「本好きは作るもの」読解力を身に付ける~珠玉の児童書~

「本好きは作るもの」~珠玉の児童書~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

ケストナーの傑作「ふたりのロッテ」再読3 ロッテの頑張りとチョコレートの魔女

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ふたりのロッテ

エーリヒ ケストナー (著), ヴァルター・トリアー (イラスト), 池田 香代子 (翻訳)

おたがいを知らずに別々の町で育った、ふたごの姉妹ルイーゼとロッテ。ある夏、スイスの林間学校で、ふたりは偶然に出会います。ふたりは、大胆な計画をたてるのですが…。

 

「出たこいつ!くそが出た!わたしこいつだいっっっっっきらい!!!!」

そんな風に言われてるのはイレーネ・ゲルラッハさん。
チョコレートの魔女です。

 

チョコレートの魔女とは、私たちがそう呼んでいるだけで別にそう書いてるわけではないのですが、読んでもらえばわかりますが、チョコレートの魔女って感じです。

 

彼女に関してはまあ、映画「サウンド・オブ・ミュージック」のお父さんが結婚しようとしていた貴婦人と同じ役回りです。

 

 

とりあえず、話を戻して、ロッテとルイーゼが入れ替わったことには、周囲の誰も気づいていません。
お父さんもお母さんもわかりません。

 

わんちゃんだけが気付きます!
(わんちゃんがすごく可愛いです…)

 

しかしここで特筆すべきは、元気でいきのいいルイーゼではない、おとなしいロッテの方の、目を見張るがんばりです!

 

ルイーゼの方は、どちらかというとしあわせです。
お母さんに会えて抱き着くシーンは胸がきゅんとなります。
お料理が出来なくて家じゅうとりちらかすシーンは笑えますが、気持ちがよくわかります。

 

 

しかし、ロッテが直面したのは…。
チョコレートの魔女です!
これは難敵です。

 

イヤな女です。

ひとつ、さまたげはある。あのばかな子どもだ。でも、イレーネさんがひとりかふたり、ルートヴィヒさんの子どもを産めば、すべては望みどおりにうまくいくだろう。

何か、こういう考え方をする女性は、根本から好きになれないです。

 

そして、このようなイヤな女であればあるほど、戦いにくくて扱いにくいです。向こうは、生まれながらの戦闘民族です。(めちゃくちゃな言われようです)


ロッテはすごいです。
女と女の、みため非常にわかりにくい、笑顔でウフフでありながら、一人の男性の袖を両側から必死で引っ張り合うという、熾烈で激烈な戦いを互角に繰り広げます!

 

直情的なルイーゼには、とても出来なかったであろうと思われます。

 

そもそもの間違いはすべて、お父さんが芸術創作のために別の家を借りていることなのです。
一人にならないとだめだ、邪魔されたくないというのはよくわかります。

 

でも、だから元奧さんも腹を立てるし、邪推もするし、余計なことを考えてしまう。
チョコレートの魔女みたいな女性に、付け入られる隙も出て来るわけです。

 

離婚してるわけなので、確かに恋愛は自由なのですが、ではルイーゼ(ロッテ)の気持ちは?となるわけで、ロッテはこの女性の目的も、感じ悪さも、一目で気が付きます。


しかもロッテは今までずっと、お母さんのもとで暮らしていたわけですから、そのお母さんのことをもう忘れて考えてなさそうなお父さん、これはムカつくのも当然です!

 

しかしロッテはそこで泣いたりわめいたりはしません。
家を整え、家計を握って(家政婦さんはズルでいいかげんでした)、家をお父さんが帰ってきやすい、気持ちのよい場所に仕立て上げます。


「わたしお父さんからピアノ習いたい♡」←うまくお父さんが自宅ですごす時間を増やします!
(ルイーゼはどんなに引っ張っていっても、ピアノの前に座ることすら無理だったようです…すごくうちの子っぽいです…)

 

魔女はこの効果も、意図もすぐに見抜きます!
あしたのジョーも真っ青の激しいジャブの応戦です。

 

そしてロッテが女の戦いを繰り広げている間、ルイーゼは教室の嫌な子供を1日に4回ぶんなぐっています。

 

 

お父さんといえば別宅でこの調子です。

ルートヴィヒさんは、音符を書いていた五線譜をわきにどけて、イレーネさんとおしゃべりをしている。
はじめのうち、しばらくはいらいらした。ふいにやってきて、仕事のじゃまをする人には、なんとしてもがまんがならないからだ。けれども、このうつくしい女性といっしょにいて、なにかのはずみでその手にさわったりするというのは、じつにいい気分だ。そういういい気分のほうが、だんだんとまさってくる。

 

このとおり、別宅がよくないのです。
しかし、そこにルイーゼのふりをしたロッテが現れます!

 

「こんにちは、お父さん。新しいお花を持ってきたの」

 

そしてロッテ、すごいです!
花をテーブルにいけ、ティーカップをもってきてミルクとお砂糖をすすめ、お客さまとしてイレーネさんを扱います。

つまり、イレーネさんに対し、お前は客であって、この家のものではない、よそものだ、という扱いをお父さんの目の前でみせつけているわけです。

 

その様子といえば、「まさに主婦だ」と書かれています。
まあ、今までお母さんの代わりに主婦をやっていたわけですから、お茶を入れてサーブするのも、そのしぐさたるや、いちいち堂に入っています。
それに鼻の下をのばすお父さん。

 

これはまさに、妻と浮気相手の戦いです!

  

さらにダメ押しをするロッテです。
すべての元凶が別宅にあることを鋭く見抜き、今ルイーゼ(ロッテ)が住んでいるのと同じマンションの、ひとりの芸術家と部屋を取り替える提案を持ち掛けます。そうすれば、同じ家に住めるわけですし、何の問題もない…。
しかも彼女の目の前でこの提案!
笑顔を浮かべながら、ちょっとすがるような目で見上げながら…。どうかしら?みたいな感じで…。

 

「なんていやな子でしょう」と、ゲルラッハさんは考える。なぜなら、ゲルラッハさんも女なので、この子がなにをたくらんでいるか、ぴんときたのだ。

 

手に汗握る戦いです…。

 

妹子はといえば、このあたりでは魔女のイヤさに気分が悪くなってしまい、もう考えるのもイヤだといった調子で、もう一度ふたりのロッテ読めないスランプ」にかかってしまいました…。

 

ルイーゼタイプのこの子には、「ロッテと魔女の、女と女のウフフな笑顔で熾烈な戦い」はキツすぎるようでした。

 

 

まあ、気持ちはわかります。

というのも、この熾烈な女の戦いがハラハラしてみていられないぐらいなのに、あんぽんたんのお父さん(男性なんてだいたい、こういう時には完全なるあんぽんたんなものです)、さっぱりダメ男です!

 

お父さんに話が通じないロッテは悲しみの涙を宿し、それをお父さんも見て胸を痛めるのですが…。
この子どもの悲しみを、お父さん、芸術活動に転嫁します!さ、最低!

子どもの涙は、なんと役に立つことか!そう、芸術家なら利用しない手はない!パルフィーさんは、すぐにも五線譜を持ってきて、音符を書くだろう。書き終われば、おおいに満足してうしろにもたれ、両手をこするだろう。なにしろ、こんなにうつくしい、ハ短調んの悲しい歌が書けたのだから。(大男でもだれでもいいのだが、ときどきパルフィーさんのお尻をひっぱたいでくれる人がいないものだろうか)

 

というわけで、私がくそだと思い、ぶんなぐりたいなと思ったのは、チョコレートの魔女よりも何よりも、お父さんの方なのでした。

 

 

(次で終了です)

 

 

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ケストナーの傑作「ふたりのロッテ」再読2 隠せない村上春樹臭のするお父さん

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ふたりのロッテ

エーリヒ ケストナー (著), ヴァルター・トリアー (イラスト), 池田 香代子 (翻訳)

おたがいを知らずに別々の町で育った、ふたごの姉妹ルイーゼとロッテ。ある夏、スイスの林間学校で、ふたりは偶然に出会います。ふたりは、大胆な計画をたてるのですが…。

 

ケストナーの傑作「ふたりのロッテ」再読1

 

出会いが嘘のように仲良くなった二人は、いつも一緒に過ごすようになります。
「あの二人はともだちにならなければなりません!」
という先生の意図は完遂です。

 

ここで、いたずら心で二人ともおさげにしてみるのですが、先生も友達もぜんぜんわかりません。
しかしルイーゼの級友のトゥルーデの試し方が面白いです。
片方のおさげをひっぱって、あっという間に平手打ちしてきた方がルイーゼ。
 

「ロッテもね、蹴っ飛ばされたくらいで泣くなよ!ルイーゼなんてね、ほら気に入らない女の子もぶんなぐるから。わたしだってね、やってみなさいよって怒り爆発その場で20発ホントは100発なんだけど80発まけてやるよみたいな(by「今日から俺は」)…(略)」

妹子、まだ言ってます。

 

 

仲良くなった二人は、自分の家庭について話しあいます。
それから自分の出生についても話しますが、ここでびっくり、誕生日も一緒、生まれた場所も一緒だったのです。

 

しかし、妹子は鋭かったです。(まあ、当たり前ですが…本の紹介にも書いちゃってるし…)
「こんなに似てるなんてもう、ふたごなんじゃないの!?でなきゃありえないでしょ!」
と叫んでました。

 

この二人は、離婚した両親がそれぞれ引き取った双子だったのでした~!

