大人が読む児童書「たのしい川べ」 1 イギリス児童文学の傑作
今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
ケネス・グレアムの「たのしい川べ」。
児童文学界に燦然と輝く超・名作です。
文句なしの超・名作…ですが…。
これを、「今の子どもたち」に読んでもらおうとすると、なかなかのひと努力を必要とする気がします。
ですが、苦労させてでも読ませる、それだけの価値はある本です!
牧歌的という言葉がよく使われていますが、これ以上ふさわしい言葉があるだろうか…という作品です。
どちらかというと、大人にすすめた方が間違いなくハマってくれるのではないかな?と思いました。
歴史に残る本であることは間違いない作品です。
版権が切れていますので、グーテンベルク(版権切れ掲載のデジタル図書館)に出ていますが、原文を読んでみても、本当に読みやすくて、英語としての文章が美しく、原文も美しければ翻訳も美しいという、どこからとってもすばらしい、奇跡のような芸術品です。
(ほめちぎってますけど、ほめすぎるということはないと思います)
◇
再読にあたってざっと紹介すると、登場人物は4ひきの動物たちです。
Wikiによると、階級による風刺も含んでいるみたいですが、あまり考えなくとも普通に面白いですし、そんな知識関係なく大丈夫です。
階級の風刺はともかくとして、明らかに3びきと1ぴきで明らかにキャラが違います。
モグラ、ネズミ、アナグマくんの三びきは、実に素朴で堅実な人柄(人柄?)です。
礼儀正しいし、たまにいたずらなところもあるけど、基本優しくて、心からよいお友達になれそうな、なって楽しそうな人たち(ひと…?)です。
この動物たちのほのぼのとした川ぞいの日常生活、それだけでも素晴らしいのですが…。
やはり…。
それだけでは終わらないです、。
この「たのしいかわべ」において一番重要な、一番面白い、一番やっかいでお話を引っかき回すキャラは、ヒキガエル君です。
このキャラの強烈さ、人間臭さ、お騒がせ度。
児童文学中でも屈指の…何かを…何かを、誇ります。
チャンピオンです。(何かの)
そんな面白い、スーパーキャラ立ちしたヒキガエルなのですが、出てくるのは後半戦です。
前半で主に出てくるのはモグラ、ネズミ、アナグマなので、ヒキガエルはちらっと登場するのみです。
目次はこんな感じです。
1.川の岸
2.街道
3.森
4.アナグマ氏
5.なつかしのわが家
6.ヒキガエル
7.あかつきのパン笛
8.ヒキガエルの冒険
9.旅びとたち
10.ヒキガエルの冒険のつづき
11.夕立のごとく涙くだりぬ
12.英雄の帰還
さし絵はE.H.シェパードさん。
「くまのプーさん」の挿絵を書いたかたです。
このかたの絵がなければ、これほど広まることがあっただっただろうかというほど、影響が大きいです。
(見ていて楽しいので好きなんですが、正直わたしは、ディズニーのウサギのビジュアルはいまだに受け入れられないです)
◇
もちろん、ヒキガエルが一番ものすごいのは間違いないのですが、導入としてこの
1.川の岸
も、本当に面白くあれこれ起きる、読んでいて楽しい章です。
この冒頭第一章、春の大掃除を放り出して走り出すモグラの気持ち、生活に疲れた現代人にはすっごくよくわかる、と思われるのではないでしょうか…
少なくともわたしは共感しすぎて胸がいたくなるぐらいでした。
2.街道
で、ヒキガエル屋敷のご紹介。
6.ヒキガエル
ここ、ここです!
ここから、ヒキガエルの活躍(?)がはじまります。
7.あかつきのパン笛
だけは、その中でもずいぶん趣が違っていて、ここでは「美しい牧歌的描写」の最高潮です。
8章からはもう、ヒキガエルのものすごいやらかしは、ラストまで全力疾走しています。
おそらく、子どもが一番面白いと思われるのはこのヒキガエルのやらかしなのであって、はまってもらうためには、ここをピンポイントで読み聞かせてみるのもよいかもしれません。
続きが気になって仕方なくなること間違いなしです。
こちらでは、版権切れのため無料で原書が読めます。
「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492
◆プロジェクト・グーテンベルクについて
☞Wikiの説明ページ
プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリカ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館。
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