大人が読む児童書「あしながおじさん」 4 魔性の女ジュディ
大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。
この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
孤児ジェルーシャに、突然ふってわいたような幸福が訪れた。<あしながおじさん>が大学へ通わせてくれることになったのだ。彼女は、義務の報告の手紙を毎月送った。あしながおじさんとは?
大人が読む児童書「あしながおじさん」 1 どれを読んだらいいかわからないほどの翻訳の多さ -
大人が読む児童書「あしながおじさん」 2 テンション爆上がり -
大人が読む児童書「あしながおじさん」 3 読んでるこちらもテンション爆上がり -
とりあえず初デートで二人は、大学の食堂のバルコニーのテーブルで、紅茶とマフィンとママレードとアイスクリームとケーキを食べたりしました。
結構いっぱい食うな。
ジュディは本当に気取らなくて明るくて元気いっぱいの健康優良児、理想的なアメリカ娘です。
見ていて(読んでいて)こっちが明るくなります。
そつのないこの紳士は、ごまかすために、ジュディ、ジュリア、サリーの三名にチョコレートなど贈ってます。
ジュディが19として、14才年上なので、今ジャーヴィスは33才ですね。
さてジュディは農場で夏休みを過ごしますが、なんとここは例のジュリアの叔父さん、ジャーヴィス・ペンデルトンが幼少期を過ごした場所でした。
事情はこうです。
・ジャーヴィス・ペンドルトンさんがこの農場の元所有者。
・それを乳母のセンプルさんに譲渡した。
・現在の所有者はセンプルさん。
いや、おかしい。ピンと来るだろこれは!
偶然の一致すぎる!!
ジュディは、「評議員=おじいちゃん」という固定観念を、ど~~うしても外す事が出来なかったんだろうなと思います。
ジュディはここで、ジャーヴィスがむかし読んでいた「追跡」という本を見つけます。
『追跡』というのが本の題名ですが、そのとびらには、子どもっぼい、おかしな字でこう書いてあるんです。
もしこの本がまいごになっていたら
よこっつらひっぱたいて家へおいかえしてくれたまえ
ジャービス=ペンドルトン
大好きなエピソードです。
原文ではこうですね。英文で書いてたら、ちょっとかっこいかもしれません。
if this book should ever roam,
Box its ears and send it home.
農場の持主、つまりジャーヴィスの乳母さんですが…。
センプルさんから、それはそれはたくさんのジャーヴィスの幼少期のエピソードを聞かされて、しかもジュディはそれを事細かに手紙に書くのですが…。
これはさぞ、こっぱずかしいだろうな(笑)
◇
ロック・ウィローでの夏休みが終わり、ジュディは2年生になりました。
試験→夏休み→二年生。
期の途中で長い休みがあるより、わかりやすいのかな。
シェイクスピアの戯曲にハマりつつ、選挙について語ったりしながら、ジュディは仲良しのサリーの家に遊びに行きます。
ジミイという、背のたかいプリンストン大学三年のおにいさんがいます。
出たよ。ライバル登場。
いや、えっ?誰!?
という、あしながおじさんの動揺が伝わってきます。(妄想)
クリスマス・パーティで、ジュディはこのジミイと、コチロンという「カドリールに似たダンス」を踊ってます。
こ、これは…。
気になる所ですよね…。
若いし、年齢差ないし、大親友のサリーのお兄さん。
プリンストン大学で学歴も申し分ない。
しかもマクブライド家は工場経営者。
このときジュディは白いドレス、白の長手袋、白の舞踏靴をはいて、しかもこれは全部あしながおじさん支給です。
もうジュディの外見はわかってるのに、そのドレス姿を見れていない。
そして自分が送ったイブニングドレスを着て他の男と踊ってるわけです。
これはきついわ。
◇
次のページめくったら、あっという間に現れましたジャーヴィスさん。
早すぎて笑う。
必死やん。
そもそも、あのクリスマスの手紙の追伸がまずい。
追伸
もしわたしが大作家になりそこなって、ただの娘におわったら、おじさま、ひどくふゆかいにおなりでしょうか?
これはあかんよ。
普通の家庭に触れて、クリスマスパーティーでいい感じの男子とダンス踊って、この追伸。
どうみても、恋しちゃったから、結婚考えてます!と考えてるんじゃないだろうな、と思うでしょう。
「君は何のためにお金出してもらってるの?」とか、そんなことはたぶん、どうでもよさそうで、あしながおじさんは見返りを求めて出してるんじゃないと思います。
アステアの実写化映画でも言ってたけど、「女の子にお金を援助して、さらに恋愛を迫る」と言うのは、倫理的に見てちょっとかなりアレなので、名乗れないんですよね。
そこを知られてしまうと意味がない。
ここまでは、もしかするとあくまで親切やチャリティ精神の域を出なかったかもしれないけど、ジミイというライバル登場で火が付いた感じです。
◇
ジュディの手紙「ジャーヴィスさんはわかくて美男子」
そうとう気分をよくするなこれは。
魔性だ。
改めて読むと魔性。
自分でこんなこと言っちゃう可愛い面もあります。
ジュリアは、あんなにごきげんのいい叔父さまははじめて見たんですって。いつもは、どちらかといえば親しみにくいかたなんだそうです。けれどジュリアは、およそおあいそうがなくて、男性をあつかうこつをしらないんです。ところが、男性って、すべてこちらのあつかいようひとつですものね。毛なみにそってやさしくなでてあげればゴロゴロのどをならすのに、へたになでるとウーッとうなりますもの(これはあまり上品なたとえじゃありませんが、まあ、いわばこんなもの、ということです)。
か~わいい。
可愛いわ、この女子トーク。ニヤニヤしちゃう。
この後に、読むのも辛いような子供時代の暗い思い出が語られます。
ちょっと忘れかけていましたけど、ジュディは孤児なんですよね。
ジュディ、このあたりでシェイクスピアに傾倒しはじめます。
古典文学といえば、おじさま、『ハムレット』をおよみになりましたか?もしまだでし
たら、すぐにもおよみになるように。じつに、じつにすてきです。シェイクスピアの名は、これまでにも耳にたこができるほどきいていましたけれど、これほどすばらしい作家だとは思ってもみませんでした。わたし、どちらかといえば、評判だおれなんじゃないかと、いつもうたがっていたんです。
これまで、恋愛のことばっかりに注目して語ってきましたけど、あしながおじさんはやっぱりジュディの文学的才能の最大の理解者であるわけです。
それが「普通の女の子になったらがっかりするかしら」は相当にショックな一言だったと思います。
ずっと以前、わたしがはじめて本をよむことをおぼえたころ、わたしの発明したとてもすてきな遊びがあるんです。それは毎晩、ねむるときに、そのときよんでいる本の人物、それもいちばん重要な人物になったつもりになるんです。
これはすてきな遊び!!
最高!!
完全に没頭して児童書をおすすめするという意図を完全に忘れかけてたけど、子どもたちにぜひおすすめしたいです。
ここまでで半分です。
半分ぐらいまでにしようと思ってたのですけど、ここからもジャーヴィスさんの必死なアプローチに、ツッコミどころが多すぎて続けたい…。
もうちょっとお付き合い下さい。
つづく。
◇
版権も切れていますので、グーテンベルクで出ています。
原文が読めます。
わたしも読んでみたのですが、とてもとても読みやすかったです。
「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492
◆プロジェクト・グーテンベルクについて
☞Wikiの説明ページ
プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリカ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館。
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