~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「長い長いお医者さんの話」 4 カッパと小鳥と

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

長い長いお医者さんの話

カレル・チャペック (著), ヨセフ・チャペック (イラスト), 中野 好夫 (翻訳)

チェコの文豪カレル・チャペックの楽しい童話集。しんせつな町のお医者さんたちや、はたらき者の郵便屋さんが活躍するしゃれたおとぎ話9編を、兄ヨセフのゆかいな挿し絵が飾ります。

 

 

大人が読む児童書「長い長いお医者さんの話」 1 チャペックの傑作  -
大人が読む児童書「長い長いお医者さんの話」 2 チーズをはさんだパンのおいしさ  -
大人が読む児童書「長い長いお医者さんの話」 3 中野 好夫氏の名訳 アッババババァ  -

 

チャペックは、それはそれは愛犬家として知られていて、犬について描く表現が本当に愛情にあふれています。

 

しかし、「お姫さまと小ネコ」のお話もそうですし、小鳥のお話もそうですが、チャペックは動物が好きなのです!(力説)

 

動物たちすべてへの(もちろん人間も含めて)愛があふれています。

 

その数々の動物たちの中でも、異彩を放っているのがカッパです。

 

カッパ…。
チェコにカッパ?

 

最初は、現代だったら「水の精」と訳されてしまうのかなあと思いました。
「カッパ」と「水の精」では、受ける印象もえらい違いです。

 

今まで読んで来た限りのヨーロッパ系列の「水の精」というと、人魚の地上版という感じで、ローレライとか、ウンディーネとか、そういうイメージです。

 

しかし、このチャペックのお兄さんの書いたという絵を見ても、どう見ても間違いなくカッパです。


カッパとしか言いようがないカッパです。

 

検索してみましたが、チェコの伝説の水の精は、頭にお皿こそないですが、限りなく日本のカッパに酷似していて、これはカッパで間違いはないだろうなと思いました。

(カッパ連呼)

 

カッパたち、世間話してるのですが金持ちガッパや貧乏ガッパなどのうわさ話です。

金持ち父さん貧乏父さんじゃないんだから…。

 

これは読んでいて完全に、人間の生活する上での調度品を水製に置き換えただけで、明らかに人間社会の風刺です

 

チャペックのお話は、現代への風刺もきかせて、こどもだと「?」という所もあったりするのですが、とにかく言葉が次々に繰り返すのが面白くてとてもやめられません。
しかも風刺っぷりが 一風変わっていて 面白いのです。

 

「水からして、ただの水じゃなかったねえ。バタのように、切ってたまに丸めることもできたし、つむいで系にしようと、よじりあわせてひもにしようと、自由自在だった。鉄のようなの、麻のようなの、ガラスのようなの、ハネのようなの、クリームのようにこってりしたの、カシの木のようにがっちりしたの、毛皮のガイトウのようにあったかいの、とまあ、いろいろさまざまの水があったものだ。ああ、あ、なさけない!今どき、アメリカまでいったって、こんな水はありゃしない!」
こういって、リシュカじいさんは、やたらにつばをはくものですから、とうとう、ふかい池ができてしまいました。

 

こんなの、チャペックでなければ絶対思いつきません。

 

独創的な想像力の面白さは、まさに追随を許さず、本当に他の本では見ることができません。

 

そして、小鳥にしろわんちゃんにしろ、カッパにしろ、それぞれのおじいさん「小鳥のおじいさん」「カッパのおじいさん」「犬の妖精の長老」などという人が出てきて、若者たちが話をせがみます。

 

こうして、さまざまな年よりが若い者たちに話をきかせるのですが、その中に出てくる登場人物たちは、お姫さまも、神さまさえ、

 

ことりならとり
カッパならカッパ
犬なら犬

のすがたかたちをしています。

 

カッパのお姫さまはこんな感じです。

 

クワクワクンカ姫は美しいおかただった。きいろいカエルのおなかと、カエルの足をしておられてな、耳から耳まで、わんぐり開いた愛らしい口もともカエルにそっくりだし、そして、からだはいつもしっとりとぬれて、冷たかった。ところでその美しさといったら、まずあれほどの美人は、ほかにはひとりだっていなかったねえ」

 

てかこれ、カエルじゃーん!!
つまりカッパとはカ…

 

 

「小鳥と天使のたまごの話」

 

かわいい小鳥のお話です。 

 

と言いたい所なのですが、やっぱりこちらも、カッパと同じように、人間社会を小鳥で表現しているところは変わりありません。
恐るべきはその観察力です。

 

小鳥たちなので、ピーチクパーチク、おしゃべりが主です。

 

