~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

今日の一冊「クリスマス キャロル」

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

クリスマス キャロル
ディケンズ (著), 杉田 比呂美 (イラスト), こだま ともこ (翻訳)

クリスマスイブだというのに、ケチで心の冷えきった孤独なスクルージには、まったくおめでたいとは思えない。その夜、7年前に亡くなった仕事仲間の霊がやってきて、スクルージを助けるために3人の霊をよこすという。過去、現在、未来の霊が彼に見せたものとは? ――100年をこえて世界中の人々に愛されてきた、心あたたまるクリスマスの物語を、読みやすく美しい日本語で。

 

クリスマスの時期なので、「クリスマス・キャロル」です。

 

くるみ割り人形」か、「クリスマス・キャロル」か考えたのですけど、短い方にしました。
そんな理由かよ…。

 

紹介するのにどの本にしようかと迷ったのですが、すごく、たくさん、訳本が出ています。
あしながおじさん」と同じです。

 

スクルージさんはけちん坊の守銭奴
クリスマスであろうとなかろうと関係なく、働いています。

 

事務員がひとりいるのですが、暖房をケチっているので凍えそうです。

 

どうでもいいのですが、私の会社も今、コロナで換気が必要とかで、冬なのに窓を開けっぱなしているので、すごくよく気持ちがわかります。

 

コロナ感染を防ぐために、真冬の窓を開けっぱなし。
風邪をひくじゃないですかねえ!!

 

はっ、つい、日ごろのうらみがこんな所に…。

スクルージさんのけちんぼうぶりはこうです。 

ところで、このスクルージときたら、なさけ知らずのひどいけちんぼうでした。しぼり屋で、ひねり屋で、にぎり屋で、かき集め屋で、ひったくり屋で、ほんとうにこまった欲ばりじいさんでした。はがねでたたいても、気持よくぱっと火の出たためしのない火打ち石のように、かたくとがっていました。そして、つきあいもせず、口もきかず、かきの貝がらのようにひとりぽっちでいるのでした。

 

やっぱり、ディケンズのこの表現のうまさです。
どんどん、話に引き込まれていきます。

 

原島 善衛さんの訳です。(少年少女文学全集より)

 

からだの中のつめたさは、おいぼれた顔をとおらせ、とがった鼻のさきをしぼませ、ほおをしなびさせ、歩きぶりまでこわばらせていました。目は赤く血ばしり、うすいくちびるは紫色でした。そのうえ、しゃがれ声で、がみがみものを言うのです。髪の毛、まゆ毛も、とんがったあごも、霜をおいたようにまっ白でした。

 

暖房をケチっているのでこわばりそうな事務員さんには同情してしまうのですが、スクルージさんはケチでやっているのであって、暖房をつけながら窓を開けっぱなしておくという愚劣の極みな行動をとっているわけじゃないですよね?
(個人的な恨みは忘れろよ…)

 

元気でゆかいな明るい甥っ子さんがやってきて、クリスマスに一緒に過ごしませんかと誘うのですが、スクルージさんはきっぱりことわります。

 

ほとんどろくな返事もせず、途中から「さようなら」しか言わないのですが、この甥っこさんは負けません

 

「じゃ、さようなら!」
「ねえ、おじさん、だって、あなたはぼくが結婚するまえでも、一度もうちへいらしてくださらなかったじゃないですか。だから、結婚したからおいでにならないという理由にはならないでしょ?」
「さようなら。」と、スクルージは言いました。
「ぼくは、おじさんから何もいただこうとは思っていませんし、何もおねがいしたりすることもありませんよ。それにしても、なぜ、おたがいに、なかよくなれないのでしょう?」
「さようなら。」と、スクルージは言いました。
「おじさんが、こんなに、がっちりしているところをみると、ぼくはほんとになさけなくなりますよ。ぼくは、一度だって、おじさんをあいてにけんかなどしたことはないけれど、今クリスマスに敬意を表して、あなたとなかよくなれるかどうか、ためしてみたのです。」

