大人が読む児童書「少女ポリアンナ」 3 ただ息をしているなんて、生きていることにならない
今日、ご紹介するのは児童書です。
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今日の一冊
11歳のポリアンナは,牧師の父を亡くして孤児になり,母の妹である独身のポリーおばさんに引き取られた.天真爛漫なポリアンナは持ち前の明るさで,子ども嫌いの気むずかしいポリーおばさんや,孤独に暮らす金持ちの老人など,周囲の人々を変えていく.
ポリーおばさん、とりあえず厳格にポリアンナのあれこれをチェックして、「義務を果たそう」としています。
これまでポリアンナのお母さん代わりになっていたのは、地元の婦人会の人たちだったようなのですが、何しろ別々の家庭のいろんな人なので 習ったことも全部やり方が違っていたようです。
まず、網戸を付ける前に窓を開けっぱなしにして、ハエが入ってきたのを怒っていますが、すごく理解できます。
あけっぱなしにすんな
しめろ
次に服を点検していますが、貧困の中、片親で育ったため、みすぼらしい体に合ってないものばかりです。→服をきちんとしたものに新調する。
次はこれまでの教育の点検です。
ミス・ポリー、テリトリーは……などはありながらも、けっこうやることはやらねば、とがんばります。
偉いです。
◇
ポリーおばさんの最初の教育チェック、面白いなと思いました。
まず最初に本を渡しました。
イイネ!👍
ポリアンナはちゃんと読んで、「素晴らしく面白い」と言ってますから、選書のセンスも良かったのではないでしょうか。
こんな子、嫌いになれない。
そして何の本だったのか教えて欲しい。
勉強のスケジュールはこうです。
「毎朝、9時から30分間、声に出して本を読んでもらいます」
まじか。30分。
30分、声に出して音読ってすごくないですか。
教室でひとりひとり読んでもらうとかじゃなくて、ひとりで30分朗読。
読みボラだって15分だし、わりとへとへとになるというのに。
夜のお子さんへの読み聞かせでも、毎日夜に30分、時間が取れてる人なんて何人いるでしょう。
◇
学校の先生に聞きましたが、「いちばん力が付くのは音読です」と言われました。
へーそうなんだ!と思っていましたが、ポリアンナは実践するというか、そのレベル越えている。
その先生によれば、(兄助の先生でしたが)
「社会の教科書なども、音読がいちばんです」
と言ってました。
が、何しろ兄助くんは恐ろしいほどの無口なタイプなのでこれはうまくはいきませんでした。
妹子にすすめてみようかな…。
ものすごくうるさそうだな…。葛藤…。
◇
この驚きの30分の後は、午前中、おばさんとずっと お裁縫を習うらしいのですが、やっぱり昔の女性にとって裁縫はめちゃくちゃ大事な仕事だったんですね。
ポリアンナ、きついスケジュールに、反論して言います。
「おばさんは、眠ってるときだって、息をしているでしょ。でも、それは生きているってこととはちがうの。あたしは、生き生きと生きるってことをいっているの──外で遊んだり、本を読んだり(もちろん、ひとりで)、丘をのぼったり、庭でトムじいさんやナンシーとおしゃべりしたりすることとか」
ちょっとぐさっとくる台詞です。
「それがあたしのいう、生きるってことなのよ、ポリーおばさん。ただ息をしているなんて、生きていることにならないわ!」
これは本当に、ストレス社会で生きてる人におすすめの本ですね。
◇
そしてポリアンナ、誰かと話してる時は、お父さんとの約束どおり、「喜びの種」を探して明るくポジティブに振舞っているのですが、やはりちょっと無理をしている様子が垣間見えます。
一人になると、黙って悲しそうな顔をするのです。
一生懸命頑張って、少し無理をして、どんなつらかったり悲しい状況でも、「喜ぶ種」を見つけようとしている。
子供がこうなのですから、実にいじらしいです。
しかしひとりになって考えるポリアンナは、おばさんの大好きな「義務」という言葉が 大嫌いになりそうだと考えています。
「いくらさがしても、何も喜ぶ種なんかないわ」と声に出していいました。「ただ義務がおわったら、うれしいってことくらいかな」
そこでいきなり、ポリアンナは笑いだしました。