 

「妹子鋭かったね」
「よく考えたらこんな似てる二人がどうしてここにいるのって。ん?おかしいな?そんなわけあるかな?って思ったんだよね!」

 

ここで二人が9歳なことがわかります。
14歳のすごいおばあさん、という記述が出てきます。これは笑いました)

小3~4、まあ考えもはっきりしてきながら、子供らしい所も十二分に残っているので、何をしでかすかわからない年ごろです!

 

そして二人は、お互いのまだ見たことのない両親を知るために、入れ替わる作戦を立てます…!

 

ここが面白い所なのですが、二人は入れ替わるために、かなり用意周到に作戦を練ります。

 

・お互いの周囲についてよく話し合う。
・知り合いについてのカンペを作って交換。
・数日前から入れ替わっておいて、友達や先生にバレないかどうかリハーサル。

 

余念がありません。

 

 

お母さんの写真をロッテは持っていたので顔を見せることができましたが、お父さんの写真がありません。

ルイーゼはお父さんに至急手紙を送って写真を送ってもらうのですが…。

 

このお父さん面白いです。
個人的には、ま~腹が立つ人物像なのですが。
芸術家肌なだけあって、ものすごい村上春樹臭がします。
まあご覧ください。

きみは、一家の大黒柱がどんな顔だったか、すっかり忘れてしまったようだね。夏休みがおわるまえに、どうしても写真がほしいだなんて言ってくるんだから。はじめは、わたしの赤ん坊のときの写真を送ってやろうかと考えた。白クマの毛皮の上にころがっている、裸ん坊の写真だ。でもきみは、たったいまとったのでないといけない、と書いてある。やれやれ。わたしはすぐさま写真家に走った。ほんとは、そんな時間はなかったのだが。そして、なぜ至急、写真が必要か、写真家にきっちり説明した。わたしはこう言ったのだ。写真がないと、駅にむかえに行ったとき、わたしのルイーゼはわたしを見分けられないらしい、とね。

 

やれやれ。

やれやれだけでないです。この文章そのものが、全体的にものすごい村上春樹です!

 

このお父さん、作者であるケストナーでさえ、「ときどきお尻をひっぱたいてくれる人がいないものだろうか」なんて書いてある人なのですが、それも芸術家ゆえのさがなのです。
離婚の原因もそこにありました。
もしかしたら村上春樹もときどきお尻をひっぱたいてくれる人が必要なのかもしれません。やれやれ。

村上春樹にはとんだとばっちりです)

 

 

映画の脚本だったというだけあって、すごくドラマチックです。
最初の出会い、似てる!…お互いの印象、最悪…嘘のように仲良くなる…生き別れた双子!…そして二人は…入れ替わる!

 

妹子がんっ?となって本に前のめりになってぐっと鼻を突っ込んだのはこのあたりでした。
「えっ?入れ替わるの?えっ?えっ!?」 

 

もう、面白くてやめられない止まらない~です。

 

ちょっとここで整理すると 

 

ルイーゼ=元気=らんぼう=シングルファーザーのお父さんと暮す
ロッテ=おとなしい=家事得意=シングルマザーのお母さんと暮す

 

お父さんは35歳(ぐらい)
お母さんは20歳になるかならないかで二人を出産。
二人は9歳 。

 

なので、離婚当時、お父さんは当時26歳。お母さん20歳。
現在は、お父さん35歳、お母さん29歳、ということのようです。

 

 

ここで妹子がこんなこと言ってました。

 

「小3か~?ん~、まあまあ、そろそろグループが出来るかできないかってところかな!あのね、グループになると逆にけんかが耐えないんだよね。他のグループの子と話した話さないとかですぐけんかすんの!グループがあまりなくて、他の子とも普通に話すクラスっていうのは、楽しいね!グループを作りたがる子はまあ、不安なんだろうね。でもねグループなんてね、作らない方がいいよ!」

 

はあなるほど。
色々あるよね。子どもの世界は。
今は、担任の先生がとても良い先生ので助かっています。

 

子供はつらいよ。

池田香代子さんのあとがきも、このひとことから始まっています。

 

この話は「離婚した夫婦の子どもたちの物語」ですが、ケストナーはこんな風に書いています。 

この世には、離婚した親がたくさんいる。そういう親のもとでつらい思いをしている子どももたくさんいる、また逆に、親たちが離婚しないためにつらい思いをしている子どももたくさんいる。そして、親たちのせいで子どもたちにつらい思いをさせるなら、子どもたちとそういうことについて、きちんとわかりやすく話しあわないのは甘やかしだし、まちがったことなのだ

 

ケストナーは、このお話で離婚した夫婦の問題を扱っていても、離婚することが悪だとか、子どものために我慢すべきだとか、そういう事を書いているのではないのです。

 

離婚というおとなたちの問題が、子どもたちにとって決して他人事ではないということ、夫婦の不和が子どもにとって、それはつらいことなのだということ、夫婦の問題から、子どもを締め出してしまうべきではない、ということを言っています。

 

あとがきで池田香代子さんはこんな風に表現しています。

 

ケストナーは、多くはおとなのために子どもがつらい目にあうことは、子どもだから仕方のないことでもなんでもない、と言ってくれます。子どもは怒っていいのだ、とすら。そして、頭をしゃんともたげて、つらいことに向き合う子どもたちを、ケストナーは心から尊敬しています。

大人になってケストナーを読んでわかったことですが、子どものころ、悲しみと向き合わなければならなかったとき、わたしがほしかったのは同情でもはげましでもなく、この尊敬なのでした。それは、「子どもなのにえらいね」とか、「けなげだね」といった、いわば一段高いところからのほめことばではありません。困難な立場を力いっぱいひきうけているひとりの人間として、みとめてほしかったのでした。 

 

おとなになって読んでみて、子供の頃は単純にそのワクワクするストーリー展開が好きでしたが、今となっては子どもたちにそそぐ目がいたいほどです。

名作はおとなにも子供にも語り掛ける力がありますので、ぜひおとなの方もご一読、おすすめします!

 

(再読はまだつづきます)

 

 

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ケストナーの傑作「ふたりのロッテ」再読1

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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今日の一冊

 

ふたりのロッテ

エーリヒ ケストナー (著), ヴァルター・トリアー (イラスト), 池田 香代子 (翻訳)

おたがいを知らずに別々の町で育った、ふたごの姉妹ルイーゼとロッテ。ある夏、スイスの林間学校で、ふたりは偶然に出会います。ふたりは、大胆な計画をたてるのですが…。

 

昔から今に至るまで、大大大好きな本なのですが、すごく読んでもらうのに苦労しました。
うちの子、しぶりました。

 

いざ、自分が読んでみると…。
なるほど、現在形を多用していて、慣れなければちょっと読みにくいです。

~した、じゃなくて、している。こうする。ああする。と書いています。
ケストナーの他の本とちょっと違う気がしました。

(しかし、なにごとも経験です!)

 

訳者の池田香代子さんがあとがきで詳しく書かれていますが、どうやらもともと、映画のシナリオだったものを読み物になおしたもののようです。

 

ルイーゼ・パルフィーとロッテ・ケルナーは、夏休みの遊びで、子供たちだけで来る「子供の家」で顔を合わせてびっくりします。
二人とも、顔がそっくりなのです!

 

読み直していると、まあ美しい描写とともに、ケストナーの心がそのまま語られていてとても興味深いです。
思ったことをそのまま話しています。
そしてユーモア。すてきです…。

 

「子どもの家」とは「青少年の家」とか「青年の家」「少年自然の家」と言われるものと同じようです。


うちの子は本ずきのお友達とは違って、すすめたらすぐに、すらすらと読んでしまい、「すごく面白かった♡」と言ってくれるタイプではないので、苦労します。

 

ルイーゼはものすごく元気ではっきりした女の子で、ロッテはおとなしくて礼儀正しく、辛抱強いタイプです。
見た目も、ルイーゼはもしゃもしゃの巻き毛をそのままなびかせており、ロッテはきっちりおさげに編んでいます。(どっちもすごく可愛いです)

 

二人は親戚でもないし、名前も違います。
どうしてこんなにそっくりなのか!?
ルイーゼ、自分に顔の似ている子が存在することがそもそも、気に入りません。 

 

この奇妙な偶然のため、みんなの注目のまとです。
机に座っていて食事をしていても、みんな振り返ってはじろじろ見るし、くすくす笑われます。

 

ルイーゼは、もうがまんできない。がまんしようとも思わない。テーブルの下で、力いっぱい、ロッテの足をけとばした!
ロッテは痛くてびくっと体をすくめるが、ぎゅっとくちびるをかみしめる。

 

妹子、ここでつまづきました。

は?は?蹴るの?なんで蹴るの?」
「似てるってのが気に入らなかったんだね…」
「なんで顔が似てるだけで気に入らないの?なんでそれで蹴ったりすんの!?

