~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「とぶ船」4 ノルマン・コンクエスト時代のイギリス。なじみの薄い歴史を生き生きと

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

とぶ船
ヒルダ・ルイス (著), ノーラ・ラヴリン (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

ピーターがある日、うす暗い小さな店で手に入れた古い小船は、なんと魔法の「とぶ船」でした。ピーターたち4人きょうだいはこの船で、エジプトやウィリアム征服王時代のイギリス、北欧神話の世界にまで冒険旅行をします。

 

 

大人が読む児童書「とぶ船」 児童書は世界へのとびら

2 古い、うすぐらい小道のうすぐらい店に魔法は待っている

3 あのトトロに影響?病気のお母さんのエピソード

 

7章では、ノルマン・コンクエスト時代のイギリスの話となりました。

 

子どもたちのぼうけんについては、読んでもらった方がおもしろいと思うので、詳しくは書かないのですが、ここで、あまりなじみがないのではないかと思われる、ノルマン・コンクエスト時代のイギリスの歴史事情について、ちょっとウィキペディア先生の助けを借りてご説明をしたいと思います。

 

ここは、Google先生およびWikipedia先生の出番です。

 

ノルマン・コンクエスト - Wikipedia

 

 

5世紀頃にブリテン島にドイツの北岸からアングロサクソン人が進入。
ドイツの「ザクセン」と、「サクソン」は重なっている。

つまり、ドイツ系だということでしょうか。
そう簡単には割り切れないのでしょうけど。

 

ノルマン・コンクエスト
アングロ・サクソンVSノルマン
と考えていると、ドイツが起源の一族かフランスが起源の一族かと考えがちです。

 

ですが、Wikipediaこの家系を見る限り、同じ北部ノルマン人と結婚によってつながっています。
かなりノルマン人の影響は強いです。

 

そもそもが北部のドイツやフランスも、北欧のバイキングなどと、密接に関係しているようですので、実際は絡み合った縁戚関係により、そこまで「サクソン人」「ノルマン人」とかっちりとわけられるものでもないようだなと思いました。

 

とにかく歴史上では
ヘイスティングスの戦いにおいてノルマンディー公ウィリアムによってアングロサクソン王朝が倒され、ここからイングランドノルマン朝になる」
ということです。

 

そして有名なのがバイユーのタペストリ

 

バイユーのタペストリー - Wikipedia

 

 

ウィキペディアに詳細なように、以前はノルマンディー公ウィリアムの王妃マチルダが寄進したと考えられていたようです。

 

この「とぶ船」の物語中では、このタペストリは「マチルダ王妃が作らせた」とされる考えによって物語が書かれています。

 

今考えてみると、作者は明らかに、バイユーのタペストリからこのお話を編み出したのだろうな、と思われます。

 

 

土地の人との会話から、この4人の兄弟姉妹は、
「ピーターの鼻が高いところはノルマン人に似ているが、基本はアングロサクソンの顔立ちだ」
ということのようです。

 

なかなかうまいことお話ができています!

 

忘れてしまいそうになりますが、これは児童書です。

 

もし日本人でこのような話を作ったなら、弥生人縄文人かというような話になるのでしょうか。
現在の考古学では、そうはっきりと分けられるものでもなかったことが判明していますが、昔はそれなりにみればわかるぐらいの違いだったとしても、それはそれでおかしくはありません。

 

この土地の奥さんの言葉から出た
「センラックの野でお果てなされたハロルド王さま」
センラックの野というのが、ヘイスティングスのことでしょう。
ハロルドとは(Wikipedia先生のいうところの)ハロルド・ゴドウィンソン。ハロルド2世のことだと考えられます。

 

エドガーさま」というのは、亡くなったことによって跡目争いからこの戦争が起きたという、アングロサクソンエドワード懺悔王の甥の子どもみたいです。
このエドワード懺悔王は、ノルマン人の母を持っているのですが、甥は異母兄とのことで、そうではないようです。

 

 

この複雑かつ、微妙な情勢の中で、マイペースにふるまう四人の子どもたち。
彼らの前に、ノルマン人の貴族の少女、マチルダが登場します。

 

かわいい!大好きです。

 

この子はこの長いお話の中でたったひとり、ぼうけんの中、この四人兄弟姉妹と、心を通わせた人物です。

 

ちょうどノルマンディー公ウィリアムが王と決まったばかりの時代の話ですから、周囲はみなピリピリしています。
そんな中で、征服者側のノルマン人の少女なので、ツンと頭を上げて威張った様子です。

 

この少女に注目したのは次男のハンフリ。
名前が作者の息子と同じですね。

 

「とぶ船」の話の中で、わたしはこのハンフリがいちばんお気に入りでした。
病気のお母さんの所に行くときに、赤いバラを摘み取ったのもこのハンフリです。

 

ノルマン人の少女は、こんな感じです。

 

その子は、 どっしりした、 みどり色の 長い服を着ていて、ひろい 袖には毛皮がぬいつけてあり、 首には金のくさりをかけていました。 十ばかりに見えるその子は、 高慢そうに頭をそらせ、いじわるそうにあたりを 見まわしていました。

 

あとで仲良くなるのですけど、最初はこんな感じで、じつにいじわるそうな感じです。
ハンフリ、「あんなにつんとしてなければ、ずいぶんかわいいのに」なんて考えています!

 

ずいぶんかんしゃくもちの、プライドの高い女の子です。
四人のことを、「サクソンのブタ」なんて呼びますし、最初から喧嘩ごしです。

 

でも、でも、そこが、かわいいんです!

