閑話 長新太さんのねこのブックカバーを探して 1
閑話です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
ピンクちゃんとあだなをつけられた気の弱い少年次郎が、尊敬する高杉晋作にならい、決心して一人旅に出かける。軽快なテンポのユーモアで’60年代を代表する児童文学の名作。再刊。(「MARC」データベースより)
数週間前のことなのですけど、去年の話です。
去年のことですが
「今年こそは、かねてから念願の、長新太さんデザインのねこブックカバーを手に入れよう!」
と思っていましたが、思うように予定が取れませんでした。
だんなから、「おまえだけずるい!京都なんて自分も行きたい!反対!反対!絶対反対ー!!……でも、行くなら今しかないんじゃない?」
という話が出たのが、12月26日のこと。
すごい勢いでその日にあれこれとホテルなど欲望のままに予約しまくり、翌日27日の早朝に家を飛び出しました。
妹子と一緒に。
(妹子は、こういうとき、すごく喜んでどこまでもついてきてくれます。)
OKが出た翌日に家を飛び出す。
こんな無茶苦茶な旅は、これまでほとんどしたことがないです。
プチ家出のようでとても楽しかったです。
◇
しかし、大雪の予報が出ているのに、大雪地方(天橋立)に予約を入れてしまいました。
当日に「すみません……無理そうですね……」と電話をする、超ヘタレ客。
だんな「宿にとっては手間だけ増えて邪魔でしかない」
雪!雪なんて!
人生でほとんど見たことがないから、雪の予報があっても注目してなかったんじゃよ~!!
などというハプニングに見舞われつつ…。
ついに!
手に入れました!!
長新太さんデザインのブックカバーです!!
京都河原町通三条下ル
文祥堂書店さんです。
小さな店舗で、新刊本と雑誌
入って一見、品が少ないように見えるかもしれませんが、これだ、ほしかったと思う本三冊、みな置いてありました。
この!ねこ!
予想以上にカワイイです。
思っていたよりずっと質感とインパクトがあって、丸みもたまらないです。
さすが長新太さんだ!と思いました。
◇
経緯を軽くお話しますと、
27日天橋立が大雪でキャンセル⇒貴船神社へ変更。
28日金閣寺から嵐山へ。今回は少し郊外の方に足を延ばしました。この日は、ねこカバーのお店「文祥堂さん」に駆けつけるも、間に合わず。
29日は、妹子を休ませつつ、ゆっくりゆっくりと文祥堂さんへ。
寺町通りという所から、何気ない路地をふっと入った所にあるのですが、この寺町通りがすばらしかったです。
古書店が多く、それもとてもめずらしい古文書が100円単位で売られていたりします。
28日に、妹子が和綴じで墨書きの「孟子」を欲しがったのですが、そのときはやめておきました。
これは大失敗、翌日の29日にはお休みになってしまっていました。
歩いているだけで面白く、本好きさんにはたまらない通りだと思います。
◇
その、「何気ない路地をふっと入ったところ」
文祥堂さん、一見してあまり本の数が多くない本屋さんのように見えます。
本がぎっしり並んで、目に美しい文房具で華やかな大型店舗ばかり見慣れている妹子、「これは本当に本屋さん?」と疑いの目をわたしに向けました。
実際、グーグルマップには何か低い点数とコメントがつけられていて、たいへん気分をわるくしたのですが、これは普通の本屋さんと思ってはいけないように感じました。
店頭の外に箱入りで安値で売られいる古い文庫本……。
品揃えが面白いです!
いわゆる、通好みというやつです。
◇
ガラス越しに中を伺うと、新刊の雑誌が並んでいますが、ちょっと普通のただ新刊を並べている棚とぜんぜんちがいます。
これはおそらく常連さん向けではないでしょうか?
