子供が大激論「若草物語」
これは誰に教えてもらえなくとも有名な「若草物語」
女子に人気で、小公女と同じく少し本好きなお子さんならやはり確実に好きな作品です。
おねえさんのメグ
活発で男の子みたいなジョー
おとなしいベス
かわいくて絵が好きなエイミー
※この記事は、「続・若草物語」に関する多少のネタバレを含みますので、読んでいないかたはご注意ください。
また、そんなこと知りたくなかった!と思われる情報を含んでいるかもしれませんので、ご注意ください。
😳
こちらは、絵があのターシャ・テューダーさんが描かれています…!
Amazonでもベストセラーの表記がある、福音館書店のたしかな本です。
四人姉妹の話ではありますが、明らかに主人公はジョーです。
ジョーはアメリカにおける強く新しい女性の先駆けでもありました。
しかし、そんな型にはまった一般論は置いておいて…。
次女のジョーは、思い切りがよく活発でボーイッシュです。
小説を書くのが趣味で、いつか小説家になりたいという夢を持っています。
長女のメグは妹たちをまとめ、しっかり者のちいさなおかあさんといった風ですが、隠しきれない少女らしさが微笑ましいです。
四女のエイミーはキラキラ女子✨です。最も美人で自分でもそのことを知っておりおしゃれには余念がありません。絵を描くのが趣味という一面もあります。
三女のベスは優しく穏やか。病気がちなのに自分のことよりもまず他人を気遣う性格です。目立たないようでいて、彼女の存在感はとても大きいです。
四人姉妹の家庭はいま、お父さんが南北戦争に従軍しています。
暮らしは厳しいですが、助け合いながらつつましく暮らしています。
ここで親近感が湧くのは、この四人姉妹が割と欲まみれだというところです。
決してつつましい生活に耐えることが美徳!なんて思っているおとなしい子供をたちではありません。
そもそも、冒頭からして貧乏に対する不満から始まります。
そこに親近感が湧きます!
そんなとき、隣に引っ越してきた大金持ちのお坊ちゃんがローリーです。
四人姉妹は、この感じのよい元気な少年と仲良くなります。
が、明らかにジョーがローリーの一番の仲良しです。
というか、ローリーはほかの姉妹は若干、アウトオブ眼中(古い?)です。
それほど、ジョーとローリーは仲が良いです。
大親友なのです。
隣に引っ越して来たお金持ちの感じのいい少年と大親友の、かっこいいジョー…。
おさななじみ。
ロマンチックです!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
あるとき、私の目の前でお子さんがたが、わたしがうちから持ってきた本をめくりながら、若草物語の話をしていました。
そのうちのひとりに、わたしは出来心で、ちょっとだけ「続・若草物語」の話をしたことがありました。
その時は若干、眠くて…どうかしていたのです!
(ネタバレ炎上案件です!)
そのことを、話しています。
「ねえ知ってる?ローリーってさ、誰と結婚したと思う?」
「まって当ててみせる。ジョーでしょ!」
「ブブー」
「えっ違うの?じゃあ…だれ?」
「それがさ~」
(ゴニョゴニョ…)
「うっそ!マジで!えっあの子…?なんで?」
そこからお子さん同士で大激論に発展です。
喧嘩ではありません。
ローリーdis祭り
エイミーdis祭り
です!
火がついてしまった原因は、エイミーがジョーの書いた小説の原稿を燃やしてしまったエピソードです。
それも理由は、「外出に連れて行ってもらえなかったから」
確かにこれはいい気持ちがしません。
ジョーは長いことエイミーを許しませんでしたし、しかし物語の中ではすっきりと和解をしています。
しかし、その出来事がここでこの女子トークの火種になってしまったのです。
「それが理由で燃やすか、普通!?」
「エイミー最っ低だよね!!!」
「しかも、よりによってそのエイミーと結婚すんだよ、ありえなくない?」
「ローリーもローリーでしょ!結婚すんなよ!」
このふたりはよくまんがを書いて見せあっていますし、ひとりは小説も書くので、特に創作物に対する破壊報復が許せないみたいです。
声がどんどん大きくなっていきます。
「燃やしたんだよ?もう戻ってこないんだよ?せめて破れよ!びりびりに破るとかにしろ!破ったらまだ張り合わせることもできるじゃん。燃やしたら戻って来ないじゃん!」
「ローリー最低!!エイミーのどこがいいの?顔がかわいいからってさ。チャラチャラして自分のことばっか考えてて」
完全にヒートアップで止めることができません。
(低年齢向けならばこちらでしょうか?)
私も実は、「若草物語・その後」は自分の子供たちには封印しています。
子供向けの若草物語はお父さんが帰って来る所で終了します。
こんな誰と結婚するか、だれと付き合うかなんて大人の事情は入っていません。
とてもきれいな終わり方です。
「続・若草物語」は大人になってから読んでみて納得できました。
ローリーの選択も仕方がないと思いました。
これは大人になったからこそ理解できたのだと思います。
ローリーが何十回もジョーにふられています。
何度プロポーズしても、どうしてもOKしてもらえませんでした。
焼かれた小説は、粗の多い未熟なものでした。
ジョーはまったく根に持っていません。
エイミーも大人になっていました。
ローリーの失恋の傷心を癒せるのは、別の家庭の誰かではどうしても無理だったのです…。
ローリーは富裕層です。
大人になり、保守的でお金持ちの紳士となっていく上で、ジョーの先進的女性としての生き方とは相容れない部分が出てきてしまうことを、ジョーは見抜いていました。
そのことを、この二人にも自分の目で読んで、いつか知ってもらいたい。
これだけ大激論を交わしたら、このこどもたちの心に若草物語はしっかりと残るでしょう。
そして、ほのぼのした四姉妹というだけではなく、不安もあり不和もある、死も含めての家族というものの一つの形を知ることとなるでしょう。
大きくなって読んだ時にはさまざまな見えなかったことが見えてくる。
若いときにはあやまちを犯すもの。
エイミーのあやまちは、反省とともに大きく彼女を成長させました。
「若草物語」が、そんな体験と実感を得る、一つの指標となってくれることを願ってやみません。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
うちにある本で女子のお子さんがたが大好きなのは、「女の子のための物語集」です。
絵が今風でかわいく、昔も昔ながらの可愛い絵の物語集があったなあと思いながら見ています。
わたしも子供にせがまれた時には若干、
「…」
と思いましたが、ところがどっこい(古い!?🙄)
この本に対する女子たちの食いつきたるや、すごいです!
遊びに来た女の子のお子さんはみな、漫画もおしりたんていも差し置いて、よくこれを手に取ります。
そして、これに書かれている名作に興味を持って、図書館にあるのを読んでみた、というお子さんもおりました。
ですので、デフォルメをあまり気にせずに、このような「名作集」はどんどん与えていただきたいところです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ヒートアップしているお子さんがたの会話はまだ続いています。
少し鎮火したみたいです。
「ベス可愛いよね。ベス好き」
「一番いい子だよね。おとなしくて優しいんだよ」
「お母さんと同じように、病気の子を看病してうつっちゃったんだよ。たしかそう書いてた」
「なんでベスが死ぬの?エイミーが死ねよ!」
もうやめてあげて。
すごいです。
まるで不倫炎上案件に対するネットの書き込みを見てるみたいです。
しかし、高名な物語の架空の人物に対して話しているのは、いかにも罪がなくて微笑ましいものでした。
…私もいつか、「トム・ソーヤーの冒険」のトムについて、思う存分そのゲスさを記事にして書きたいと思います。
いつか読んでもらいたいです。
ゲス不倫・トムについて
新たな炎上案件です。
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