「本好きは作るもの」読解力を身に付ける~珠玉の児童書~

「本好きは作るもの」読解力を身に付ける ~珠玉の児童書~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

「きんいろきつねのきんたちゃん」~虚飾の世界への目~

 残念ながら、もう絶版になっているのですが

「きんいろきつねのきんたちゃん」

をご紹介したいと思います。 

きんいろきつねのきんたちゃん
作者: かこさとし
出版社/メーカー: ブッキング
発売日: 2005/12/01
メディア: 単行本

 

去年(2018年5月2日)にお亡くなりになった、加古里子さんの作品です。
からすのパンやさん」「だるまちゃんとてんぐちゃん」で有名です。

 

読み聞かせには、「どろぼうがっこう」が大人気でした。

これらの作品に比べ、埋もれてしまって絶版になっている一冊です。

 

しかしこれは、プレゼントすると大人気の一冊です。

お貸しした時に、ご紹介した時に、子供たちが大好きになって欲しい欲しいと言われると聞いたので、絶版ながらも中古で取り寄せてプレゼントした所、とても喜んでもらえました。

 

お子さんがたが先を争うように読ませろ!!と奪い合うという話や
きんたちゃんが本当に可愛い、大好き

などなど、嬉しい言葉ばかりいただきました。


ラストシーン…

お母さんの毛皮にくるまって泣いているきんたちゃんが

可愛くて可愛くて…
可哀相で可哀相で…

おかあさんの毛皮がすぐそこにあるのに触れることもできず、いっぱい涙をためているきんたちゃん。

号泣です。

 

こにくたらしいクソガキもやっぱり出てきます。

男子と女子どちらも、ダブル出演です。

 

加古里子さんの描くクソガキ。

これがまた、しげるちゃんや、ツネタとはまた違っており、修正できそうもない腹の底からの憎らしさを感じます(笑)

 

きんたちゃんは、序盤ではよくある動物もののように人語を話しているのですが、ある時から全くしゃべらなくなってしまいます。

ケケケケーン

と鳴くばかりです。(かわいいです)

しかし、人語を一切話さなくなってからがきんたちゃんのお話のはじまりです。

 

のきんいろきつねのきんたちゃん
加古里子さんの「虚飾の世界に対する目」を感じます。

 

何か、警鐘のようなものです。

 
女子はわりと、歌って踊る華やかなアイドル、パーティにあこがれたりするものです。

プリキュアだって、必ずラストには振り付けた踊りを入れてありますし。

子供用雑誌にもおしゃれの情報はあふれています。モデル、子役などなど。

まさにインスタ映えの世界です。

 

男子の大好き、YouTubeゲーム実況も根底は同じかと思います。

 

見て見て!という自己顕示欲や、承認欲求…
子供あるあるどころか、大人だってあるあるです。

 

それ自体は悪いことではないと思うのです。
身だしなみに気を遣うこともある程度必要ですし。
男子のゲーム熱だって、そこからシステムに対する興味や、割と人付き合いを学んだりすることもあります。

しかし、それらすべてが目に見える通り、本当にキラキラした魅力的な世界なのだろうか?

 

華やかに見せる世界の根底にある、他人を押しのけ、争う指向。
自然に派生した穏やかな世界を、序盤で出てきたブルドーザーのように、何もかも踏みつぶすもの。
美しさを追及する果てにある、おかあさんの犠牲=毛皮。

(私は別に毛皮否定派ではありませんが…。)

 

美しく、明るく、きらびやかな世界に対して、一歩立ち止まり、距離を置いて見る視線があります。

きんたちゃんのお母さんのような犠牲が存在する事実に対して、無知であることの醜さ。
豪邸は、燃えてしまえば灰しか残りませんでした。

 

私は、絵本を、本を読むときに、子供たちがそこまで考えなくとも良いと思っています。大人も、そこを強調して教えることもないと思います。

 

「物語として、ある経験として」、ただ、すうっと子供に吸収されるだけでいい。

その体験の多さそのものが一番重要だと思っています。

 

大人ならば加古里子さんの表現しようとした、虚飾に対する一歩距離を置いた視線になんとなく気付くはずです。


我が子を、自分をかえりみて、ふっと「ああ、気を付けなければな」と思うその瞬間がほんの少しでもあればいい。

 

そして、月夜の下でお母さんの毛皮にくるまってひとり泣く、可愛らしいきんたちゃんの切ない姿を、この本を読んだ子供たちが皆、心のどこかにそっととどめておいて欲しいと思います。

 

 Amazon(古書)>>「きんいろきつねのきんたちゃん」

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道徳と哲学、読解力の先にあるもの

心をこめて紹介しすぎて、力が尽きてきました。

 

どれもこれもあまりにも名著なために、こんな陳腐な言葉ではとても言い表せない…!と試行錯誤しすぎました。

 

もうちょっと気軽に投稿すべきなのか?

