~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「飛ぶ教室」 6 読了 君のようなカンのいいガキは嫌いだよ

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

飛ぶ教室
エーリヒ ケストナー (著), ヴァルター・トリアー (イラスト), 池田 香代子 (翻訳)

ボクサー志望のマッツ、貧しくも秀才のマルティン、おくびょうなウーリ、詩人ジョニー、クールなゼバスティアーン。個性ゆたかな少年たちそれぞれの悩み、悲しみ、そしてあこがれ。寄宿学校に涙と笑いのクリスマスがやってきます。(「BOOK」データベースより)

 

 

「飛ぶ教室」 1 「花の24年組」ギムナジウムについて熱く語る。そして「ほんとうの物語」について

2 突然のすとぷりで妹子(およびその友達)を釣ろうと画策する

3 CP…じゃなくて親友同士を軸としたメンバー紹介

4 どこを読んでも萌えしか見当たらないギムナジウムの男子高校生たち。

5 電車を住居に! ストレス社会のおとなすべてが羨む生活をする「禁煙先生」

 

 

皆は、ベク先生に一部始終を語ります。

 

ベク先生は、情状をくみとるべき余地はあるとみとめ、このような騒ぎになる前に、なぜ自分に相談しなかったのかと尋ねます。
自分が信頼されていなかったということが、ベク先生を傷つけている様子。

 

マチアスはこんな風に言います。

「先生、とんでもない。だって先生はご存じでしょう。ぼくたちがどんなに先生を……」彼は口にはだせませんでした。彼は、窓のそばに立っている人を自分たちがどんなに愛しているかを、あらわに言うことを恥じました。

 

ちょっとじーんとくるような師弟愛なのですが、こういう時に冷静なゼバスチアン君はてきぱきと論理的かつ簡潔に説明ができます。

 

先生に相談すれば、先生は
1.規則にしたがって拒絶する。
2.規則を破って許可を出す
の二つの選択肢しかない。

 

1の場合、自分たちは先生の禁止命令にさからって外出しなければならない。
2の場合、先生が責任を問われる。

 

改めて読んでいると、ゼバスチアンがすごく有能です。
エリートサラリーマンになりそうです。

 

 

この少年たちの気持ちに対して、ベク先生は、「休暇後最初の午後の外出を禁止」「その午後には、ベク先生にお茶をまねかれる」という罰を言い渡します。

 

大岡越前かよ~!!
あっ、古かった。

 

しかし、とてもいい先生です。
おとなの理解者に見守られたこの少年たちは幸せです。

 

先生は昔話をします。
病気のお母さんを見舞うために、毎日外出規則を破っていた少年がいたこと、監禁室で身代わりになってくれた親友がいたこと。


あれっ?既視感?…走れメロス…?

 

1936年あたりに最初にケストナー高橋健二訳が出ているようなのですよね。
走れメロスは1940年です。
えっ…?まさかね…。
まあ、よくあるモチーフなので、単なる偶然かもしれません。

 

 

脱線しましたが、もちろん、このお母さんを見舞った少年こそベク先生。
自分が、理解のない舎監の先生に苦しんだので、自分も舎監となって子どもたちに理解ある先生になってやろうと決めたのでした。

 

この感動的な物語の前で、美少年テオドルはいじわるな態度だったことを超反省します。

(先生、途中で出て行こうとするテオドルを引き留め、明らかに彼にも話を聞かせようとしています。暗に反省を促しているようです)

 

この身代わりとなってくれた「親友」、ずっと仲良くしていたのですが、奧さんと子どもを失った後に、行方不明になってしまったことがベク先生の口から語られます。

 

君のような勘のいいガキは嫌いだよ(突然のショウ・タッカー)

 

少年たちは、ベク先生の親友こそ、あの禁煙先生なのではないかと、推測します。

 

君のような勘のいいガキは(略)

 

 

ここからは、楽しい萌えるギムナジウム生活をごらんください、という流れなので、ぜひ借りて(買って)萌えを確認していただきたい流れです。

 

禁煙先生がその親友なのではないか(あっ、言っちゃった)というあたりをつけたのはヨーニーです。
彼には、世捨て人となった禁煙先生の気持ちがとてもよくわかるようでした。

 

彼の境遇を考え合わせると、なかなか感慨深いです。
やはり、子どもの時にはハデな事件しか残っていませんでした。
読み返して良かったと思います。

 

ところどころの、絶妙な伏線や、心遣いがじ~んとしみます。
ケストナーは、子どもたちに向けてこの物語を書きながらも、その子どもたちがいつかおとなになった時にも、忘れないように!と語り続けているようです。

 

そういう意図で書かれた作品です。

 

ということは、子どもを、いつかおとなになる一個の人間として見ているということでもあります。

 

萌えなんて言っちゃって本当にごめんなさい!
ほんとうに感動的!

