今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
知り合いの家にあずけられて,友だちもなく退屈しきっていたトムは,真夜中に古時計が13も時を打つのをきき,昼間はなかったはずの庭園に誘い出されて,ヴィクトリア時代のふしぎな少女ハティと友だちになります.「時間」という抽象的な問題と取り組みながら,理屈っぽさを全く感じさせない,カーネギー賞受賞の傑作です.
大人が読む児童書「トムは真夜中の庭で」 1 名作児童文学の中に必ず名前が上がる、名作中の名作
おとなで「トムは真夜中の庭で」が有名なので読んでみよう、というかたもかなりいるはずです。
それぐらい、あちこちでおススメされている本です。
今、ドリトル先生は、可愛らしい絵柄と分かりやすい新訳で子供の棚に並んでいますが、それとは別に、大人の小説の棚のところに本屋さんが旧訳の井伏鱒二版ドリトル先生を置いてありました。
これは本当にいいことだな!と思ったことがあります。
ちょっと本が好きな人ならどこかで「トムは真夜中の庭で」の名前は必ず聞いたことがあると思います。
ですから、大人の人で、読んでみようかな?子供の時は読まなかったけど、と思う人もいるはず!
そういう、
「いったい、そこまで言う『トムは真夜中の庭で』ってどんなものなのか」
と思う人のために、本屋さんも、大人の小説のところに並べて欲しいです。
◇
さて、トムはまるで牢獄に来たようなイメージで、おじさんの狭いアパートに隔離されてしまいました。
2章で、その生活の様子が描写されるのですが、アランおじさんのあまりのひどさに、私でもぶん殴りたくなるぐらいイライラします。
トムはよく我慢していると思います。
何しろ外に出たらいけないって言うんです。
はしかに罹患しているかもしれないから。
熱もないのに!
おじさんやおばさんはいいんです。
おとなですから、買い物にも出かけるし、仕事にも行くでしょう。
しかし、育ち盛りの子供がずっと家に閉じ込められている状態というのは、かなりつらいです……。
ひとりぼっちで、よその家で。
つまらなすぎて死にたくなる。
◇
まずいことに、おばさんのお料理がとても美味しいし、たっぷりあります。
なぜまずいのかというと、たくさん食べてエネルギーをチャージしているのに、発散することができません。
外に出たらいけないから!
遊んでもいないのに子供が体を動かさずに、たっぷり食べさせられて部屋に閉じ込められている。
…………これもしかしてコロナ生活では?
あれ?
「トムは真夜中の庭で」って、実はコロナの時代にすごくマッチした作品なのでは!?
この閉塞感、イライラ。
わからずやの大人。
ダメになった夏休みの楽しみ。
こうしたいと思う気持ちがあるのにそうはさせない状況。
⇒それが伝染病から来ている
結論:「トムは真夜中の庭で」はコロナ禍の中でぜひよむべき作品だった!
◇
序盤が、この「いかに生活がつまらないか」なので、読んでいる方も、だんだん憂鬱になってくるところではないかと思います。
トムがピーターに手紙を書いているのですが、このふたり、ほんとうに仲良しの兄弟です。
夜に眠れないので、トムは、おばさんが用意してくれたおばさんが少女の頃に読んだ少女小説を読んでみました。
「おばさんが少女の頃に読んだ少女小説」って、何だかパワーワードでちょっと心のどこかにグサッと刺さってくるような気もしますが、ここは落ち着いてスルーします。
小公女とかでしょうか?ひみつの花園とか?
その少女小説は眠気をもよおすほどには退屈させてくれないので、がまんしながら読みつづけていた。
夜の11時半になってもまだ本を読んでいると、アランおじさんに見つかってしまいました!
本を読んでいるのをとがめるアランおじさん。
なんで、子どもが、本を、よんでるのを、とがめるの!?
いまの、読んでもらいたい~となってる心情的に、この所業は許せませんでした。
意味が分からない。
夜の11時なんてまだ、私の世界はこれからだぐらいの夜活時間帯なのに。
眠れなくても電気もつけちゃいけなくてただ暗闇の中で目を開いてじっとしていろということ?
新手の拷問ですか?
スマホだってないのに!