それとも、これは、日々の日常も投稿するべきなのか…?

という気持ちになりました(笑)

 

そして、はてなシステムに慣れていないので
☆を頂いてこれはいったいどーすればいいのか?がさっぱりわかりません。

つけて下さる方、本当にありがとうございます!!

なかなか更新できずすみません。

 

気持ちを新たに頑張ります。

次は加古里子さんの「きんいろきつねのきんたちゃん」にしようと思っています。

 

 

 

とても大切なニュースだと思いましたので、ご紹介します! 

toyokeizai.net

 

この記事は、今学問の場から忘れ去られがちな倫理学や哲学について、語っていました。

 でも倫理って、センター試験の受験科目としてはあるけれど、国公立大学の二次試験でも私大入試でもほとんど入試科目になっていません。だからセンター倫理の受験者数も、日本史や世界史と比べると格段に少ないんですね。

 これはすごくもったいない。高校倫理には、西洋思想のみならず、宗教も東洋思想も入っています。いわば哲学・思想の入門科目なのに、学んだことのある人は日本の成人人口の中でもごく一部。『試験に出る哲学』を書いたのは、もっと多くの人に倫理という科目を知ってもらいたいという動機もありました。

 古川:まったく同感ですね。これも『大人の道徳』に書いたことですが、「近代社会」、とくに「民主主義」というものが成り立つためには、その担い手である市民一人ひとりが、理性に基づいて論理的に考えることの訓練を受けなければなりません。民主主義にはどうしても哲学教育が必要なんですね。

「空気を読まない」哲学が学校や企業を救う理由
3/7(木) 8:00配信 東洋経済オンライン

 

この後に、フランスでは哲学が必修であるというエピソードがご紹介されていますが、 まあ、日産のゴーン社長の騒ぎを見る限り、必ずしも立派な倫理観が育まれるとは考えにくい…とも思います。

しかし、哲学・倫理学を必修とするのには賛成です。

今、あまりにも足りなくて、あまりにも忘れ去られがちだからです。

日本には東洋哲学があるではないですか!

 

哲学は決して、額に皺を寄せたおじいちゃんが「いかに生きるべきか…!?生か死か?それが問題だ!」などと考えるものではなくて、今を生きるためのものです。

 

 というのは、哲学というのは、やはり最終的には「生き方」に関わるものだと思うんです。自分自身の生き方。自分が何を大事にして生きていくのか。家族や友だちや恋人とどういうふうに関わっていくのか。会社や社会や国家に対して、どういうふうなスタンスで生きていくのか。そういうことを考えるのが、僕は哲学をするということだと思うんです。

 例えば、若い人が会社でまったく使い捨てのモノのように扱われて、「俺の人生はいったい何なんだ」と思うようなことがありますよね。そういうときに、まさにそういう問題をこそ、真剣に徹底的に考えた哲学者や思想家が、過去にたくさんいるわけです。そういう哲学や思想を勉強することによって、自分が今どうしてこういう状況に陥っているのか、それはどこがどう間違っているのか、そういうことが論理的に解き明かされていって、それが自分の生き方や社会のあり方の模索へとつながっていく。哲学を学ぶ場を、そういう場へと発展させていければというふうに私は思っています。

「空気を読まない」哲学が学校や企業を救う理由
3/7(木) 8:00配信 東洋経済オンライン

 

このような学問や知識の体験なく、大人になってしまった場合にもっとも危険なことは、満たされない思い「俺の・わたしの・僕の人生は!?」という疑問に、するするっと入り込む宗教の危険性です。哲学、倫理学、心理学、宗教学は実に紙一重であり、ヨガがオウムの入口になってしまったように、あらゆる方面から誘惑の手を伸ばしてきます。

人生に落とし穴はじつにたくさんあります。

 

