大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。
この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
孤児ジェルーシャに、突然ふってわいたような幸福が訪れた。<あしながおじさん>が大学へ通わせてくれることになったのだ。彼女は、義務の報告の手紙を毎月送った。あしながおじさんとは?
大人が読む児童書「あしながおじさん」 1 どれを読んだらいいかわからないほどの翻訳の多さ -
大人が読む児童書「あしながおじさん」 2 テンション爆上がり -
「ジェルーシャ」という名前がいやな主人公は、自分の名前をジュディとすることにします。
ここで注目。
ジュディは、大学の寮で、いきなりそう簡単には入れない「個室」に入っています。
指折りの名家の出のジュリア・ペンドルトンですら、サリーと同室です。
破格の待遇です。
・ジュディが周囲の子たちになじめないかもしれないことを配慮したのか
・この破格の待遇にふさわしいほどの文才を認めたからか
・個室の方が小説家になればよいとする未来予想図に良いと考えたからか
さてどれなのか…。
とりあえず、ジュディのあしながおじさんへのお手紙を読んでる限り、元気で明るい、いたって普通の女の子です。
ジュディはたまに、孤児院生活を思い出して、ダウナー状態に陥ります。
他の子たちのように、普通に生きてこられなかった自分を憂いますが、名前を変え、過去を隠し、自分のことを何一つ知らない人達の中で、まったく新しい自分に生まれ変わろうとする、そんな努力が伺えます。
そして出ました最初の絵。
この挿絵がないと、全然あしながおじさんて感じがしません。
(残念ながらグーテンベルクでは原文はよめますが、絵を見ることが出来ません)
高校で、何となく女子グループからハブられ、服の寄付などで劣等感を感じさせられて浮いていたことが語られます。
すごく切ないです。
こういう所、昔は割と読み飛ばしていたような気がします。
何でも、再読してみるものですね。(チラッ)
◇
ジュディ、あしながおじさんがハゲなのかどうか 一生懸命聞こうとしているのですけど…。
これはコメントせずにおきます。
ちょっと前にディナードレス やイブニングドレスをもらって 有頂天になってましたけど、今度はおこづかいで、絹の靴下を買ってます。あと手袋とか…。
こういうのに一喜一憂するところが可愛いです。
もし私があしながおじさんの立場であるとすれば、何かあげるたびにこんなに喜んでくれて、貢ぐ喜びを最高に感じられそうです。
これは、あしながおじさんとして読んでみると、男性が女性にプレゼントしたいと思う気持ちがすごく理解できます。
これは、着た姿がいかなるものか見て見たい、という欲求に駆られても仕方なさそうです!
というか、ひそかに会いたくて悶々としているんじゃないでしょうかね!?
ぜったいそうでしょうね!?
◇
読んでいる限り、ジュディは運動神経抜群です。
バスケットボールに走り高跳び。
めっちゃアクティブです。
数学とラテン語の試験に落第してますが、そもそも文系理系と分けてないんだな~。
サクサクと先にすすみます。
・3月26日に、滅入って鬱状態のあまり、とても失礼な手紙を送る。
・4月2日に、病院に入院するほど具合が悪かったことがわかる。
・4月4日に、お見舞いのバラの花束が届いて仲直り。ピンクのバラのつぼみの花束、センスよしです♡
ここで初めてあしながおじさん、自分で自分に課した規律を破って、返信のお手紙を書いてます!
挨拶程度ではありますけど、この生き生きとした女の子っぽい 可愛らしいお手紙には ちょっと返事をせずにおれないだろうな。ンフフフ(きもちわるい笑い方)
◇
「何もかもうまくいかない日」っていうのがあるとジュディが書いてますけど、これはすごい共感します。
さて、夏休みに、孤児院に帰って食費稼ぎに働く、という空気の読めない院長の案、ジュディの必死のお願いで却下されました。
変わりに、あしながおじさんが用意した農場とやらに行くことになります。
ここ!ここだ!
出たよあしながおじさん。
ここで現れたのか!(興奮)
唐突に現れた、名家の出のイヤミちゃんジュリア・ペンデルトンの叔父さん。
このジュリアの「おとうさまのいちばん末の弟」です。
このジュリアのおじさん、ジュリアすらよく知らない人物です。
ジュリアのおとうさまのいちばん末の弟さんにあたるかたなんですが、彼女はあまりよくしらないらしいんです。どうやら、そのかたは、ジュリアがあかちゃんのときにちらっと見て、どうにも好みにあわないと判断したきり、ぜんぜん関心をもたなかったらしいのです。
そんな人がなぜ唐突にこんな所に現れたのかな?
改めて読んでいると、(面白いことに)違和感満載です。
なぜなら、ジュリアとサリーはどちらも、「どうしても抜けられない7時間目の授業」があり、席を同じにすることができません。
考えすぎかもしれませんが、完全に狙って現れたとしか思えないです。
ジュディの評:背が高く・痩せ型で・顔中しわを寄せて・あさ黒いお顔をしている。
フレッド・アステアが 一度あしながおじさんを演じましたけど、内容はともかく、この人物像はそっくりすぎて、今ちょっと他のイメージが思い浮かびません。
でも、アステアよりはもうちょっと若い感じだろうな…。
アステアはやっぱり、ちょっとおじさんすぎるからな…(妄想中)
二人は仲良くお茶して、ジュリアのおじさんはジュリアの授業が終わるのを待つこともなく、「電車に遅れるから」 という理由で去っていきます。
今までまったく興味を示さなかった姪っ子に、直接会えない時間帯に唐突に会いに来て、待とうともせず顔も見ようともせず、去っていくおじさん。
こいつぁ、おかしいぜ!
◇
この、「あしながおじさん側として読む」
想像以上に楽しいわ!!!
ニヤニヤが止められません。
つづく。
◇
版権も切れていますので、グーテンベルクで出ています。
原文が読めます。
「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492
◆プロジェクト・グーテンベルクについて
☞Wikiの説明ページ
プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリカ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館。
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