憤懣やるかたない感じです。
どうにも納得できないみたいです。

「わたしこいつ(ルイーゼ)だいっきらい!!」

「まあ、待ちなさいよ…」

ここで止まってしまいましたが、なだめすかして、ごほうびを約束して続きを読んでもらいました。
(何がごほうびだったのかはのちほど書きます)

 

 

読みづらかったのは、やはり現在形を多用した文章のせいでもあったようです。
脚本を読んでいて、その場面説明をするシーンではよくつかわれているのですけど…。

何事も経験、けいけ…。

「いや、蹴るとかありえないでしょ。わたしだったらね…『は?何すんの?』って言い返してね…。それからね!その足どけてよ!って言ってね…それで…」

報復について延々と考えてます。

 

ルイーゼは確かにいけませんが、ロッテはまったくの災難です。


しかしここで、先生たちはありえないような判断を下します。

二人の席をわざとお隣どうしにします!!

 

普通は分けるだろ。
この判断がすごいです。

 

ロッテにとっては最悪です。

ロッテのお母さんはシングルマザーです。
新聞社で働いています。
そして、ロッテはお母さんが働いていて疲れているので、ごはんの支度をしたり、お掃除をしたり、家のなかのお手伝いをほとんどやっているのです。

「わたしのちいさなお主婦さん」

と呼ばれています。

ロッテは色々と、我慢している子なのです。
なので、お母さんは自分のせいで子供らしくない大人びたロッテを心配して、この子供の家に夏休みを過ごさせようと送り出したわけなのです。

 

なのに…。
せっかく夏休みを楽しく過ごそうと思ってやってきたのに、この意地悪な子ととなり同士でずっと過ごさないといけないのです!

 

ロッテがしくしく声を押し殺して泣いていると、手を不器用に撫でる気配がします。

ルイーゼが、なぐさめてるのです!

 

「蹴っておいて!!今更!!そんなの信用できんわ!逆に怖いわ!」
まだ信用できない妹子です。

 

「ルイーゼは元気、ロッテはおとなしいけど、あなた自分をどっちのタイプだと思う?」

黙ってしまいました。

 

「そ…それは...ルイーゼだけど…」
「でしょ!?だよね!?」
笑っていると、腹を立てて言い返してきます。
「でも気に入らない子を机の下で足を蹴ったりしないし!!」

 

いつまでもここで止まっていられませんので、先に進みます。

 

妹子には説明してみましたが納得は得られなかったですけど、要はルイーゼは直情的なタイプなのです。

気に入らなければ蹴るし、かわいそうと思えば慰める。
心のままに、思ったとおりに行動します。
子供らしく、元気でわがままいっぱいです。

 

というのも、ルイーゼはシングルファーザーのお父さんと暮してるのです。
しかもこれがなかなかのセレブです。
芸術家で、オーケストラの指揮者です。

作曲もするのですが、創作活動は一人でやりたい、一人でないとできないので、別に家を借りていてそっちで過ごすことが多いです。

 

お手伝いさんはいますし、ルイーゼのことをとても大事にしていますし、甘やかしてもいますが、どっちかというとルイーゼはネグレクト気味であるかもしれません。

 

しかし、改めて読み直してみてもめちゃくちゃ面白いです!!

どきどきワクワク、夢中になってしまいます。

 

妹子は怒っていますが…。
途中から、んっ?となりました。

 

 

whichbook.hatenablog.com

 

 

 

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今日の一冊「愛の一家」の作者が書いた「一年生時代」におけるいじめっこの意地悪女、オッティリエ

 

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

愛の一家

アグネス・ザッパー (著),  遠山明子 (翻訳)

ペフリング一家は、陽気な音楽教師の父親と思慮深くやさしい母親、そして個性豊かな7人の子どもたちの大家族。子だくさんゆえお金の苦労は絶えず、その上いつも何かしら騒動が起きててんやわんや。けれど、困ったことが起きれば家族みんなで知恵を出し合い、助け合って解決していきます。暮らしぶりはつましくとも深い信頼で結ばれた家族の姿を描き、1907年にドイツで出版されて以来、世界中で読み継がれてきた家庭小説の傑作です。

 

何だか支離滅裂な題名になってしまいました。

というのも、実はこの「愛の一家」
私はまだ読んでいないのです。

 

でも絶対に面白いです。これは間違いないです。
おすすめです!

 

先日、ご紹介した「ふしぎなオルガン」
ここでご紹介した、「世界少年少女文学全集」の同じ巻に、「一年生時代」というお話が入っています。

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このお話、「愛の一家」のアグネス・ザッパーさんが書かれた別のお話です。
しかし、こちらの方は出版されていません。
この少年少女文学全集のみで読める作品です。(鼻高々)

 

この「一年生時代」
あまり本を読みたがらない妹子(娘です)に、ほんの少しずつ読み聞かせをしていっていました。
この本は分厚いし古いし、しかもかなり紙の色も茶色く、妹子は非常にうさんくさい目で見ていました。

 

この「一年生時代」第一部、第二部があり、
第一部はほのぼのとしたただの学校生活です。

 

主人公の女の子、グレートヘンは、とてもよい子です。

 

学校生活、その中には移民問題もあり、難児もあり、さまざまな出来事が起きるのですが、平易であたたかい描写です。
特に大騒ぎも起きませんので、若干、平凡なのも事実です。
ああ、ドイツの小学校ってこんな感じなんだ、日本とあまり変わりはないな~☆
という感想です。

 

しかし、こののどかな生活。
第二部で町に転校することになった時に、主人公の周囲を取り巻く状況は一変します。

 

仲の良い、色んな子がいる田舎の共学公立小学校から、都会の私立女子校に転校した

と考えて頂ければわかりやすいでしょう。

 

第一部では、小学校の中で優等生でクラスの中心人物扱いだった主人公が、スクールカーストの転落を味わいます。

 

この私立女子高で出会う、悪役令嬢少女、オッティリエが出てきた時に、とにかく話はめちゃくちゃに面白くなります。


目次を一日に一つ分ずつ読んでいたのですが、オッティリエが出てきたあとでしたが、夜に目が覚めてみると、薄暗い灯りがついていて、そこに、妹子がひとり起きています!
「ど、ど、どうしたの~!?何があったの?」
「どうしても待てなくて…。だって、続きが、続きが気になるんだも~~~ん!!!」

 

我慢できずに夜中に起き出し、先をこっそり読んでいました。

 

悪役の面目躍如です!
悪役の大切さをオッティリエさんは身を持って示してくれました。

 

しかし、そこまで行くのが大変なことも確かです。
あとで言われましたが
「第一部は仕方ないから聞いてあげてたけど、かなり退屈だった」
と言われました。

 

この「仕方なく読んでいたその延長線上に、夜に眠れないほどの面白さが待っている」という体験はほんとに貴重だと思います。

 

この「一年生時代」のオッティリエは、私と妹子の伝説の悪役として記憶に残っています。
(兄はそこまでではない、こういう奴は学校によくいると言っていました)

 

 

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私立女子校に入ってきたばかりでまだ右も左もわからない主人公に対して、この辛辣な意地悪さです。
(ちなみにこれは序の口です)

 

ことあるごとに意地悪です。
しかもその意地悪さが、女子あるある~!!!な感じでリアルすぎです。

 

なので、この超絶おもしろい「一年生時代」を書いたアグネス・ザッパー さんの本なので、間違いなく「愛の一家」は面白いと思います。

 

私も、こんな大見得切った後なので、探し出して読んでみようと思っています。

 

 

 

 

 

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今日の一冊「すみっコぐらしストーリーズ」

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

すみっコぐらし ストーリーズ: ひみつのすみっコ生活はじめました
せき ちさと (著), サンエックス (著)

グループで連むのが苦手な女の子・スミカと好きな男子に告白できない内気な女の子・ミリ。とっても消極的なふたりの女の子が、あるときなぜだか「すみっコ」たちのいる世界へ・・・・・・。人見知りの“しろくま”、自分が誰なのか自信がない“ぺんぎん?”、食べ残されて凹んでいる“とんかつ”、そしてはずかしがりやの”ねこ”ら、これまたネガティブな「すみっコ」たちと交流する中で、元気と自信を取り戻していく。

 
すみっコぐらしノベライズの第一冊目。

 

すみっコぐらしの中でも特にお気に入りの一冊です。
かわいいだけでなく、文章の運びがとても美しく読んでいて気持ちが良いです。

 

せきちさとさん。
名前も覚えました。

 

すみっコぐらしノベライズの成功や、映画化の成功は、このノベライズ一作目の成功にあったように思います。

 

最近発売される児童書、なかなか、ぴんとくるものがなく、わたしが好きだった児童文学の流れはいったいどこに行ってしまったのか。
そんな風に思っていましたが、目がさめる思いがしました。

 

ここにあったんだ。
児童文学の心は、ここに息づいている。
そんな風に感じる一冊でした。

 

最近のキャラクターもの小説で言えば、アクビちゃんも良かったですし、すみっコぐらし、カービィあたりのノベライズは、出来がよくて面白く、元気で明るく子どもの心のままに自由であって、とても良い作品が多いです。

 

すでに映像になっている映画や漫画のノベライズと少し違っていて、ゲームやキャラクターなので、もともとのストーリーを持たない分、その創造性も作家さんにゆだねられます。

 

このような文庫版、カービィやすみっコぐらしの小説版を一つ、つばさ文庫を一冊読む方が、物語の世界に入る入り口となると思います。

 

 