数えてみたら、総計6回、スクルージさんは「さようなら」を言ってます。
甥っ子さんめげないです。

 

何かこれ、デジャヴあるな…。
そうかわかった。

カナヲだ!
(一緒にするなと思われたかた、ごめんなさい)

 

このあとに、チャリティを頼みに来る紳士たちもいるのですが、これまた結構粘ります!
皮肉をまじえたおことわりにまったく気づかないふりをしてガンガン話を進めるあたり、読んでいて、「頑張るな~」と感心してしまいました。

 

こんなごりごりのけちん坊で、どうにもならないようなスクルージさんですが、共同経営者のマーレイの幽霊が現れてから、だいぶ考えが変わります。
というのも、このマーレイさんの現れ方がものすごく恐ろしいです。

 

そもそも、スクルージさんの住んでいる家がまた恐ろしいです。 

それは、 中庭の奥の 黒ずんだ 建物の中にある、 一並びの部屋でした。 この建物は、 こんなところにあったのではほとんど役にたたないので、 きっとこのうちがまだ子どものころ、 ほかのうちとかくれんぼうをして、 走りこんだまま 出口を忘れてしまったものとしか思われませんでした。

 

この家の、ドアノッカーについている小さな顔がマーレイの顔に見え始めます。

 

一瞬だけで、そして消えます。
扉を閉めると、すごい反響が響き渡ります。
何かの引き金になっているようです。

 

そして、突然呼び鈴のひもが触ってもいないのに揺れて…。
使ってもないのに鳴り始めて…。
家の下から、何かが…重い鎖を引きずりながら上がってくる音が……。

 

これはマジで怖いです。

 

思い返せば、「くるみ割り人形」も軽くホラーだったし、クリスマスのお話はホラーなのが定番なんでしょうか?

 

whichbook.hatenablog.com

 

現れてからも、スクルージさん、信じないぞ!とかなり頑張るのですが…。
途中で鎖をガチャガチャされ、さけび声を上げて「ぞっとするほど気味のわるい音」をたてられ、腰を抜かすほど驚いて信じるようになりました。

 

マーレイさんは、三人の幽霊が訪れるだろう、と予言をしていなくなります。

この三人の幽霊が「過去のクリスマス」「現在のクリスマス」「未来のクリスマス」なので、幽霊は総計、4名、現れたことになります。 

 

最初にマーレイさんにひどくおどかされたのですけど、いちばん幽霊らしい幽霊はマーレイさんで、他の三名は「クリスマスの霊」なので、それほど怖くはないです。

 

ディケンズのたくみな筆による、とても楽しい、クリスマスの風景が繰り広げられます。

 

 

私も久しぶりに読んだのですが、カナヲだと思うと、スクルージさんのこともなんだか可愛く思えてきました。(ごめんなさい)

 

欲深な心をいましめる作品ともいえますが、私のような心の汚れた人間は逆にチャリティを疑いを持って見てしまう所があります。

 

スクルージさんとしては、「そもそも税金払ってるし、そのための施設だってちゃんとあるよね」というのが言い分で、確かにそれはごもっともです。

 

「一銭だってあげる義理はない、だって自分のお金だもん」て言われたら、確かに反論する余地はないです。

 

それに何より悪いことに、チャリティーに熱心なお金持ってる人というのが、何となくあまりいい印象がないのはなぜなのでしょう。

 

施しというのは、正直いい気持ちがしません。
何となく上から目線がムカつくというのもありますが、借りを作らせることによってそこに上下関係ができてしまうのがまたなんか不愉快な気持ちがします。

 

する方にもされるほうにも あまりいいことはない、それがチャリティ。

 

そういう風に意地悪な心で思ってしまうので、こういう時は思い出すことにしています。「しない善よりする偽善」

 

しかし、スクルージさんのような人は大歓迎です。

なぜなら、生まれ変わったスクルージさんは、自分のためにやってるからです。

 