そんな時に、一歩踏みとどまる健全な思考力を養うのは、読解力をおいてほかにありません。

(何かに傾倒しそうになったとき、またそれが当たり前のように存在することに対し、まずちょっとだけ踏みとどまり、疑問を抱くことを広めたのはデカルトです)

 

何も小難しい哲学書だけに限りません。

語り継がれてきた名著の中には、無数の「生き方」が散りばめられています。

その「経験」を得ること、結果的に自分ならばどうするかと考えることが、「どう生きるか」につながっていきます。

 

また、ある種類の「まっとうさ」「健全さ」 のロールモデルも提供すると同時に、そのモデルからはずれざるを得なかった人の存在と理由までも教えます。

この経験は大変重要なことです。

いつ、その「あるべきモデル」からはずれる落とし穴が訪れるのか、誰一人わかりはしないからです。

 

このような経験を与えてくれる読書は素晴らしいのみならず、必ず後世に伝えていかなければならない大切な財産です。

読解力は、テストを解くためだけに存在するにあらず。

 

そのためにも、読み聞かせによってせっかく培われた読書への芽を、絵本から一歩すすめて「本を読む」所に押し上げる努力を、欠いてはならないと思います。

 

次にご紹介するのは

~虚飾の世界に対する眼差し~「きんいろきつねのきんたちゃん加古里子さん

です。

 

 

さてなかなか更新できないし…ここは、大人の本の紹介も入れよっかな~。

どうしよっかな~。

 

唐突にどうした?という感じでおちなく終わります。

 

~自立への旅立ちを物語で~「あるきだした小さな木」

 

今日ご紹介するのは、絵が独特で、美しい美術的なタッチの絵本です。 

あるきだした小さな木 

あるきだした小さな木 (世界のカラー童話)
作者: テルマ=ボルクマン,シルビー=セリグ,花輪莞爾
出版社/メーカー: 偕成社
発売日: 1969/12/01
メディア: 単行本

深い森の中に、パパの木とママの木に守られて幸せに過ごしている小さな木。

パパママに外の世界の恐ろしさ、人間の怖さを聞いて育ちますが

ある日、森に迷い込んで来たのは、道に迷った小さな男の子でした。 

「あるきだした小さな木」

さすがおフランスだけあって、絵が独特で芸術的です。

好みは別れるかもしれませんが、訳がユーモラスなので違和感はありません。

 

この少年の可愛らしさに惹かれ、はじめて見た人間への興味を揺り動かされた小さな木は…

大胆なことに、自分の根っこを自ら引っこ抜き、人間界を旅してまわります。

抜き方もかなりの時間を要して、「ものすごくからだをゆすり」、親たちを困惑させながら無理矢理に根っこを自力で抜き取ります。

おっかなびっくりの歩き方がかわいいです。

 「あるきだした小さな木」

冒険を重ね、子供や鳥たちと仲良くなったり、あやうく切られかけたりしながら、あるお金持ちの目に留まり、家に移植されます。

このアラブの石油王並のすごい金持ちは、娘さんが一人おりまして。

いかにもおフランス的な展開、そこには娘さんの望まぬ結婚が...(略)

最後は小さな木はついに根をすえ、枝を広げ青々と茂らせるのですが、全体的に、昔話にもありそうな何気ない素朴な物語です。 

しかし作者には子供たちへ向けた確かなメッセージを感じます。

恒例の、 訳者あとがきをご紹介します。

あまりにも見事なあとがきが多く、このあとがきが子供たちだけでなく、親に向けても書かれているのを感じます。自分が親となった今になって読み返して考えさせられる所があるという、まさに世代を超えて語り掛ける力を持っています。

 

人間にとってもっとも大切な「自由」(中略)この木がであういろいろな冒険や危険が、いつも自由を束縛するものと、それに対する反抗であることを十分考えてください。(中略)

でも、自由は何もしないでやってくるものではありません。個人の自由は、個人の独立とふかいかかわりがあります。(中略)愛情がなくては自由も独立も、なんの意味もありません。

この自由、独立、愛情の三つを求め、その意味を考え、自分のものとすることが、成長することなのです。作者のいいたいことはそこにあると思います。

 訳者 花輪莞爾 「あるきだした小さな木」あとがきより

 