映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ (角川つばさ文庫)

サンエックス (原著), 角田 貴志(ヨーロッパ企画) (著), 芳野 詩子 (著)

喫茶すみっコにいたすみっコたちは、ボロボロのとびだす絵本に吸いこまれ、たどり着いたのは物語の中!?そこで出会ったのは、ひとりぼっちの「ひよこ?」。

 

 

 

そこから、読みやすく面白いライトのベル「だけ」に行ってしまうのか、小説の世界にも触れてもらえるものなのか…。

(しかし、ライトノベルも一大ジャンルとなった今、まったく侮れない質の高い もたくさんありますので、あなどれはしません)

 

 

 

 

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ライオンと魔女 西遊記 子どもはみんな問題児
おめでたこぶた シートン動物記(青い鳥文庫) おこだでませんように

 

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今日の一冊「ふしぎなオルガン」

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ふしぎなオルガン

リヒャルト・レアンダー (著), 国松 孝二 (翻訳)

ドイツの外科医が戦地から故郷の子どもたちに書き送った、ふしぎで美しいおとぎ話。神のみこころにかなった花よめ花むこが教会に入るとひとりでに鳴りだすオルガンの話、ガラスの心臓を持ったおひめさまの話、コショウ菓子が焼けないおきさきと口琴のひけない王さまの話など、20編。どの物語も忘れがたい印象を残します。

 
岩波文庫の「ふしぎなオルガン」

どんなお話なのかな、とぱらぱらめくってみて、はっとしました。


子どもの頃魅せられて、何度も何度も読んだ赤本の「世界少年少女文学全集」

あの中に入っていたお話がいくつも入っています。

 

そうか、あの赤本のシリーズのあの巻は、リヒャルト・レアンダーだったのか。

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少年少女文学全集に入っていたのは五編でした。

 

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こうして読んでみても、この五編はピカイチのすばらしい作品で、選んだ人の眼は確かだ!と思いました。

 

「ガラスの心臓」も好きでしたが、わたしが特に大好きだったのは「沼の中のハイノ」です。

なかなか、一番最初に読んで好きだった翻訳というのはやっかいなもので、こだわりが出てしまいます。

岩波の翻訳、まだ読んでいない作品はとてもすばらしく読めたのですが…。
「沼の中のハイノ」だけは、こちらの訳の方が好みだったなあ…なんて思ってしまいます。

岩波の方は買うことも借りることもできるでしょうから、もはや絶版になって50年経過している「世界少年少女文学全集」の方を少しだけ引用がてら紹介させていただきます。

 

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絵がとても素敵でした。

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青い目の娘は、王子が来るのをいつも森の中で待っています。

 

歌がとても多くて、どれも素敵でした。
ハイノは両親、特にお母さまのたくらみで青い目の娘のことは忘れてしまいます。

「つむと、いちばんだいじなものを忘れてしまう毒の花」というのを、我慢できなくなって摘んでしまうのですが…。

何となく、「ほかの女性」をほのめかしているような感じがします。(勝手な推測です)

 

青い目の娘はハイノがその後旅に出て、鬼火の女王につかまったのを知って助けに出かけます。

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ずっと青い目の娘に寄り添うはとがいい味を出しています。

 

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ここは本当に名場面で、翻訳(余川文彦さんです)の妙が冴え渡り、魅せられて何度も何度も読み返した所です。

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鬼火の女王の黒い巻き毛がとけてかぶさる…。
妙に生々しくリアルで、いまだに記憶にはっきり残っています。

青い目の娘さんがハイノをどうやって助けたかは、ぜひ本編で確認していただき、そして、翻訳がいったいどういう風に違うのかというのも、ちょっと照らし合わせてみて頂くと、とても面白いと思います。

岩波少年文庫の国松孝二さんの訳もそれはそれはすばらしいものでした。

 


「ガラスの心臓を持った三人の姉妹」

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この少年少女文学全集の本、レアンダーの挿絵がたいそうきれいでした。

影絵のようなつくりで、シルエットがとても繊細です。
このようなところからしても、この本は本当によく出来ていたなあ、と思います。

 

「夢ぶなの木」

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一番おとなむきのお話ではないでしょうか。

ブナの木に本当に魔法の力があるのかどうかもわかりませんし、お嫁さんがなぜ怒ったのかもぜんぜんわかりませんでした。

ですが、何度も何度も読みました。

今になってわかるし、記憶にも残っているというのは不思議なことです。
子どもむけだから、大人むけだからと本は分けられないし、幅広く手を出してみるべきと思う作品です。

 

「ふしぎなオルガン」

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岩波文庫で、この「世界少年少女文学全集」に入っていない、レアンダ―の他の作品を読めたのは本当に嬉しいことでした。

印象に残ったいくつか、書き留めておきます。

 

「こがねちゃん」
おしゃまでいたずらな幼児の女の子があっちこっち出かけた挙句帰れなくなって眠くなって寝てしまい親は必死で探すというお話なのですが天使が助けてくれるというなんということはない全方向において優しいお話です。

子どもは宝物、こがねちゃんという名前がまた可愛いです。

 

「見えない王国」
ごく普通の人たちにとって、古い大きな木はコーヒーを沸かすための薪のもとにしか見えません。
星が綺麗に輝いていても、冷えるからじゃがいもが凍らなければいいということしか考えない。
この世の美しさに向ける心を描いています。

 

「錆びた騎士」
割と、フランスのオーノワ夫人あたりにありそうなお話です。

「コショウ菓子の焼けないおきさきと口琴のひけない王様の話」

王様とお妃様の話にしてはいますけど、完全に普通の家庭の夫婦の話です。
お互い似た者同士の王様とおきさきさま、喧嘩と仲直りが可愛いです。


「ゼップのよめえらび」

ゼップはお母さんの言に従い、「男の子の気を引くようなことを何もしてない娘」を選びます。
面白かったのは、お母さんが、慈善的なこと(貧乏な人にパンをやるだとか)をしている娘はよくない、と指摘したところでした。

見せ付けるようにやる慈善は、裏で見せられないようなことをやっている。 

 うわぁ…。

 

やらない偽善よりやる偽善とは言いますが、なんだかちょっと、ものすごく刺さることばでした。

 

「古いトランク」
少女の心を隠して持ち歩いているおじいさんなんて、なんだかちょっと面白いなと思いました。

 

「不幸鳥と幸福姫」
恋によって不幸を呼び寄せる青年は幸福を呼び寄せるようになり、笑顔だった姫は泣き暮らすようになる。
おもしろい対比でした。

 

「クリストフとベルベルとが、じぶんから望んでひっきりなしにゆきちがいになった話」
レアンダーは恋愛ものや、夫婦の関係を描いた作品が多いです。
おくさまにもきっとウケること間違いなしです。

 

 


その他

「悪魔が聖水の中に落ちた話」

「若返りの臼」

「カタカタコウノトリの話」

「魔法の指輪」

「子どもの話」

「小鳥の子」

「天の音楽」

「天国と地獄」

 

 

 

 

児童書の復権を(note記事)

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とてもすてきなわたしの学校 ハンカチの上の花畑 ウィロビー・チェースのオオカミ
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14ひきのあさごはん おおきなおおきな おいも ダーシェンカ

 

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今日の一冊「金の鳥」 第25回日本絵本賞作品

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

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>今日の一冊 軽くご紹介

 

 第25回日本絵本賞受賞の作品です。

www.bookbang.jp

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

金の鳥 (世界のむかしばなし)

八百板 洋子 (著), さかた きよこ (イラスト)

王の命令により、金の鳥をさがす旅に出た三人の王子。途中に出会ったおじいさんの忠告をきいた末の王子は…。 ブルガリアの幻想的なむかしばなし。

 

絵がとても素晴らしいです。
こんな見事な芸術的な絵を使っている絵本、海外でもそうはないのではないでしょうか!?

 

内容は、ロシアや東欧のむかしばなしによく出て来る「金の鳥」です。
その昔ながらの伝統的なお話を語りつつ、見事な絵で印象付けてくれる、賞を取ったのも納得の一冊です。

 

黄金の鳥 - Wikipedia

こちらのウィキペディアの説明は、グリムのものですが、所によってさまざまなバリエーションが存在します。

 

 

こちらのサイトで、少し内容の雰囲気を みることができます。

uresica.net

 

 

児童書の復権を(note記事)

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世界むかし話集6ロシア・西スラブ編 小さい魔女 片耳の大シカ
チム・ラビットのぼうけん ママはかいぞく 冒険者たち ガンバと15ひきの仲間
新版 宿題ひきうけ株式会社 いないいないばあや 少女イス 地下の国へ

 

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閑話 雑誌「飛ぶ教室 第61号 2020年春号」 神宮輝夫さんのインタビュー

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

買ってからずいぶん時間がたってしまいましたが、「飛ぶ教室」第61号(2020年春)を購入していました。
 

 

飛ぶ教室 第61号(2020年春) (はじまりの日) 雑誌

 

この雑誌のことについてちらっとご紹介すると、児童書関係の伝統ある雑誌で、児童文学の公募も行っています。
西の魔女が死んだ」も、この雑誌の連載です。

 

雑誌名のもとになっているのは、ケストナーの「飛ぶ教室」。
ドイツの少年たちのギムナジウム生活をつづった名作です。

 