中に入って、並んでいる本を見ていくと、最近評判になっていた本の中で、気になっていたもの2冊発見です。
この在庫数で、2冊の読みたい本、それも新刊本があるというのは、やはりこれは、常連さん向けの、通好みの本屋さんです!
(自分が欲しいと思うものがあって通だなんて言うのも業腹ですけど~どんだけ~!)
なんだかすごく、京都そのものという感じがしました。
◇
妹子がぎゅっと私の手を掴んで、「ある!ある!ねこ!ねこ!」とささやきました。
入って真正面の棚に、猫カバーの説明と、猫の本発見です。
パラっとめくってみると、えっ?
大佛 次郎 、井伏鱒二、谷崎潤一郎!?
そうそうたる名前ばかり並ぶ猫の本、こ、これは買いだ~っ!
この猫の本、あとで読みましたが素晴らしかったです。
現代の価値観でいうペットではなくて、人間がそれはそれは苦労しながらも、猫と共生していく。
猫と人の葛藤と争いと愛が描かれていました。
◇
ねこカバーについて、おそるおそるお聞きすると、息子さんでしょうか?
レジにおられて丁寧に教えてくださる後ろから!
まさに!
まいどなニュースの画像で見たまんまの、ご主人がニコニコしながら出て来られました。
こちらは、勝手な想像でお年寄りと思っていたのですが、ぜんぜんそんなことはなく、とてもお元気で、そして何ともいえない穏やかな優しい雰囲気のかたでした。
「描かれたのは長新太さんなんですがね、うちの店に来られてたのはそもそもが今江祥智さんなんですよ」
その名前に胸がドキンです。
少し長くなってしまったので、明日に続きます。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
猫 (中公文庫)
大佛 次郎 (著), 有馬 頼義 (著), 尾高 京子 (著)
谷崎 潤一郎 (著), 井伏 鱒二 (著), 瀧井 孝作 (著),
猪熊 弦一郎 (著), クラフト・エヴィング商會 (編集)
猫と暮らし、猫を愛した作家たちが、思い思いに綴った珠玉の短篇集。半世紀前に編まれたその本が、クラフト・エヴィング商會のもとで、新章“忘れもの、探しもの”を加えて装いも新たに生まれかわりました。ゆったり流れる時間のなかで、人と動物の悲喜こもごものふれあいが浮かび上がる、贅沢な一冊。
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突然の父の死。祖母の死。そして戦争がはじまった。日々の暮らしのなかで何が変わり、何がなくなっていったのかを、多感な時期を迎える“ぼんぼん”・洋の目をとおして語る。さまざまな人間模様、危険なできごと、淡い恋心――。力強く生きぬく少年の姿を、大阪弁にのせて、ていねいに描いた作者の代表作。(解説=山田太一)
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昭和46年度から平成12年度までの定評のあった、国語教科書のお話を、あざやかな挿絵そのままに、児童書にしました。時計の中に住んで時を告げているチックとタックの2人が、夜中にこっそり抜け出して、わさび入りのおすしを食べて「ジッグ、ダック」時計が鳴るようになった千葉省三「チックとタック」(第1巻)を皮切りに、50代~60代の方にも懐かしい翻訳作品「小さい白いにわとり」(第3巻)など、すでに絶版で他では読むことのできないまぼろしの名作の数々を収録。
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くじらのような、イルカのような大きな飛行機が海に浮かんでいます。大勢の猫たちがそれに乗り込み、「ごろごろにゃーん」と出発です。「ごろごろにゃーん」と、飛行機は飛んでいきます。魚を釣りながら「ごろごろにゃーん」。くじらにあっても「ごろごろにゃーん」。山を越え、街をながめ、飛行機はにぎやかに「ごろごろにゃーんごろごろにゃーん」と猫たちをのせて飛んでいきます。長新太の真骨頂! 斬新で愉快な絵本です。
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「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492
◆プロジェクト・グーテンベルクについて
☞Wikiの説明ページ
プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリカ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館。
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