~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 4 人の恋路に口出すな ~こおろぎと甲虫の痴情のもつれ~

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

みつばちマーヤの冒険
ワルデマル・ボンゼルス (著), ホーマー・ボス (イラスト), 毛利孝夫 (翻訳)

ワルデマル・ボンゼルス原作の「みつばちマーヤの冒険」の完訳&新訳です。生まれたばかりのミツバチのマーヤは、最初に巣を飛び立つと、そのままこの美しい世界の冒険に出ます。そしていろいろな虫たちに出会い、さまざまな経験を重ねてゆきます。

 

「昆虫すごいぜ」から、「みつばちマーヤ」

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 1 エーミールを訳された高橋健二さん

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 2 マミられてしまったきんばえ。世界の美しさと残酷さ。

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 3 とんぼのシュヌックの魅力

 

 

さて、とんぼのシュヌックと、別れたマーヤ、翌朝は「水いろのつりがねそうのうてな」の中で目を覚ましました。

 

全部載せてしまいたいぐらい、いちいちすべての表現が美しいです。

 

花の黄色い雄しべからすこし花粉をとり、それから念いりに朝のお化粧をすると...

  

妹子「みつばち、お化粧するんだ」
わたし「するんだよ」

 

このつりがねそうの中にいたマーヤ、雨の中やすんでいると、下に「甲虫」がやってきました。

 

この「甲虫」、冒頭でも出てきていましたが、ほかのマーヤで確認したところ、ハナムグリになっていました。
この本では「ばらこがね」になっていました。
そしていまここで、なぜ「ばらこがね」だったのか、ここで理由がわかることになります。

 

この「甲虫」、ある虫のほら穴に向けて、「一緒にお出かけしよう」と呼びかけています。
マーヤが見ているのには気づいていません。

 

出てきたのは、こおろぎです。
甲虫、とても丁寧にあいさつをして、「ぼくの最愛の♡」なんて言ってます。
こおろぎの名前が「イッフィー」であり、甲虫が「クルト」であることもわかりました。

 

ところが、こおろぎのイッフィーの様子がおかしいです。

 

「だめなの、クルトさん。」と、彼女は言いました。「わたしごいっしょにはいけないの。世間のひとの口がうるさいから」
かわいそうに甲虫はまったくひどくびっくりしたようすです。

 

妹子「ん?んん~?これは…?」

 

「あんたは、わたしの無学をずいぶんあさましく利用したのね。あなたは、自分はばらこがね、、、、、だっておっしゃったわね。ところが、きのうかたつむりさんが、あんたはまぐそこがね、、、、、、だって言ったわ。たいへんなちがいだわ。かたつむりさんは、あんたが仕事をしているところを見たんですって。その仕事のことをここでくわしく言おうとは思わないけれど。わたしがひきさがるのは、おわかりになるわね。」

 

妹子、ページをめくりなおして調べています。
妹子「いや、だって、このイッフィーってこおろぎだよね?クルトはそのまぐそ、、、…って、種類が違うじゃん」
わたし「愛に垣根はないんだよ」

 

クルトは、驚きがおさまると、かんかんになりました。
「いや、わからない。」と、彼ははげしくさけびました。「ぼくは、ぼく自身をもとにして愛されたいんで、ぼくの仕事にこだわっちゃ、こまる。ひとりの男がどこそこにいたからってことで、その男を判断することがどうしてできるかね。」

 

マーヤの目の前で、甲虫のクルトは、ひどい理由でフラれてしまいました。

 

甲虫は悲しみに打たれながらもみみずを食べはじめるのですが、そこでマーヤは見つかってしまいます。
ここからは、抄訳でも子供むけでも、よく書かれている展開です。

 

ひっくり返って、戻ることができなくなってしまったクルトを、マーヤが葉っぱを使って助けます。
この出来事も、のちのちのフラグになります。

 

が、イッフィーとの痴情のもつれは、たいていの抄訳では一切、なかったことにされています。

 

 

しかし、私も改めて読んでみると、この、こおろぎの「イッフィー」。
「三日前に夫が地ねずみに食われたという若いやもめの身」
とか言っています。

 

三日前に夫を失ったばかりの未亡人にしては、ちょっと新しい恋人を作るのも早すぎやしませんかねえ~。

 

 甲虫のクルト、マーヤに挨拶するときにも、やっぱり
「ばらこがねの一族で、クルト」
なんて自己紹介しています。

 

男の見得と、女の打算…。
(イッフィーは、夫を失った後、食べるための狩りをクルトに手伝ってもらっていたっぽいことが何となく暗示されています)

 

色と欲がまみれる、昆虫の世界…。
残酷な神が支配する、みつばちマーヤの世界観!