飛ぶ教室 (岩波少年文庫)

エーリヒ ケストナー (著), 池田 香代子 (翻訳)

ボクサー志望のマッツ、貧しくも秀才のマルティン、おくびょうなウーリ、詩人ジョニー、クールなゼバスティアーン。個性ゆたかな少年たちそれぞれの悩み、悲しみ、そしてあこがれ。寄宿学校に涙と笑いのクリスマスがやってきます。(「BOOK」データベースより)

 

もうずいぶん買っていなかったのですが今回、この雑誌に、神宮輝夫さんのインタビューが載っていたので、手に取りました。

 

神宮輝夫さん、ドリトル先生をはじめアーサー・ランサムなど、さまざまなすぐれた翻訳を手がけられてきた人です。

 

訳にユーモアがあって、腹を抱えて笑ってしまうような楽しさがあります。
物語の楽しさを何倍にもして届けてくれる超・名翻訳者さんです。

 

神宮輝夫さんの記事、示唆に富む内容がたくさん載っていましたので、インタビューを追いながら、なんとなく感想など書き記してみます。

 

 

最初に、神宮輝夫さんの経歴が語られるわけですが、高校生の時から児童文学を志しておられたというのがとても印象的でした。
印象的なんて言葉使ってますが、単純にすごいです。
そして、「本を読む環境が周囲にあった」ことの大きさを切々と語られていました。

 

担任の先生が読書好きで、本を読むことを奨励していたのが良かった…とのこと。
「読書好きの担任の先生」の影響の大きさを語られています。
本屋さんも身近にたくさんあったとのこと。
そのような環境がなくなっている現在…。どうなっていくことでしょうか。

 

神宮輝夫さん、「少年倶楽部は読みませんでしたね」とたったひとこと言われていて、それ以上言及がなかったです。
少年倶楽部は大人気で、漫画雑誌の草分けと思いますが、距離を置かれていたのでしょうか。
単純にあまり趣味に合わなかっただけなのかもしれません。

 

 

早大童話会」の山中恒さんについて。

神宮 もうとにかく、なんだかんだとうるさい男でした。しかし彼は、思想性を持っていた。児童文学とはどういうものか、どんなふうに、何を書かなければいけないのか、そういったことを、一家言として持ってましたね。

「インタビュー 子どもの本のグレートランナーに聞く!」より

 

「おにのこブン」、「あばれはっちゃく」、「とべたら本こ」、「おれがあいつであいつがおれで」…。

なつかしい本名が並びます。
あばれはっちゃく」と「おれがあいつであいつがおれで」は、つばさ文庫から今も出ていて、可愛い絵もついています!
(私の好きだった「とべたら本こ」は絶版になっていました。)

  

神宮 大きなことを言ったりして景気がいいんだけども、言ってることは間違いなかったんですね。威勢がよかったから、影響力はありました。

 

 

大石真さん。
寺村輝夫さん。

 

すぐれた名児童文学者の名前が続きます。
(どうでもいいですが、今日「ぼくは王さま」が机の上に開いて置いてありました)

 

鳥越信さん。

 

この方は児童文学作家さんではなく、早稲田大学の教授で児童文学論を書かれている研究者のかたのようです。
神宮輝夫さんにとっては、たいへん影響が大きかったようで、何度も名前が上がりました。


鳥越さんという明確な思想的指導者がいたことがとても重要だったと言われています。
オルガナイザー。
「火付け役で、うまく人をそそのかしてやらせるのが非常に上手」

 

神宮輝夫さんのすばらしい翻訳を促して応援されたのがこの方なのだとすれば、これは本当にすばらしい功績です。

創造者は個性でなければならないし俯瞰してみることができるひとは、旗印をふって導く。
名編集者たる人の意味を深く考えさせられました。

 

そして、古田足日さんへの評価が強烈です。びっくりです。

 

神宮 古田君の場合、自分のことを主眼にして言っていて、説得力がなかったと思うんですね。結局、自己主張をしていたような気がします。

 

そのあとでインタビュワーの野上暁さんが見事にこの頃の状況を綺麗に解説されています。

 

作品として残るのは、評論にはもしかすると向かないかもしれないその人となりをあらわす強烈な個性であるのかもしれません。

 

それと共に、このような、縁の下のとでもいいますか俯瞰して見渡して問題点を指摘し、リーダーシップを発揮できる人物というのが、「作者」ではなく存在するというのがとても大きかったのだなと思います。

 

 

この時代の「早大童話会」の方々が目指したのは、
「このままじゃダメだ、リアリズムによる、いまの時代の子どもたちに合った形での、ちゃんとした文体を持った文学作品を、というメッセージを出した」
というもののようでした。

 

神宮 この時期の何人かの作家たちには、子どもたちに自信をもって提出できる<価値あるもの>がありました。

 

とても気になる一文でした。

 

「子どもたちに自信をもって提出できる<価値あるもの>」をいまの作家には感じない、というようです。
そういう風に捉えてしまいました。

 

まっすぐに走る一本の背骨のようなもの。
伝えたい、伝えなければならない、という激しく、真に迫ったメッセージ。

それはやはり、古今東西の名作をひもとき、読書を重ね、思考をかさね、内省を重ねる所からしか生まれないのではないだろうか…。

 

神宮 私の場合、西洋文学の影響はあって、物語性が強くないとダメだということは、もう、本当に強く心に刺さりました。 

 

よくわかります!
物語性、ストーリーの強さはすべてに勝ります。
(そして、いまはその強さは漫画にあるような気がしています。個人的意見ですが)

 

神宮 それから、文体ですね。やはり、童話会の文体じゃ動かない。はっきりとした動きでないと、児童文学もすすんでいかないということは、当時非常に強く感じさせられました。

 

 

「パスワードシリーズ」の松原秀幸さんの名前が挙がっていました。
アーサー・ランサムに影響を受けて書こうと思ったと書かれてます。

 

神宮 それは、すごいですよね。ランサムは難しい男なんだけど、あれを基にして自分の作品を書くってのはちょっと厄介だと思うんだ。相当、勇気がいると思うんですね。でも、書いちまえば書けるんだよ。本当に書ける。
みんな、書いちまえばいいのに、どんどん。そうすれば、十書いたら、必ず一つか二つ当たりが出ると思う。あれだけのものを書く手本があって、私なんかも、へえはあ、言いながらやってるじゃない、出なきゃ、うそだ。

 

神宮輝夫さんの、ものを書くことを志す人々への 励ましを感じました。

 

 

 

久しぶりに買った「飛ぶ教室(雑誌)」とても示唆に富んで面白い内容でした!

 

◇  

 

今回の「飛ぶ教室 第61号」に載っている、斉藤倫さんの詩がとても良かったです。
斉藤倫さんの選詩本をご紹介します。

 

ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集

斉藤 倫 (著), 高野 文子 (イラスト)

詩はおもしろくて、ほんとうにたのしくて、そして自由だ。詩は、ことばを自由にし、ことばによって縛られ、不自由になっているわたしたちに、ことばは、わたしたちを縛るのではなくて、わたしたちは、ことばによって自由になれるのだと教えてくれる。20篇の詩を通して、詩人斉藤倫と楽しみ、そして考える、詩のことそしてことばのこと。

 

 

あばれはっちゃく ‐ワンぱく編‐

山中 恒 (著), うみこ (イラスト)

おれは”あばれはっちゃく”こと、桜間長太郎。イタズラとケンカだけは誰にも負けねえ! 特にズルい大人には、がぜん闘志が湧いてくる。子供だと思って油断していると、痛い目みるぜ!? 全世代がはまった超名作!

 

おれがあいつであいつがおれで

山中 恒 (著), 杉基 イクラ (イラスト)

お地蔵さまの前でぶつかった日から、中身が入れかわってしまった一夫と一美。しかたなく、一夫は女子の、一美は男子の生活を始めたんだけど、これがもう大変!! しかも一美のボーイフレンドが家にくることになって

 

  

西の魔女が死んだ

梨木 香歩 (著)

中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも……。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。

 

 

西の魔女が死んだ

中学に進んでまもない夏の初めに、学校へ行けなくなったまいは、森で暮らす“西の魔女”のもとで過ごすことに。西の魔女とはまいのママのママ、英国人である大好きなおばあちゃんから、「早寝早起き、食事をいっぱいとって、よく遊ぶ。そして、何でも自分で決めること」の大切さを教わる。まいは戸惑いながらも、料理、掃除、洗濯、庭づくり・・・と、毎日励んでいくが、実はその生活は、“魔女修行”の始まりだった――。 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

どうでもいい話ですが、萩尾望都の傑作、「トーマの心臓」もギムナジウムのお話です。好きだった人ならば、ぜったいこのケストナーの描く「飛ぶ教室」も好みだと思います。

 

 

トーマの心臓

萩尾望都 (著) 形式: Kindle版

冬の終わりのその朝、1人の少年が死んだ。トーマ・ヴェルナー。そして、ユーリに残された1通の手紙。「これがぼくの愛、これがぼくの心臓の音」。信仰の暗い淵でもがくユーリ、父とユーリへの想いを秘めるオスカー、トーマに生き写しの転入生エーリク……。透明な季節を過ごすギムナジウムの少年たちに投げかけられた愛と試練と恩籠。今もなお光彩を放ち続ける萩尾望都初期の大傑作。

 

 

 

児童書の復権を(note記事)

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スプーンおばさんのぼうけん 強くしなやかなこころを育てる! こども孫子の兵法 いちごばたけの ちいさなおばあさん

 

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今日の一冊「とべバッタ」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

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>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

とべバッタ

田島 征三 (著)

恐ろしい天敵から身を守るため、小さな茂みに隠れすんでいたバッタが決心して、大空に向かって飛んでいった。力強く痛快な絵本。

 

この絵本を紹介したなと思っていましたけれど、最近、サバクトビバッタのニュースがあったりして、時流的にどうなのかな?と思いましたが…。


そんなの文学・芸術には関係ない!

