~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「たのしい川べ」 4 ヒキガエル君とは2

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

たのしい川べ
ケネス・グレーアム (著), E.H.シェパード (イラスト),  石井 桃子 (翻訳)

人里はなれた静かな川べで素朴な暮らしを楽しんでいるモグラやカワウソたち.わがままで好奇心旺盛なヒキガエル.小さな動物たちがくりひろげるほほえましい事件の数々を,詩情ゆたかに描いた田園ファンタジー

 

 

大人が読む児童書「たのしい川べ」 1 イギリス児童文学の傑作

大人が読む児童書「たのしい川べ」 2 原文も美しく翻訳も巧み & まるでコント

大人が読む児童書「たのしい川べ」 3 ヒキガエル君とは…?

 

 

ネズミは断固反対でしたが、このキャンピング馬車(ジプシーのほろ馬車)での旅、モグラは楽しそうだと思いました。


嫌がる馬を 追い回して、無理やりつかまえ(笑えます)、ヒキガエル、ネズミ、モグラは三びきで出発するのですが…。

 

川辺のピクニックの時もそうでしたけど、キャンプとかバーベキューとか、アウトドアのレジャーは、とにかく準備と片付けが大変です。

 

さらに、これはアウトドア遊びの時には本当によくあることですが、忘れものがあったら買い足しをしないといけません。
「もちろん、ヒキガエルは、いろいろなものを忘れてきていましたから──」

 

ネズミは、ヒキガエルをずっと心配しています。ひとりでおいておいてはあぶないと言うのです。

 

いい大人(っぽい)のに、どうしてあぶないのか?
それはすぐにわかりました。

 

このヒキガエル、めっちゃめんどくさい奴です。

 

朝、ヒキガエルはいくら起こしても起きないので(耳が痛いです)

 

モグラとネズミは、しずかに、また男らしくしごとにとりかかって、ネズミが馬のめんどうをみ、火をおこし、ゆうべのお茶わんやお皿をかたづけたり、朝ごはんのしたくをしたりするあいだ、モグラは、かなり遠いところにある、いちばん近い村へ、ミルクやたまごや、そのほかの必要品──もちろん、ヒキガエルは、いろいろなものを忘れてきていましたから──を買いに出かけました。さて、このような大しごとを、みんなすませたふたりが、すっかりつかれて、ひと休みしているところへ、やっとヒキガエルは、元気いっぱい、にぎやかに起きだしてきました。

 

モグラとネズミも、ただお世話してあげるだけじゃありませんでした。
またキャンプするのですが、このときは

 

こんどは、ふたりのお客も気をくばって、ヒキガエルにも、しごとのわりあてがいくようにしました。そのせいで、つぎの朝、出かけるときになると、ヒキガエルは、もうこの原始的生活の単純さを、それほど夢中になってほめはせず、それどころか、力ずくでひっぱりだされたつり床へ、もう一度もぐりこもうとさえしたのでした。

 

自分は楽しいのかもしれないけど、やらなきゃいけないことはたくさんある…。

 

いいとこどりで、気分が乗っている時ははしゃいでいるけど、いざ面倒くさいことにぶつかると、あっという間にいやになってしまう。

 

ヒキガエル、明るくておしゃべりで気がよくて、いいやつではあるんですけど…、付き合うのはたまにでいいかなー、というタイプです。

 

ヒキガエルがキャンピング馬車での旅をいやになってきた、ちょうどそのとき、大事件が起こりました。

 

事故です!

 

物損・人身・接触、事故は色々ありますが、とりあえずよ~~く読み返してみたのですが、ギリギリ接触事故に当たるか当たらないか…。

 

ものすごいスピードで走ってきた自動車を、かろうじてよけた馬車ですが、馬があまりの猛烈さにびっくりしてしまった結果、馬車はみぞに転げ落ちて壊れてしまいました。

 

こうして、かれらの自優とよろこびの種だった、このうす黄色の馬車は、ひとゆれ、大ゆれにゆれ、胸のはりさけるような音をたてたかと思うと、みぞのなかにひっくりかえって、とりかえしのつかない、こわれものとなりはてました。

 

