~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「トンデモネズミ大活躍」 1 夜の魔法にかけられた、陶器のネズミが動き出す。

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

トンデモネズミ大活躍
ポール ギャリコ (著), グレアム・ジョンストン (イラスト), 矢川 澄子 (翻訳)

陶芸職人が酔っぱらって作ったトンデモネズミ.時計が13時を打つと動き出して奇想天外な旅に出ます.行くさきざきでゆかいな事件をまきおこすトンデモネズミの冒険ものがたり.

 

 

 

 

トンデモネズミ、名前をよく聞くのにまだ読んでなかったなあと思って、岩波文庫の棚から引っ張り出して借りてきました。

 

よくあることですが、ちゃんと見もせず、適当に借りてきて、開いてみてあらびっくり。
ポール・ギャリコじゃないですか。

 

この岩波の本、古いバージョンで、赤字に金文字なすてきな装丁なのですが、金色の著者名がちょっとかすてれいて、「ギャリコ」が見えませんでした。

 

読もうと思って借りて来たのが、たしかな著者だったなら、それはもう読むしかないだろう!

 

 

動物が好きなポール・ギャリコのこと。
猫だけじゃなく、ネズミの話も書いていたんだなと思いながら開きました。

 

今まで、あんなにポール・ギャリコの本をチェックしていたはずなのに、私は一体今まで何を見ていたのだろうか?

 

この節穴め。

 

 

このねずみ、もとは陶器のねずみです。
ピノキオと同じ流れです。

 

ねずみ好きの陶芸職人、陶器のネズミ専門、ネズミしか作らない人です。
いつかきっと申し分のない完全なネズミ、100%満足なネズミの中のネズミを作りたい、と願っています。
これは、絵でも小説でも、創作をする人ならば誰もが分かる気持ちであることでしょう。

 

その時は突然きました。
酔っぱらって家に帰ってきた職人、今がその時だ!と雷が落ちたようにひらめきました。
奇跡のように何もかもうまくいく日。
そうやって作り上げられたのが、このお話の主人公のトンデモネズミです。

 

 

夜に書いたものはテンションがおかしくなっているから、必ず昼間に見直すようにと書いてあるのを読んだことがあります。
例にもれず、この職人も酔いがさめて起きて見てから、びっくり仰天です。

 

出来ていたのは夜に作ったというだけにとどまらず、相当酔っ払っていたことがよくわかる、かなりとんでもないシロモノでした。

 

色は全身まっさお、フクロネズミみたいな小さなまるまっちい体、後ろ足はカンガルーで前あしは猿。耳は長くてうさぎそっくり。しっぽなし。

 

こうして書いてるだけだとただ単にカワイイな。

 

職人は、自分の所業に呆れて壊してしまおうとするのですけど、なんだか不思議な愛らしさに、その手を止めて笑い出すのでした。

 

 

イギリスのマン島に住む、しっぽのない猫のことを引き合いに出して、とんでも猫ならぬトンデモネズミだねという風に言うのですが、調べてみましたらこれは、マンクスと言う品種のネコのようです。

 

ja.m.wikipedia.org

 

このトンデモネズミはしっぽがないのですが、マン島の猫もしっぽがないらしく、それでセットにされているというわけです。

 

さてこうやって生み出されたトンデモネズミ。
真夜中の振り子時計が鳴り出して、きっかり13を数えた時、トンデモネズミは生きて動き出します。

 

これはやっぱり、あのぜんまい仕掛けのねじをまかなければ止まってしまう、振り子時計ならではの不思議です。

 

ボーン、ボーン、ボーン……。
シーンとした暗い部屋に響き渡るあの物悲しげな音。
世界が魔法にかかる瞬間です。

 

 

しかしこれ、随分古いはずなんだけどすごく読みやすい訳だなあ。
語感が良いですし、面白くてするすると読み進められます。
この、「ひっかからない」という感覚、すごく大事です。
こういう本に出合った時、それが特に翻訳だと、ムッ、大事にしよう!と思うものです。

 

矢川澄子さんです。
さすらいのジェニーと同じ方だ!
ギャリコの訳ではきっと、定番で定評の方なのでしょう。

 

1994年。
25年前だとしても、そんなにすごく昔じゃなかった。

 

(私の思う、古いとか、昔とかはやっぱり、1980年代前後から、それより前の作品でしょうか?)

 

 

トンデモネズミが外に出て最初に出会ったのはいつもどこかでちょっと気味が悪い物音を立てる妖怪のようなもの、ドロロンでした。

 

海外には妖怪と言う概念はないのでしょうか。
これは、日本ならばよくわかる存在で、まさしく「妖怪」の一言で理解できる物体です。

 

ギャリコは言葉を尽くしてこの「ドロロン」を説明しています。

 

ドロロンなるものは、だれかがドロロンのことを考えないかぎり生まれないものなのです。(略)そのひとがいちばん怖いと思うもの、いちばんそんなことはいやだと思うこと。そういったものによって、生まれるドロロンのかっこうはきまってくるわけです。

 

広間のほとぼりがさめるにつれて、床板や家具なんぞがみしっという音、蛇口からぽたっと水のおちる音、よくしまらない雨戸のがたっとなる音、窓わくでハエがぶんぶんうなる音、屋根うらで何かがこそこそはしる音、石炭おき場にまよいこんだコオロギのたてる音、──そういったものが、ドロロンのいるしるしになるのです。