と思い直したので、紹介することにします。

 

すばらしい絵本のさし絵を描かれる田島征三さんが、文・絵ともに書かれた絵本です。

 

田島征三さんの絵は、実に力強くて芸術的です。

その力強さがもっとも現れているのが、「とべバッタ」です。

 

内容は割と単純なのですが、絵も文も、入魂の一冊です。

捕食される立場にいるバッタに出来ることは、つかまらないことを祈りながらそっと隠れたままでいることです。
運の悪い仲間たちが食べられていくのをただ見ていることしかできません。

 

弱い立場の者として、教室でも社会でも、息をひそめて生きていくことがリスク回避の有効な手段であることを知ってしまっている、子どもも大人も身につまされる話です。

 

突然、バッタは、力の限りその足で跳ねて飛びます。
高く、高く。

 

しかし、跳ねて飛ぶ距離には限界があります。
落ちかけていくそのとき、バッタは自分に四枚の羽根があることにはじめて気付くのです。

 

今ある力をふりしぼって何か行動を起こした時に、気付かなかった自分の持っている力に気付く。

 

閉塞を打ち破り、新たな境地へ旅立つバッタ。

 

この絵が実にすばらしいです。
大型本だと、迫力満点、なおすごいです。
荘厳なほどで、実に胸をうちます。 

 

バッタがどこへ向かったのか、どこに行きついたのかは描かれていませんが、それがまたよいです。
バッタの到る先は、未来だからです。

 

この絵本を読んだ各々がそれぞれ、思い描く未来なのだと思います。

 

 

ふるやのもり

瀬田 貞二 (編集), 田島 征三 (イラスト)

じいさんとばあさんが育てている子馬をねらって、泥棒と狼は、それぞれ厩に忍びこんでかくれていました。じいさんとばあさんが「この世で一番怖いのは、泥棒よりも、狼よりも“ふるやのもり"だ」と話しているのを聞いて、泥棒と狼は、どんな化け物だろうと震えていると、そのうち雨が降ってきて古い家のあちこちで雨漏りしてきて……。田島征三のデビュー作となった昔話絵本。

 

 

 

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ルピナスさん―小さなおばあさんのお話 おとうさんの庭 アンデルセン童話集
闇の左手 算数病院事件 じごくのそうべえ

 

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今日の一冊「マイマイとナイナイ」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

怪談えほん (2) マイマイとナイナイ

皆川 博子 (著), 東 雅夫 (編集), 宇野 亜喜良 (イラスト)

皆川博子宇野亜喜良コンビによる、美しく、怖い物語。マイマイは、小さい小さい弟、ナイナイをみつけた。マイマイは、ナイナイをこわれた自分の右目にいれて、そっと右目をあけてみる。すると、そこには不思議な世界がひろがっていた。

 

たまには変わった絵本のご紹介をしてみようかなと思います。
図書館を歩いていると、思わぬ本にめぐり合うことがあります。

マイマイとナイナイ」...だ。

 

いっとき、発売したときに評判になった「怪談えほん」シリーズです。

www.iwasakishoten.co.jp

 

 

有名なのは宮部みゆきさんの「悪い本」などです。
一時期、ニュースにもなり評判にもなり、論争にもなったのでご存じの方も多いかもしれません。

 

このシリーズのなかで、特に異彩を放っているのがこの「マイマイとナイナイ」です。

作者は怪奇ものミステリの作家である皆川博子さんです。


怪談絵本シリーズ、私はたぶん、読み聞かせに使用しようとは思いませんし、子どもにおすすめしようとも思わないです。

子どもたちにおすすめはしないけど、この本がしっくり来るような状況や気分というのは、人生の中や人々の中にあるな、と思います。

そのような幅広さを持った本です。

 

あえて説明をするとすれば、

・ナンセンス系
・幻想系
・バッドエンド
・リアルな絵
シュールレアリズム

というような説明が出来るでしょうか。

 

この本は、翻訳して海外に売り込みたいようなクオリティの高さと、ストーリーの深さです。

 

マイマイは女の子。
手のひらに小さな空想の弟が現れます。

 

これはマイマイの空想の産物だと思われますが、そのような説明はありません。
小さすぎてお母さんには見えなかった。
と書かれているだけです。

 

あくまで、マイマイにだけ存在が確認できる、弟「ナイナイ」

マイは「my」?
ナイは「無い」?

自分が...無い?

 

想像が広がります。
さすがは怪奇系のトリックやサスペンスの皆川さんです。


マイマイは馬に蹴られて目が見えなくなってしまいます。

「みぎめにはめたくるみのから」

 

どんどん、物語はナンセンスに、詩的に、幻想的に…。
そして、怪奇になっていきます。

 

しだいに広がって、手に負えなくなっていく「よるのゆめ」
よるのゆめに捕われて、マイマイよりもナイナイの方が思わぬ行動力を見せ、主導権を握りはじめます。
マイマイが守り育ててきたナイナイ。

 

マイマイとナイナイの力関係が逆転したとき、そこには…!

 

バッドエンドとも取れる終わり方なので、不気味で後味が悪いと思われるかたもいるかもしれません。
また、子どもには悪夢の呼び水になってしまうかもしれません。

 

マグリットの世界を想起させるような、リアルな絵とシュールな展開の中に、不思議な美しい詩情があります。
エンデの「鏡の中の鏡」の世界観と似ている気がしました。

 


とじこめられたマイマイのような存在の子どもが、誰かの頭の中に、わたしの頭の中にも、どこかにひそんでいて、かたいくるみのからの中からSOSを送り続けているのではないか…。

 

傷ついてしまった目は、人が生きる上で負う傷のようなものなのだろうか。
くるみのからという目を閉じてしまったのは、そうしなければ生きられなかったからかもしれません。

 

そして、このような、「意思決定の力関係が反転してしまう」ような(実際はもっと深い意味を含んでいると思いますが便宜的にこのような表現にします)「自分が自分でなくなる」「自分が失われる」という体験は、誰しも大なり小なり体験しているのではないかと思います。

 

大人のための本かと言われると そうとも言い切れない気がします。

 

とりあえず、他の怪談シリーズよりも私はこのマイマイとナイナイには強くひかれるものがあると思いましたし、子供が自分からこの本を発見して手に取った時に、阻むようなことはしないと思いました。

 

それは、「子供につたえなければならない、たいせつなこと」がこの本には確かにあるからです。

 

じぶんのしたことが じぶんのしあわせに つながるとは かぎらない


子供達の方にはナンセンスな物語に対して柔軟な思考能力を持ち、すうっと吸い取って自分のものにしてしまう力があると思います。

 

価値の逆転や理不尽さは子供たちが 日々体験していることです。
この、「自分のしたことが 自分の幸せに繋がるとは限らない」という一文は、人生の中でどこまでも背負っていくべき一つの教訓となり得るでしょう。

 

そういう面で決して 大人のためだけの本とこれを言い切ることはできないと思います。
様々な本がひっそりと 子供達の作るの手に取られる日を待っています。

 

怖い本は割と子供の目に留まることが多いので、そんな中でこの本に触れる子どもたちがいてもかまわない、私はそう思います。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

怪談えほん (1) 悪い本

宮部 みゆき (著), 東 雅夫 (編集), 吉田 尚令 (イラスト)

宮部みゆき吉田尚令が子どもたちに贈る、この世でいちばん悪い本。この世のなかのどこかに存在している悪い本は、あなたにいちばん悪いことをおしえてくれるでしょう。そんな本いらない?でもあなたは悪い本がほしくなります。きっとほしくなります。

 

 

 

 

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宝島 らいおんみどりの日ようび 秘密の花園〈上〉
3びきのかわいいオオカミ はけたよはけたよ いないいないばあや
マチルダは小さな大天才 こすずめのぼうけん せいめいのれきし

 

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今日の一冊「999ひきのきょうだいのおひっこし」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

999ひきのきょうだいのおひっこし

木村 研 (著), 村上 康成 (イラスト)

住んでいた池が狭くなった999匹の兄弟たち。お引っ越しの途中で、ヘビに出会ったり、トンビにさらうわれたりの大騒動。

 

999ひきのきょうだいのおひっこし

超特大・大型本で読みきかせを行います。
(超特大・大型本はもちろん図書館で借ります)

 

図書館に置いてある、超特大大型本、これはいったい何に使うんだろう…?と思っていましたが、ボラさんがたが、学校の読みきかせなどで使うのでした。
ボラをやらなければ、ぜったいにわからなかったことでした。

 

小さな池で999ひきのたまごを産んだカエルのお父さんとお母さん。
おたまじゃくしたちが産まれて、池は狭くなってきました。

 

大きな家(池)を求めてお引越しを決めたカエルの一家。
しかし道中は危険がいっぱい。

 

とんびに見つかり、お父さんが掴まれてしまいます!
お父さんをかえせ!とお母さんがとびつき(愛を感じました)、そこに子供たちがとびつき…。
みんなそろって、空に浮き上がってしまいます。

 

空中飛行のはじまりです。

 

999ひきのカエルたちは、長く伸び垂れつつ、鯉でもない、不思議なもようを空に描きます。

 

とんびは最初は喜ぶのですが、しまいに重さに耐えかねて…💨

 

とんびは災難ですが、カエルたちは空の旅の果てにラッキーなことでした。


最近は、ちょっとトライポフォビア、集合体恐怖症というのが注目されていて、私もその傾向はあるのですが、この本は999ひきのたまごやおたまじゃくしが狭い池の中にぎっしりと詰まっています。

 

しかし、かわいくほのぼのとしているので、そこはまったく気になりませんでした。

 

こちらは、普通の絵本でも十分におおらかなのですが、空とぶシーンが大型本を使うと本当に迫力があって、すごく楽しいです。

超大型本は、よみきかせの方だけでなく一般にも貸し出しされていますから、ぜひ図書館などで手にとってみてはいかがでしょう?