このマチルダの魅力が、このお話の根幹です。

 

実は、ハンフリ以外はほぼ、四人のことはぼんやりとしか覚えていませんでした。
長兄も、ピーターだったかな?またピーターか。長男=ピーター多いな…なんて考えていました。
(ピーターという名前は、キリストの第一弟子、聖ペテロの名前が元なので、長男によく付けられるようです)

 

今に到るまで、マチルダのことを一度も忘れたことはありません。
サブキャラクターのはずが、主人公たち以上に生き生きとした魅力をもって、心に刻み付けられました。

 

 

このお城の殿様が、マチルダの父上です。
海から渡ってきて、アングロ・サクソンを従えたノルマン人なので、きびしい顔立ちの居丈高な男性なのですが、マチルダには若干甘い様子。

 

チルダと話をしているうちに、四人は仲良くなりますが、手を差し伸べたのはハンフリです。
ハンフリ、最初からずっとマチルダに優しいんです!

 

高慢で、威張っていたマチルダも、本当はさびしいことが知られます。
この城で、いつも遊び相手もなく、ひとりぼっちのマチルダ

 

チルダの部屋には、たいそう立派な、ノルマン人とサクソン人との戦いが刺繍されたタペストリが、さしかけの状態でししゅう台に設置されてあります。

バイユーのタペストリーだ~!!!

 

このマチルダは、ノルマンディ公女ウィリアムの妻、女王マチルダから名前をもらったとのことで、そんな少女が、バイユーのタペストリっぽいものを持っているという、この歴史ずきにはたまらないシチュエーション!

 

でも、マチルダはししゅう台をけとばします。
「もうこんなもの、つくづく、あきてしまった!」

 

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子どもの頃に読んでから、今にいたるまで、忘れられない絵、忘れられないシーンです。

 

 

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The Ship That Flew (English Edition)
Kindle版 英語版 Hilda Lewis (著), Beebliome Books (編集)

The model Viking ship lay in the window of a little old shop in an unfamiliar back street, and Peter, on his way to the dentist, lost his heart to it at once. It cost him all the money in hist pocket, including the fare home. That was how he came to take the way along the beach which led him into grave danger, but also opened his eyes to the magic properties of the little ship in his hand—the ship that flew.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

砂の妖精
イーディス ネズビット (著), H R ミラー (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

ロンドンから田舎に移り住んだ子どもたち4人。彼らは砂の中に棲んでいるサミアドという不思議な妖精に出会います。その魔法の力で空を飛んだり、巨人になったり…愉快な冒険物語。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

火の鳥と魔法のじゅうたん
イーディス ネズビット (著), H.R.ミラー  (イラスト), 猪熊 葉子 (翻訳)

ロンドンに住む5人の兄妹は子供部屋のじゅたんを焦がしてしまい、新しいじゅうたんを買ってもらったら・・・なかには不死鳥の卵が・・・空飛ぶじゅうたんと不思議な力を持つ不死鳥と数々の冒険をするのですが、願いはかなえられるけど、意外な結果に・・・日常にふとまぎれこんだ「魔法」を楽しく描くネズビットの傑作

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

メリサンド姫: むてきの算数!
E. ネズビット (著), 高桑 幸次 (イラスト), 灰島 かり (翻訳)

むかしむかし、人間と妖精がいっしょにくらしていたころ、ある国にそれはそれはかわいらしいお姫さまが生まれ、メリサンド姫と名づけられました……と、そこまではごく普通のお話だったのですが……。悪い妖精がかけた呪いに、姫と王子が算数マジックで立ち向かう!

 

 

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第九軍団のワシ
ローズマリ サトクリフ (著), C.ウォルター ホッジス (イラスト), 猪熊 葉子 (翻訳)

ローマ軍団の百人隊長マーカスは、ブリトン人との戦いで足を負傷し、軍人生命を絶たれる。マーカスは親友エスカとともに、行方不明になった父の軍団とその象徴である“ワシ”を求めて、危険に満ちた北の辺境へ旅に出る。(「BOOK」データベースより)

 

 

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ともしびをかかげて
ローズマリ サトクリフ (著), チャールズ・キーピング (イラスト), 猪熊 葉子 (翻訳)

衰退したローマ帝国は、450年にわたるブリテン島支配に終止符をうつ。地方軍団の指揮官アクイラは、悩んだ末に軍を脱走し、故郷のブリテン島にとどまることを決意したが…。意志を貫いて生きることの厳しさ、美しさを描く。中学生以上。(「BOOK」データベースより)

 

 

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時の旅人
アリソン アトリー (著), 松野 正子 (翻訳)

病気療養のため、母方の古い農場にやってきたペネロピーは、ふとしたことから16世紀の荘園に迷い込む。王位継承権をめぐる歴史上の大事件にまきこまれた少女の、時をこえた冒険。中学以上。(「BOOK」データベースより)

 

 

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「ナルニア国ものがたり」全7冊セット
C.S.ルイス (著), 瀬田 貞二 (翻訳)

押入れやクローゼットを開けたとき、この向こう側に行ってみたいと、ふと思うことがある人。それは『ナルニア国ものがたり』をかつて夢中になって読んだ人にちがいない。第二次世界大戦中のイギリスの片田舎。ロンドンから疎開してきたピーター、スーザン、エドマンド、ルーシィの4人きょうだいが学者先生のお屋敷を探検するところから、この壮大な物語は始まる。

 

 

 

 

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