このおじさん、すごく融通の利かない几帳面で四角四面の付き合いづらいタイプです。
さらにムカつくことに、自分たちは起きていて、本を読んだりおしゃべりしたりしてるのです。
◇
高級な週刊新聞を声に出して音読するアランおじさん。
うん、大嫌いだな。
また別の日、あまりにも退屈になったトムは、こっそり起きだしてそっと台所から食料品貯蔵室へ……。
別に何か盗み食いをしようと思ったわけじゃなくて、入ってみただけです。
運の悪いことに見つかってしまい、おじさん、大騒ぎ!!
男の子というものは、おなかがすいていてもいなくても、食料品貯蔵室へはいっていきたがるものだが、トムはどうしてもそのあたりまえなことをおじさんとおばさんにわからせることができなかった。
なんでわからないの!?
バカなの!?
トム「ぼくは眠れないよ」
おじさん(キツく)「子どもはみんな眠るもんだ。」
おばさん(優しく)「それは、あんたの気のせいよ、トム」
妹子「ふたりともぶん殴りたい」
おじさんがムカつくのはデフォルトだとして、若干やさしいし子供ずきだしで、唯一の希望ともいえるこのおばさんが、おじさんに迎合するのを見るは、そうとうキツいです。
そしてまたベッドの中へ。
明かりも強制的に消されます。
これは本当に拷問だー!
そしてこんな地獄の生活の中で、広間の大時計が13回鐘を鳴らすのでした。
12回ではなく、13回。
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「沼のほとりのパドルビー」に住む名医ドリトル先生は,オウムのポリネシアから動物語を習い,世界中の動物たちから敬愛されています.ある日アフリカのサルの国から,ひどい疫病が流行しているから救ってほしいという訴えを受けた先生は,犬のジップたちをひきつれて冒険の航海に出発します.ドリトル先生物語の第1作目.
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新訳 ドリトル先生アフリカへ行く (角川つばさ文庫)
ヒュー・ロフティング (著), 河合 祥一郎 (翻訳), patty (イラスト)
ドリトル先生は動物のことばが話せる、世界でただひとりのお医者さん。でも患者は動物ばかりで人はよりつかず、いつもびんぼう。ある日、ジャングルのサルの間で広がる、おそろしい伝染病の話を聞き、友だちのオウム、子ブタ、アヒル、犬、ワニたちと、船でアフリカへとむかいます。海ぞくとの対決、世にもめずらしい生き物との出会い…。世界中の子どもと動物に愛されるお医者さんの冒険を、42点の楽しい絵と新訳でどうぞ!
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大人気シリーズ、ドリトル先生の少年文庫版・全13冊セット。世界一の名医ドリトル先生が主人公の、ベスト&ロングセラーです。
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ロンドンに暮らすベンの夢は犬を飼うこと.誕生日に,約束していた犬のかわりに刺繍の犬の絵をもらって失望したベンは,想像の犬を飼いはじめる.やがて引っ越しを機に念願の犬を手に入れるが,それは想像の犬とあまりにも違っていた…….少年の心の渇望と,葛藤を乗りこえる姿をくっきりと写した傑作.[解説・小川洋子]
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子どもの日常生活におきる,小さいけれど忘れがたい不思議なできごとの数々.『トムは真夜中の庭で』の作者による,夢と現実の世界を行き来する印象的な短篇8編をおさめる.
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ハヤ号セイ川をいく (講談社青い鳥文庫)
フィリパ=ピアス (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 足沢 良子 (翻訳)
セイ川を流れてきたカヌーを見つけたデビットは、その持ち主のアダムと友だちになり、カヌーにハヤ号と名まえをつけた。2人は、アダムの家に伝わるなぞの詩から、かくされた宝を探し出そうとする。――カヌーで結ばれた2人の少年の、夏休みのすばらしい冒険と友情をえがいたイギリス児童文学の名作。カーネギー賞受賞作家、フィリパ・ピアスのデビュー作をエドワード・アーディゾーニの絵で。
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養い親のもとを離れ、転地のため海辺の村の老夫婦にあずけられた少女アンナ。孤独なアンナは、同い年の不思議な少女マーニーと友だちになり、毎日二人で遊びます。ところが、村人はだれもマーニーのことを知らないのでした。
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アンナは海辺でマーニーという不思議な女の子に出会う。仲良しなのは二人の秘密。けれど嵐の日マーニーが消えてしまい……。愛と友情、成長を描く感動の物語。越前敏弥、ないとうふみこによる新訳で登場!
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