 

(今日はいつになく宣伝ぽく終わりました。いかがでしょう?) 

 

 

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鉢かづき 若草物語 だめよ、デイビッド
青い月の石 点子ちゃん ちいさいおうち
めっきらもっきら どおんどん 新版 宿題ひきうけ株式会社 人形の家

 

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今日の一冊「だめよ、デイビッド」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

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>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

だめよ、デイビッド

デイビッド シャノン (著), 小川 仁央 (翻訳)

おふろでさわぐ、おもちゃはちらかす。どろんこで家に入っちゃう。そのたびにママは、「だめ!だめ!だめよ!」ってばかり。でもママは、ほんとうはデイビッドをね…。(「MARC」データベースより)

 

読みきかせでよく使われている、デイビッド絵本です。

だめよ・がっこうへいく・やっちゃった
の三冊、デイビッドシリーズです。

 

まあ、いかにもやんちゃな子供といった感じの、よく見るいたずら小僧なのですが、人によっては、このデイビッドに注意欠陥障害を想起する方もいらっしゃるようです。

 

苦しんでいたり、人の目を気にしたり、生きづらさを心配されるたくさんのママさんがたがいらっしゃる中ではありますが、結局は子どもであれば、このような一面は大なり小なりみんな持っている傾向でもあるという事実もまた、忘れないようにしたいと思います。

 

成長によってその差が埋まる度合いもまた人それぞれという事なので、専門家に相談される大切さはもちろんでありながら、長い目で見守ることの大切さを思います。

 

これは、ガミガミ怒られている子どもの立場にたち、気持ちに寄り添う本です。

さいごにいつも、あたたかく大人の愛がデイビッドを包みます。

読んでいるこちらもほっとする気持ちです。

 

「だめよ」は親。
「がっこうへいく」は先生。

そしてシリーズさいごの「やっちゃった」は、デイビッド自身のことばで語られます。

 

常に責任転嫁。自分が悪いんじゃなくて、「ボールが勝手に窓に飛び込んだ」、などと主張する、まさに子どもあるあるです。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

デイビッドがっこうへいく

デイビッド シャノン (著),小川 仁央 (翻訳)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

デイビッドがやっちゃった!

デイビッド シャノン (著), 小川 仁央 (翻訳)

 

 

 

No, David!

David Shannon (著, イラスト) 形式: Kindle版

 

 

 

 

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クマのプーさん かんどうのめいさくえほん そらいろのたね
いちごばたけの ちいさなおばあさん エルシー・ピドック、ゆめでなわとびをする とべバッタ
ひみつの花園 おしいれのぼうけん デイビッド・マックチーバーと29ひきの犬

 

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がちキャン△~究極のアウトドア体験!「ツバメ号とアマゾン号」 再読4(読了)

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。
 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ツバメ号とアマゾン号

アーサー・ランサム (著), 神宮 輝夫 (翻訳)

夏休み、ウォーカー家の4人きょうだいは、小さな帆船「ツバメ号」に乗って、子どもたちだけで、無人島ですごします。湖を探検したり、アマゾン海賊を名乗るナンシイとペギイの姉妹からの挑戦をうけたり、わくわくするできごとがいっぱい!

 

キャンプの絵本で林明子さんの「はじめてのキャンプ」があります。なほちゃんはものすごくがんばるのですが、はじめてキャンプに行った子どもの不安な気持ちを、子ども目線からよく表現した本です。

ああ、頑張ってはいても、こんな風に不安かもしれないな、とはっとさせられます。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

はじめてのキャンプ

林 明子 (著, イラスト)

なほちゃんは、大きい子たちにまざって、ひとりでキャンプに行きたいといいました。みんなは口ぐちに「小さい子にはできないよ! 」といいます。なほちゃんは大きい子たちに負けまいと、重い荷物もひとりで背負い、まきを集め、懸命にがんばります。

 

「キャンプに行ってなにをするの?」と子どもに(またキャンプの経験のない大人のかたに)聞かれます。

 

言われてみれば、わけもわからずにぬくぬくとした家とは違う場所に連れて行かれ、別に遊具があるわけでもなし…。
(ある場所もありますが)
暗いし、怖いし、ゲームもTVもない。

 

キャンプとは、ないことの生活そのものを楽しむわけですが、経験値真っ白の所に
「さあどうぞ。お遊びなさい」
とされても、ただひたすら未知の世界は不安なだけです。
「火をつけてごらんなさい」
エッ怖い…。
という感じです。

 

子どもが何人もいれば、子どもどうしで鬼滅ごっこでもはじめるでしょうからまた別なのですが...。

 

「何をするの?」
「【ツバメ号とアマゾン号ごっこ】をするんだよ!!」

 

子どもはどちらもすでに読んでいたところに、下の子が最初に思いだしたのは「真珠とりごっこでした。

 

ティティとロジャが、川にもぐりっこをします。
この真珠とりごっこ、うちが行く予定のキャンプ場は残念ながら
プールがあるわけでも川があるわけでもありませんが、まあだんだんテンションが上がってきました。

 

石はどれも、真珠にしてはちょっと大きすぎたが、真珠は大きくてもちっともかまわないので、まもなく二人の真珠とりは、ぬれて光っている宝石を一山、水ぎわに積みあげた。いちばん困るのは、かわいたとたんに──そして日があたるのでかわくのもはやかった──石が光らなくなってしまって、もう真珠とは思えなくなることだった。

 

水に濡れた石が光ります。
美しいシーンです。
その光が乾いて失われていく所も、すごくよくわかります。

 

プールが三密なのか非常に微妙なところですが、とりあえず、この「真珠とりごっこ」の遊びはプールでもぜんぜんいけます。
プールの底にタッチすればいいのですし、それに割とプールの底には、色々なものが落ちています。


子どもたち、頻繁にたきぎを調達します。
たきぎは必要です。

「あそこ(キャンプ場)は松の葉があるからね」
上の子が言い始めました。
「枯れ草と松の葉でいける。まずは松の葉で火をおこしてから薪に火が入る」

調子が出てきたな!

 

 

ここから、ナンシイとペギイ、ブラケット姉妹の登場です!
ナンシイは本当に男勝りのすごい娘で、スーザンの凄さとはまたまったく違ったすごさです。

ジョンは正統派の船長だとすれば、ナンシイはまさに海賊、女海賊です。


ブラケット姉妹のご挨拶はいきなり、焚火に矢を打ち込むところからはじまります。
ここからまさに、ワクワクする冒険!のはじまりです。

 

ナンシイとペギイは、姉妹でヨットを操ります。
女性が男性がなんて全く関係ありません。

 

二人はこの湖周辺に住んでいるので(うらやましいです...)、ウォーカー兄弟姉妹よりも地理をよく知っています。
冒険をしながらもあれこれ教えてくれ、さまざまな楽しい遊びを共有します...。

それはもう、遊びの域を超えた、ほんとうに冒険!です。

 

 

下の子がぽつんと言いました。
「ひどいこと書いちゃったな…」
「?」
「読書感想文。フリント船長はサメに食われて死ねばいいって書いちゃった」

上の子が口を出しました。

「あれはくそだから。フリント船長はくそ

 

まって、ちゃんと読んであげて…。
お願い、もう一度ちゃんと…。
フリント船長がかわいそう…。
くそなイメージだけが強く残ってしまっているなんてひどい。

 

死ねとかくそとか、もう大変よくない言葉づかいですが、子どもたちの会話を聞いていると、ネット上の悪口そのまんまです。
すぐ極端に走りますし、飽きるまでいつまでも言います。
でも感情にまかせて発散しているだけで、あまり意味はないのです。

 

ネットの悪口に触れてそういう言葉づかいを学んでいるというよりは、どちらかというとネット上の悪口は未熟なキッズ(もしくはキッズ脳)のがちゃがちゃしたおしゃべり、と考えた方がよいと思うようになりました。


声が大きいし目立つのですが、まったくもって意味はないです。
ただ過ぎていくだけの雑音です。

 

