~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書?「ミツバチ娘セネマー」 3 最後まで情報量が多すぎる

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

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今日の一冊

 

新編 世界むかし話集(7)インド・中近東編

山室静 (編集) 形式: Kindle版

世界宗教といわれるものはすべてこの地域で発生し、砂漠あり氷河あり、人類の往きかよう十字路。おびただしくある説話から昔話のインド起源論が風靡したことさえあった。ともあれ、この地域が昔話の宝庫であることは間違いない。
<インド> 青い山犬 / 三人のいたずら者 / 他十二編 
<イラン> お百姓と三人のいたずら者 / アリ・ムハメッドのお母さん / 他五編 
<アラビア> ダマスクスの商人カシムの話 / 二人のごろつき / 他四編 
<トルコ> 笑いリンゴ泣きリンゴ / どろぼうの名人 / 他六編 
<イスラエル> 巡礼と彼のロバ / なまけ者の国 / 他五編

 

大人が読む児童書?「ミツバチ娘セネマー」 1 ミツバチを生む。文字通りです。

大人が読む児童書?「ミツバチ娘セネマー」 2 あまい言葉に気を失う王子さま

 

 

さて話はこっちの困惑をよそにどんどん進みます。
恋の力は偉大です。

 

超特急です。
止めようったって止められません。

昨日の「王子はひどく惚れこんでいたので、この一週間が早く過ぎるように、なにかしなくてはならないと思い、狩りにでました。」のすぐ次の行なのですが、こんな風になってしまいました。

 

ところがまもなく狩場から知らせがきて、王子が馬から落ちて死にそうになっているとのことでした。

 

妹子「展開早すぎ!なんでもうそんななってるの!情報量多すぎでしょ!ついていくのが精いっぱいだわ!」

 

いきなりの暗転です。
相手がみつばちであってもいっさい揺るがなかった王子の気持ちですが、運命のいたずらが二人を引き裂こうとしてるのです……っていうか、ここまででページとしては1~2ページなのに、次から次へと起きることが無茶苦茶です。

 

愛する王子のようすを見ようと、都の人々は男も女も、ぞくぞくと山に向いました。

 

これまで、王子さまが洗濯女の家に直接出かけたりだとか、この国の規模はどの程度なんだろうと少し疑問に思っていました。
割とちっちゃな町レベルのなんだろうか、アラブの一部族の首長的な感じなんだろうか、と。

 

しかしこれは、都の人々とか書いているあたり、けっこう大きな立派な国であるようなイメージです。

 

ここではじめて、このミツバチ娘が「セネマー」という名前(正確には「スルタン・セネマー」)であったことがわかるのですが、飛び立って婚約者の王子のもとへ向かいました。

 

もう婚約式は終えているので、正式な婚約者です。

 

ここがなかなかかわいいです。
玉ネギの皮をチャードル(回教徒の女が全身を包むベール)に、ニンニクの皮をルーベンド(同じく顔にかけるベール)にしたのだそうです。

 

回教徒という言い方もちょっと古く、華やかな異文化の香りがします。

 

何となく、イランではなく「ペルシャ」であったころの古い時代のことには、ムスリムとかイスラム教徒とかいう言い方よりこの「回教徒」という言い方がしっくりきました。

 

妹子「にんにくの皮って、くさくないの?」
わたし「妹子こんどにんにくをむいてごらんよ。すごく薄くて半分すきとおったきれいな皮が出てくるよ。皮だけならちっともくさくないよ」

 

ここに、妖精(ペリ)の王の娘が現れました。
Wikipedia先生によると、ペリとは、「イランの高原地帯に棲んでいるとされる妖精の一種」だそうです。
この妖精のお姫様ですが、これまた唐突です。

 

彼女はもういく年も、メカジキの骨がのどにささって苦しんでいましたが、いまスルタン・セネマーがそんな姿でやってきたのを見て、大笑いに笑ったので、骨がのどからとびだしてしまいました。

 

妹子「もう、情報量が多いのはわかったって思ってたよ……。まだこの上重ねてくるのかよ……」
わたし「まあまあ、あなたもメカジキの骨がのどにささってても飛び出すぐらい笑ってたけどね」

 

というわけで、妖精のお姫様は機嫌をよくして、何か願いをかなえてあげるといいました。

 

スルタン・セネマー「わたし、あなたのような美しい娘になりたいのですわ。」
妹子「王子を助けてあげてとかじゃないんかーーーい!!」

 

それは若干、わたしも思いました。
でもまあ、いいんです。
なぜなら……。

 

しばらくすると、王子はまた健康になりました。結婚式の準備は、いまや大いそがしでした。使いの者が、ミツバチをつれに洗濯女の家にきてみると、おどろいたことに、ミツバチの代りに、世にも美しい娘がいたではありませんか。みなは心からよろこんで、この花嫁をお婿さんの王子のもとへつれていったのでした。

 

王子は恋の力(たぶん)で、自力で回復したからです。

 

