今日の一冊「めっきらもっきら どおんどん」
今日、ご紹介するのは絵本です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
かんたがお宮にある大きな木の根っこの穴から落ちて訪れた国は、何ともへんてこな世界でした。
1ページ目から、古きよき日本の神社やお祭りの原風景に満ち満ちています。
実際に経験することが少なくなっても、現実は危ないからとこんな風にひとりで神社に訪れることなどない世の中になっても(防犯の観点からはその方が望ましいです…)、景色が変わり、次第にすたれていっても本の中には残りますから。
やっぱりどこかで、このような景色、このような体験を味わって欲しいなと思います。
かんた君、遊ぶ子がその日に限って一人もおらず、ご機嫌ななめです。
逢魔が時?
魔がさすというか、神隠しというか。
誰も見ていない、誰も知らない、奇妙な偶然の重なりによって、かんたは不思議な世界に迷い込みます。
こっちゃこい、こっちゃこい…
という突風と共に木の根の中から聞えてくる声に導かれて。
かんたを迎えるのは、もんもんびゃっこ、しっかかもっかか、おたからまんちんの三人組です。
まあだいたい、子どもらはおたからまんちんが大好きです。
名前の語呂の問題なんででしょうか…。
お話も素晴らしいですが、絵に勢いがあって、しかも詳細です。
かんたが不思議な世界に引き込まれたように、こちらもどんどん引き込まれます。
ひとつひとつスケールが大きくて、子どもらしい元気さがいっぱいです。
いわゆる異世界もの、なのですが、異世界ものというのは、迷い込んだ挙句の冒険の果てに、ちゃんと吐き出してあげる、元の世界に戻る、という描写がとても大切だと感じます。
それは夢の世界のようであり、自分の想像の世界の広がりの深さのようでもあり、またこの世界が目に見えているだけの一つではないということのようでもあり…。
未知の世界は危険なことでもあるんだよ、ということ。
スリリングさ、危険性、面白さ、楽しさ、元気さ、すべてにおいてバランスの取れた、すばらしい絵本です。
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