何となくチャリティにいい気がしない、そういう所に、スクルージさんなら大歓迎!と思わせる、それがディケンズの力であり、物語の力なんだと思います。

 

 

原文が、グーテンベルクで出ています。
人の声による朗読もあるのが、嬉しいところです。

www.gutenberg.org

 

 

 

 

クリスマス・キャロル
ディケンズ (著), 村岡 花子 (翻訳)

ケチで冷酷で人間嫌いのがりがり亡者スクルージ老人は、クリスマス・イブの夜、相棒だった老マーレイの亡霊と対面し、翌日からは彼の予言どおりに第一、第二、第三の幽霊に伴われて知人の家を訪問する。炉辺でクリスマスを祝う、貧しいけれど心暖かい人々や、自分の将来の姿を見せられて、さすがのスクルージも心を入れかえた……。文豪が贈る愛と感動のクリスマス・プレゼント。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

クリスマス・キャロル
チャールズ ディケンズ (著), ジョン・リーチ (イラスト), 脇 明子 (翻訳)

クリスマス前夜、けちで気むずかしいスクルージの前に現れた3人の幽霊たちは、過去・現在・未来を見せてくれたのですが…。19世紀イギリスのクリスマスをいきいきと伝える物語。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

クリスマス・キャロル
ディケンズ (著), 越前 敏弥 (翻訳)

世界中でもっとも愛されているクリスマス・ストーリーの名作!文豪としてのチャールズ・ディケンズの名を世界的なものにならしめた不朽の名作。クリスマスの物語として毎年一篇ずつ書かれたクリスマス・ブックの第一作で、発表後まもなく驚異的な大ベストセラーとなった。クリスマスの前夜、老守銭奴スクルージのもとに、「過去」、「現在」、「未来」の三幽霊と、昔の相棒マーリーの幽霊が現れ、これまでスクルージが行ってきた冷血非道な行いの数々を見せる。それでも最初は気丈にふるまうスクルージだったが、やがて自分の人生の空虚さに気づき、改心して真人間の生活に立ちかえることを決意する。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

クリスマス・キャロル
ディケンズ (著), 池 央耿 (翻訳)

並はずれた守銭奴で知られるスクルージは、クリスマス・イヴにかつての盟友で亡きマーリーの亡霊と対面する。マーリーの予言通りに3人の精霊に導かれて、自らの辛い過去と対面し、クリスマスを祝う、貧しく心清らかな人々の姿を見せられる。そして最後に自分の未来を知ることに。

 

 

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クリスマス・キャロル
チャールズ ディケンズ (著), ブレット ヘルキスト (イラスト), 三辺 律子 (翻訳)

その日、よりにもよって一年の中でいちばんすてきなクリスマス・イブに、スクルージは事務所で仕事をしていた。そこへ、おいのフレッドがやってきた。「クリスマスおめでとう、おじさん!」「ふん、ばかばかしい」スクルージは、やさしい心のかけらもない、がんこな老人だった。「わたしの好きなようにできるなら、『クリスマスおめでとう』などと言ってまわるような愚か者は、グツグツにこんで、ヒイラギの枝をブスリとさして、土の下にうめてやるところだ!」ところがその夜から、スクルージの前に、三人の幽霊があらわれて―小学生のうちに読みたい名作。

 

 

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クリスマス・キャロル
チャールズ・ディケンズ (著), 井原 慶一郎 (翻訳)

一年で一番楽しい日、クリスマス・イブ。欲深い老人スクルージのもとに幽霊があらわれて……文豪ディケンズの名作を炉端での幽霊話を念頭においた読みやすい語り口調で翻訳。時代背景がよくわかる詳注と解説、日本初紹介となるディケンズ公認のアメリカ版挿絵25点を加えた、大人の読者のための新訳決定版!

 

 

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クリスマス・キャロル―A Christmas carol
英語版 チャールズ・ディケンズ (著), Charles Dickens (著)

TOEICレベル 470点以上

 

 

 

 

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

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