~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「くるみわり人形」1 マルチパンのなぞ。

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

くるみわり人形
北見 葉胡 (イラスト), E.T.A. ホフマン (著), 村山 早紀 (著)

クリスマスの日、マリーは、おくりものの中に、りっぱな服に身をつつんだ、くるみわり人形を見つけます。すっかり、このお人形が気に入ってしまうマリー。しかし、真夜中になると、家の中で音がきこえ、おどろきの光景を目にすることになります……!世界中で愛され読みつがれてきた名作に、現代の児童文学作家たちが新しい命をふきこんだ、ポプラ世界名作童話シリーズ。

 

 

クリスマス前の定番ということで、「くるみ割り人形」にしようかな。
なんとなく以前適当な紹介になってしまったような気がして心が残っていました。

 

whichbook.hatenablog.com

 

ホラーだと言って紹介しましたが、どうホラーなのか、そしてホラーでない部分についても、もう一度読みながら、きちんとご紹介してみたいなと思いました。

私の持っているのは石丸静雄さん訳です。

 

例のごとく、目次を書いてみます。
全部で14章です。

 

1.クリスマスの前夜
2.おくりもの
3.マリーのお気に入り
4.おばけ
5.たたかい
6.病気
7.かたいくるみのおとぎ話
8.かたいくるみのおとぎ話のつづき
9.かたいくるみのおとぎ話のおわり
10.おじと甥
11.勝利
12.人形の国
13.都
14.おしまい

 

「クリスマスの前夜~病気」までが主人公マリーのお話です。

 

3章ある「かたいくるみのおとぎ話」は、マリーが聞かされる、くるみ割り人形の昔話になります。
そこからは…むにゃむにゃ(ネタバレ回避…)…。

 

この4章めの「4.おばけ」の所が、もっともホラー臭が強い所です。
題名がストレートに「おばけ」ですし。

 

作者のホフマン(1776年~1822年)は、後期ロマン派を代表する幻想文学の鬼才とwikipedia先生には書かれています。

 

E.T.A.ホフマン - Wikipedia

 

 

冒頭にきらびやかに描写される、この主人公のマリー(7歳)のおうちなのですが、なんとも輝かしいドイツのクリスマスです。
それも若干、貴族的なにおいのする「良家のお嬢さんのおうち」という感じです。

 

シュタールバウム家。
主人公のお父さんは、衛生顧問官ということになってるんですけどこの衛生顧問官ってなんだ?

 

調べてみると作者ホフマンは、プロイセン王国の時代です。

 

検索していると、「16世紀ドイツにおける『官吏』としての顧問官の誕生」などと書かれている記事(pdfの論文のようです)も見つけましたので、王様に仕えている国家公務員ぐらいの感覚だと思います。

 

この プロイセン時代のシュタールバウム家の子供たち、マリーとフリッツ。
残念ながらお兄ちゃんのフリッツは、最初はともかく、後からはあまり出てきません。
主人公はマリーです。

 

上にもひとり、おねえさまのルイーゼというのがいらっしゃるんですが、このおねえさまはほぼお母さんみたいな扱いで、あまり話には関わってきません。

 

やっぱり昔の話を読んでると、いろんな立場の大人が周りにいっぱいいて、嫌な人もいればお母さん代わりをするようなおねえさんもいたりします。

乳母みたいな立場で、おばあちゃん並みに散々甘やかしたり世話を焼いたりする人がいます。

また、お料理をする立場の女中さんよりも立場が強そうな、女性コックさんのようなお手伝いさんがいたりして、いろんなものを作ってくれたりします。

これらのたくさんの人々が、子どもたちを、気にしたり世話をしたり、お説教したりして、たくさんの人に見守られている感じが強いです。

(基本的に安定した経済状況の家庭の話ではあります)

 

 

このシュタールバウム家と仲良しのお付き合いをしている、フリッツやマリーの名付け親、ドロッセルマイエルさん

ホフマンはふざけて描写したのかも知れませんけど、随分変わった人です。

 

背はひくく、やせこけて、顔はしわだらけで、右の目のあるところには大きな黒い「こうやく」をぺったりとはりつけていて、かみの毛は一本もありませんでした。

こうやく?

dictionary.goo.ne.jp

この「右の目のあるところにこうやくを貼り付けている」というのがちょっとピンと来ない感じだったのですが、塗り薬を片目に貼っている、ということ…?