めちゃくちゃに壊れてしまった馬車ですが、ネズミとモグラが調べてみたり、この大惨事に絶望したりしているのに…。

ヒキガエルの様子が変です。

 

ヒキガエルは、まるで夢でもみているように、うれしそうににっこりしながら、あのらんぼうものが、ほこりをたてていったあとを、まだじっと見送っているのです。そして、まだときどき、「ぶー、ぷーっ!」とつぶやいていました

 

どうやら、自動車にひとめ惚れしてしまったらしいのです。
これははじめてではないらしく、今までも何かにハマっては飽きて放り出す、ということを繰り返してきたようです。


ここで面白いのは、ネズミがヒキガエルに「ちゃんと警察に行って告訴するように」と助言していることです。
(このどうぶつたち、何となく人間世界に混じって普通に生活しています)

 

しかし、ヒキガエルは自分の馬車を壊した自動車をうっとりしながらうわごとのようにほめたたえるのみ。

「すばらしい、胸のおどる光景だ!」びくとも動かず、ヒキガエルはつぶやきました。「あのスピード!これこそほんとの旅のありかただ!いや、これだけが旅のありかただ!村はとぶ、町も都もジャンプする──いつもあたらしい世界があらわれる。ああ、すばらしいかな!ぷー、ぷーっ!!ああ、なんとまあ!」

 めちゃくちゃに壊れた馬車を片付けようともしません。

 

モグラとネズミの二匹はしかたなく、馬車や荷物についても「できるだけの処置」をして、押しても引いても動かないヒキガエルをなんとか電車に押し込んで、家に帰り付きました。

 

翌日、ヒキガエルが大型の高級自動車を注文した、という話が伝わってきました。

 

 

このお話はこれで終わらず、むしろこれがすべてのはじまりと言うか…。
この自動車狂いのせいで、ヒキガエルは大変な目にあうことになるのですが、やることなすこと、ツッコミどころ満載です。

 

ときどき反省して泣き言を言ったり謝ったりするのですが、ハンドルを握るともう別人です!

 

夢中になるとあとさき何も見えなくなり…。
あれやこれや、めちゃくちゃをやらかします。

 

 

ここからの展開をざっとお話していくと

 

「3.森」「4.アナグマ氏」
アナグマ氏に会うお話です。
アナグマに会いに森に行ったモグラ君が、とてもこわい目にあいます。
スラム街や裏町のようなイメージです。
アナグマ氏は強いので誰も手出しできず、ヒキガエルのお父さんのお友達だったとのことで、ヒキガエルにお説教できるただ一人の人です。

 

「5.なつかしのわが屋」
1話目から、春の大掃除をほったらかしてしまっていたモグラ君の家がいったいどうなったのか…。
ネズミ君と一緒に、家に帰ります。
何と、クリスマスの時期なので、春というのが3がつか4月だとして、9~10か月はほったらかしで、ネズミの家に入り浸っていたことになります。
本の裏表紙の地図を見るかぎり、この二人の家、さほど遠くはありません。

 

「6.ヒキガエル
乱暴運転で物損事故をたくさん起こし、病院には入るわ、警察と喧嘩までしているらしきヒキガエルに、アナグマ氏がお説教します。
まるで薬物依存症治療のように、部屋にとじこめてしまうのですが、ヒキガエルはすきをみて逃走します。

 

結論:自動車窃盗・公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為・警察官侮辱罪(日本にはないそうです)などの罪で投獄されてしまいました。

 

「7.あかつきのパン笛」
この本きっての、最高に美しい章です。
いなくなったカワウソのぼうやを探して、川上へと向かったネズミとモグラは不思議な音を耳にします。
太陽が昇る直前の、おごそかな時間の中で、夜明けと共に消えていくまぼろしのような美しい眺め──児童文学史上屈指の名シーンです。

 

「8.ヒキガエルの冒険」
ここからがヒキガエル君の転んでも多々では起きない、腕のみせどころがはじまります!

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

たのしい川べ―ヒキガエルの冒険(ハードカバー)
ケネス・グレーアム (著), E.H.シェパード (イラスト),  石井 桃子 (翻訳)

ヒキガエルアナグマモグラなどがひっそりと暮らす静かな川辺。素朴な動物たちの詩情ゆたかな空想物語。

 

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

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