大人が読む児童書「がんばれヘンリーくん」 3 グリーン・クリスマスのドタバタ 劇よりも劇らしい
大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。
この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
ヘンリーくんは小学三年生。どこにでもいる、ごくふつうの男の子です。ある日、街角でやせこけた犬を拾い、こっそりバスに乗せて家までつれて帰ろうとしましたが、とちゅうで犬があばれだして大さわぎに…。それいらい、ヘンリーくんのまわりでは、次つぎにゆかいな事件がおこります。小学校中学年から。(「BOOK」データベースより)
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大人が読む児童書「がんばれヘンリーくん」 2 アニメでもありそうなドタバタ大騒ぎ、カオスを文字で現す
バスから降ろされてしまうことになったヘンリーくんとアバラー。
乗客も取りなしてくれるのですが、規則を盾にぴしゃっとはねつけられてしまいます。
そこになぜか、サイレンの音がして…。
なぜ…。
なぜ今ここで、警察が…。
事態はどんどん悪くなっているようです。
このバスには、五年生のイヤミなご近所さんが乗っています。
スクーター=マッカーシー。
しつこく絡んでくるめんどくさい男子。
バスの入り口に、警官のすがたがあらわれました。
「このバスに、ヘンリー=ハギンズという男の子は乗っとらんかね?」と、警官はききました。
「やあい、やあい。おまえ、バスに大乗せたから、たいほされるんだぞ!きっと刑務所へいれられるぞ!」と、スクーターが、小気味よさそうにいいました。
妹子「は?うるさいし(怒)お前にかんけいナイフにハサミ!」
おまえにかんけいナイフにハサミ。
これは、ヘンリーくんの決めぜりふ?です。
スクーター=マッカーシーは、ご近所だから遊ぶけど、年齢も上だし、すぐにマウント取ってくるし、実際に近所にいたら本当にイヤでストレスになるタイプです。
三年生にとって五年生というのは、すごくイヤな存在だと思います。
しかし、警察はそもそも、ヘンリーを探していたようです。
これはどういうことなのか。
「ぼくは、そうです。」 ヘンリーは、かのなくような声でいいました。
「ぼくが 、そうです。」と、リンゴをもったおばさんがなおしました。
この人は、ながいこと学校の先生をしていたので、子どもがまちがったいいかたをすると、なおさずにはいられなかったのです。
「わしといっしょにきなさい。」と、警官がいいました。
「わあーい。おまえ、ぜったいつかまるぞ。」と、スクーターがいいました。
「ぜったいに つかまるぞ。」と、リンゴのおばさんがなおしました。
このリンゴのおばさん。
何なんおまえ。
細かい所まですべて訂正してくる!
確かに、いる。そういう人いるけど!
いるけど、でもそのスキルを今こんな緊急事態に発動しなくてもいいのでは!?
◇
ヘンリーくんは、警察の車に乗りましたが、どうも警察も面白がっているようです。
そして、からかいながら、もう時間も遅いしね、この子のお母さんも心配してるだろうしね、警察に電話してくるぐらいだものね…☜あれ?これは…。
あまりにもヘンリーの帰りが遅いので、警察に頼んだのは、ヘンリーのお母さんだったのでした。
というわけで、最後の最後に、ようし、行くぞ!という勢いで、パトカーはサイレンを鳴らし、猛スピードでうちに連れて帰ってくれるのでした。
爽快で、楽しい終わり方で終了です。
◇
わたし「説明しようとすると、ここが面白かったですって、全部引用しないといけなくなるのがつらいね」
妹子「アニメ製作者も製作しようとして読みながら、読みいってしまうと思う」
妹子のヘンリーくんに対する信頼度がすごい。
私の持っている版は松岡恭子さんの訳ですが、本当に素晴らしいです。
全部この調子で紹介していくわけにもいかないので、あとはさっくりと紹介していってみたいと思います。
◇
2.百万びきのグッピー
ヘンリーくんがちいさなのグッピーをひとつがい飼います。
最初は貴重に思われたこのグッピー、ヘンリーくんの丹精込めた世話によってネズミ算式に増えていき、あれよあれよという間に、家の中がグッピーだらけになってしまいます。
もちろん、アバラーも絶妙にいい感じにやらかします。
◇
3.ヘンリーと夜のお客さま
妹子の大好きな回です。
わたしはこれを読んだとき、いかにもアメリカらしいなと思いました。
ドラマなどでよく、子どもたちがバイトをしてお金を稼いでいる姿を見ます。
教育の一環でもあるのだと思いますが、シッターをしたり、郵便配達をしたりという姿です。
ヘンリーくん、フットボールのボールが欲しいと思っているのです、おこづかいでは足りないので、どうにかできないかと考え始めます。
それが、どうしてあんな展開になるのか。
おとなりのスクーターが持っているボールを見せてもらい、ちょっと遊んでいると…。
ボールが、通りかかった車にスポッとはまりこみ、そのまま持っていかれてしまいました…。
タイミングが…。
ボールが欲しいのに、借金?賠償金?まで背負ってしまったヘンリー。
自分の力でお金という問題に向き合いつつ、サポートしてくれるお父さんとお母さんとが素敵です。
ヘンリーくんには申し訳ないのですが、ボールが連れていかれてしまった所は、滅茶苦茶笑えます。
◇
4.みどりのクリスマス
「みどりのクリスマス」というのは、雪が降らないクリスマスのことをいうらしいです。
ホワイト・クリスマスの逆なのですかね。グリーン・クリスマス?
