~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

ケストナーの傑作「ふたりのロッテ」読了

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ふたりのロッテ

エーリヒ ケストナー (著), ヴァルター・トリアー (イラスト), 池田 香代子 (翻訳)

おたがいを知らずに別々の町で育った、ふたごの姉妹ルイーゼとロッテ。ある夏、スイスの林間学校で、ふたりは偶然に出会います。ふたりは、大胆な計画をたてるのですが…。

 

ケストナーの傑作「ふたりのロッテ」再読1

ケストナーの傑作「ふたりのロッテ」再読2 隠せない村上春樹臭のするお父さん ~

ケストナーの傑作「ふたりのロッテ」再読3 ロッテの頑張りとチョコレートの魔女 ~

 

読了しました。

「チョコレートばら巻きくそ女!もう出てくんな!」

 

妹子、まだののしっています…。
こういう、いつまでもしつこく、ののしる所がキッズでクソガキな感じです。

 

さて読み終わって、改めて色々と考えさせられました。 

 

このお話が、名作としてあるのは、子どもによって別れた夫婦がふたたび縁をつなぐ夢物語を描いているようでありながら、だからといって、「離婚は子どもにとって悪」「子どもには両親がそろってこそ」などという、単純な価値観のもとにあるものではないからです。

 

そんなことはないこと、家庭はそれぞれの事情がそれぞれであること、を重々承知の上で書かれています。

あえて言えば、炎上をおそれずに。
わかっていて、夢物語を描き切っています。子供のために。

 

あとがきでは、この作品が第二次世界大戦中に書きあげられた小説であることが語られます。

 

たくさんの町だけでなく、美しかった森すらも、空から無数の爆弾を降りそそがれ、焼き尽くされ、おびただしい人びとが無差別に殺されていくなかで

 


二人が入れ替わったのは、お父さんに会いたい、お母さんに会いたい…という望みからでした。
子供が心から望むとおりに物語は進行します。

 

児童書は子供のために書かれているように見えて、よい児童書には、明らかに大人でないとわからなさそうな、おとな同士の会話、というのが出てきます。
このような「大人の会話」というのが子供は大好きですし、難しい単語をさしはさむことが、知的好奇心をかきたてる、と書かれていたものもありました。

 

おかあさんがロッテの先生に言うひとことは胸を刺します。

ケルナーさんは、つらそうにほほえむ。
「ふしあわせな結婚をだらだらとつづけていたら、そんななかで、わたしの子どもたちはしあわせになったと思われますか?」 

それに対して先生は答えます。

ある人には正しいことも、ある人にはまちがいだったりするものなんですね。

 

おとなが読むことはとてもよいことだと思います。
そして物語に夢中になるうちに、子供、大人、というくくりは曖昧になって消えていくように思います。

 

 

あとがきが何から何まで素晴らしいです。

 

この『ふたりのロッテ』という物語は、はらはらどきどきの楽しい筋とはうらはらに、深刻なテーマをあつかっています。それは、親たちの離婚と、そこに巻き込まれないわけにはいかない子どもたちの問題です。

もしかしたら、あなたもロッテやルイーゼと同じ立場かもしれませんね。(略)でも、入れかわって親たちを仲直りさせるなんてことは、夢にみたくてもみられないかもしれません。(略)
別べつに生きることにした親たちが、またいっしょに生きていくことにするのがいいことか、どうでないかは、それぞれの場合によりますし。

けれど、わたしたちはロッテとルイーゼの物語をたどりながら、あるときはロッテになり、あるときはルイーゼになって、心の冒険をすることはできます。そうやって、自分の心をのぞきこみ、深くたがやすことはできます。それが、文学を経験することだと思います。

 

 


忘れるところでしたが、妹子さんに一体何のごほうびを約束したのかというと…。
Youtube風の動画を撮ってあげることだったのでした。

何しろ、子どものYouTubeへのあこがれはそれはそれはすごいものです…。
しかし、実際にUPするわけにはもちろんいかないので、なんちゃって動画を撮影するわけです。

 

小学生にユーチューバーは大人気ですから。
撮ってやると大満足で、しかし最後はちょっと飽きました。
飽きてくれて良かったです。
実際にやってみると、なんだか思っていたのと違うな、と思って興味がさめること、ありますよね。

 

 

 

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