~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 2 マミられてしまったきんばえ。世界の美しさと残酷さ。

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

みつばちマーヤの冒険
ワルデマル・ボンゼルス (著), ホーマー・ボス (イラスト), 毛利孝夫 (翻訳)

 

 

「昆虫すごいぜ」から、「みつばちマーヤ」

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 1 エーミールを訳された高橋健二さん

 

 

 ※今回は、若干、閲覧注意!な内容です。

 

序盤の、生まれたてで、カッサンドラにお世話してもらうマーヤは、すごくかわいいです。

 

元気でちょっと生意気ですが、何だか上品です。

 

彼女(カッサンドラ)は、マーヤの美しくかがやいている、まだやわらかくて、まあたらしい、なんとも言えずすばらしくすきとおっている羽をつかまえて、あまり出はいりするもののないすみっこへおしやりました。はちみつのつまっているいくつかの穴の前でした。
マーヤは立ちどまって、戸だなの一つに、しっかりつかまりました。
「ここは、すてきなにおいがするわ。」と、マーヤはカッサンドラに言いました。

 

叱られると

 

マーヤは赤くなって、手の細い指を日本、口のなかへいれました。
「それなあに?あまのじゃくって?」と、彼女ははにかみながらたずねました。

 

カッサンドラが、花を暗記させようとすると

 

「第一行目はすぐにおぼえられますよ。『エリカとぼだいじゅの花』っていうの、まねして言ってごらん」
「言えないわ」と、小さいマーヤは言いました。「恐ろしくむずかしいわ。あとで自分の目で見られるんでしょう」

 

可愛い!
可愛さは正義ッ!

 

カッサンドラも、理由はわからないけれど、マーヤにとつぜん特別な愛情を感じ、ほかの子ばちには教えないようなことをさまざま、教えます。

中でも、この時カッサンドラに教えてもらった人間に対する特別な愛情とあこがれが、マーヤの心に強く印象づけられることになりました。

 

 

最初の飛行は本当に美しい描写です。
門の外の、最初のあふれる光、金と緑のかがやき、太陽、花、ひとつひとつの言葉が見事です。
こんな風に世界を新鮮で美しいと感じることがあっただろうか、と単純に感動します。

 

花のガクのことを、うてな、と訳しています。

 

彼女はうきうきとうれしくなって笑い、チューリップのうてなの中からみつの汁を深く一飲みすいこみました。 

 

チューリップのうてな、ってきれいな表現だな~~。
本当にうてなのことを「うてな」て書いてある文を、それほど読んだことがない気がします。
(この高橋健二訳マーヤでは、「うてな」の語彙は頻繁に登場します)

 

朝になったらなったで、朝つゆの表現がまたすばらしいです。

 

すると、花びらがかすかに動くにつれて、きらきら光る銀いろの玉が、彼女のほうにころがってきました。マーヤと同じくらいの大きさで、すきとおっていて、にじの七色にきらめいていました。このすがすがしい銀の玉のきらびやかさに、マーヤはうっとりしましたが、同時にひどくびっくりしました。すきとおったまりはころころところがって、花びらのふちを越して、かしいだかと思うと、日光のなかに飛びこんで、草のなかに落ちました。

美しい玉が下でたくさんの小さい真珠にくだけるのを見ると、マーヤはかすかに驚きのさけび声をあげました。ところが、こんどは草のなかで、たいそう生き生きとみずみずしくきらきら光り、ふるえる小さいしずくとなって、茎を伝わっており、燈火の光をうけたダイヤモンドのようにきらめくものがありました。それが、しめっぽい夜のあいだに、花のうてなのなかでできた大きな水のしずくだったことを、マーヤは知ったのでした。

 

マーヤが初めて目にした、「朝つゆ」。
この水滴ひとつを、ここまで丁寧な表現で、美しく描写しています。

 

これは、第二話のペッピーというばらこがねの家での話でした。

1話でみつばちの巣を出て、2話ではじめて会ったみつばち以外の虫との交流です。

 

さまざまな虫たちと出会いますが、みつばちは上品で高貴な一族、という位置づけです。

このばらこがねのペッピーは、若干粗野で、田舎紳士。お嬢さんが知り合った市勢の人といった感じです。

お嬢さんといっても、みつばちは戦う一族なので、弱い感じは一切ありません。
男女なんて感じさせない、(そもそも虫でもありますし)ちょっと不思議な雰囲気です。

 

 

さて三章。「森の湖とそこに住むものたち」です。
妹子さんは面白いと言ってご満悦です。

 

妹子「マーヤかわいい
わたし「そうだね」
妹子「わたしの中でね、マーヤはピュアで上品。白いドレスでね」
わたし「へー」

 

白いドレスのマーヤか。

 

妹子、今の世代の子どもたちもみんなそうですが、このマーヤのイメージがないのですよね。


 なので、どういう想像をしているのか聞くのが新鮮です。

 

妹子「そう、白いドレスでね、髪は長くて、はだしなの。いかにもみつばちっていう羽がついてて…みつばちの誇りを持っている」

 

確かに、このマーヤは生意気なかわいらしさはともかく、なかなか上品です。

 