めでたし、めでたしです。

 

引用形式にしつつ、ほぼ全部書いちゃいましたけど、ご覧のとおり、このむかし話集は本当に個性的で、あまり他で聞いたことがないようなお話が満載です。

 

世に広まっている物語とかぶらないように、編者の山室静さんが配慮しているのではないかと思われます。

 

 

妹子「本当にもうツッコミどころ多すぎる。『そうですか。そんなら僕は死ぬだけです』とか。本当ウケる」
わたし「この詩のところは、かわいく読みたいんだよね~。『ちかってわたしもうしあげますわ!』」
妹子「お母さん、ひとつ言うけど、そんな声出しちゃダメ」
わたし「えっ?なんで?」
妹子「男子がね刺激受けちゃうよ。気が遠くなって倒れんの」
わたし「なるほど」

 

 

わたし「お母さまのお妃も『そうなのかえ』とか言っちゃって、どこの人だよみたいなのは、あれは古臭いと思うのか、ネタになって面白いと思うのかなあ。ちょっと評価が分かれるところだよね。お母さんは完全にネタとして面白いから残しておくべきと思う人だけど」
妹子「ネタだよ!誰がどう考えてもネタ。古臭いなんて思わないでそのままにしててほしいよ!」
わたし「やっぱり、昔話ってそういう古臭い面白みのようなものも含めて、ちょっとネタ的な笑える何かが欲しいんだよね。子どもも面白がるし。四角四面にまじめに訳すだけじゃつまらないのよ」
妹子「絶対わざとやってる気がする。あの訳」
わたし「『ちかって私申し上げますわ!』⇒気絶」

 

ウケてる……。
とりあえず、妹子にはたいそうウケました。

 

セネマーという響きもなんだか美少女っぽくってかわいかったです。

 

 

今はもう、古本でも手に入れるのは難しいようなので、ご紹介はkindle本でしていますが、昔から持っている本型のおはなし集は、長新太さんなどのすばらしい挿絵がたくさん入っていて、それはそれは面白いものでした。

 

妹子の携帯に、キンドルアプリを入れ、わたしのアカウントで読んでもらっていたのですが、やはり途中で携帯でページを追うのがめんどくさくなったみたいです。

 

広辞苑のような、人を殴り殺せる厚さの本でしたが、このやさしい語り口の昔話の内容を広辞苑の厚さの本で読むというのは、「本を読む」という体験としても、とても貴重なものだったのではないか、と思います。

 

内容はこれなのに、「なんか本読んだ!」という気分になれますし、ページをめくったり、もどったり、積んでみたり、崩してみたり、物理的な本の楽しみはそれはそれはいいものですから。

 

それも、これは外せないという基本的なもの、また聞きなれたシンデレラストーリーの各地版のようなものから、あまり聞いたことがないような、だが印象的なストーリーまで、非常にバランスが取れています。

何より数がすごいです。
紹介されている話の数が半端ないのです!実に貴重なむかし話集です。

 

昔の分厚い本型の昔話集で読めないのは残念ですが、kindleで読めるだけでも非常に価値のある、読んだことのないお話もいっぱいのすばらしい世界の昔話集です。

 

本を読むと、電気をつけてないといけないですからね!
これだと、暗くして携帯片手にチラッチラッしながら読んであげられます。

 

子供の夜の寝かしつけのよい助けになってくれることと思います。

 

 

 

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新編 世界むかし話集 (全11巻) Kindle版 山室静 (Editor)

 

 

 

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新編 世界むかし話集(1)イギリス編 (現代教養文庫ライブラリー) Kindle版 山室静 (編集) 形式: Kindle版

ムーミン」やアンデルセン童話など、北欧・児童文学の研究・翻訳に生涯携わり、子供たちには夢を、大人にはやすらぎを与え続けた著者・山室静の世界むかし話集第1弾。
<イングランド>ネコの王さま/カメの遠足/最初のバナナ/三びきのクマ/ロンドン橋の上で/ジャックと豆の木/他8編
<コーンウォール>ベッチィ・ストーグの赤ちゃん/頭から下に向かって/他3編
<スコットランド>ヒース酒の秘密/詩人トマスの話/他5編
<ウェールズ>長すねグウィスの嘆き/他3編
<アイルランド>白いマス/笛吹きとプーカ/他9編

 

 

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新編 世界むかし話集(2)ドイツ・スイス編 (現代教養文庫ライブラリー) Kindle版 山室静 (編集) 形式: Kindle版

これまで家庭で語られていただけの昔話が、今日のように文化的宝と認められるようになったのは、グリム兄弟の『家庭と子供のための童話集』の刊行によるところが大きい。
本書は「ヘンゼルとグレーテル」「白雪姫」などのグリム童話を中心に、オーストリア、スイス、オランダ諸国の昔話を多数収める。
<ドイツ> カエルの王子/ヘンゼルとグレーテル/オオカミと七ひきの子ヤギ/いばら姫/他21編
<オーストリア> 永遠の国へ行った花婿/ハシバミの枝/他3編
<スイス> 三つの言葉/ローツェ氷河はどうしてできたか/かわいい小鳥/他5編
<オランダ> スタフォレンの奥方/飛びゆくオランダ人/他3編