自由を尊び好奇心に満ちて守られた家を飛び出して、冒険を重ねた末に子供たちも大人となります。

いつか、彼らも自分の場所と呼べるありかを見つけ、根を張り、枝を一杯に伸ばして大樹となり一杯に花を咲かせる日が来るように...との愛に満ちた親心を感じます。

 

そして親たちにも、子供たちの自由に伸びやかに広がる好奇心の力を、反抗という形で訪れる自由に対するあこがれを、理解し尊重してあげられるよう、語り掛けているようにも思えます。

 

多分、アラブの石油王並の金持ちの頑固オヤジは、子供のレールを自分で敷いてしまいがちな親の姿への忠告なのだと思います。

 

この本を読んであげたお子さんの一人に、

「じゃあ、ホテイさんはこの娘さんの結婚を許してあげられるんだね!」

と聞かれました。

「ごめんなさい。無理です」

まあご覧ください。

 

このしんしは いつも いっています。

「わしは、むすめが かわいくて ならぬ。

 むすめのために わしが ほしいのは

 せかいで いちばん りっぱな いえと

 せかいで いちばん 大きな にわと

 せかいで いちばん かねもちの むこさんじゃ」

 

でも、かわいそうに!むすめさんの ほうでは

 せかいで いちばん 小さな いえと

 せかいで いちばん せまい にわと

 せかいで いちばん びんぼうな むこさんでも

いいんだと おもっているのです。

 「あるきだした小さな木」

 

「いやちょっと…世界で一番貧乏なむこさんは…ごめんなさい。無理です。現実は厳しいので」

 

世界で一番とはいかなくとも、せめて、中くらいはあって欲しいと思うのが、親心というものですよね!

 

というわけで、今日は名作を台無しにした所で終了したいと思います。

こんな日があってもいいですよね!!

 

Amazon>>あるきだした小さな木

絵本ナビ>>あるきだした小さな木

 

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Twitterで見つけました。路地裏bookshelf

Twitterで発見しました。

あんまり素敵なのでご紹介。

数日前にバズっていて、お気に入りに入れていたものなのですが…

見れば見るほど、素敵です!!

本棚にこんな路地裏がはさまっていたら、しかもランプが付いていたら、胸熱ですね!!

私もお願いしたいです。

ダイレクトメールを送ることで作って頂けるみたいです。

 

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本の世界への入口「おしいれのぼうけん」

いまさら、あらためてわたしがこんな場所でご紹介するまでもない
大ベストセラー
誰もかなわない、日本児童文学界に輝く金字塔です。

おしいれのぼうけん

おしいれのぼうけん (絵本・ぼくたちこどもだ)
作者: ふるたたるひ,たばたせいいち
出版社/メーカー: 童心社
発売日: 1974/11/01
メディア: 単行本

ありがちなやんちゃな男子同士の小競り合い、追いかけっこの罰から始まり、おしいれの闇の中に蠢く不気味な影と、鳴り響く汽笛の音──。

古田足日さんの作品は、どこか都会の匂いがします。

「ぬすまれた町」という埋もれがちな名作がありますが、安保闘争学生運動の時代を別の側面から密に描きながら、夢と現実が交差するという、実に見事な作品です。

こちらに内容のご紹介がありました。

www.iiclo.or.jp

 

自然を懐かしみ、愛しむ傾向。

子供たちには草原や森や原っぱで、自然に囲まれて、思いっきり遊んで欲しい!

そんな願望を尊ぶ中に、古田さんの作品は若干、異質のように見えながらも、現代に通じるリアルさが存在します。

高速道路に立つねずみたちの絵からは、奇妙な都会のコンクリートの気配が漂います。

現代においては、現実に子供が遊んでいるのはアスファルトの道路の上であり、コンクリートの建物に囲まれた街中であったりするものです。

「ほんとうの子供」

大人が思う、このような子供であってほしい願望、懐古的な子供像ではないのです。

内容は象徴と幻想を使い分けつつ子供の心理を表現しています。

下水の中に鎮座まします不気味なグランドマザー、ねずみばあさんに対峙して真っ向から立ち向かい

「ぼくたちは、あやまらない!」

子供の目線からの、子供としての正しい主張をぶつけるやんちゃ坊主たち。

 