 

ドロロンは散々、トンデモネズミを怖がらせようとしてみたけれど無理でした。
「驚かせる手並みは、学校でもいちばんだったのに」と嘆くところを見ると、ドロロンの学校てのがあるんだな。

 

妖怪学校て漫画があったような気がするんですが…。
あれをもっと、子供向けの児童書にして出してもらえないものかなあ。
銭天堂の作者にでも書いてもらえればいいのに……。

 

このドロロン、あとになっても重要な役割を果たします。

 

 

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猫語の教科書
ポール・ギャリコ (著), 灰島 かり (翻訳)

ある日、編集者のもとへ不思議な原稿が届けられた。文字と記号がいりまじった、暗号のような文章。“£YE SUK@NT MUWOQ"相談を受けたポール・ギャリコは、それを解読してもっと驚くはめになる。原稿はなんと、猫の手になる、全国の猫のためのマニュアルだった。「快適な生活を確保するために、人間をどうしつけるか」

 

 

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さすらいのジェニー (日本語) 単行本 - 1983/1/1 ポール・ギャリコ (著), Paul Gallico (原著), 矢川 澄子 (翻訳)

突然真っ白な猫になってしまったピーター少年は、大好きなばあやに、冷たい雨のそぼ降るロンドンの町へ放り出された。無情な人間たちに追われ、意地悪なボス猫にいじめられ――でも、やさしい雌猫ジェニィとめぐり会って、二匹の猫は恋と冒険の旅に出発した。猫好きな著者ギャリコが、一匹の雌猫に永遠の女性の姿を託して、猫好きな読者たちに贈る、すてきな大人の童話。

 

 

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ジェニィ
ポール・ギャリコ (著), 古沢 安二郎 (翻訳)

突然真っ白な猫になってしまったピーター少年は、大好きなばあやに、冷たい雨のそぼ降るロンドンの町へ放り出された。無情な人間たちに追われ、意地悪なボス猫にいじめられ――でも、やさしい雌猫ジェニィとめぐり会って、二匹の猫は恋と冒険の旅に出発した。猫好きな著者ギャリコが、一匹の雌猫に永遠の女性の姿を託して、猫好きな読者たちに贈る、すてきな大人の童話。

 

 

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まぼろしのトマシーナ
ポール・ギャリコ (著), 矢川 澄子 (翻訳)

あたしはトマシーナ。毛色こそちがえ、大叔母のジェニィに生きうつしと言われる猫。あたしもまたジェニィのように、めったにない冒険を経験したの。自分が殺されたことから始まる、不可思議な出来事を…。スコットランドの片田舎で獣医を開業するマクデューイ氏。動物に愛情も関心も抱かない彼は、ひとり娘メアリ・ルーが可愛がっていたトマシーナの病気に手を打とうともせず、安楽死を選ぶ。それを機に心を閉ざすメアリ・ルー。町はずれに動物たちと暮らし、“魔女”と呼ばれるローリとの出会いが、頑なな父と孤独な娘を変えていく。ふたりに愛が戻る日はいつ?『ジェニィ』の姉妹編ともいえる猫ファンタジーの名作。

 

 

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トマシーナ
ポール・ギャリコ (著), 山田 蘭 (翻訳)

スコットランドの片田舎で獣医を開業するマクデューイ氏。獣医でありながら動物に愛情も関心も抱かない彼は、幼い一人娘メアリ・ルーが可愛がっていた猫トマシーナを病気から救おうとせず、安楽死させる。それを機に心を閉ざすメアリ・ルー。町はずれに動物たちと暮らし、《魔女》と呼ばれるローリとの出会いが、トマシーナに新たな魂を与え、二人を変えていく。『ジェニィ』と並ぶ猫ファンタジイの名作を新訳で。解説・河合隼雄

 

 

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ほんものの魔法使
ポール・ギャリコ (著), 矢川澄子 (翻訳)

魔術師――時に奇術師や手品師とも呼ばれる人々が住まう都市マジェイア。偉大なる魔術師の娘ながら周囲からできそこない扱いされていた少女ジェインの前に、ある日ふしぎな青年があらわれる。ものいう犬モプシーとはるばる山のむこうから旅してきたという彼は、魔術師ながら肩書きのない“ただのアダム”と名乗る。魔術師名匠組合への加入を希望するアダムのために、ジェインは助手となって審査会に臨むことに。そこで彼女が目の当たりにしたのは、種も仕掛けもない“ほんものの魔法”だった。矢川澄子の名訳で贈る、色褪せぬファンタジイの名作。

 

 

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七つの人形の恋物語
ポール ギャリコ (著), 矢川 澄子 (翻訳)

誰にも優しくされたことがなく、しんから冷笑的で、一度だって物であれ人であれ愛したことのない35歳の男、ミシェル。七つの人形に分与されたミシェルの影の人格が最後に愛を知り癒されるまでを、絶妙のタッチで描く。再刊。

 

 

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ハリスおばさんパリへ行く
ポール・ガリコ (著), 上田 とし子 (イラスト), 亀山 龍樹 (翻訳)

誰でも好きにならずにいられないハリスおばさんを、作者は時に皮肉りながらも、あたたかい視線で描きだしてゆきます。そして、ちょっとほろ苦い結末‥‥。

 

 

 

 

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