このネット時代に、文字にすれば残ってしまうから書き込みなどは絶対してはいけないこと、ただ目にしてしまっても、たいして気にすることはないこと、などなど、ちゃんと教えないといけないな~、と思いました。(余談です)

 

フリント船長についてたしなめても予想どおり
「まあ、最後はいいんだけどねっ!」
の一言で終わってしまいました。

とんだ誹謗中傷被害です。
こんな理解ある、子供の心を忘れず子どもによりそうすばらしいおとな、そうはいません。

でも、もしかしたら...。
もしかしたら、子どもたちのぼうけんの中では、おとなが悪役をやってあげる必要があるのかもしれないな…。

 

 

 

さて子どもらも盛り上がってきたところですし、ぜひ読んで確かめていただきたいので、内容のご紹介はこのくらいにしておきます。
 

私の両親はキャンプやバーベキューはあまり好きではありませんでした。
なので、小さい頃にほとんどそういうことをした記憶がありません。
山にも海にも観光には行きますが、お弁当もないし自然を見て景色を楽しんで帰るだけでした。

ですが、この本を読んで私はずっと、キャンプに対するあこがれを持ち続けていました。
自分はキャンプしてないのですが、観光に行ったときには、キャンプしたつもりになって遊んでいました。

 

 

そして、いざ自分が子どもを持つ立場になってみて、バーベキューなどしてみたときに...。
もちろん、まったくしたことがないので右も左もわからない試行錯誤ですが、ぼんやりと空想していたことが形になっていくのがとても楽しいです。

 

そしてやっぱり、火をつける時はウォーカー四人兄弟姉妹になったつもりでいますし、海にヨットの羽を見れば、ナンシイ姉妹のことを思います。

 

つまり、子供のみならずおとなにもぜひ!
この自粛生活の中で、楽しいがちキャン△を試してみて欲しいです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

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がちキャン△~究極のアウトドア体験!「ツバメ号とアマゾン号」 再読3

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ツバメ号とアマゾン号(上)

アーサー・ランサム (著), 神宮 輝夫 (翻訳)

夏休み、ウォーカー家の4人きょうだいは、小さな帆船「ツバメ号」に乗って、子どもたちだけで、無人島ですごします。湖を探検したり、アマゾン海賊を名乗るナンシイとペギイの姉妹からの挑戦をうけたり、わくわくするできごとがいっぱい!

 

さて、子どもたちは小さな島に上陸、テントを木に縛り付けるのですが...。

もちろん、ロープはまん中がたるんだから、テントは一メートル半くらいの高さにしかならなかった。ロープは夜露がおりるとちぢむので、あまりきつすぎないように張っておいたのだ。


お母さんがこのタイプのテントにしてくれて良かったです。
理由は、地面の下がどこもすぐ岩で、ペグを打ち込むことができなかったからでした。


ちなみにこのことに気がついたのもスーザンです。


船の繋留地を移動します。
(さらっと書いていますが、とても面白いです!)

 

スーザンは大きなバターのかたまりを、フライパンでとかしていた。そばのプディング用のボウルには、生のなまごが六つはいっている。スーザンは、マグのふちでたまごをわって、ボウルにおとした。たまごのからが、たき火の中でぱちぱちはねた。

ハウルの動く城でのたまごを焼くシーンが思い出されます。
カルシファーがたまごのからを食べてました。
スーザンの作っているこれはスクランブルエッグです。

 

このときは、たまごとライス・プディングと、バターつきの黒パンとシードケーキとリンゴの食事です。

 

スプーンは洗わなくてはならないし、フライパンはこすっておかなくてはならない。マグとプディング用のボウルもすすいでおかなくてはならなかった。

 

これ!これがキャンプ!
これを全部、子供だけでやるのです。
兄弟姉妹四人はいい数です。
多すぎて目が行き届かないこともないですし、少なすぎて手が足りないこともありません。 

 

そういえば、「ナルニア」も、「砂の妖精」も、みんな四人兄弟姉妹です。

この頃の理想的なこどもの数だったのでしょうか。

ひとりふたり、赤ちゃんがふえたりしますが、メアリーポピンズも基本はそうでした。


とりあえずおとなの再読目線で、ごはんとか片付けとかばかりみてきましたが、やはりこどもの読んでいる目線はちがいます。

 

みんなをひっぱり、意思決定をするリーダーのジョンでも、なんでもできちゃうカリスマ主婦のスーザンでもなく、三番目のティティです。絶妙な役回りです。

 

物語の中では様子を見に来たお母さんが、シリアルももってきてくれました。

「朝がとってもいそがしいとき、スーザンがポリッジを用意しなくてもすむようにね」
「わたし、お料理好きだわ。」と航海士スーザンがいった。
「いつまでも好きでいたかったら、」と、女の原住民がいった。「私の言うことをきいて、洗いものは、ほかの人にやらせなさい」

今だからわかりますが、含蓄の深いことばです...!

 

 

最初の一晩があけ、朝起きて、牛乳をとりに行こうという話になります。
スーザンのカリスマ発揮です。

「ぼくが船をこいでとってくるよ。」と、ジョンがいった。
「待って。」と、スーザンがいった。「きょうは、みんなでいきましょうよ。そしたら、みんな道がわかるし、農場の人も、私たち全員をおぼえるから、後でだれでもとりにいけるわ。」

怖い!こんな気のきくこども怖い!

 

お母さんは、気を付けていて頻繁に大丈夫か顔を出しますが、子どもたちもちゃんと言いつけ通り、たまに戻ってきて顔を見せます。
そのたびごとにつりざおやら、水着やらを準備してくれるお母さんです。

 

青物はちゃんと食べないと壊血病になりますよとのことで、レタスやグリーンピースの配慮もします。野菜は大事!

 

お母さんはヨット帆走のしかたも細かくきいています。
どうやらこのお母さんもヨット帆走できるみたいです。

古きよき貞淑な家庭のよき母親☆てきなイメージからどんどん離れていきます。


このツバメ号とアマゾン号が書かれた時代は1930年、ちょうど第1次世界対戦と 第二次世界対戦の あいだにあたります。

 

サトクリフの「第九軍団のワシ」でも序盤が非常に緻密で長く、冒険に行くまでに半分ぐらいかかりましたが、こちらもキャンプをしっかりとはじめるまでが(上下巻の長さですが)上巻のほぼ2/3をしめています。

 

・お父さんの許しが出る
・準備する
・(ウィンダミア湖モデルの湖を)ヨット帆走させる。
・ヤマネコ島に船をつける。
・ヤマネコ島に上陸する。
・キャンプに適した場所を探す
・テントを張り、火をおこす
・さいしょのお茶をのみ、最初の食事をする。
・お母さんが様子を見に来る
・最初の夜を過ごす

 

この途中の「準備する」とか「船をつける」とかのシーンがとってもとっても緻密です。
もう何をしてるのか、目の前に見えるようによくわかります。
ですが冗長ではありません。
本当に、一緒にヨット帆走させたりキャンプしたりしていて、波の音や火の音が聞えてくるようです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

Swallows & Amazons - The Complete Collection:

 

 

 

つぎで終了です。

 

がちキャン△~究極のアウトドア体験!「ツバメ号とアマゾン号」 再読1

 

 

 

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ともしびをかかげて〈上〉 新訳 赤毛のアン 小公女セーラ

 

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今日の一冊「パパ、お月さまとって!」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

パパ、お月さまとって!

エリック カール (著), もり ひさし (翻訳)

絵本『はらぺこあおむし』の作者カールさんは、絵本の魔術師といわれます。その明るくさわやかな貼り絵の世界は、見る人の心をとりこにしてしまいます。こんどは、絵本の画面が左右上下に開いて、広い広い空を絵本の世界にしてしまいました。「お月さまをとって!」と娘にせがまれたお父さんが、長い長いはしごをかけて月をとりにいくという優しさにあふれた絵本です。

 
はらぺこあおむしで有名なエリック・カールの絵本ですが、私ははらぺこあおむしよりもこちらの本が好きなのです。
(個人的好みです)

 

あまり読まない上の子が自分で探し出してきて読んでくれといい、大好きだった絵本です。

 

内容はまったく題名と同じで文字通りそのとおりです。

 

お月様を取ってほしいとせがまれたお父さんが、子どものために長いはしごを用意してお月様をとってきます。

 

大型本だと、はしごの長さがはんばなくて、右に左に上に下にと開いて迫力満点です。

 

夜空に広がる世界...!
エリック・カールの芸術的な色使いがぱあっと視界に入ってきます。
すばらしい絵本です。

 

子どものためなら月も取ろうというお父さんの思いもかくや、です。

 

が、結局、月はおねだりして買った風船のようにしぼみ、子どもは、失われた望みがまた夜の空に浮かんでいるのを子供部屋の窓から見ることになります。

 

手の届かない望みはまた、遠い遠い場所にある。

 

月が欠けて、また満ちるのを見るたびに、また誰かのお父さんが子どものおねだりで月を取ったのかもしれないな…なんていう風に想像するのも楽しいことです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

PAPA PLEASE GET MOON

Eric Carle (著, イラスト), Stanley Tucci (監修)

 

 

 

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サムのおしごと 森は生きている 人形の家
こいぬとこねこのおかしな話 おでかけのまえに マチルダは小さな大天才
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