このお話は面白いので、少し詳細に紹介してみようかと思います。
学校でクリスマスの劇(オペレッタ)をすることになっています。
この学校イベントにからんで、クリスマスのプレゼントが気になっていたり、雪が本当に降らないのか、気にしたりしているのですが、とりあえずヘンリーくんは、劇はばかばかしいと思っていて、あまり好きではない様子です。
これまでやった役にもいい思い出がない様子。
そして今回の劇。
さて、ループ先生は、こんどのクリスマス・オペレッタは、『サンタクロース訪問』というのだと話していました。それは、おとうさんとおかあさんとふたりの子どもが、クリスマスイブに、北極ヘサンタクロースをたずねていく話でした。なんてくだらない劇だろうと、ヘンリーは思いました。いちばんおしまいに、それはぜんぶ小さな男の子のゆめだったことがわかるのです。ヘンリーは、それはだれかのゆめだったということでおわる話は、だいきらいでした。
ヘンリーくんは夢オチは大嫌いのようです。
なのに!
主役の男の子に抜擢されてしまいました。
パジャマを着て、(たぶん上級生のお母さん役の女子に)おやすみなさいのキスをされるという役です。
これが、胸の大きな女子がたくさん出てくるハーレム系の少年漫画だったら(表現がひどいですが悪意はないです)、おやすみなさいの役をしながら、何かそういういい展開になるのかもしれませんが、現実はちがいます。
学校中の人から、からかわれるのは間違いないです。
ヘンリーくんの飼い犬アバラーは、近所のネコを追いかけたり、パトカーの中から警官のおべんとうを失敬したり、行くさきざきでめんどうなさわぎをおこして、ヘンリーくんをうんざりさせます。念願のサケつりにつれていってもらったヘンリーくんは、アバラーのおかげで…ときにはよいことも!小学校中学年から。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
近所の友だちがかっこよく新品の自転車を乗りまわすのを見て、ヘンリーくんは自転車がほしくてたまらなくなりました。なんとかしてお金をためようと、なかよしのビーザスの協力をえて、いろいろ知恵をしぼります。でも、次つぎとおかしなことにまきこまれるばかり…。さて、ヘンリーくんは、どうやって自転車を手に入れるのでしょうか。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ビーザスのなやみのたねは、妹のラモーナです。まったくラモーナときたら、どうして、こう次から次へといたずらばかり思いつくのでしょう。すっかり、ゆううつになったビーザスでしたが…。やんちゃでききわけのない妹を持った、お姉さんのなやみをユーモラスに描いたゆかいな物語。
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英語版 Beverly Cleary (著), Tracy Dockray (イラスト)
This timeless classic now features a foreword written by New York Times bestselling author Judy Blume, as well as an exclusive interview with Beverly Cleary herself!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
一度読み始めたらやめられない、おかしなおかしなクマのパディントンのお話の第1冊目。ブラウン夫妻がパディントン駅で見つけた子ぐまが、夫妻にひきとられ縦横無尽に活躍します。
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