐれもので、魔法のマの字もつかわないで、一日じゅうポカンとしているかと思うと、急に思い立って、ゴロゴロ、雷を鳴らしてみたり、ピカピカ、イナズマをとばせてみたりします。あるときなどは、雨のかわりに小石を降らしてみたら、さぞおもしろいだろうなと考えてみたのですが、さて、いよいよとなると、気がかわって、かわいい雨ガエルを、何万何千となくザアザア降らしてしまったのです。

 

こんなとてつもないことをしでかす魔法つかいなんて、ちょっと、しまつにこまりますね。

 

この魔法使いさん、ある日ウメの実を食べていて(毒では…?)、結論から言うと、喉につまらかしてしまいました。
魔法使いの弟子が、足をすっとばしてお医者さまを連れてきます。

 

このお医者さん、困ったちゃんのこの魔法使いを困らせ返ししてやろう、と思いつきました。

 

やられたらやり返

相当に重い病気だと重々しい顔をして伝え、手術のためだと言って、仲間の医者を呼びにやります。
そして、待っている間に、退屈なのでお話をきかせることになりました。

 

この本は「お話の中の話」仕立てが多く、お話が入れ子構造になっています。
枠物語とか話中話と 呼ばれるもので、アラビアンナイトなどがその代表です。
(シェハラザードが王様にお話を話して聞かせます)

 

最初に誰がどの話を話していたのか、分からなくなることもあって苦手でしたが、この長い長いお医者さんの話に限っては、それすらも、いったいどこに連れて行かれるのかわからない楽しみがあって大好きでした。

 

アラビアンナイトはへたをすると、if 関数よりも複雑に「入れ子入れ子入れ子」になっている時があって、なかなか難解でした。
別の話を追っているうちに、元の話に戻れないことがよくありました。

 

チャペックは大変バランスが取れています。

 

この後呼ばれた仲間の医者も話をするので、まさに「長い長い」。
魔法使いは、長~~~いこと、喉にウメの実をつまらかしたままで、待たされることになります。

 

声は出ませんけど、窒息の心配はないみたいです。うなずいたり、話をきいたり、割と活動的です。

 

魔法使いだからです。(強調)

 

一般人だったら、あっという間に死んでしまいます!

 

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ダーシェンカ 愛蔵版
カレル・チャペック (著), 伴田良輔 (翻訳)

世界中の犬たち、そして犬に手を焼き、それでも犬がかわいくてたまらない全ての人たちのために-----愛犬家カレル・チャペックが犬好きの心をギューと掴んではなさない名著を新・決定版として刊行。愛犬ダーシェンカのために書かれたおとぎ話8篇、エッセイ、イラスト、写真で構成された、読んで楽しい・見て愛くるしい愛蔵版です。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ロボット
カレル・チャペック (著), 千野 栄一 (翻訳)

ロボットという言葉はこの戯曲で生まれて世界中に広まった。舞台は人造人間の製造販売を一手にまかなっている工場。人間の労働を肩代わりしていたロボットたちが団結して反乱を起こし、人類抹殺を開始する。機械文明の発達がはたして人間に幸福をもたらすか否かを問うたチャペック(一八九〇‐一九三八)の予言的作品。

 

 

 

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