この本は決して、大人の「こうあってほしい」願望から書かれたのではない本です。

whichbook.hatenablog.com

こちらでご紹介しましたが

おしいれのぼうけんは、児童書としてとても大切なことに、完全に合致しています。

・おとなの考えやおしつけでなく、子どもの立場に立って書かれた作品

・子どもの論理に立って、すじが通っているもの

・子どもの現実の生活と、どこかでふれあえるもの

・子どもの集団が生き生きと描かれているもの

・夢や空想を無限に広げることのできるもの

・ユーモアのあるもの

子供のための1000冊の本、どの本、読もうかな? より

 

また、この物語の保育士さんの描写も素晴らしいです。

保育士さんがたも間違いを犯すこともある。悩み、怒り、罰を与え、間違いを認めて謝る。

子供への接し方に悩む親と同じように悩んでいます。

 

今、なんとなく世間の雰囲気として、どこかで「お金を払っているのだからプロ」と決めつけ、親の理想像を投影し、完璧なスーパー保育士像を押し付けるような空気がないでしょうか?

 

子供の主張に対して、保育士さん(親も)は完璧でない対応をすることもある。

そのあやまち、ぶつかり合い、争いが、子供の成長を促すこともある──

 

大人は誰しも、子供に完璧な接し方を常にすることはできない。

それでも、この「おしいれのぼうけん」の中で子供に真剣に向き合い、どうすれば意図が伝わるのか真剣に考えている保育士さんの姿はまた、すべての子供に接する職業の方々の姿でもあります。さらに、わたしたち親そのものの姿でもあります。

 

「親」という区切られた、隔絶された家庭の中の姿に留まらず、すべての子供に接する大人の姿を象徴しています。

 

古田足日さんの子供と教育現場に対する目線は鋭く、確かです。

 

あまりにも、みんな知っていすぎるベストセラーばかりのご紹介でちょっと気が引けますが、絶対に入れなければならない一冊です。

 

私は割とAmazonのレビューは低評価も目を通すことにしています。

なるほどな、という意見もあるので興味深く見ているのですが、「おしいれのぼうけん」の低評価に、読み聞かせに使われた方の意見がありました。

 

結論から言うと、この本は読み聞かせには若干、むいていないと思います。 

この本は、幼稚園や保育園に置かれていることも多いと思いますが(というか、置いていない園はないのではないでしょうか?)、ちょうど絵本と児童書のさかいにあります。

読み聞かせするには少し長すぎ、かといって児童書というには短すぎる、その中間にある作品です。

 

読み聞かせのかたも、親御さんも、先生も、保育士さんもみな、本を読むこに育てたいと思うかたはこの、

絵本→絵の多い児童書→文字の多い児童書→本→文学作品

という、

・文章を読むことを訓練する段階

・それぞれの発達に応じて選ぶべき本

に対する視点を持ち、心がけていただくようにしてもらいたいと思います。

お子さんがたには、もちろん、好みもありますし、読まないと思っていた子が思いもかけない本にさっと食いついて読んだりするものですから、こだわりすぎるのもよろしくないと思うのですが、心のどこかに入れておいていただけるだけでいいのです。

読み聞かせをするのは、何のためなのか?

本を好きになってもらうため!

そのためには、読み聞かせにむき、目も引く派手な絵本のみの段階だけでとどめておいては、せっかくの読書の芽も育たないと思うのです。

 

日本は、わりと読みボラさんは大変組織立っていて連携も強く、親御さんも読み聞かせには熱心で、たいへんよいことだと思います。

しかし、いつまでもそのままではいられない。

絵本だけの段階でとどまっているのは、よろしくないです。

そのためにも、よい児童書というもの。
最高の品質の児童書を、もっともっと、知ってもらいたいと思います。

 

おしいれのぼうけん

ここまで大判で絵も多く、ここまで「絵本」の体裁を保ちながらにして、中身はしっかりとした本としての物語であるという児童書は、なかなか探しても見つかりません。

 

この本は、中国語にも訳されているようです。 

おしいれのぼうけん 中国語版
古田足日田畑精一作『おしいれのぼうけん』の中国語・簡体字版です。

よい本は、どんどん広めていきたいものです。

 

そして、選ぶ時には、少しだけ

「今の自分は理想的な親、大人としての教育的な視点にとらわれすぎていないか?」

と考え、自分の子供の時の思い、心を思い出して読んでみてはいかがでしょうか。

児童書のすばらしさは、大人も子供に立ち返って再び感動を得ることができる所にもあるのですから──。

 

Amazon>>おしいれのぼうけん

絵本ナビ>>おしいれのぼうけん

 

 

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「ウォーターシップダウンのうさぎたち」それはまさにうさプリ~新・うさぎの王子様!

