大人が読む児童書「がんばれヘンリーくん」 4 やりたくない劇の主役・不可避の地獄
大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。
この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
ヘンリーくんは小学三年生。どこにでもいる、ごくふつうの男の子です。ある日、街角でやせこけた犬を拾い、こっそりバスに乗せて家までつれて帰ろうとしましたが、とちゅうで犬があばれだして大さわぎに…。それいらい、ヘンリーくんのまわりでは、次つぎにゆかいな事件がおこります。小学校中学年から。(「BOOK」データベースより)
「がんばれヘンリーくん」 2 アニメでもありそうなドタバタ大騒ぎ、カオスを文字で現す
「がんばれヘンリーくん」 3 グリーン・クリスマスのドタバタ 劇よりも劇らしい
さて、やりたくもない 主役に大抜擢されてしまった ヘンリーくん。
本当に大迷惑です。
これを再読していて思うのですが、気が付きませんでしたが、どうやらヘンリー君は 体がかなり小さめのようです。
馬鹿にされるのを嫌がる小三男子の気持ち。
よくわかります。
さっそく、「ティミーちゃん!」とか、「おい、小さなぼうや!」なんて言ってからかわれています。
最悪です。
もし毎朝一時間ずつからだをのばす運動をしたら、ひょっとしたら、からだがぐんぐん大きくなって、この役にあわなくなるかもしれません。いや、それはだめだ。時間がない。
切実な悩み。
例の五年生のお隣さん、イヤミなスクーターが、「パジャマを着たらさぞおかわいらしいことでしょうね」なんて言ってからかっています。
ヘンリーはターゲットをそらせようと、ダンス人形の役をする女子メリージェーンに自ら矛先を向けてみるのですが、うまくいきません。
なぜなら、メリージェーンはドレスを着て、バレーシューズを履くのを心方楽しみにしているからです。
ほかの子たちは、それを聞いてひょうしぬけがしました。もしメリージェーンが、ダンス人形になってよろこんでいるのなら、からかってもしょうがありません。
つまり、嫌がっているから、からかいが成立するのですね。
だからといって小三男子に「平気な顔をしろ」「無視しろ」というのは無理な話です。まだ感情の制御は出来ません。
作者は子どもたちの生態をよくおわかりです。
◇
ヘンリーくん、この地獄から抜け出す手立てを、力いっぱい考えはじめます。
アバラーを何とか連れ帰ろうとするときも、おこづかいがないのに、フットボールのボールが欲しかったときももそうでしたが、ヘンリーくん、一生懸命考えて、自分の力で事態を何とかしようと考えます。
そういう所が、いいなあ!
頑張り屋さんだなあ!と思ってとても好感がもてます。
◇
!
おやつの記述だっ!
メモメモ
「クラッカーの上に、バターとジャムときざんだピックルスをぬったもの」
です!
クラッカーにピーナッツバターをぬったものを、アバラーにあげました。
英語版kindleのレビューを見ていると、800近くある評価がほぼ★5である中で、超数少ない「読ませたくない」とししていた理由が、「いぬに生肉や塩分のあるものを与えている記述があるから」でした。
それでも★は3で、★1の人はほとんどおらず、あっても「言語が違った」とか、「届いた本の状態がよくなかった」などという理由でした。
言語が違った、はさすがに無茶苦茶です。
次の章でも出てきますけど、どうやらペットショップで、「犬用の生の馬肉」など売っていたようです。そういう時代だったんですね。
◇
話がそれましたが、ヘンリーくんがまず、劇の主役を回避するためにやったこと
その1:お母さんのふりをして先生に手紙をかき、やめさせてもらうようにお願いをする。
字だと、バレてしまうので タイプライターで書くことにしました。 今ならさしずめパソコンで印刷です。
考えたな、ヘンリー!
まだ小さいのでタイピングがうまくいきません。
トン……トン……トン、という感じで苦労して打ちます。
やっとできたのがこれです。
妹子「だからなんでスペースキー押すの~!」
自分がちょっと最近、タイピングが出来るようになってきたからって…。
めげないヘンリー、再挑戦して二枚目も出来上がりますが、まさるとも劣らない笑える出来です。
◇
回避する手段その2:ヘンリー、劇の練習で、ぐずぐずして、だらしなくして、台本はくしゃくしゃにして、読めないふりをする。
どんだけやりたくないんだ~!!
気の毒すぎて、先生にやめてあげて、と直接言ってあげたいぐらいです。
(クレーマー保護者思考)
詩も覚えて、暗唱しなければならなくなりました。
それは、ヘンリーがいままでに聞いたことのある歌のなかで、いちばんばかみたいな歌でした。サンタのおじさんばんばんざいだって!あほらしいにもほどがあります。でも、ロバートが「ワンワンワン、ぼくは茶色の大きな犬だ」という、もっとばかみたいな歌をうたわせられるとわかって、ちょっとむねがすっとしました。
お父さんもお母さんも、喜んでいる様子で、ちっともわかってくれません。
それどころか、目の前で練習すらさせられました。
◇
回避する手段その3:毎朝、ごはんをめちゃくちゃにのみこむ。
これはどうやら、喉を傷めさせようとしたらしいです。
ただ健康になるだけな気がします。
◇
雪が降ってきました!
みどりのクリスマスにはならなさそうです。
しかし、劇の準備は着々と整っています。
気の毒に、劇の主役、かわいいティミーちゃん役はどうやら不可避です。
ヘンリーくんの飼い犬アバラーは、近所のネコを追いかけたり、パトカーの中から警官のおべんとうを失敬したり、行くさきざきでめんどうなさわぎをおこして、ヘンリーくんをうんざりさせます。念願のサケつりにつれていってもらったヘンリーくんは、アバラーのおかげで…ときにはよいことも!小学校中学年から。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
近所の友だちがかっこよく新品の自転車を乗りまわすのを見て、ヘンリーくんは自転車がほしくてたまらなくなりました。なんとかしてお金をためようと、なかよしのビーザスの協力をえて、いろいろ知恵をしぼります。でも、次つぎとおかしなことにまきこまれるばかり…。さて、ヘンリーくんは、どうやって自転車を手に入れるのでしょうか。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ビーザスのなやみのたねは、妹のラモーナです。まったくラモーナときたら、どうして、こう次から次へといたずらばかり思いつくのでしょう。すっかり、ゆううつになったビーザスでしたが…。やんちゃでききわけのない妹を持った、お姉さんのなやみをユーモラスに描いたゆかいな物語。
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Henry Huggins (English Edition) Kindle版
英語版 Beverly Cleary (著), Tracy Dockray (イラスト)
This timeless classic now features a foreword written by New York Times bestselling author Judy Blume, as well as an exclusive interview with Beverly Cleary herself!
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一度読み始めたらやめられない、おかしなおかしなクマのパディントンのお話の第1冊目。ブラウン夫妻がパディントン駅で見つけた子ぐまが、夫妻にひきとられ縦横無尽に活躍します。
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