~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「ちびっこカムのぼうけん」 2 広大な北の大地を、カムと一緒に旅をする

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ちびっこカムのぼうけん
神沢 利子 (著), 山田 三郎 (イラスト)

カムは、湖のそばにたち、金のユビワを北にむかって、三ど大きくふりました。かあさんのびょうきをなおすイノチノクサをもとめて、火の山にすむ大オニ・ガムリイと対決するカム。リズム感あふれる文章でつづる、スケールの大きなファンタジー。(「BOOK」データベースより)

 

 

「ちびっこカムのぼうけん」 1 家庭用ゲーム機が広まるよりもはるか前に

 

 

病気のおかあさんを治すことができる、イノチノクサ。
火の山へ登っていって行方不明になったおとうさん。

 

思い立ったが吉日と、カムはさっそくイノチノクサを取りに出かけます。
ここまでわずか6ページ。

 

流れるようにすすみます。
ペースが早い!

 

どんな児童書であれ、好みはもちろんあって、これは面白かったけどあれはイマイチ、ということがあるものなのですが、
「ちびっこカムのぼうけん」
これだけは、子どもたちはほぼ、ぜったいに、面白い!と言って夢中になってくれます。

 

 

カムは元気で行動的な少年です。
その元気さが決して暴勇というのではなく、頼もしくて分別もあります。

 

昭和作品にはよくあることですが、頼りがいのある義侠心に富んだアニキに育つんだろうなという予感がする、そのあたりを暴れまわって遊んでいる元気な少年という感じがします。

 

動物たちの豊かなこと、次から次へと動物たちが出てきます。
あふれるほどの種類です。

 

次の展開、次の展開となるたびに、新しい動物が出てきて、ぐいぐい話は先に進んでいきます。

 

読んでもらえれば、RPGと言ったわけがおわかりになると思いますが、数ページでするすると物語は先へ先へと進んでいきます。

 

 

ノウサギライチョウが挨拶をします。

 

出かけてすぐにトナカイが追いかけてきました。
どうして置いて行くのかとなじるのは、きょうだいのように育ったプルガ。
「おこりんぼうとあわてんぼう」のこれも元気な、頼りになるバディです。

 

シロタカがジネズミを追いかけている所に遭遇 >フラグフラグ!あとで大きく関わってきます。

 

金ピカの大グマと子グマを中心に大勢のクマたちに出会い、おとうさんの行方を教えてもらう。

子グマも大グマも可愛いです。

 

ここで、カムのいなくなったおとうさんのエピソードが出てきますが、まあまあ煉獄さん並に強くて頼もしくてかっこいい、超マッチョな男っぽいおとうさんです。

 

おそろしい生きているようなイバラのしげみを通り抜け、トナカイのプルガが角を失ってしまいます。

 

プルガは、あの大きなトナカイの枝づのを失ってしまってかわいくなってしまうのですが、このときのイバラのエピソードはがなかなか恐ろしいです。

 

ホラーです。

 

愉快で元気なカムと対照的に、冷たい北方の風にふっとさらされるように、不気味で不吉な魔の影がさします。

 

山に行くと、イバラをよく見かけます。
昔のことなのでアレですが、カマやナタを持って切り払いながら歩いていたことを思い出します。
まさに昭和の思い出ッ!

 

そうでもしなければ、イバラがまとわりついてきてにっちもさっちもいかなくなってしまうのです。

 

関東地方では川沿いによくクルミが落ちていて面白く、よく見にいっては落ちているねと観察します。

(わたしは九州出身なのですが、九州では自生のクルミはあまり見ません)

 

クルミとイバラは相性がいいのか、クルミの木の周辺には必ずといっていいほどイバラが生えています。
一度からまるともう大変!

 

(脱線しましたが、ちびっこカムに戻りますと)イバラはカムとプルガの二人に巻き付きながら、不気味な歌を歌います。

 

 ─ガムリイがこわくないのかね、ちびっこや。
  ガムリイのツメは、わたしのトゲよりするどいよ。
  ほれ、きるがいい、ほれ、わたしのツメがおまえをひきさくよ

 

この気味の悪さや不吉さが、ちびっこカムのやんちゃで元気な安定感と、見事な対比を成しています。

 

 

大ヤギとけんかしたプルガをおさえようとして、崖下へ転落してしまうカム。
ここでバディのプルガとは別れ別れになります。

 

プルガは、カムが元気ではあるけれど、分別があるのとは違っていて、物語に欠かせない、「欠点をもったキャラ」です。
瞬間湯沸かし器ですぐに沸騰するし、おっちょこちょいでへまをやらかします。

 

すべてのキャラがしっかりと立っています。

 

悪役っぽく出てきた大ヤギ。
山なので、道が狭くて争いになるのですが、描写がすばらしいです。

 

