大人が読む児童書「ぼくは王さま」 1 そこの君。君のことだよ、君。
今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
王さまはたまごやきが大好き。朝も昼も夜も、いつもたまごやきを食べます。ある日、王さまはとびきり大きなたまごやきを作るために「ぞうのたまご」をとってこいと命令を出しますが…。ロングセラー児童文学のリニューアル版。(「MARC」データベースより)
寺村輝夫さんの もう宣伝するまでもないほど有名な本です。
久しぶりに開いてみたら、まえがきがありました。
どこの おうちにも
こんな 王さまが
ひとり
いるんですって
「ん」だけ小さいです。
そこの君!
君のことだよ、きみ!
この話は、子どもにとっては本当にどこかの国に王様がいて、こんなにもすさまじくわがままで、どうしようもないことばかりしでかしている、と思った方が楽しいだろうなと思います。
匂わせはやめておこう。
…って、 匂わせているんですけどね~まえがきで作者が!
◇
私の持っているバージョン、すごく分厚いしっかりしたハードカバーです。
すごい丈夫さです。
「ハードカバーの分厚い本を子供に読ませよう」運動を起こしたいです。
明らかに大人向けのハードカバーよりも装丁がしっかりしています。
私が子供の頃の本なのですが、もちろん日焼けしてますし、シミはありますが(古本だと日焼け、シミあり、と書かれるやつ)、あんなにあんなに何百回も読んだのに、1ページも破れてないです。
そしてこの本、兄助も妹子も大好きなので、およそ半世紀近くのあいだ、相当に酷使され続けています。
それでも、こうしてつらっとした顔つきで(本って、それぞれの顔つきがありますよね)すまして本棚に鎮座しています。
装丁に詳しい人に、なぜ丈夫なのか教えて欲しいです。
紹介しているのは、新・愛蔵版です。
まさに愛蔵版!
超・愛蔵していますし、超・現役です。
◇
第1話 ぞうのたまごの たまごやき
第2話 しゃぼんだまの くびかざり
第3話 ウソとホントの 宝石ばこ
第4話 サーカスにはいった 王さま
割と長いのに、四話!
一話一話が、それなりに長いです。
このページ数だと、子どものガマンできる時間に配慮して、8話~10話入っているものが多いです。
寺村輝夫さんは、擬音も多くて読みやすいので出来ることなんだと思います。
シリーズがたくさん出ていますが、やっぱりこの一回目は すごく出来がいいです。
まったく無駄がないし どの話も面白いです。
◇
第1話 ぞうのたまごの たまごやき
この王さま、たまごやきが大好物です。
「たまごやきが一ばんうまいよ。あまくって、ふーわりした、あったかいのがいいね」
朝も昼も夜もたまごやきです。
病気になるだろ。
子どもか!子どもだろ!となった所ですが、しかし、王さまは王さまです。
王さまのうちに、あかちゃんが、うまれました。
王子さまです。
実はこれを久しぶりに読み返して、いきなり軽く衝撃を受けました。
あまりにも「王さま=子ども」と頭から思い込んでいて、いきなり序盤で覆された気分です。
そうだこれ、王さまだったよ。おとななんだよな。王さまなら子どもだって出来るよね。そ、そうか……。
王さまはよろこんでごちそうの計画を立て、国の人々を招待するのですが、ごちそうはぜんぶ、ぜったいにたまごやきだと言い張るので、そんなにたまごはないと大臣たちは困ってしまいます。
ワン大臣、ツウ大臣、ホウ大臣(スリー大臣じゃないんだ)
王さまのわがままに振り回される大臣たちはともかく、王子さまが生まれたのですから、女王さまもいるはずなのですが、いっさい姿がありません。
言及もされないし、この生まれた王子さまも今後いっさい出てこないので、お話として不思議といえば不思議なのですが、王さまを子どもとして書いてる視点からすれば、存在が消えてるのは不思議?でもない?のかな?
あれ?どっちがどっち?混乱してきました。
寺村輝夫さんに、煙に巻かれています。
さすがナンセンスの王様、寺村輝夫さん。
子どもの視点による世界と、物語の世界を絶妙に折り合わせています。
◇
ぜったいに、たまごやきがいい。
王様の命は至上命令。
たまごやき以外は認めない。たまごやきが正義。
たまごがないなら、ぞうのたまごを持ってこいと命令されて、大臣たちは用意にとりかかりました。
頑張ってトンカンやって、ぞうのたまごやきに相応しいぐらい大きなフライパンも作り、かまども作りました。
……………。
最後は、し、しまったあああ!!なんでそれに気が付かなかったのかあああ!
という展開になりますが、真面目な様子で、ばかなことをおとなたちが右往左往してやっているのが、とてもおもしろいです。
そして読んだあとは、たまごやきを食べたくなります。
あまくって、ふーわりした、あったかいのを。
◇
第2話 しゃぼんだまのくびかざり
次はしゃぼんだま。
しゃぼんだまに本気ではしゃぐ王さま。
子どもが好きなポイントポイントを、絶妙に突いてきます。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
王さまのお城で王子さまが生まれました。王さまはお城に国中の人を呼んでお祝いをするといいます。ごちそうはたまごやき。たくさんたまごやきを作るために、王さまはゾウのたまごを持ってこいと言いますが…。新編集版。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
たまごやきが大好きな王さまがいました。ある日、王さまは散歩の途中で鶏小屋からにわとりを逃がしてしまいます。もちろんお城は大騒ぎ! にわとりを逃がした犯人さがしがはじまりますが、見つかるわけがありません。
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<ファンタジーの世界で楽しいおかし作り> ゆかいなお話とおいしいお菓子の作り方が一冊で楽しめる好評シリーズ。 クリーニング屋さんのわかったさんが、配達の途中でまきこまれる不思議な世界。 お話のなかに、お菓子作りのカギがあり、巻末には、作り方の実際をわかりやすく解説しています。 全10巻 (1)わかったさんのクッキー (2)わかったさんのシュークリーム (3)わかったさんのドーナツ (4)わかったさんのアップルパイ (5)わかったさんのホットケーキ (6)わかったさんのプリン (7)わかったさんのアイスクリーム (8)わかったさんのショートケーキ (9)わかったさんのクレープ (10)わかったさんのマドレーヌ
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<お話を楽しみながら料理のコツがわかる> お話と料理、2つの要素を一冊にまとめた本。 かわいい花屋の奥さん、こまったさんが、 いろいろな出来事に出会いながら、おいしい料理作りに挑戦します。 楽しいお話とゆかいな絵にくわえて、実際の料理のコツがよくわかると評判のシリーズです。 (1)こまったさんのスパゲティ (2)こまったさんのカレーライス (3)こまったさんのハンバーグ (4)こまったさんのオムレツ (5)こまったさんのサラダ (6)こまったさんのグラタン (7)こまったさんのサンドイッチ (8)こまったさんのコロッケ (9)こまったさんのラーメン (10)こまったさんのシチュー
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ファンタジーの世界で、おかし作りのレッスン!きょうはクリスマス・イヴ。わかったさんは、白ひげのおじいさんをてつだって、ショートケーキを作ることになりました。
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寺村 輝夫。1928年東京生まれ。早稲田大学卒業。『ぼくは王さま』で第15回毎日出版文化賞受賞。1984年「独特のナンセンステールズで、子どもの文学の世界を広げた」功績により第17回巌谷小波文芸賞を受賞。
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