今日、ご紹介するのは児童書です。
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今日の一冊
19世紀後半のフロリダ。人里での摩擦を避け、矮樹林が広がる土地で厳しい開墾生活を送るバクスター一家。ある日、父ペニーがとっさに撃ち殺した雌ジカの傍らに、母を失った仔ジカが立ち尽くしていた。息子ジョディは仔ジカに魅了され育てたいと両親に懇願する…。
「子じか物語」 1 途中から読んだってかまわない。いきなりネタバレから入る、トラウマのラストシーン
今思えば、なぜこの子じか物語が選ばれ、「トム・ソーヤ」とセットで入っていたのか。
明らかに人気もあり、心を惹かれるであろう「トム・ソーヤ」がなぜ後になっていたのか。
トムを一度読んでしまえば、何度も何度も繰り返し手にとり、読んでしまうであろう子供ごころ。
あまりにも何度も読んで、ページを開いているうちに、次第に、こっちは何が書いてあるのかな?と興味を惹かれることを見越してのことではなかっただろうか。
そんな風に思えてなりません。
まんまとハマって、子じか物語を読み始めたのですが、それでも飛ばし飛ばし、断片的にあっちに行ったり、こっちに行ったりでした。
やはり、これは人それぞれであるようで、妹子は最初からガッツリ、キッチリ読まないと嫌なタイプです。
なので、子じか物語はまだ読んでいません。
◇
さて、雌じかを殺して助かったジョディの父は、命を助けてくれたお礼と、ジョディが遊び相手がいなくてさびしがっているのを見て、慰めになるならと、子じかを飼うことを許してくれました。
荒くれ者のフォレスタ一家に一人だけ、病弱な弟、フォダ・ウィングという心やさしい少年がいたのですが、厳しい自然の中で亡くなってしまいます。
ジョディは本当にひとりぼっちでした。
子じかにフラッグという名前をつけてくれたのは、このフィダ・ウィングでした。
なので、二重、三重の意味で、フラッグはジョディにとって特別な存在だったのです。
◇
大ぐまスルーフットと戦ったり、街へ行って食料品を買ったりしながら、開拓時代の話はすすみますが、ここでも、女性がらみのトラブルはしっかりついてきます。
どいつもこいつも…。
しかし、こちらの方がはるかにトム・ソーヤよりもさらにリアルです。
トム・ソーヤのゲスもリアルなのですが、こちらは、自分が小学生~高校生と、学生時代を過ごした時に見聞きしてきたり、感じたものと同じです。
(だいたい、十歳で元カノとか愛してるとか…)
ジョディは、街のユーラリという女の子が、同じくらいの年齢の女子では唯一の知り合いなのですが、お父さんにちょっと名前を言われてほのめかされただけで、激昂します。
言われたのが嫌なので、わざとじゃがいもをぶつけて悪さをしたりします。
こっちの方がありそうな話だ!
この、ヴォルシアという街は、バクスタ一家が買い物などしに立ち寄る場所ですが、めちゃくちゃ遠いです。
かなり旅をしなければたどり着けず、ここにいる子どもたちはジョディの遊び相手にはなれません。
それなのに、ユーラリがほかの見知らぬ男の子と遊んでいるのを見ると、何ともイヤな気持ちになるのです。
(まあ、トムと違って、特にだから何をするというわけでもなく、自分の感情の動きにとまどうぐらいです)
◇
この街には、ハットウおばあさんという知り合いが住んでいるのですが、この人の描写が実に個性ゆたかで魅力的です。
おばあさんには、ふしぎに、男の人たちの気持をひきつけるところがありました。おばあさんの無遠慮なところがみんなの気に入るのでした。若い人たちは、おばあさんとあったあとは、なんとなく、身うちに勇気があふれるような気持になります。老人たちは、おばあさんの銀色の巻き毛に心をひかれました。おばあさんの身のまわりには、何か永遠に女性的なものがあって、それが、すべての男の人たちに、勇気をださせるのでした。ところが、その同じものが、すべての女の人たちには、気に入りませんでした。
このおばあさんの息子がまた、すごいイケメンです。
そして、このイケメン、あの荒くれ者のフォレスタ一家の中でも一番粗暴なレムという若者と、街中で大喧嘩をやらかしています。
ジョディは傍観者なのですが、もうそろそろ、理由がわかっています。
ツィンク・ウェザビという、街一番のすごい美人が理由でした。
このレムという若者は、ジョディの父ともけんかするし、粗暴だし、本当にロクな奴ではありません。
なのに、彼女のことを「人のものをぬすみに帰ってきたからだ」なんて、自分のもの扱いしています。
往年のアメリカ西部劇の映画にでもありそうな、激しくて粗野な恋愛模様です。
土っぽくて、汗と泥と血のにおいがします。
◇
こんな生活の中で、子じかのかわいらしさはジョディのなぐさめです。
濡れた鼻を押し付け、大きな黒い目で見つめる子じかのかわいさ。
土っぽい匂いのする、リアルな西部劇を文字で読んでいるこちらとしても、この子じかのかわいさは救いです。
そして自然の美しさもまた、すばらしいです。
そんな中で、大ぐまのスルーフットは激闘の末にたおされ、上記の美人、ツインク・ウェザビは、晴れてイケメンの方と結婚することができました。
このような出来事を見聞きしていくうちに、ジョディは次第に大きくなっていきます。
が、それと同時に、子じかのフラッグも、「イヤリング=一年子」ではいられないのでした。
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子鹿物語 (こども世界名作童話)
マージョリー・キナン ローリングス (著)
まだらめ 三保 (著), 村井 香葉 (イラスト)
開拓地にすむジョディと子鹿のフラッグの成長と心の交流を、自然のきびしさ豊かさをとおして描きます。愛されつづける感動の名作。
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ミシシッピ川沿いの小さな村を舞台に,わんぱくな少年トムが浮浪児ハックを相棒に大活躍するゆかいな冒険物語.因習にとらわれがちな大人たちの思惑をよそに,自然の中で自由にのびのびと生きる子どもたちを描く少年文学の名作.
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今まで知らなかったハックがここにいる。原書オリジナル・イラスト174点収録。柴田元幸がいちばん訳したかったあの名作、ついに翻訳刊行。
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大草原の小さな家 ―インガルス一家の物語 2
ローラ・インガルス・ワイルダー (著), ガース・ウィリアムズ (イラスト), 恩地 三保子 (翻訳)
「大きな森」をあとにして、インガルス一家は新しい土地を求め、インディアン・テリトリイへ幌馬車で旅立つ。ローラ6歳から7歳までの1年間の物語
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大草原の小さな家 ―インガルス一家の物語 2
ローラ・インガルス・ワイルダー (著), ガース・ウィリアムズ (イラスト), 恩地 三保子 (翻訳)
「大きな森」をあとにして、インガルス一家は新しい土地を求め、インディアン・テリトリイへ幌馬車で旅立つ。ローラ6歳から7歳までの1年間の物語
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