傑作なのは「アメリカへ行った小鳥」についてのうそ話…いやいや、うわさ話です。

 

それにまた家のおそろしく高いこと。だから、スズメが屋根に巣をかけるとするとね、まちがってたまごをおっことすと、そのたまごがね、地面にとどくまえに、途中でヒヨコが生まれる。いや、それどころじゃない、大きくなって、およめさんをもらって、子どもを生んで、そして年をとって、よぼよぼになって死んじまうんだってさ。だから、つまり舗道へ落ちるのはたまごじゃなくて、年とって死んだじいさんスズメばっかりだっていうじゃないの。

 

そういえば、カッパのお話にもアメリカが出て来たな…?
やっぱり、アメリカは新天地だったのでしょうか。

 

実際にアメリカに行こうと息巻く鳥は、自分はテニスで名を挙げてみせるというのですが、こんな感じです。

 

「いいかね、サッとかまを打つようなかっこうをしておいて、さて、たまのかわりにぼく自身が飛んでゆくのさ。相手がラケットで打とうとする、そこをヒョイと身をかわして逃げるんだ、どうだね、諸君?みんな負かしてしまったら、ぼくはひとつ、お金持のアメリカ人をおよめさんにもらって、別荘を一つ買いこむんだ。そして屋根に巣を作るんだな。」

 

ツッコミどころ満載です。

 

他のアメリカ帰りのツバメが、威張って最新式のコンクリートでの巣の作り方を教授しようとします。
(このツバメの話を話して聞かせてるのは、ヤマガラのおくさまです)


「エヘン、さて紳士、淑女諸君、ただ今よりわがはいは、アメリカにおけるコンクリート燕巣(えんそう)の建築法をせつめいしようと思うのであるが」とこんな調子ではじまります。

 

…近代式燕巣(えんそう)というものは、すなわちこのカユ状物質をもって建造するのである。もっともセメントがない場合には、シックイだけで製作することもできる。すなわち石灰と砂とをもってカユ状物質を作るのであるが、ところがそれには、まず石灰に水をそそいで熱を生じせしめ、これを消石灰にする必要があるのである

 

ちょっとこどもには意味がわからない難しい話で煙に巻かれたところで、絶妙に笑えるシーンがはさまれてます。

 

このツバメくん、実際にやってみせようと、石灰のかたまりをくわえてきたのですが、「クチバシがしめっていたから」たまりません。

 

「石灰が口の中で熱くなりはじめたのさ。さあ、おどろくまいことか、悲鳴をあげていったってさ。<さてこのとおり石灰は……アッチチチチ、アッツイ!アウアウアウアウ、チチチチ、ブルブルブル、くわばら!!ああ、神さま!!アッ!バババババ……このとおり、熱っ!このとおり……アウアウ、石灰は……アア、神さま!!>これを見てね、ツバメたちのほうがおどろいたのよ。もうたくさんとでもいわないばかりに、みんなしっぽをまいて帰ってしまったってさ。まあ、そんなわけで、せっかくアメリカ先生のお骨おりだったけれど、いまだにッバメは泥で巣をこしらえるんだって、まあそういうんだけど……あらたいへん、そうそう、わたし買物にいってこなくちゃいけなかったんだわ。」

 

昔風ではあるんですが、軽妙な語り口に「アッババババァ」とか「アッツゥ!」とか、読んでいて爆笑です。

 

かなり古い訳でありながらも、ここまで売れ続けているのも納得です。

 

 「小鳥と天使のたまごの話」

天使のたまごが出てきません。

 

 

…つづきます。

 

 

whichbook.hatenablog.com

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ダーシェンカ 愛蔵版
カレル・チャペック (著), 伴田良輔 (翻訳)

世界中の犬たち、そして犬に手を焼き、それでも犬がかわいくてたまらない全ての人たちのために-----愛犬家カレル・チャペックが犬好きの心をギューと掴んではなさない名著を新・決定版として刊行。愛犬ダーシェンカのために書かれたおとぎ話8篇、エッセイ、イラスト、写真で構成された、読んで楽しい・見て愛くるしい愛蔵版です。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ロボット
カレル・チャペック (著), 千野 栄一 (翻訳)

ロボットという言葉はこの戯曲で生まれて世界中に広まった。舞台は人造人間の製造販売を一手にまかなっている工場。人間の労働を肩代わりしていたロボットたちが団結して反乱を起こし、人類抹殺を開始する。機械文明の発達がはたして人間に幸福をもたらすか否かを問うたチャペック(一八九〇‐一九三八)の予言的作品。

 

 

 

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