 

どんなんだよ~!みつばちマーヤ!怖いわ!
私もちょっと怖くなってきたわ!

 

妹子「見栄はって、ばらこがね、、、、、とかってさ~いるんだよね男子って。イキった名前つけるやつ。ダークタイガーとかレッドドラゴンとかさ~。『12歳』っていう漫画でもね、『漆黒の豹』とかってさ~。さすがにばかじゃないかなってね…」

 

万年中二病の私の胸にまで深く刺さってきたので、その台詞やめてあげて。

 

 

ここからは、少し落ち着いた展開です。
ばった、はえなどと交流です。

 

妹子「またハエ!もういいよハエ!早くいなくなれよ!」
わたし「トラウマになってしまったのか」
妹子「またとんぼが来るぞ!」

 

「そうでしょうとも。」とだけ、プック(はえ)は言いました。そして自分のあたまをちぎりとろうとしました。

 

妹子「もう何なの~~~~!自分でかよ!!!」
わたし「さすがに苦笑」
妹子「とんぼもいらないってか!むだをはぶいたか!」

 

とんぼじゃなくてハエにトラウマが生まれてしまっていた…。

  

妹子「今までさあ、どこにハエが転がってても、そんなに残酷だと思ってなかったから。学校で死んでるハエは、何があって死んだんだろう…」

 

急にしんみりしたこと言い出した。
まあ、そういうこと考えるのは悪いことじゃないのかもしれません。

 

 

ハエでふっとんでしまいましたが、ばったも結構強烈です。

 

「いったいあなたはだれ?」と、マーヤはたずねました。
「おそろしくひとをいらいらさせるのね。」
「しかし、ぼくはどこへいったって知られてますよ。」緑いろの男は言い、歯をむきだしてまた笑いました。それほど徹底的に歯をむきだしてだれかが笑うのを、マーヤはついぞ見たことがありませんでした。

 

こういう人、いるよな…。
徹底的に歯をむきだして笑う、って…。

 

妹子「おそろしくひとをいらいらさせるのね。っていい表現だね。怒りかたも上品だ。これをもっと男子に対して、上から目線で軽蔑したように言えば…」
わたし「だから学校で使おうとしないで~~!」

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

みつばちマーヤの冒険
ワルデマル ボンゼルス (著), 熊田 千佳慕 (著)

フランスのファーブル愛好家から"プチ・ファーブル"と親しまれている細密画家、熊田千佳慕氏が馬の毛3本の絵筆を駆使して5年、ついにあのワルデマル・ボンゼルスの名作"みつばちマーヤ"を美しい絵本として完成させました。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

完訳 ファーブル昆虫記
ジャン=アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (翻訳)

読み継がれる昆虫の叙事詩、待望の完訳版!虫の詩人・ファーブルが著した昆虫自然科学の古典がファーブルの第一人者・奥本大三郎の解りやすい翻訳でよみがえる。詳細な脚注、訳注、細密な昆虫イラスト、美しい写真口絵が充実。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

僕の心のヤバイやつ
(少年チャンピオン・コミックス) 桜井のりお (著)

学園カースト頂点の美少女・山田杏奈の殺害を妄想してはほくそ笑む、重度の中二病陰キャ・市川京太郎。だが山田を観察する内に、京太郎が思う「底辺を見下す陽キャ」とは全然違うことに徐々に気づいていき…!? 陰キャ男子・京太郎の初めての恋、始まる。陽キャ美少女×陰キャ少年のニヤニヤ系青春格差ラブコメディ!!

 

妹子もハマってますが、私もハマっています。
この二人の展開が、すごくかわいいです。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

12歳。
(ちゃおコミックス) まいた菜穂 (著)

大人でもない、子供でもない、ビミョウなお年ごろの小学生6年生・花日。担任の先生のキスを、クラスの男の子と偶然目撃したり、自分はまだなのに友達に先に生理が来て悩んだり。花日の友達の結衣は、イジワルしてくる男の子が気になって・・・。12歳の少女のピュアな悩みと初恋を描いた大人気シリーズ第1巻。

 

わたしはもう、こういうのを楽しむ子供の心は失ってしまいましたが、妹子はただいま絶賛どはまり中です。

 

 

 

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