 

何となく、独眼竜の眼帯みたいなイメージで良いのでしょうか。

 

独眼竜だとカッコよすぎるな。

 

このドロッセルマイエルは、ホフマンが自分を投影していそうな気もします。

 

ドロッセルマイルさんは上席判事ということですが、ホフマン本人も法律家の家系に生まれた司法官(裁判官)です。

このお話を描いた頃(1816年)には、ベルリンの大審院の判事をしていたということなので、まさにドロッセルマイルのおじさんです。

 

「世界少年少女文学全集15ドイツ編2」のあとがきによれば

ホフマンはそのころ、友人のヒッチヒという人の家によく遊びに行きました。そしてその家のふたりの子どもを、たいそう可愛がっていました。おもちゃをこしらえてやったりおどけたことをしてみせたり、おもしろいくるみわりのお話をして聞かせたりする上席判事ドロッセルマイルこそは作者のホフマンその人と考えてもいいでしょう。(石丸静雄)

 

 

最初は子どもたちは、クリスマスの準備をしているはずの部屋には、決して入ってはいけないと厳しく言われ、暗がりでじっと我慢して待っています。

 

我慢が最高潮に達した時、さっと扉が開かれて、見事に飾りつけをした大広間や、中の間が目の前に広がります。

 

その様子は、文章を読んでいても、まさに舞台の幕が上がる様子そっくりで、これをバレエ作品にしたのは、実によくわかる話です。
ぴったりです。

 

その色とりどりのすばらしさ、おいしそうさ!
もらったプレゼントの見事さや、奇妙なドロッセルマイエルさんが持ってくるおみやげの珍しさが、筆を尽くして語られています。

 

 

キラキラしたクリスマスの描写を読みながら、なぜ最近、「くるみわり人形」を強く思い出すことになったのか、そのきっかけを思い出しました。


マジパンです!

 

前回紹介した「飛ぶ船」で、「マジパン」が出てきたのですが、調べているとマジパンはマルチパンと同じであるということが判明していました。

 

マルチパン……マルチパン、どこかで聞いたぞ?と首をひねっていて、思い出したのが「くるみわり人形」でした。

 

まだ冒頭の部分、どんなものをクリスマスにもらえるのだろうか?
この入ってはいけない扉の向こうはどんななのだろうか、と、マリーとフリッツが話しているシーンでした。

 

ドロッセルマイエルのおじさんは、いつだったか、あたしに、きれいなお庭のことを話してくだすったわ。そのお庭には、大きなお池があって、金の首飾りをつけた、とてもきれいな白鳥が、たくさんおよぎまわっていて、それはそれは、かわいい歌をうたうのよ。すると、そのうち、ひとりの女の子が、お庭からお池のほとりにやってきて、白鳥たちを呼びよせて、おいしいマルチパンをやるんですって。」
「白鳥が、マルチパンなんか食べるもんか。」
フリッツは、いくらかあらっぽく、ことばをはさみました。

 

実にかわいらしい7歳の女の子のおしゃべりなのですが、お兄ちゃんのフリッツがくだらないとばかりに一蹴してるのもまた、ちょっと子どもらしくて笑えます。

 

この「くるみわり人形」には頻繁に出てきます。頻出単語です。
マルチパンとはなんぞ、というのが長年の疑問でした。

 

マジパンのことだったのかー!!

