~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「飛ぶ教室」 3 CP…じゃなくて親友同士を軸としたメンバー紹介

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

飛ぶ教室
エーリヒ ケストナー (著), ヴァルター・トリアー (イラスト), 池田 香代子 (翻訳)

ボクサー志望のマッツ、貧しくも秀才のマルティン、おくびょうなウーリ、詩人ジョニー、クールなゼバスティアーン。個性ゆたかな少年たちそれぞれの悩み、悲しみ、そしてあこがれ。寄宿学校に涙と笑いのクリスマスがやってきます。(「BOOK」データベースより)

 

 

「飛ぶ教室」 1 「花の24年組」ギムナジウムについて熱く語る。そして「ほんとうの物語」について 

2 突然のすとぷりで妹子(およびその友達)を釣ろうと画策する 

 

 

よ~くまえがきを読み込んでいると作者、ちゃんとこの「まえがき」内で
「寄宿学校(ギムナジウム)って何か、みなさん知ってますか」
と書いて説明をしていました。

 

Google先生に「標準ドイツ語では、ギュムナーズィウムの発音が……」なんて説明されるよりもちゃんとしてました。

 

しかし、このリアル・ギムナジウムの説明を読みたい人は、やっぱり図書館なりで借りて読むべきでしょうね。
けっこう、長いので!

 

これこそ元祖!

ギムナジウム系漫画が好きな方は必見だと思います。

 

 

妹子が読むのを待っていると話にならないので、登場人物を紹介しがてら、中身を紹介してみたいと思います。

 

本来の名前と通称との違いも、ちょっと理解をややこしくしています。

わたしのつたない紹介よりも、まえがきが終わったところにちゃんと、作者の手による「人物紹介」が書いてありました。

 

最初に出てくるのは
ヨナタン・トロッツ(通称ヨーニー)
もし、作者による「ながいながいまえがき」を読んでいれば、彼が一番最初に出てくる人物です。

 

作者の説明はこうです。

ヨーニー(ヨナタン・トロッツ)高等中学校一年生で、みなし子、文学ずき、マルチンの親友。

 

この、マルチンがおおむね、主人公という立場の少年です。
主人公のマルチンが、最終的にとてもつらい思いをするのですが、このヨナタンの境遇は、主人公よりももっともっと過酷なものです。

 

(まえがきによれば)NY生まれ。ドイツ人の父とアメリカ人の母。夫婦仲により母は家出。
父はドイツの祖父母にヨナタンを送るも、祖父母はすでに死亡。
船長さんの好意で学校に通わせてもらい、舞台となるギムナジウムへ。
…という、境遇が、何と

まえがきで語られています。

 

まえがき重要だった!
読みとばしちゃダメだった!

 

 

次が、主人公マルチンです。

マルチン・ターラー 同級生で、いつも首席。絵もうまい。貧しいけれど正義心が強く、おこりっぽい。

 

主人公にふさわしい少年です。
あらゆる要素が詰まっています。

 

成績トップ+貧しい+絵が上手い+短気+正義漢。

 

マルチンは最終的に、貧しさによってなかなかつらい思いをするのですが、さてここで、なぜヨーニーの話を作者はまえがきに持ってきたのか。
マルチンの喜びや悲しみを、ヨーニーは自分の境遇がつらいからといって、「自分の方がずっとひどいし」とはならないように思います。

 

心からマルチンの幸福を喜ぶだろうし、不幸になっているのを見れば悲しむでしょう。
ヨーニーの存在は、読んでいるこちらに友情とは何か?を考えさせてくれます。

 


二人続けていきます。

マチアス・ゼルプマン(マッツ) 同級生。拳闘家志願で、腕っぷしは強いが、いつもおなかがすいている。勉強はにが手。ウリーの親友。

ウリー・フォン・ジンメル 同級生。貴族の生まれだが、からだが小さく、よわむし。

 

この二人が、妹子の言っていた「大ぐらい」と「よわむし」です。

 

マルチンとヨーニー、マチアスとウリーの二つの友達同士があるというわけです。

 

わたしは子供のころ、この「マルチン」と「マチアス」がなかなか覚えられず、苦労しました。
少し読んでみてから、その行動で判断したりしていたのを覚えています。
何しろマチアスは、いつも腹ぺこなので、そこの所はキャラが立っていて覚えやすかったです。拳闘家というのは、ボクサーでしょうね。これを、バキみたいなイメージで想像しちゃいけないんでしょうね。

 

ウリーの物語は、とても胸が熱くなります。
彼はただのよわむし少年とは違います!