絶対おすすめのベスト10に必ず入る本です。

ジャニーズも韓流もテニプリの王子様たちも顔負けの、

スーパーイケメンうさぎたちによる、ロードムービー風アドベンチャーストーリーです。 

ウォーターシップ・ダウンのウサギたち(上)
作者: リチャードアダムズ,Richard Adams,神宮輝夫
出版社/メーカー: 評論社
発売日: 2006/09/01
メディア: 単行本
ウォーターシップ・ダウンのウサギたち(下)
作者: リチャードアダムズ,Richard Adams,神宮輝夫
出版社/メーカー: 評論社
発売日: 2006/09/01
メディア: 単行本

非常に読みごたえがあるので、 大人の方にも自信を持ってお勧めできます。

硬派なストーリーの中に、男の世界を展開します。

この本は、「序盤を我慢しなければならない」作品です。

中学生~高校生向きですが、読ませるのには苦労するかもしれません。
字も細かく内容もハード、文章もかたいです。

上下巻とありますが、我慢するのは上巻の半分ぐらいまででしょうか。

最も盛り上がるのは、下巻の直前あたりから。

怒涛の面白さと息をつかせぬ展開は、丁寧に描かれた序盤あってこそのもの

 

お子さんにすすめる前に、親御さんがまず読んでみてはいかがでしょう。

久しぶりに本を読んだ!

それも、最高の・上質の・エンターテイメントを読んだ!

という気分になれることでしょう。

 

これもまた有名な児童書 「さすらいのジェニー」の中に、この本が出てきます。

このさすらいのジェニーもとても面白く、猫好きには絶対にはずせない1冊です。
涙あり笑いあり恋あり、猫になってるにしろ、妙にリアルな…特に恋愛がリアルな…本です。

主人公の少年が、この本さえあれば、と心のよりどころにして大切にしている作品が「ウォーターシップダウンのうさぎたち」です。

読めば納得!

誰にとってもそうなりえます。


とにかく、うさぎたちがあまりにもイケメンです。

ビグウィグ派ヘイズル派かで意見が別れる所だと思われます。

(ちなみに私はビグウィグ派です。メチャクチャかっこいいです!)

 

繁栄したうさぎ村の中にあぶれた若いうさぎたち。

主人公のヘイズルは、シャーマン属性の弟のファイバーの予言により、仲間たちを引き連れて新たな村をつくる場所を求めて旅に出ます。

 

ヘイズルはその卓越したリーダーシップにより、体の小さい弟ファイバーは予知能力により、仲間たちを導きます。

短気で直情的なビグウィグは戦士属性です。体も大きく、力も強いビグウィグは、従来の力関係からいけば、リーダーとなりたがるライバル枠となる所でしょう。

が、彼はヘイズルを認め、彼の指示に従います

そんなビグウィグの選択と存在が、ヘイズルを集団の中で守ります。

 

さらにヘイズルも、ビグウィグをはじめとする仲間たちの信頼に応えようとすることで、リーダーとしての責任感が育って行きます。

詩人属性ダンデライオンも良いですが、イチ推しは参謀属性のブラックベリです。

癒し系のピプキンが可愛いです。

ドラクエで言うなら遊び人属性のブルーベル、副官属性のホリーもカッコいいです。

 

ラスボスのウーンドウォート将軍は、跡部様並のかっこよさです。

跡部様にかなう者がいるものかと思われた方は、ぜひ読んで確かめてみることをお勧めします。)

 

この作品は、向かう所敵なしとでも申しますか…

私がすすめた中で、「本当に面白かった」「間違いなかった」以外の声を一度も聞きません。

(頭脳派のブラックベリが割と人気が高かったです)

 

神秘的なエル・アライラーの伝説をはさむことで、うさ世界のうさ歴史の奥行きが出ています。

 

魅力的なイケメンうさぎたちが次々に息をのむ冒険を重ねます。

それはもう、薄い本をたくさん作ってもらっていいぐらいのイケメンぶりです。

 