妹子「いぶかしむ!って出てきたよ!すてきな日本語。怪しんでって意味だよね?」

 

学校で影響されて、虫やだ~とか言うのですが、マーヤを読むと影響されて、コガネムシ可愛いとかいうので、子どもはコッロコロ変わります。

 

ここから、💀閲覧注意!💀です。

 

 

「小さな鋼鉄いろのきんばえ」とマーヤ、話をする展開になりました。

 

妹子「ハンス・クリストフ?はえか…なら、目を大きくしないと🤔。蝶ネクタイをつけて…。」

 

絵のことを考えてるようですが、私は胸がどきどきしてます。
この先の展開、大丈夫だろうか…。

 

その時、まったく思いもしなかったような恐ろしいことが起こりました。(略)
ちょうど風が枯れ葉のなかでうなるようなひびきでした。そのうえ歌うような、ひゅうという声と、獲物を追うかん高い怒りのさけびが聞え、すきとおった美しい影が、マーヤのとまっている葉っぱの上をさっとかすめました。

 

とんぼです。

 

「水とガラスと宝石のようにきらめく」美しいとんぼが、たった今まで話していたきんばえ、ハンス・クリストフを捕まえてしまいました。

 

とんぼは、いたってうちとけて言いました。
「ちびさん、いったいあんたはどうしたの?」
「そのひとをはなしてやって。」とマーヤはさけびました。目に涙が浮かんできました。「そのひとは、ハンス・クリストフっていって……」
とんぼは、ほおえみました。

(略)

「そうね、こりゃ、かわいいちびさんだことね。」と、彼女はなさけぶかそうに答えてから、その頭をかみきりました。

  

妹子「こわっ!!!!こっわ。こっわ!!!いきなり猟奇的なんだけど!突然すごいびっくりしたんだけど」

 

わたし「食べられた?」

 妹子「恐すぎでしょ!これ怖い話なの!?読む自信なくしたんだけど!」

わたし「いやそこがピークだから。この先これ以上怖くならない。マジでそこが一番こわい。お母さんも読んだとき本当にびっくりした」

 

弱肉強食の世界、きれいごとでは終わりません。

 

あまりにも美しいこの世界には、唐突に、思いもよらない残酷なことが起きるのでした。

 

マーヤ、ペッピー、ハンスと名前がついていたり、挨拶をしたり、擬人化とでも言うようなキャラ造形なので、何となく予定調和なほのぼのを想像するでしょうが、そんな予想をこなごなに打ち砕く衝撃展開です。

 

わたし「妹子さん、大丈夫?」
妹子「これ、あれだよ!!マギってやつ!」
わたし「ま。マギ…?」
妹子「あの『わけがわからないよ』とか言う白いきつねみたいな奴が出てくる!頭からパクッと食べられちゃうあれ!」

 

も、もしかして…。
まどマギのマミさんのこと言ってる…?

 

わたし「いったいどこでまどマギを知ったんだ」
妹子「学校でもみんな知ってるよ。YouTubeでいっぱい出てるもん。」 

 

Youtubeェ……。

 

いくら家で必死になってロックしていても、友達から見せられるYouTubeまで防ぐことはできなかった……。

 

しかし、マミさんのおかげ?で、妹子はこの世界に残酷さが存在することには深く納得し、続きを読み進めていくのでした。
これでいいのか?

何か複雑……。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

魔法少女まどか☆マギカ

大好きな家族がいて、親友がいて、時には笑い、時には泣く、そんなどこにでもある日常。市立見滝原中学校に通う、普通の中学二年生・鹿目まどかも、そんな日常の中で暮らす一人。ある日、彼女に不思議な出会いが訪れる。この出会いは偶然なのか、必然なのか、彼女はまだ知らない。それは、彼女の運命を変えてしまうような出会い--それは、新たなる魔法少女物語の始まり-- ©Magica Quartet/Aniplex・Madoka Partners・MBS

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

みつばちマーヤの冒険
ワルデマル ボンゼルス (著), 熊田 千佳慕 (著)

フランスのファーブル愛好家から"プチ・ファーブル"と親しまれている細密画家、熊田千佳慕氏が馬の毛3本の絵筆を駆使して5年、ついにあのワルデマル・ボンゼルスの名作"みつばちマーヤ"を美しい絵本として完成させました。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ジュニア版ファーブル昆虫記 全8巻セット (日本語) 単行本 - 2005/4/1 ジャン・アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (著), 見山 博 (著)

大自然の調和と不思議を描いた永遠の名作を生き生きとした文章と豊富な図版で子どもから大人まで楽しめるシリーズです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

完訳 ファーブル昆虫記 第1巻 上 (日本語) 単行本 - 2005/11/25 ジャン=アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (翻訳) 5つ星のうち4.8 13個の評価

読み継がれる昆虫の叙事詩、待望の完訳版!虫の詩人・ファーブルが著した昆虫自然科学の古典がファーブルの第一人者・奥本大三郎の解りやすい翻訳でよみがえる。詳細な脚注、訳注、細密な昆虫イラスト、美しい写真口絵が充実。

 

 

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

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