 

 

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新編 世界むかし話集(3)北欧・バルト編 (現代教養文庫ライブラリー) Kindle版 山室静 (編集) 形式: Kindle版

他のゲルマン諸国では、神話詩や英雄伝説キリスト教の影響で失われたが、北欧ゲルマン人はすこぶる詩歌を愛し、それが語り伝えられている。北欧の民話が豊かであるのは、そのような伝統を受け継いでいるからである。
<デンマーク> 辛抱づよい奥方/十一羽の白鳥/小さい野ガモ/他8編
<スェーデン> 跳ぶ巨人/水の精(ネック)と少年名/スコールンダ山の巨人/他7編
<ノルウェー> 北風のくれたテーブルかけ/海の水はなぜからい/他8編
<アイスランド> 雌牛のブーコラ/アザラシの皮/他6編
<フィンランド> 七人兄弟/ほうきつくりの老人と王さま/他5編
<バルト諸国> 年越しの晩/欲ばりの王さま/他7編

 

 

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新編 世界むかし話集(4)フランス・南欧編 (現代教養文庫ライブラリー) Kindle版 山室静 (編集) 形式: Kindle版

早くからギリシャ・ローマ文明に触れ、常にヨーロッパの先進地域であったため、フランスは洗練と、世界伝播の揺籃となる。1697年にペローが昔話集を出すに及んで、世界ははじめて昔話の楽しさを認識するに至った。
<フランス> 赤ずきん/サンドリヨン(シンデレラ)/長靴をはいた猫/他13編
<イタリア> コンスタンチノと彼のネコ/たんすの中の娘/太陽と月とターリア姫/魔法使いとおろかな弟子/他9編
<スペイン> 食いしんぼうの女/世にもめずらしい宝物/三本のナデシコ/他5編
<ポルトガル> ロバの耳をした王子/ネコのしっぽ/イチジクの木/魔法の鏡/他2編
<地中海の島々> 胡椒っ子/ソロモンの忠告/好奇心の強い女/この世の花/他2編

 

 

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新編 世界むかし話集(5)東欧・古代編 (現代教養文庫ライブラリー) Kindle版 山室静 (編集) 形式: Kindle版

この地域は民族的、文化的に入り組んでいて、しかもアジアに近く、昔話はどこか土俗的かつ素朴で、狡猾な機知があり、またオリエント風の怪奇や華麗な幻想性も現わしていて、ふしぎな謎を秘めているものが多い。
<東欧> ギリシャハンガリーブルガリアルーマニアアルバニア/ユーゴ/ジプシー
<古代> エジプト/アッシリアユダヤ
<古典> イソップ/ギリシャ神話/ゲスタ・ロマノルム

 

 

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新編 世界むかし話集(6)ロシア・西スラブ編(下) (現代教養文庫ライブラリー) Kindle版 山室静 (編集) 形式: Kindle版

ロシアはヨーロッパから別扱いされ、なおざりにされ続けてきた。しかし、ロシアの昔話によく出てくるばかのイワンが、利口者の兄をさしおいて美しいお姫様と結婚、王国を継承したように、近代に至ってロシアは、文学の巨人を輩出させて世界文学の王座をしめ始めた。
<ロシア> 火の鳥カマスの命令 / 他15編
<トルキスタン・シベリア> スイカの種 / 底ぬけに気前のいい男 / 他6編
<コーカサスアルメニア> 処女王 / 漁師の息子 / 他5編
<ポーランド> ヘビの王さまの冠 / オンドリと風 / 他6編
<チェコ> 十二の月 / 塩は黄金よりも尊し / 他6編

 

 

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新編 世界むかし話集(8)中国・東アジア編 (現代教養文庫ライブラリー) Kindle版 山室静 (編集) 形式: Kindle版

黄河流域の北は儒教の影響もあって少ないが、揚子江の南では民話が多く、また少数民族の民話が伝えられていて民間伝承は豊か。この巻は東アジアの民話・昔話を集めたものとしては収録数も多く、変化に富んだものとなっている。
<中国> 少女イェーシェン / 花の精たち / 他20編
<朝鮮> ニンジンっ子 / コウノトリの裁判 / 他6編 
<モンゴル> 金と銀のサイコロ / フルンショボーという鳥のこぶ / 他4編 
<チベット> アリの話 / 他2編 
<ベトナム> 米つぶ / ふしぎな女房 / 他4編 <ビルマ> かぜをひいたウサギ / 他2編
<タイ> 金のハゼ / 夢の話 / 他2編 
<マレーシア> トラとその影 / 豆シカとワニ
<インドネシア> だれの罪か? / ミツバチ女房 / 他7編

 

 

 

 

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