 

この感動と萌えとが一つになっているところが、実に素晴らしいのです。
(無理矢理感)

 

古典の名作を読んでいると、萌えポイントをしっかり押さえつつ、人生のどの時点から読んでも感慨深くすばらしい、ということがよくあります。

 

そういう観点からも、間違いなくケストナーは古典として、名作として、この後も残って行くことでしょう。
読み継いでいってほしいと、その時代時代の中で、感動を得た人が忘れずに次の世代に伝えていく。

 

そういう本に、子供のときに出会えた人は幸運だと思います。

 

 

文庫ももちろんいいのですが、やはりハードカバーは読みやすい!
手にしっかりとなじみますし、大きいので文字を追いやすいです。

 

あと、
本読んでるぅぅぅっ!ドヤぁぁ!
という気分になれるのもいいところです。

 

漫画も名作ならば、ハードカバーで出してくれたらいいのに。
芸術といって遜色ない作品も多いことだし…。
ファンならきっと買うと思います。

 

kindleで買って持ち歩き
文庫が手元にあり
ハードカバーで腰を据えて読む。

 

禁煙先生のように、好きな植物に囲まれて、庭で本を開く…。
あこがれの生活です。

 

まあ……蚊は来ますけどね…。
これは仕方ない。


 

 

最後に、嬉しいことを聞きました。

妹子のお友達が読んでくれて
「すとぷりではないけど、すごく面白かった」
と言ってくれたようです。

 

そうか…。
すとぷりではなかったか。

 

結果オーライ!
残念ざんねん。(*^-^*)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

飛ぶ教室
エーリヒ ケストナー (著), ヴァルター・トリアー (イラスト), 池田 香代子 (翻訳)

ボクサー志望のマッツ、貧しくも秀才のマルティン、おくびょうなウーリ、詩人ジョニー、クールなゼバスティアーン。個性ゆたかな少年たちそれぞれの悩み、悲しみ、そしてあこがれ。寄宿学校に涙と笑いのクリスマスがやってきます。(「BOOK」データベースより)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

トーマの心臓 (小学館文庫) 萩尾望都 (著)

冬の終わりのその朝、1人の少年が死んだ。トーマ・ヴェルナー。そして、ユーリに残された1通の手紙。「これがぼくの愛、これがぼくの心臓の音」。信仰の暗い淵でもがくユーリ、父とユーリへの想いを秘めるオスカー、トーマに生き写しの転入生エーリク……。透明な季節を過ごすギムナジウムの少年たちに投げかけられた愛と試練と恩籠。今もなお光彩を放ち続ける萩尾望都初期の大傑作。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

11月のギムナジウム (小学館文庫) 萩尾望都 (著)

ヒュールリン・ギムナジウムの転入生エーリク。そこで彼は自分の分身トーマに出会った。2人を結ぶ罪と愛の秘密とは…。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

風と木の詩 (1) 竹宮惠子 (著)

――ぼくを満たしてくれるものは、あのあつい肌と肌とのふれあい――。妖しい魅力を纏った少年、ジルベールコクトーは抱かれることでしか心満たされず、威厳あるラコンブラード学院においても退廃的な生活を送っていた。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

車輪の下(新潮文庫) Kindle版 ヘルマン・ヘッセ (著), 高橋 健二 (翻訳)

ひたむきな自然児であるだけに傷つきやすい少年ハンスは、周囲の人々の期待にこたえようとひたすら勉強にうちこみ、神学校の入学試験に通った。だが、そこでの生活は少年の心を踏みにじる規則ずくめなものだった。少年らしい反抗に駆りたてられた彼は、学校を去って見習い工として出なおそうとする……。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

エーミールと探偵たち
エーリヒ・ケストナー (著), ヴァルター・トリアー (イラスト), 池田 香代子 (翻訳)

おばあちゃんをたずねる途中の列車で,大切なお金を盗られてしまったエーミール.ベルリンの街を舞台に,少年たちが知恵をあわせて犯人をつかまえる大騒動がくりひろげられます.

 

 

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点子ちゃんとアントン
エーリヒ ケストナー (著), 池田 香代子 (翻訳)

お金持ちの両親の目を盗んで夜おそく街角でマッチ売りをするおちゃめな点子ちゃんと、貧しいアントン少年―つぎつぎと思いがけない展開で、ケストナーがすべての人たちをあたたかく描きながらユーモラスに人生を語る物語。

 

 

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ふたりのロッテ
エーリヒ ケストナー (著), ヴァルター・トリアー (イラスト), 池田 香代子 (翻訳)

おたがいを知らずに別々の町で育った、ふたごの姉妹ルイーゼとロッテ。ある夏、スイスの林間学校で、ふたりは偶然に出会います。ふたりは、大胆な計画をたてるのですが…。

 

 

 

 

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