のぼるうちに、やがて、ふたりは、たかいがけにそって、道らしいものにでました。上もがけ、下はきりたったぜっぺきです。目もくらむような、ふかい谷が口をあけ、氷のきしむ音、ど、どーん、とみねをふるわす、なだれの音が、ものすごくこだまします。

 

まるで映画をそのまま見ているような気持ちになります。

 

ヤギの住んでいる高い山がこんな風であれば、なるほど、「三びきのやぎのがらがらどん」が、トロルとけんかするわけです。

 

プルガ、がけに転落してしまったカムのため、黒い湖のほとりにあると言うイノチノクサを求めてと走ります。
だが、喉の渇きに耐え兼ねて、湖の水を飲んでしまった瞬間、冷たい石に変わってしまったのでした…。

 

(ここ、さらっと書きましたが、すっごいホラーです!思わず胸が痛くなるような気がします。)

 

 

引用した箇所を見るとわかるのですが、この本も幼児向けに、読点「、」がたくさんついています。
美しい描写も多すぎず、会話多めで、実に読みやすいです。

 

しっかりと文章による説明をして、描写が多いだけが、すぐれた児童書ではないのです。
会話多めで、ひらがな多め、ストーリーはテンポ早く、ぐいぐいと引っ張っていきながらも、たまに出て来る描写がおとなにも刺さるほどすばらしい。

 

この広大な自然の描写のダイナミックさは、神沢利子さんの本ならでは特徴です。
樺太(サハリン)で過ごした幼少期が、この見事な世界観を生み出したのでしょう。

 

樺太、かつてアイヌの人々とともにわたしたち日本人も確かにそこに住んでいて、生きていた記憶があるのだということを、この物語を通し実感として感じられます。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

三びきのやぎのがらがらどん
マーシャ・ブラウン (イラスト), せた ていじ (翻訳)

橋の向こう側の山で、たくさん草を食べようと考えた3匹のヤギ。小さなヤギ、中ぐらいのヤギ、大きなヤギ、みんな名前は「がらがらどん」。橋をわたっている途中に谷に住むトロル(おに)にでくわしてしまいます。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

タランの白鳥
神沢 利子 (著), 大島 哲以 (イラスト)

オホーツク海に浮かぶ北の島にタランと呼ばれる湖がある。その湖底に沈む青い玉、それはモコトルの父祖が退治した大トドの片目だという。「わしはタランの湖の底、泥に埋もれし青い玉。わしをさがし、ひろいあげてまつれ。さすればやがて大地の水もひき、タランの村によき日がおとずれよう」その役目が、いまモコトルに命じられた。美しい白鳥の化身した娘と暮らすタランに、よみがえったトド神の魔の手が忍び寄る。少年少女に送る愛と甦りの物語。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

流れのほとり
神沢 利子 (著), 瀬川 康男 (イラスト)

1931年夏、麻子の一家は、炭坑技師である父さんの赴任地、樺太に向かう。柳蘭の花咲く北の原野を汽車でゆられていったその先に、麻子を待っていたのは、きらきら光る川だった。北の自然と暮らしを描く回想の物語。

 

 

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オキクルミのぼうけん
萱野 茂 (著), 斎藤 博之 (イラスト)

この世に人間が生まれたばかりの頃、アイヌに生活のすべてを教えてくれたのはオキクルミの神だった。アイヌ語で語られたウパシクマ(故事来歴)を題材にした勇壮な絵本。1975年刊の新装版。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

風の神とオキクルミ
萱野 茂 (著)

ピカタカムイは風の女神。ある日、刺繍をしていた手を止めてふと人間の村を見た彼女は、人間を驚かそうと風おこしの舞を舞うが…。アイヌの神が語る物語の絵本。新装版。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

木ぼりのオオカミ
萱野 茂 (著), 斎藤 博之 (イラスト)

アイヌの人々は自分で作った四つ足で頭のあるものは魂が入っていると信じ、お守りにして肌身離さず持っているものだった。不思議な木彫りのオオカミのウエペケレ(民話)を題材にした力強い画風の絵本。1976年刊の新装版。

 

 

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カムイチカプ
藤村 久和 (著), 手島 圭三郎 (イラスト)

いつも村の平和を高い木のうえから見守っているシマフクロウの神を、若いシャチの群れが悪口を言い愚弄してしまう。怒りがおさまらないシマフクロウの神は、はげしい嵐を吹き散らし罰を与えると・・・。

 

 

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ゴールデンカムイ (全27巻)

『不死身の杉元』日露戦争での鬼神の如き武功から、そう謳われた兵士は、ある目的の為に大金を欲し、かつてゴールドラッシュに沸いた北海道へ足を踏み入れる。そこにはアイヌが隠した莫大な埋蔵金への手掛かりが!? 立ち塞がる圧倒的な大自然と凶悪な死刑囚。そして、アイヌの少女、エゾ狼との出逢い。『黄金を巡る生存競争』開幕ッ!!!!

 

 

 

 

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