本当に上巻を読み終わるまでに面白くなるのかどうか、待てない方々のためにざっくりと紹介すると…

 

旅を続けながら数々の危機を脱して、うさぎたちがついに村とすべき場所を見つける。

ここまでが上巻~下巻の序盤です。

 

そして、一旦村を定めた後に、これがまた衝撃展開なのですが、彼らは別の村から、サビニの女たちエピソードさながらのめす強奪作戦を企てます。

ja.wikipedia.org

 

ここの展開に入ってはもう、やめられなくなること間違いありません。 

さあ、あなたもうさプリ~新・うさぎの王子様!の世界へどうぞ。

一生ものの一冊になること請け合いです。

 

Amazon>>ウォーターシップ・ダウンのウサギたち(上)

Amazon>>ウォーターシップ・ダウンのウサギたち(下)

 

おまけ:原書で読むうさぎたちも、素晴らしいです。

Watership Down (英語) ペーパーバック

 

 

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文字の色が見える「はらぺこのえんそく」

 今日ご紹介するのはオーストリアのフェラミークラさんの作品です。

はらぺこのえんそく

はらぺこのえんそく―三人のシュタニスラウス (世界のどうわ傑作選 (4))
作者: ヴェーラ=フェラミークラ,ロームルス=カンデア,中村浩三
出版社/メーカー: 偕成社
発売日: 1985/12/01
メディア: 単行本

 

おじいさんシュタニスラウスとおばあさん

おとうさんシュタニスラウスとおかあさん

小さいシュタニスラウスと姉のベローニカ

ほのぼのとした三代の家族が同居しています。

 

大・中・小と、絵にも想像しやすいです。

 

物語は、このようにはじまります。

はちが かぜを ひいちゃ かわいそう!

 小さいシュタニスラウスは、あさ はやく 目を さますと、おねえさんの ベローニカに こえを かけました。

「まだ ねむっているの?ベローニカ」

 すると、ベローニカが こたえました。

「まだ よおく ねむっているわ。」

 小さいシュタニスラウスは、はブラシをとって、げんかんぐちに でました。

 朝、起きることが楽しくなりそうな一幕です。

このお話の描写は、出だしもそうですが、まるで家族ですごす休日のキャンプのような、ゆかいで楽しい雰囲気があり、とてもなごみます。

・寝巻きのままで滝を浴びたり→お風呂に入るのが楽しくなる。

・庭にテーブルを出してごはんを食べる→やってみたくなる。ごはんが楽しくなる。

・部屋の壁に落書きをする→……これはやってもらっては困るかもしれませんが…

 

ペンキ屋さんを待っている間に、三人はえんそくに出かけることにするのですが、のんびりとしたおだやかな空気の中で、冒険あり、不思議な出来事ありの飽きさせない展開です。

何と言っても特筆すべきは色です。

おじいさんが、おとうさんが、小さいシュタニスラウスがなのですが、例えば

f:id:WhichBook:20190314003057j:plain

このような表現で表しています。

白黒の文字の中に、の色が見えるようです。

そしてさらに、このらくがきが動き出し…!

 

 

あとがきは訳者の中村浩三さんが書かれています。

最近思うのですが、よいあとがきを書かれる方は、あとがきで自分がたりをしません

自分の体験を語る所からあとがきに入るのは、読書感想文とさほど変わりないものです。

児童書というのは、親の愛のプレゼントのようなもので、特に子供たちに対するよいあとがきは、そのような部分に文字数を割くより、少しでも作品の紹介を優先します

 

あとがきの一部には、こんなことが書かれていました。

みなさんはらくごをきいたことがありますか?ほんとうにおもしろいらくごというものは、きけばきくほど、おもしろくなるものです。この「はらぺこのえんそく」も、よめばよむほどおもしろくなるお話です。

みなさんもこの本を、なんどもなんども、くりかえしてよんでください。そして、おおいにわらってくださいね。

 中村 浩三

さりげなく落語を紹介し、導こうとする、読者の子供たちへの細やかな心配りです。

 

この本は、字も大きく、文字と文字の間にスペースをもうけて読みやすくしていますが、わりと分厚くてきちんと「本」という感じです。

小学生でも、「本を呼んだぞ!」と思えるものであり、しかも面白い

絵本→本、への導入に大変良い1冊です。

 

Amazon>>はらぺこのえんそく

 

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