 

…つづきます。

 

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くるみ割り人形 白鳥の湖 バレエ名作物語 (集英社みらい文庫)
ひかわ玲子 (著), 碧風羽 (その他)

クリスマス・イヴのパーティで、名づけ親のドロッセルマイヤーさんから、くるみ割り人形を送られた少女クララは、その夜、不思議な体験をする…「くるみ割り人形」。悪魔に呪いをかけられ、白鳥の姿に変えられてしまったオデット姫。夜の湖で出会ったジークフリート王子と恋に落ちるが…「白鳥の湖」。世界中で上演されている、チャイコフスキーの人気バレエ2作品が、ロマンチックなファンタジー小説に!【もくじ】はじめに/くるみ割り人形/白鳥の湖/解説 少女の夢のつまった世界(深沢美潮

 

 

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ロッタちゃんとクリスマスツリー
アストリッド=リンドグレーン (著), イロン=ヴィークランド (イラスト), やまむろ しずか (翻訳)

明日は、楽しいクリスマスイブ。けれども、ロッタちゃんの家では、まだクリスマスツリーにするモミの木が手にはいりません。嘆き悲しんでばかりいるお兄さんたちを残してロッタちゃんは雪の町へ飛び出していきます。行動的な女の子を生き生きと描いたリンドグレーンの絵本。絵は彼女とのコンビが多いヴィークランドです。

 

 

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とぶ船
ヒルダ・ルイス (著), ノーラ・ラヴリン (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

ピーターがある日、うす暗い小さな店で手に入れた古い小船は、なんと魔法の「とぶ船」でした。ピーターたち4人きょうだいはこの船で、エジプトやウィリアム征服王時代のイギリス、北欧神話の世界にまで冒険旅行をします。

 

 

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くるみ割り人形 白鳥の湖 バレエ名作物語 (集英社みらい文庫)
ひかわ玲子 (著), 碧風羽 (その他)

クリスマス・イヴのパーティで、名づけ親のドロッセルマイヤーさんから、くるみ割り人形を送られた少女クララは、その夜、不思議な体験をする…「くるみ割り人形」。悪魔に呪いをかけられ、白鳥の姿に変えられてしまったオデット姫。夜の湖で出会ったジークフリート王子と恋に落ちるが…「白鳥の湖」。世界中で上演されている、チャイコフスキーの人気バレエ2作品が、ロマンチックなファンタジー小説に!【もくじ】はじめに/くるみ割り人形/白鳥の湖/解説 少女の夢のつまった世界(深沢美潮

 

 

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やかまし村の春・夏・秋・冬
アストリッド リンドグレーン (著), イロン・ヴィークランド (イラスト), 大塚 勇三 (翻訳)

かまし村はスエーデンの小さな農村。クリスマスにはショウガ入りクッキーを焼き、復活祭には卵パーティーで大もりあがり!夏休みには宝物をさがしに湖の島へ。子どもたちの四季おりおりの遊びやくらしを、いきいきと描きます。小学3・4年以上。(「BOOK」データベースより)

 

 

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ママお話きかせて―冬の巻
(小学館のお話シリーズ)

初版と新版は、表紙デザインが異なります。日本昔話、イソップ童話などが90話収録。毎日ちゃんと読み聞かせても三か月分あり、読み応え十分。挿絵はダイナミックかつ個性的で、家族の話題作りにもいかがでしょうか。

 

 

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こうさぎのクリスマス
松野正子 (著), 荻 太郎 (イラスト)

両親がキツネに追われたまま帰ってこないので、兄ウサギのラビーと妹ウサギのルビーは、二人だけで暮らしていました。森で薪をひろいながら、他の家にはどこもクリスマスツリーが飾ってあるのを見て、ラビーはルビーに「うちにはサンタクロースなんかこないよ」といいます。でも二人はそっとお互いのためにクリスマスの贈り物を……。心にしみいるお話が柔らかなタッチで描かれます。(福音館https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=03-0249

 

 

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子うさぎましろのお話
佐々木 たづ (著), 三好 碩也 (イラスト)

サンタクロースからもらったおかしを食べてしまった子うさぎのましろは、またほしくなってもらいにいくのですが……。

 

 

 

 

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