この「喜びの種」を探すのを、岩波少年文庫の谷口由美子訳では、「うれしいことをさがすこと」と訳されています。
◇
妹子「これ、みんな突然いなくなるんだけどどういうこと?」
わたし「笑うのを我慢してるんだよ」
ポリアンナが無邪気にあれこれとしたり言ったりするのを聞いて、ミス・ポリーが言葉につまったり、何て言っていいかわからなくなったりするたびに、メイドのナンシーさんや、庭師のトムじいさん、突然背中を向けていなくなります。
笑いをこらえている様子なのですが、このユーモラスさは妹子には通じなかったか。
こうして、理解者も多いしおばさんもほだされていくばかりなので、ポリアンナはそれほどひどい目にあいません。
安心して読んでいられます。
◇
こうしてポリアンナ、さまざまな人に笑いとおしゃべりと、ポジティブシンキングをふりまきながら、自分のペースに巻き込んでいきます。
孤独な変わり者の男性、ジョン・ペンデルトンさん(名前に既視感…)
ひがみやのおばあさん、スノウ夫人
などなどです。
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両親をなくし、ひとりぼっちで叔母の家に引き取られた少女・ポリアンナ。亡き父との約束「何でもうれしいゲーム」を通して、町中の人たちや、かたくなだった叔母の心をとかしていく……。
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『少女ポリアンナ』から6年後.成長したポリアンナは,ポリーおばさんといっしに滞在先のドイツから帰国した.幼友だちのジミーは見違えるような青年になっており,恋が芽生える.みずみずしい青春編.
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少女ポリアンナ (10歳までに読みたい世界名作)
エレナ ポーター (著), 横山 洋子 (監修), 鯉沼 菜奈 (イラスト), 立原 えりか (翻訳)
叔母の家に住みはじめた11歳の少女・ポリアンナは、「幸せゲーム」でまわりの人たちの心をあたため、奇跡を起こしていきます。そんなある日、ポリアンナは交通事故にあってしまい…。さくさく読める世界名作シリーズ第17弾。
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よろこびと愛をはこぶ少女『ポリアンナ』…感動の名作。読みやすい新訳〔完訳版〕
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エレナ・ポーターによるアメリカ児童文学の傑作「Pollyanna」の新訳&全訳です。母親を亡くし、牧師だった父親とも死に別れることとなった11歳の少女ポリアンナは、大きなお屋敷で暮らす独身のおばさんミス・ポリーに引き取られます。〝うれしい遊び〟で辛さや悲しみを乗り越えようとするポリアンナは、やがて町中の人たちを勇気づけ、さらには「義務」で引き取ったおばさんの心をも溶かしてゆくのですが、そんなポリアンナにさらなる試練が……。
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トキメキ夢文庫 少女ポリアンナ
エレノア・ホグマン ポーター (著), ルイーザ・メイ オルコット (著), 新星出版社編集部 (編集)
明るく前向きな少女ポリアンナがみんなを幸せにしていく!人気の名作をお子さんにも読みやすいように編集しました。物語の冒頭やハイライトに漫画を取り入れ、挿し絵も豊富に盛り込むことで、はじめて名作にふれるお子さんでも楽しく読めるように工夫しています。時代背景や物語の舞台について写真を交えた解説もあり、理解を深めます。小学6年生までに学習する漢字を使用(すべてふりがな付き)。
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愛する両親を亡くしてしまった11歳のパレアナは、気むずかしいおばさんに引き取られることに。冷たくされて寂しい思いをするが、パレアナの明るさと素直さはやがて回りの人々の冷たい心を溶かして……?
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