 

 

少し飛ばして、おとな二組です。

 

ヨハン・ベク(ユスツス)先生は、ヨーニーたちの受け持ちで舎監。正義真が強いが、人情ぶかい。
禁煙先生(ローベルト・ウトホフト) 世すて人のように暮らしているが、昔ベク先生の親友だった。

 

この、ベク先生と禁煙先生の友情は、わかるまでにすごくドラマチックな筋立てになっているので、これは書くわけにはいかないな!と思っていたら、作者が自分自身の手で盛大にネタバレしていました。

 

何だよ…。

 

ふたつの親友同士のつながりの上に、たぶん昔、生徒であったであろうおとなたちの友情が存在しています。
たてよこの線で、しっかりと編み合わされた物語です。

 

 

その他です。

 

ゼバスチアン・フランク 同級生。頭はよく働くが、孤独な変わりもの。

自らぼっちを選んでいる一匹狼です。

 

テオドル。最上級生で、寄宿の寮長。美少年だが、はじめはいじわる。

このテオドル、出てくるときかならず「美少年のテオドル」と書かれています。
テオドルは、枕詞が美少年なのです。

 

「写真にとりたいようにきれいな顔」とか書かれていて、読んでいて意地悪よりもそっちの方が気になって仕方がありませんでした。

 

どんな顔なんだYO!

 

この美少年が最終的に親切になるのも、知らない方が楽しい感じなんですが、これも書いちゃってるんですね…。

 

人物紹介、あなどれなかったです。

 

 

わたしの大のお気に入りのエーガーラント(かっこいい敵役)が入ってなかったりしてますが、おおむねこの五人の同級生が主役です。

 

マルチンとヨーニ
マチアスとウリー

一匹狼のゼバスチアン、です。

 

ベク先生がしっかりと支え、裏には禁煙先生の存在があります。

 

脇役の美少年テオドル
敵のエーガーラント

 

などなど、人物紹介だけで面白そうな感じがしてきませんか!

 

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新訳 飛ぶ教室 (角川つばさ文庫)
エーリヒ・ケストナー (著), patty (イラスト), 那須田 淳 (翻訳), 木本 栄 (翻訳)

なやみをうちあけられる人はいますか?絵60点、世界中がわらい泣いた名作。子どもの涙がおとなの涙より小さいなんてことはない。寄宿学校でくらす優等生マーティン、すて子のジョニー、けんかの強いマチアス、弱虫ウリー、皮肉なセバスチャンらの友情をえがく、クリスマスの名作。

 

 

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エーミールと探偵たち
エーリヒ・ケストナー (著), ヴァルター・トリアー (イラスト), 池田 香代子 (翻訳)

おばあちゃんをたずねる途中の列車で,大切なお金を盗られてしまったエーミール.ベルリンの街を舞台に,少年たちが知恵をあわせて犯人をつかまえる大騒動がくりひろげられます.

 

 

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点子ちゃんとアントン
エーリヒ ケストナー (著), 池田 香代子 (翻訳)

お金持ちの両親の目を盗んで夜おそく街角でマッチ売りをするおちゃめな点子ちゃんと、貧しいアントン少年―つぎつぎと思いがけない展開で、ケストナーがすべての人たちをあたたかく描きながらユーモラスに人生を語る物語。

 

 

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ふたりのロッテ
エーリヒ ケストナー (著), ヴァルター・トリアー (イラスト), 池田 香代子 (翻訳)

おたがいを知らずに別々の町で育った、ふたごの姉妹ルイーゼとロッテ。ある夏、スイスの林間学校で、ふたりは偶然に出会います。ふたりは、大胆な計画をたてるのですが…。

 

 

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どうぶつ会議
エーリヒ・ケストナー (著), ワルター・トリヤー (イラスト), 光吉 夏弥 (翻訳)

少しも成果のあがらない人間の会議をみておこった動物たちが,世界平和のために一大会議をひらきます.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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